プロレスリング・ソーシャリティ【社会・ニュース・歴史編】

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衆院3補選で自民党全敗-岩盤支持層は高齢多死化で減少中?

 4月28日、衆議院議員補欠選挙が東京15区・島根1区・長崎3区で行われ――

 そのいずれも立憲民主党の候補が制し、自民党は全敗した。

 もっとも、東京15区と長崎3区は初めから候補者も立てていない不戦敗であるから、実質的には(というより心理的には)1敗のみのはずである。

 とはいえ、そもそも2議席分も「候補者すら立てられなかった」というのは政権与党としてちょっと異様なことだと思えるし、

 ましてや島根1区というのは、死亡した元衆議院議長細田博之 氏の「弔い合戦」かつ「後釜引継ぎ」選挙区だったはずだ。

 そこでいとも簡単に――20時には当確が出ていた――敗北するというのは、あの細田氏の権勢なるものは実はたいしたことなかった、あるいは一代限りのものであったと判断するのに十分だろう。

 ところで今回の「自民惨敗」で注目されるのは、それがかなり低い投票率の中で起こったということだろう。

 これを書いている直前の速報によると、東京15区は40.7%(過去最低)、島根1区は54.62%(過去最低)、長崎3区は35.45%(過去最低)と、軒並み最低記録を更新しているのだ。

 この低投票率は目を覆わんばかり、まるで長崎が一番都会みたい……(笑)

 と感じるのは別として、世間一般では「低投票率になればなるほど自民党有利」というのが定番・定説ではなかったか。 

 なぜ低投票率なら自民党が有利かと言えば、いわゆる「組織票」があるから――

 言い方を変えると、必ずしも組織には入っていなくとも「何があっても自民党、何をやっても自民党」という岩盤支持層が全国津々浦々に多数いるからである。

 しかし、にもかかわらず、今回は「保守王国」島根で、かつ党内屈指の有力者だった人のお膝元で自民党が惨敗した。

 これは単なる1選挙区での敗北に留まらない影響があると思うが、その原因は何かといえば、私には一つ仮説がある。

 それは誰でも考え付くことだが、例によって「少子高齢化・超高齢化」「人口減少」を原因とする説だ。

 平たく言えば、何があっても自民党という自民党の岩盤支持層というのは、超高齢化による寿命切れでどんどん死んでいるのではなかろうか。

 あるいは死にはしなくても、わざわざ投票所へ行って投票する意欲・気力がなくなっているのではなかろうか。

 そしてまた、その岩盤支持層減少数を、若い世代から補充できているとはとても思えない。

 思うに、おそらく長い目で見れば――と言っても今後15年くらいのことだろうが――、自民党は落日の政党なのだろう。

 岩盤支持層はどんどん死に絶え、後に続く補充はたいして期待できない。

 いや、その補充源たる人口自体がまたどんどん減少していく。

 そしてきっと、自民党は「昭和」扱いされるのである。

 いまや「昭和」という言葉は「悪しき時代遅れ」と同義語になり果てているが、自民党支持者と言えば悪しき時代遅れの(年寄りの)連中だとレッテル的に見なされるのは、そんなに遠い未来の話ではないだろう。

 あれだけ長く続いた江戸幕府も永遠には続かなかったように、自民党幕府もまた永遠に続くわけがない。

 早ければ2030年くらいには、自民党は再び下野し、かつ分裂するのではなかろうか。

 

 

「消滅可能性都市」は消滅できるのか-市町村の約4割はどう消滅?

 4月24日、民間有識者で構成する「人口戦略会議」は――

 全国総数の約4割に当たる744の自治体が、2050年までに20代~30代の女性が半減して「最終的には消滅する可能性がある」との研究結果を公表した。

(⇒ NHK 2024年4月24日記事:“消滅する可能性がある”744自治体 全体の4割に 人口戦略会議)

(⇒ 北海道総合研究調査会 2024年4月24日記事:【人口戦略会議・公表資料】『地方自治体「持続可能性」分析レポート』)

 これはしかし、驚倒・震撼するような結果ではない。
 
 既に10年前の2014年には「日本創成会議」が消滅可能性都市をラインナップしており、これは一世を風靡したものだ。

 今回の第2弾を聞いたところで、多くの人は「まあ、そうでしょうね」くらいにしか思わないのではなかろうか。

 人口動態自体が「既に起こった未来」だというのは人口に膾炙しているが、この消滅可能性都市というのも「既に聞いたニュース」のような気がしないでもない。

 ところで私がいつも疑問に思うのが、いったい自治体の「消滅」とは何を意味しているのだろうかということである。

 それは字句どおり「人口ゼロ」を意味するものではないだろう。

 いくら何でもその土地には、10人くらいの人は残っているはずである。

 それとも本当に人口ゼロを意味するのであって、それはコンパクトシティ化によって達成される、ということだろうか。

 それにしても日本でコンパクトシティという言葉が聞かれるようになり、もう何十年にもなる。

 かつ、少なくともネット上では「コンパクトシティ化しか日本の生きる道はない」と言っている人も大勢いる。

 ところがどっこい(きっと、コンパクトシティ化しかないと言っている人たちも重々わかっているのだが)、コンパクトシティ化とは「言うは易し、行うは難し」の典型例である。

 そんなことをしようとすれば、過疎地域から都市部へと人は移住しなければならない。

 「もうあなたたちの住んでいる所にはインフラ整備も補修もしません、だから都市部へ移り住んでください」と言わねばならず、かつそれに今の住民が応じねばならない。

 こんなことできるわけない、と思わない人がいるだろうか。

 よって自治体が消滅する」とは、詰まるところ「周辺自治体との合併により既存自治体が消滅する」ということになる。

 これは既に日本人は、明治・昭和・平成の大合併で何度も経験してきたところではあるまいか。

 私は、そういう経験が日本人にとって「たいしたことではなかった」と言うつもりはない。

 それは確かに、日本に住む個々人に(あるいは企業や商店に)ある程度の影響はあったろう。

 だが、それが根本的に日本の社会を変えたかと言えば、ちょっと考え込んでしまうのだ。

 
 もっとも、これから起こるだろう「令和以降の大合併」は、今までの合併よりはるかにインパクトのあることだという予兆はある。

 たとえば秋田県などはしばしば、「県内すべての市町村が合併して秋田市1つになればいい」などと言われている。

 それは極端にしても、県内に4つか5つの市しかなくなる事態はあり得るだろう。

 そうなったら今度こそいよいよ、あの「道州制」の議論が活発になるだろう。

 今までの「県-市町村」体制が「州-統合市町村(これは「市」のみになるかもしれない)」体制に変わるというのは、明治以来の地方自治の大転換である。

 特に大きく変わりそうなのは、選挙のやり方で――

 今は一つの村内にいくつも設けられている投票所をどうするのか、スタッフはどう派遣・配置するのか、とても大きな問題になるはずである。

 それでもなお「投票所に足を運んで、紙に書いて投票する」から「ネット投票」が実現する道は、極めて厳しい――
 
 それこそSDGsではないが、「誰一人投票に行けない人を作らない」を絶対基準とするのが日本人の感覚なのであるから、少なくとも「世界中の人口希薄な地域では、どうやって選挙をしているのか」の事例研究は必須だと思われる。


 それにしても、はなはだ無責任で不謹慎な話ではあるが――

 本当に今の日本の自治体の4割が「消滅」して無人になるというのには、どこかロマンの響きがないだろうか。

 もしそれが現実になったとしても、後世の人はほとんど何の感慨もなく「歴史ってそういうもん」だとか思うに違いないことは、逆に今を生きる我々には感慨深いものがないだろうか。

 栄華を誇った古代都市、様々な人間ドラマがあったに違いない古代村落は、世界中で何百何千も打ち捨てられて無人化してきた。

 我々はそれを知っているかもしれないが、だからと言って深く悲しんだりはしない。

 圧倒的大多数の人は「へえ、そういうことがあったんだね」と軽く感じるくらいである。

 はたして西暦2100年の世界から振り返ったとき、日本人は今の日本をどんな風に感じているだろうか……

 

 

全長25m?史上最大級の魚類化石(また)発見-25mの限界突破はいつか

 4月17日付け学術誌「PLOS ONE」において、全長25mに及ぶ「史上最大級の魚竜」イクチオタイタン・セベルネンシスの化石が新種として発表された。

(⇒ ナショナルジオグラフィック 2024年4月18日記事:史上最大級の魚竜の新種発見、体長約25mのシャチ並みの捕食者か)

 しかしこれは、巨大生物ファンを興奮させる驚愕のニュースというわけでもない。

 なぜなら「体長25m」という史上最大級魚類は、既に発見されているからである。

tairanaritoshi-2.hatenablog.com

 

tairanaritoshi-2.hatenablog.com


 私は上記の記事で書いたように、地球史上最大の動物は(現生のシロナガスクジラではなく)魚竜だろう、と予想するものである。

 我ながら大胆ではあるが、その体長は(史上最大の陸上恐竜を凌いで)50mを超えるのではないか、とも予想する。

 ところがこれまでの発見歴を見るに、どうも魚竜の体長限界値は25mなのではないか、と信念がぐらつくこともないではない。

 もしかすると本当に、25mというのが「肉食魚竜の」最大値ではあるのかもしれない

 現生のシロナガスクジラや史上最大の陸上恐竜がプランクトン食・草食であって肉食ではないように、最大の肉食動物は最大の非肉食動物を超えられない――

 というのは、世間一般に普及した常識ではあるだろう。

 そして私はまたも大胆にも、魚竜の中には(シロナガスクジラのように)プランクトン食に適応したものがいたのではないか、それこそが史上最大動物なのではないか、それはまだ化石が見つかっていないだけなのではないか、と予想する。

 陸上にいた四足歩行の哺乳類が海に入り、魚のような形状になって、歯を細長い櫛のようにしてプランクトンを漉し取って食べるようになる――

 という変化は、クジラにおいて本当に起きた。

 であるならば、クジラよりはるかに長く存続してきた魚竜類の中に、それも「死ぬまで成長する」ことで有名な爬虫類の中に、ヒゲクジラならぬヒゲ魚竜になったものがいなかったなどと誰が断言できようか。

 今回のナショジオの記事にも書いてあるが、どうも魚竜の化石というのは見つかりにくい(化石化しにくい)もののようである。

 しかしいつの日か、全長50mとは言わずとも40m超の魚竜化石が見つかるのは、期待していいのではなかろうか。