[経営者・管理者に聞いた]介護事業所の”いま”

~他事業所の事例を参考にしよう・お互いに頑張ろう~Presented by 介護マスト

利用者さまのやりたいに寄り添う!「自然と行きたくなる場所へ」

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デイサービスグランドジェネレーションパートナー

・東京都足立区

・定員 10名

 

お話を伺った人

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鈴木 智明さん(所長)

 

利用者さんの意欲支援を理念におく「デイサービス グランドジェネレーションパートナー」。所長を務める鈴木智明さんは介護歴14年のベテラン介護士です。それまで勤めていたデイサービスを辞め、3年前に立ち上げに参画。意欲支援を重視したサービスとはどんなものなのでしょうか? それによってどのような効果が生まれるかなどについてお伺いしました。

 

高齢者の意欲を一番に尊重する

カフェをイメージしてつくったというシックな室内。入ってまず目についたのは、事業所の理念である「意欲支援」の文字でした。

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▲法人の名前にも使われている「意欲支援」は同事業所の理念でもある

 

「高齢になると、自分のやりたいことがあっても、年齢や環境のせいにして『私はいいのよ』と諦めてしまう人って多いんですよね。デイで過ごせる時間は決まっていますし、ある程度縛りがありますけど、その中で利用者さんの意欲を最大限尊重して、さらに生み出せる環境を作っていきたいと思っています」

室内を見渡すと置いてあるのはカラオケ、麻雀、将棋、トランプ……。利用者さんの「やりたい」「してみたい」という気持ちを尊重するために、さまざまなレクリエーションを用意しているそうです。

「カラオケは特に人気ですね。皆さん昭和の曲を楽しそうに歌っています。うちは1日のプログラムを設けておらず、『月曜日の13時から1時間はカラオケ』みたいな縛りがないので、ずっとカラオケしたり、将棋をしたり、近くの公園まで一緒に歩いたり。利用者さんがそれぞれ自分のやりたいことをとことんやって、満足感を味わえるように活動しています」

やりたいことが自由にできる環境のせいか、様々な趣味や特技を持った利用者さんが多いと話します。

「最近入った女性の利用者さんは折り紙がお好きなんですが、両目が不自由でいらっしゃるにも関わらず、難しい作品をいとも簡単に作ってしまうすごい方なんですよ。まさに盲目の折り紙師ですね」

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▲折り紙を作る動きを手が覚えているんだとか

 

ランドセルに、かえるに、トマト……。鶴すら折れない自分とは比較にならないほど上手ですね! 作品は鈴木さんや事業所の人にプレゼントされているそうです。人にあげて喜んでもらうことが、その方にとっての喜びにもなっているんですね。

 

会話から生まれる”人間らしさ”

「意欲支援」と並んで事業所が大切にしているのは利用者さん同士や利用者さんとスタッフの間の「コミュニケーション」だそうです。『コミュニケーションの時間を大切にするために、お風呂をあえて作らなかった』と語る鈴木さん。デイサービスにはお風呂がつきものというイメージですが、どのような意図が隠されているのでしょうか?

「お風呂はもちろん必要なんですが、そこにスタッフの配置がすごくとられて、お風呂を希望する人への対応に追われてしまい事業所全体がばたばたしてしまうんですよね。それなら最初からなくしてしまえば、もっとコミュニケーションできる時間が増えるんじゃないかなって。実際、利用者さんはすごくゆったり過ごしていますよ」

お風呂をなくす代わりにたっぷりコミュニケーションに時間を使えるということですね! 最初はケアマネジャーさんにも驚かれたそうですが、今では利用者さんも入浴設備がないとわかった上で紹介していただけるようになったそうです。

また、誰もカラオケをしていないときは、ガイドボーカルが入った昭和の曲をBGMとして流しているそうですが、これもしっかりとコミュニケーションにつながっているんだとか。

「曲を流していると、『この人のこの曲が好きだったな』とか『この曲がはやった頃はこんなことをしていたな』という風に、昔を思い出すことでそれがきっかけで会話が生まれたりすることもよくあるんです。自然と回想法になっているんですよね」

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▲カラオケボックスのパーティールームにあるような本格的な設備

 

コミュニケーションのきっかけを生み出すために、さまざまなサービスが用意されているんですね。そこまでコミュニケーションを大切にしているのはなぜなのでしょうか?

「友達と楽しく話したり、たまには口げんかしたり、良いことも悪いことも全てがコミュニケーションです。人同士の関わりから喜怒哀楽のような感情がうまれ、『何かしたい』という意欲につながっていきます。家でぼーっとしていたり、一人でテレビを見ているだけでは、なかなか沸いてこないですね。そういう気持ちを私たちは尊重していきたいです。ただ、利用者さん同士が関わるとトラブルになることもあるので、そういうときはスタッフが間に入って仲裁したりしながら、利用者さんが気持ちよくデイに来てもらえるように配慮しています」

 

どんな時も利用者さん第一

小さい頃から人と接することが好きな鈴木さんは、新卒で飲食の会社に入ったものの、もっと深く人と関われる仕事をしたいと考え介護の世界に進みました。以来14年間、通所介護を中心にさまざまな介護事業所を経験してきました。現在一緒に働く経営者の若山さんから、「これから立ち上げる事業所の現場運営責任者をやってほしい」と3年前に打診されたとき、当時働いていた認知症デイサービスに残るか迷ったといいます。

「当時働いていたデイでも、新事業の立ち上げメンバーとして声をかけられていました。でも、若山から一緒にやりたいと熱心に言われて。『意欲支援』という理念や若山の介護への想いが、自分が今まで感じてきた想いと合致していたし、ゼロから作り上げていくのが楽しそうだなと感じて、ここの所長になると決めました」

所長として事業所を運営する中で、時には利用者さんからお叱りを受けたりと大変なこともたくさんあると笑いながら話す鈴木さん。それでも頑張れるモチベーションの源は何なのでしょうか?

「自分を慕ってくださった利用者さんやそのご家族からいただいた言葉に支えられ、励まされています。例えば、利用者さんで残念ながらご逝去された方がいたのですが、そのご家族から、『デイに行ってからの母はすごく変わった。本当にありがとう』と言われて。個人としても、事業所としても、利用者さんの人生の一部に関わったことで少しでも幸せを感じていただけたのかなと思って、こちらこそ『ありがとう』と心からお伝えしたくなりました。そういうことの積み重ねがモチベーションにつながっているのかもしれません」

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▲利用者さんもスタッフさんもみなさん仲良し!

 

「ありがとう」の連鎖って本当に素晴らしいですよね。最後に事業所の今後の方針についてお聞きしてみました。大切にしたいのは、利用者さんを中心にしながらも自分たちのコンセプトをしっかりと貫くことだそうです。

「介護保険制度って色々変わるじゃないですか。それに合わせて事業所は変化を求められると思うんですけど、どんな時だって自分たちが向き合うべきは、制度じゃなくて、利用者さんですよね。まだまだ元気な高齢者の方はいっぱいいるので、そういう方たちの様々な意欲を尊重していきたい。うちには高齢でもしっかりしている利用者さんが多いので、自然と『行きたい』『楽しい』と思ってもらえる事業所であり続けたいと思っています」

平均寿命が延び、高齢になっても体力のある方がどんどん増えています。年をとっても自分たちの意欲を燃やせる環境を作っていくことで、より多くの人が幸せな余生を過ごせるのではないでしょうか。グランドジェネレーションパートナーのような「意欲支援」に注目したデイサービスの輪がこれから広がっていくことが期待されますね!

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「当たり前に見える日常生活こそ大事」がんを克服した経営者は使命感に溢れていた

株式会社はまリハ

・神奈川県横浜市

・訪問看護リハビリステーション(24時間対応訪問看護、訪問リハビリ)

 

お話を伺った人

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臼居優さん(代表取締役、理学療法士)

 

神奈川県横浜市緑区、JR横浜線「十日市場」駅から歩いて数分の場所に居を構えるのが、今回お邪魔した訪問看護リハビリステーション「株式会社はまリハ」です。同社の代表取締役であり理学療法士でもある臼居優さんは現在38歳。日焼けした肌に柔和な表情、とてもハツラツとした印象を受けますが、実は数年前に白血病であることが発覚し過酷な闘病生活を経験されています。臼居さんがなぜ在宅生活を重要視するのかなど、同社の活動内容とあわせてお伺いしました。

 

突然のがん宣告、闘病後に感じた日常生活の尊さ

大学在学中、ボランティアで介護の世界に足を踏み入れた臼居さん。小さい頃からおじいちゃんおばあちゃんと一緒に生活してきたこともあり、お年寄りのお世話をすることが好きだったといいます。

「介護保険制度が始まった年に地域で介護ボランティアを募集してて、暇だったし興味本位で応募してみたんです。そしたら思いのほか楽しくて、ヘルパー2級を取りました」

そのまま介護の仕事に就くかと思いきや、縁あって介護とは関係のない会社に就職。ゆくゆくは介護関連の事業を始めると聞いていたもののなかなかその気配はなく、介護の仕事に対する想いが次第に強まっていったといいます。

「3年間その会社でお世話になったあとに、理学療法士の専門学校に入学しました。4年生になったときに突然、急性骨髄性白血病の宣告を受けまして……。すぐ入院することになって、もうてんやわんやでした」

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▲突然のがん宣告にご本人だけでなく「家族もパニック状態だった」と語る臼居さん

 

当時の辛い闘病生活のことを振り返りつつ、この経験があったからこそ日常生活の大切さに気付かされたといいます。

「半年の入院生活で、病院は長くいるべきところではないと心から感じました。病院というところはその人らしさを奪ってしまう場所なんです。家がホームだとしたら、病院はアウェイ。治療が終わって家に帰った時のあの安堵感というか安心した気持ちは、一生忘れないと思います」

幸い抗がん剤が効果を発揮し病気は完治。現在も再発することなく元気に生活できているそうです。

理学療法士の資格を取得した後は地元の総合病院に就職し訪問リハビリに従事。在宅の魅力を改めて感じ自ら独立することを決意しました。

「病院だと制度上の諸問題でスムーズにサービス提供まで結びつかないことがあって、それなら自分でやろうって強く思うようになりました」

こうして「はまリハ」が誕生したのですね。

 

日常生活に勝る訓練なし “何でも屋”の精神で衣食住をサポート

「はまリハ」の現在までの利用者数は120人を超え、リピートする人も多いといいます。

「一度ご利用いただくと“また次も”っておっしゃってくださる方が多いので、サービスにはある程度の自信があります! 食事、入浴、排泄の3本柱を中心に、生活そのものを支えるサービスを提供させていただいています。基本は本人のやりたいことをお手伝いすること。在宅生活でのお困りごとをお聞きし、「トイレに行くのが大変」ってことであればトイレまで一緒に行ってみて、『手すりがあれば行けるかな~』とか、ご本人の様子を見ながらリハビリの視点からサポートさせていただいています」

最近は「外にケーキを食べに行きたい」というご要望にお応えし、一緒にバスに乗って喫茶店でケーキを食べてきたこともあるそうです。

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▲全員が集まれる時間は少ないながらも、チーム一丸となって取り組んでいる

 

「何でも屋に近いところもあるんですけど、とにかく“日常生活に勝る訓練なし”と思っていて、日常生活を送ることそのものがリハビリなので、僕たちはそのサポートをさせていただいています。リハビリって聞くと1時間みっちり歩行練習するとか、そういうのをイメージする方が多いんですが、うちはご利用者やご家族との会話もとても大切にさせていただいています。おばあちゃんに大人気のイケメンPTもご用意してます!(笑)」

がんを患い、長い入院生活を味わった臼居さんだからこその在宅生活へのこだわりが、同社のサービスにも表れていました。

 

訪問リハを通して地域の下支えをしていきたい

今後は放課後デイと療養通所介護もやってみたいと臼居さんは話します。

「ターミナルの方とか介護度が高い方もうちで見ていきたいと思ってまして。地域の方をまるっと、手厚くケアしていける環境を作りたいんです」

『訪問リハビリといえばはまリハ』といわれるのが理想だと語る臼居さん。一人でも多くの人を住み慣れた環境で最後まで生活できるようにしたいという思いがあるそうです。その使命感はどこからくるのでしょうか。

「がん闘病で長く入院したこともありますし、病院に勤務してたってこともありますが、どうしても病院て患者さんを”お客様”扱いしちゃうんですよ。患者さんも『先生ありがとう』って雰囲気にどうしてもなりますし。でも、当然かもしれませんが家に帰れば緊張がほどけて表情がガラッと変わるんですよね。それを目の当たりにしたとき、やっぱり日常生活を送ることって当たり前のことだけど人間の根本なんだなって確信したというか。それに優秀なセラピストって病院にはいるんですけど在宅の場面になると少ないのが現状で、そういう人たちが安心して働ける環境を整えたいという思いもあります」

ご利用者さんに「病人」という意識を持たせたくないからと、制服を白衣ではなくポロシャツにしたり、事業所の車に看板をつけないなど、男性ながらも細やかな心配りをされている臼居さん。そんな臼居さんが経営する事業所だからこそ、リピートする方が多いというのも頷けますね。今月新たに看護師が増え、看護師5名、PT7名、OT4名、ST1名、事務1名の大所帯をまとめる経営者として、臼居さんのさらなる活躍が期待されます!

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▲新職員の歓迎会の様子。フェイスブックでは利用者さんとのふれあいや様々な活動内容についても紹介されている

 

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思い描くものを形に!ゼロから生まれた朝型デイ

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モーニングデイあさがお

  • 東京都北区赤羽
  • 定員10名

     

お話を伺った人

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戸田昂志(たかし)さん(管理者)

 

“自分の理想のデイサービスをゼロから作っていきたい―”。そんな強い想いを持って新たなデイの立ち上げに参加した戸田昂志さん。戸田さんが管理者を務める「モーニングデイあさがお」は、早朝の時間帯に注目し、朝7時半には利用者さまをお迎えします。なぜ朝型に特化したデイを始めたのか? 事業所の特長やその意図についてお伺いしました。

 

手作りの朝食!朝型で変わる生活リズム

「一番の特長はサービス提供時間です。朝7時半にお迎えで、お帰りは13時過ぎになります」

管理者の戸田さんは慣れない取材に少し照れた様子で話してくださいました。

「お帰りの時間が早いので、利用者さまは午後の時間を有意義に使えます。自分の動ける範囲で家事をされる方が多いようです。あと生活リズムも整いやすいと思います。朝食を抜いてしまったり、生活リズムが不規則であまり眠れないという方も、うちにきていただければ朝食・昼食・お風呂をデイで済ませて、帰ったら夕食を食べるだけです。多くの方が18時に夕食を食べて、20時には就寝されています。早寝早起きのリズムができるので、眠そうにデイに来る方はあまりいらっしゃらないです」

デイをきっかけに生活リズムが変わるんですね!

利用者さまが毎日楽しみにされていることのひとつに、朝食で提供される自家製パンもあるんだとか。毎朝利用者さまが到着し扉を開けると、食欲をかき立てるおいしそうな匂いが漂っているそうです。

「自家製パンは利用者さまからとても好評です。家では市販の8枚切りの食パン1枚をやっとの思いで食べていた方が、うちのパンなら分厚くても簡単に食べられるとおっしゃっていただけてとてもうれしく思っています。パンと一緒にお出しする目玉焼きやスクランブルエッグもここで調理しています。コーヒーやお茶もついて朝からボリューミーですが、皆さんおいしそうに食べてくれますよ」

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▲毎日通っても楽しめるよう、少しずつメニューは変えています

 

本格的な朝食ですね! 写真を見ただけでもおいしさが伝わってきます。こうした手作りの朝食を提供する理由には、モーニングデイあさがおの代表の想いが隠されています。

「昔ながらの喫茶店のモーニングセットをイメージしています。代表の父親にあたる世代は、出勤前に喫茶店でモーニングセットを食べてから仕事に向かっていたらしいんですよね。だから利用者さまにも現役の時と同じように朝食を楽しんでほしい、という代表の想いから実現しました」

 

母体はなんとお寺!

「モーニングデイあさがお」は、2016年2月に宗教法人「正光寺」によって開設されました。「正光寺」は埼玉県で保育園も運営しています。お寺が介護事業所を運営するとは珍しいですが、どのような経緯があったのでしょうか?

「人生のすべての瞬間に関わり人の役に立ちたい、また代表がお世話になっている地域の皆さんに恩返しをしたいという想いから開設に至りました。核家族化が進んだ日本では、若い人がご高齢の方と触れ合う機会が減っています。『若者は高齢者に冷たい』とよく言われますが、道端や電車内で困っている高齢者に対して若い人が何もしないのは、無関心だからではなく、どう接していいかわからないからなのです。高齢者と若い世代との交流を増やしたい。その想いから保育園の開設と同時に、この事業所を立ち上げました」

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▲事業所で協力して育てているあさがお

 

テレビをインターネットにつないで園児と交流する時間を設けた時には、2歳ぐらいの園児がダンスする様子を利用者さまがお孫さんを見るようなまなざしで見守っていたのが印象的だったと話してくださいました。これからは近くの保育園とも協力して、直接会って交流する機会を増やす計画もあるそうです。

 

スタッフと利用者さまで作り上げる参加型イベント

外部との交流を図るため、イベントも積極的に開催しています。6月に行われたアニマルセラピーでは、利用者さまはかわいい犬たちに大興奮だったと話します。

「利用者さまが『犬が好き』とよくお話ししていたんですよ。外部からの刺激を取り入れたかったのもあり、セラピードッグを呼んでみました。かわいい犬を見て満面の笑みを浮かべながらお孫さんに向けるような優しいお顔をふっとされる瞬間があって……。良い気分転換にもなりますし本当にやってよかったと思います」

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▲みなさん、かわいい犬に夢中。癒されますね!

 

外部からプロを呼んで行われたバルーンアートも大好評だったとか。「孫に持って帰りたい」ということで利用者さまたちはいろんな色を使ってたくさん作ったといいます。

「これらのイベントが結果的にリハビリにもつながっているんですよね。例えばリウマチで手を動かしにくい方なんかも、不思議とこういうイベントでは自然と身体を動かせたりするんです。気持ち次第では動かせるとわかったら、その情報を報告することで医療機関との連携も強くなります」

ご利用者さまが作ったバルーンアートを帰宅後ご家族に見せると、職員が作ったものだと勘違いされたそう。「ご自分で作られたんですよ」と報告すると「え! 自分で作ったの! そんなこと言ってなかったじゃん!」と驚かれたのだとか。ご家族との会話のきっかけを生み出すことにもつながっているんですね。

最新イベントでは食事を提供している業者さんとコラボレーションした「ご当地グルメ」も大人気なんだとのこと。

「毎月都道府県をランダムでひとつ選び、その特産品をお昼に提供させていただいています。先月は宮崎県の回だったので、マンゴーやチキン南蛮をお出ししました。それを食べながら宮崎県に行ったことのある方の思い出話を聞いて、訪れた場所をテレビに映し出してみました。『あー! ここでお茶飲んだの!』と嬉しそうに話す方がいて、自然と回想法につながっていると感じましたね。ちなみに今月は沖縄県です!」

沖縄県の特産品、何が出るのか楽しみですね! これらのイベントはスタッフ間でアイデアを出し合って考えているのだそう。楽しみながら自然とリハビリもできる、素敵な活動ですよね。

 

大好きだった祖父母への恩返し

以前は運動専門のデイで働いていた戸田さん。管理者として新たなスタートを切ろうと思ったきっかけは何だったのでしょう?

「介護業界をもっと知りたくて、色んな交流会に参加していました。そこで開設コンサルタントを務めている若山と出会い、『新しいデイを立ち上げるから管理者にならないか』と声を掛けてもらったのが始まりです。現場にいたい気持ちもあったのですが、自分が思い描くものをチームで形にする醍醐味を経験してみたいという想いが強く、管理者になることを決意しました」

母体の法人は介護事業が初めてだったこともあり、通常の立ち上げ手続きに加えて、行政などへの申請手続きや助成金の申請もコンサルタントの藤井さんと一緒に行っているそうです。毎日非常に忙しく休むヒマもない戸田さんですが、モチベーションを保つ秘密を教えていただきました。

「何よりもまずはご利用者さまに楽しんでもらいたい、という想いが私の原動力です。昔一緒に住んでいた祖父母の体調が突然悪くなった時、自分は何もできなかったんですよ。もっと知識があれば、祖父母に恩返しができたんじゃないか。そういう想いから介護業界に進むことに決めました」

自事業所について熱く語る戸田さん。ご自身のことに話が及ぶと、なんと取材した日がちょうど入籍日! 奥さまも同じ業界の方なんだとか。

「妻も大きな支えです。よく叱咤激励してくれますよ。結婚が決まった後に、転職して地盤のない事業に挑むことになりました。最初は理解してもらえないと思ったんですけど、『全力でやればいいじゃん』って励ましてくれて、本当に嬉しかったですね」

様々な参加型イベントを開催し、おいしい手作り朝食を食べながら利用者さんの生活リズムを整えていく朝型デイサービス。今年2月に開設されたばかりですが、戸田さんや代表の想いが形になりすでに多くの利用者さんの心を捉えています。「モーニングデイあさがお」を中心に、朝型生活のメリットがもっと広まっていってほしいですね。

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▲毎朝戸田さんが笑顔でお迎えします!

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元営業マンが目指す「スタッフみんなで創る会社」

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株式会社 城東ケアサービス

  • 埼玉県上尾市
  • 訪問介護・介護リフォーム

 

お話を伺った人

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西川 将道(まさみち)さん(代表取締役社長)

 

「介護って自分に向いていないと思った」。そう語るのは「株式会社城東ケアサービス」で代表取締役社長を務める西川将道さん。今年5月に埼玉県上尾市で、訪問介護と介護リフォームを提供する会社を設立。現在はヘルパーとして現場にも出ている西川さんは、専門学校で介護福祉士資格を取得したものの、介護業界には進まず住宅業界で営業マンとして10年以上働いてきました。なぜバリバリの営業マンをやめ、介護事業所を立ち上げたのか? その経緯や会社の理念についてお話を伺いました。

 

右向け右”な企業体質が好きになれなかった

「ぶっちゃけていいですか。僕、介護に向いてないと思ったんです」

専門学校で介護福祉士資格を取得後、1年半ほど介護業界で働いた西川さん。やめた理由を聞くと、笑いながらそう答えてくれました。

「大きな施設だと決められた時間内に全て済まさないといけないじゃないですか。例えば排泄だったら素早く終わらせなきゃいけないし、個別に声掛けしていたら遅くなってしまう。そういうのが自分に向いてないなって。一人一人とじっくり向き合いながらケアをしたかったんですよね」

次の仕事を考えていた時、人と喋るのが好きな西川さんは営業職に興味を持ち、建築用資材を販売する会社に転職。13年もの間、バリバリの営業マンとして活躍されました。その後、自分で会社を設立することを決意。きっかけは会社という組織に対する違和感だったといいます。

「ピラミッド型の企業体質がつまらなかったんですよね。上の意見が絶対で、現場の人間がこうしたいって言えない。そうじゃなくて、パートだろうがアルバイトだろうが、良い意見なら取り入れてみんなで創っていく会社にしたかった」

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▲スタッフとの間に壁ができないよう、フラットな会話を心掛けている

 

独立するにあたって自分に何ができるかを考え、介護か住宅関連だと思った西川さんは、それをそのまま事業化。現在の会社設立に至りました。

 

今もこれからも”現場主義”

自社の訪問介護の特長は「自立支援」だと語る西川さん。例えば寝たきり防止のために細やかな声掛けを行うことで自発的な行動を促したり、必要だと感じたことはケアマネジャーに提案してケアプランに組み込んでもらうこともあるそうです。

「例えば、いつも『だるい』って言っている僕のお客様が、『デイサービスの時はだるくない』って言ったんですよ。『やっぱり身体動かしているからじゃないですか』と話したら、『そうだね』って。『じゃあ今日ちょっと歩いてみますか? 午前中ならそんなに暑くならないし』と僕が聞いたら、『そうだね。〇〇まで行きたいな』って返してくれたので、外出支援の組み込みをケアマネジャーに提案してみました。効率良く業務をこなす中で、何か他にも本人の希望に添えることはないか、いつも意識するようにしています」

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▲お客様との話を楽しそうに語る西川さん

 

ご利用者を「お客様」と呼ぶところからも、元営業の西川さんのお客様を大事にする姿勢が強く感じられますね! 現在、西川さんはお客様を一人担当していますが、社長業が忙しくなっても現場には必ず行きたいと話します。

「現場スタッフから相談された時に、悩みを共有できないのが嫌なんです。社長の僕が現場を知らずに上からものを言っていたら、それこそ昔いた会社と同じになっちゃいますから」

 

「建築×介護」介護リフォームの可能性

二本柱のもう一本である介護リフォーム。お客様の反応はどうでしょうか?

「それがすごく良いんですよ。リフォームの方が忙しいぐらいで、割合だと7:3くらい。1千万超えの工事とかもあって、土曜日に一人で生コン(生コンクリート)を練ったりしています。今後は少しずつでも訪問介護の割合を増やしていきたいですね」

売り上げ順調な介護リフォームですが、だからといって西川さんは介護リフォームのみに絞るつもりはないそうです。

「スタッフ確保のためにも、リフォームは大事な柱です。介護の収入はあまり上下しないのに対して、リフォームは粗利が大きいので、それだけスタッフに還元できるじゃないですか。一番やりたいのは訪問介護ですよ」

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▲和気あいあいとした雰囲気の事業所内

 

やりたいのは「笑売」

介護なら訪問介護をやると決めていた、と語る西川さん。その理由には仕事に対する西川さんの熱い思いが関わっていました。

「訪問介護はマンツーマンでお客様と接するので、希望に沿ったサービスを提供しやすいんです。介護の質を決めるのは『人としてどう接していくか』。だからこそ、うちは『笑売』をしようとスタッフに話しています。商品とかサービスを売るんじゃなくて、笑いを売ろう。訪問に来てくれて本当にありうがとう、とお客様に思ってもらえるようにしようって」

そう言うと西川さんは胸につけていた社章を私たちに見せてくれました。

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▲西川さんがデザイナーさんとじっくり話し合って作り上げた社章

 

「これは会社を立ち上げる時に作りました。よく見ると全部矢印になっているでしょ。『お客様』『うち』『ケアマネジャー』の3つがそれぞれ繋がっていることを表現しています。あと、”PCC”を理念として掲げています。Progressive(進化)・Challenge(挑戦)・Change(変化)。進化するためには変わらなきゃいけないし、挑戦しなきゃいけない。アルバイトさんだろうとパートさんだろうと誰であろうと、会社を進化させる提案はできる。会社が成長するに連れて理念を忘れがちになると思ったので、社章として形に残しました」

現場を大事にし、スタッフみんなと一緒になって会社を創っていきたい。一度は介護業界を離れ営業マンとして社会を経験した西川さんだからこその思いが、この社章と会社には詰まっているんですね! 今回の取材では、「理念を持って働く大切さ」を本当の意味で学ばせていただきました。まだ会社が始まって3ヶ月。これからの城東ケアサービスの活躍が楽しみでしょうがないですね!

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介護と育児の融合は“社会の縮図”を生み出した ~女性支援の視点からダイバーシティ経営を目指す~

株式会社Caihome

・東京都葛飾区

・通所介護 定員10名

 

お話を伺った人

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代表取締役社長 永井玲子さん

 

 

家事、育児、介護―。多くの女性たちが社会進出するようになったとはいえ、これらは女性たちがやるべきもの、という意識は根深く残っています。しかし現代女性はより自分らしく生きるため、時間に追われつつも自立し、人生を楽しんでいます。そんな働く女性(ニナウーマン)を応援する、女性の味方ともいえる事業を展開するのが株式会社Caihomeです。今回は代表取締役社長である永井玲子さんに、同社の特長や課題、今後の展望などについてお話を伺いました。

 

育児も家事もきちんとやりたい

自身の願望が転職のきっかけ

 

―まずは会社設立の経緯について教えてください。

 

もともとは建築業界で営業職をやっていました。毎日とてもハードで、いつまで続けられるか不安な毎日でした。

なんとなく、20代のうちに結婚して子どもを産んで、仕事も育児もきちんとできる母親になりたいな~と思っていました。そんな時に女性のキャリアアップセミナーに参加する機会があって、自分の生き方、働き方について考えるきっかけになりました。

その後、建築会社の民事再生をきっかけに自分の今後を考えたとき「結婚しても出産しても社会と繋がっている環境を自分で創ろう」という想いが強くなり、縁あって同世代の福祉業界の経営者たちと話した際にその想いを伝えると「それ、やってみれば!?」と言われたのがきっかけで、株式会社Caihomeの取締役に就任し、のちに代表取締役となり、今の事業に着手しました。

 

―そこから始まったのですね。では今の事業内容について教えてください。

 

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