ザ・ギャンブラー/熱い賭け

「ザ・ギャンブラー/熱い賭け」を観た。
http://www.amazon.co.jp/dp/B00VRGPZ38


この映画でしびれるのは、John Goodman演じるFrankの以下のセリフだろう。

Frank: You get up two and a half million dollars, any asshole in the world knows what to do: you get a house with a 25 year roof, an indestructible Jap-economy shitbox, you put the rest into the system at three to five percent to pay your taxes and that's your base, get me? That's your fortress of fucking solitude. That puts you, for the rest of your life, at a level of fuck you. Somebody wants you to do something, fuck you. Boss pisses you off, fuck you! Own your house. Have a couple bucks in the bank. Don't drink. That's all I have to say to anybody on any social level. Did your grandfather take risks?
Jim Bennett: Yes.
Frank: I guarantee he did it from a position of fuck you. A wise man's life is based around fuck you. The United States of America is based on fuck you. You have a navy? Greatest army in the history of mankind? Fuck you! Blow me. We'll fuck it up ourselves.

(以下サイトから引用)
http://www.imdb.com/title/tt2039393/quotes


人はなぜ仕事をして金を稼ぐのか?
それは"a position of fuck you"につくために他ならない。

酔いながら観るのが良い。

知財実務者がフォローしておくべき審議会リスト

産業構造審議会
http://www.meti.go.jp/committee/gizi_1/33.html

・知的財産分科会(2015/2/10)
具体的な政策課題(分科会とりまとめ)に関する主な取組みについて
特許制度小委員会の報告
営業秘密の保護・活用に関する小委員会の報告
審査品質管理小委員会の報告

・・弁理士制度小委員会(2015/3/24)
弁理士法の改正について
弁理士試験制度の改正について
日本弁理士会の取組について

・・特許制度小委員会(2015/10/23)
大学における職務発明に関する実態について
中小企業に対する普及支援策について
改正特許法第35条第6項の指針案について

・・・審査基準専門委員会ワーキンググループ(2015/7/3)
プロダクト・バイ・プロセス・クレームに関する審査基準の点検・改訂について
審査基準全編にわたる改訂の骨子について

・・・再生医療等製品の特許権の存続期間検討ワーキンググループ(2014/2/26)
条件及び期限付承認の取扱い
経過措置

・・商標制度小委員会(2015/6/26)
特許法等一部を改正する法律案について
(STLTへの加入のための商標法の改正(案)、商標料金の引き下げについて(案))
平成26年法改正の施行状況について
商標審査基準の見直しについて

・・・商標審査基準ワーキンググループ(2015/9/17)
国、地方公共団体等の著名な標章の商標審査基準について
標語、キャッチフレーズに関する商標審査基準について
商標法3条1項全体、3条1項柱書の商標審査基準について

・・意匠制度小委員会(2014/1/31)
創造的なデザインの権利保護による我が国企業の国際展開支援について(報告書案)

・・・意匠審査基準ワーキンググループ(2015/7/24)
画像の意匠の登録要件(保護拡充)について

・・審査品質管理小委員会(2015/3/27)
審査品質管理の実施体制・実施状況に関する評価について
審査品質管理の実施体制・実施状況に関する改善提言について
平成26年度審査品質管理小委員会報告書(案)について

・・営業秘密の保護・活用に関する小委員会(2015/1/15)
「営業秘密管理指針」(全部改訂案)に関するパブリックコメントの結果について
「中間とりまとめ(案)について

・・情報普及活用小委員会(2015/9/10)
特許情報の普及活用施策の現状と課題について


知的財産戦略本部
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/titeki2/

・検証・評価・企画委員会(2015/10/26)
今後の検討体制について
知財推進計画2015」の取組状況について

・・次世代知財システム検討委員会(2015/11/6)
情報利活用時代のイノベーション知財制度
技術革新により新たに生じる情報の取扱
情報保護の対応強化の必要性

・・知財紛争処理システム検討委員会(2015/10/28)
権利者の立証負担を軽減するための証拠収集手続の改善
ビジネスの実態を反映した損害賠償額の実現
権利付与から紛争処理を通じての権利の安定性
差止請求権の在り方
その他(中小企業の支援等)


※表記の仕方については以下のとおり
・会の名称(直近の開催日)
直近の会における議題

「・」の数は階層関係を表している。

承認欲求から解放される日

厚生労働白書によると、50歳の時点で一度も結婚したことのない人の割合は増加を続けており、2035年には男性で29%、女性で19.2%になると推測されている。

f:id:kamiya_kei:20151029210515p:plain

(出典)平成27年版厚生労働白書
http://www.mhlw.go.jp/wp/hakusyo/kousei/15/

 


人は、誰かに認められたいという「承認欲求」を持っている。

私はこれは原始時代の名残だと考えている。
原始時代、人類はチームで行動していた。
食料をチーム内で分け合う「持ちつ持たれつ」の戦略を取ることで、全体としての生存確率を高めてきたのだ。
ここで個人にとって重要となるのは、チームの一員として認められることだ。
チームから疎外されれば、食料が得られず、文字通り「死」を意味する。

我々の遺伝子の中には、未だにこのメカニズムが組み込まれていて、
他人から承認されないと不安を感じるようにできているのだ。

しかし、当たり前だが、現代においては、組織から孤立しても、生きていける。整備された法律やインフラに感謝である。


人は「人間関係」を重視する。人から嫌われたくない、寂しい思いをしたくない、誰しもが抱くこういった感情は、原始時代に、遺伝子に組み込まれた承認欲求に起因する。
しかし、人間関係を重視せずに生きられるようになった現代においては、承認欲求はもはや不要だ。現に、冒頭のグラフのように、結婚して他人と人生を共有したいと考える人は減ってきている(同白書では未婚率の増加について、経済面の懸念などが理由として挙げられているが、私は単に人間が進化し、現代の環境に適応しているだけだと考える)。草食系の登場や核家族化など、人間関係が希薄化する現象は、世間からは憂慮すべき事態と受け止められているが、これは単に人間が進化しているだけに過ぎない。

人間が承認欲求から解放される日は近い。
人間から承認欲求が無くなれば…、
誰も出世を考えなくなり、社員は真に合理的な行動を取るようになる。
無用な人間関係を考慮しなくなり、人は真に合理的な行動を取るようになる。
家庭や親族内のわずらわしいイザコザに時間を取られることが無くなる。
学校からイジメが無くなる。

などなど、良いことばかりだ。
これはある意味当然のことだ。
というのも、僕らを取り巻く環境は急激に変化した。人類は600万年前に登場したとされるが、文明が発達したのは、ごくごく最近のことである。
我々の遺伝子は、急激に変化したこの現代の環境に追いついていない。承認欲求という、太古の昔に生み出された機能で、現代の環境を生き抜こうとしている現状の方がよっぽど異常だ。それはまるで、現代人が江戸時代に作られた地図で目的地に到達しようとするようなものだ。

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人間から承認欲求が無くなった未来が、どのような世界になるのか…。
考えてみると面白い。

CUBE

久々に「キューブ」を観た。

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※以下、ネタバレを含みます。

ストーリーは、wikipediaによると以下のとおり。

目が覚めると謎の立方体(CUBE)に捕らえられていた数人の男女。誰が何の目的で閉じ込めたのかも分からないまま、彼らは死のトラップが張り巡らされたこの立方体からの脱出を試みる。


映画を観ても、結局何のためにCUBEが作られ、登場人物が何のために閉じ込められたのか、真相は分からない。

一応、映画では、CUBEの設計者が、CUBEの目的について問われた時にこう答えている。

これは終わりのない忘れ去られた公共事業だよ。
しかし、使わなければ無駄になる。だから人を入れる。
相手にしなければならないのは無目的に動くシステムそのものなのだ。


おそらく、CUBEには目的は無いし、登場人物だって特に理由なくCUBEに放り込まれたのだ。

僕は、CUBEはこの世の中そのものだと思った。
僕らはこの世に理由もなく生を受け、否応なく放り込まれる。ちょうどCUBEの部屋番号に難解なルールが隠されているように、この世の中にも守るべき難解な暗黙のルールがある。世間の常識のルール、人間関係のルール、・・・。これをきちんと守らないとトラップの餌食となってしまう。

僕らはCUBEの中を、何十年も、トラップを踏まないように神経をすり減らしながら、ぐるぐると回っているのだ。そう考えると何だか滑稽だ。


登場人物の一人は最終的に、CUBEの外に出られる(外に何が待ち受けているのかは明らかではないが)。

僕らもいつかは自分を取り巻く世の中から抜け出せるのではないか、と何となく期待している。そして、その期待が叶わぬことは頭の片隅では分かっている。

もし抜け出せるのだとすれば、それは映画と同じく、僕らが精神異常者となった時なのかもしれない(映画では、CUBEの外に出られる一人は、精神異常者である)。

人間のバグ

孤独は健康に悪いらしい。
http://www.huffingtonpost.jp/robust-health/solitude_b_7133916.html

僕はこれは人間のバグによるものだと思っている。

そもそも人間は動物であり、生存と繁殖が主たるミッションであることは、他の動物と変わりはない。このミッションを達成するために、人間には実に様々なプログラムがインストールされている。

孤独に関しても、人間にインストールされたプログラムが影響している。
人類は、長きにわたり狩りを行って生活してきた。狩りはチームプレイだ。
集団から疎外され、孤独になることは、まさしく生命の危機だったはずだ。
この危機を回避するために、人間には、孤独な状況を不快と感じるプログラムがインストールされた、と考えている。

もちろん現代においては、孤独が生命の危機につながることは無い。
今の時代、孤独は当たり前であるし、むしろ煩わしい人間関係を回避した方が効率的であったりする。
しかし、人類の長い歴史から見れば、一人でも生きていけるようになったのは、ごく最近のことだ。
我々は、いまだに原始時代にインストールされたプログラムを使っている。冒頭の孤独に関しても、このプログラムが働いた結果、孤独になると不快物質が分泌され、健康に悪影響を与えていると思われる。
このプログラムは原始時代のままで、もちろん、現代をとりまく環境に適したものにはなっていない。つまり、プログラムにバグがあるのだ。

このようなバグは他にもある。例えば、怒りの感情もその一つだ。
原始時代においては、怒りの感情に従って行動することで、自分の身を守っていたのであろうが、現代においては怒りの感情に従っても身を守ることにはならない。会社で怒りに身を任せて上司に殴りかかろうものなら懲戒処分だ。現代においては、怒りの感情を自制し、冷静に法的手段等にのっとって行動するのが正解だ。

このように、人間には、現代を取り巻く状況には対応していないプログラムがいくつもインストールされており(=人間のバグ)、これに我々の行動はかなりの影響を受けている。

一方で我々には「意識」がある。先ほどの怒りの感情の例で言えば、怒りの感情に身を任せることは、現代社会においては正解ではないと「意識」することで、本能を自制することができる。これは、プログラムで言えば、バグのあるプログラムを動作させないように、別のバグフィックスプログラムを走らせるのに似ている。もちろん、大元のプログラム(本能)を修正するのが理想だが、何万年もかかるであろうから、我々が取りうる対策としては、バグフィックスプログラム(意識)を走らせる他ない。

冒頭の孤独に関しても同様に、バグフィックスプログラムを走らせる、つまり、孤独は今の時代当たり前のものだと意識することで、健康への影響を抑えることができるのではないだろうか。

人間はやっかいなもので、例えば嫉妬の感情など、バグフィックスプログラムが必要な場面は多い。我々は、まず自分の感情を冷静に観察し、その感情に従うことが、自分が置かれている環境において合理的かどうかを判断していかなくてはならないのだ。

ソロモンの偽証

ソロモンの偽証を観た。
http://solomon-movie.jp/

あらすじは他のブログに譲るとして、感想をいくつか。

※以下、ネタバレを含みます。

1.結局、真相は分からない。
 裁判で提出される証拠は、そのほとんどが証言で(物的証拠は、公衆電話の通話記録くらいか)、証言の内容が真実なのかどうかは結局のところ分からない。神原は、柏木を屋上で見捨てて立ち去ったと証言しているが、神原が逆上して柏木を突き落とした可能性だってある。
 その意味で、映画を見終わった後、モヤモヤ感が残った。

2.タイトルの意味
 「ソロモンの偽証」、意味深なタイトルである。僕は結局、このタイトルの意図するところが分からなかった。「ソロモン」「偽証」は何を指すのだろうか。

 著者は、新潮社のインタビューで、以下のように語っている。

ソロモン王というのは、神託を受けて人を裁くことを許された人物。それを「偽証」で受けたタイトルですが。


宮部 私の場合、いつもアイデアと一緒にタイトルが出てくる。これが同時に出てこない作品って、大抵ポシャるんです。今回は幸いにも全くブレなかった。敢えて説明してしまうなら、そうですね、最も知恵あるものが嘘をついている。最も権力を持つものが嘘をついている。この場合は学校組織とか、社会がと言ってもいいかもしれません。あるいは、最も正しいことをしようとするものが嘘をついている、ということでしょう。

 藤野は、自分の信念に従い、学校内裁判を決意する。しかし、そんな藤野でさえ、いじめを見て見ぬふりをしてしまう。「偽証」とは、柏木の言う、「口先だけの偽善者」による偽善的な発言を指しているのだろうか。「偽証」は裁判用語なので、ちょっと違和感はある。
 それとも、裁判で偽証した三宅のことを指すのか。しかし、それも違う気がする。
 あるいは、劇中明らかにはなっていないが、実は裁判で偽証した人物が存在する、ということだろうか。1.で述べたように、実は神原の証言は偽証、と考えるのは深読みし過ぎか。

3.信念に従えなかったとき、我々はどうすれば救われるのか
 この映画を観て一番に感じたことである。人は自分の信念に従って生きている。しかし、もちろん、信念に従えないこともある。そんなとき、どうすれば良いのか。藤野はいじめを見て見ぬふりをしてしまった。神原は、友人を見捨て、立ち去ってしまった。津崎校長は、生徒を死なせてしまった。森内先生は、生徒を死なせてしまったばかりか、扱いにくい生徒が死んで、安堵の感情を抱いてしまった。大出は三宅をいじめて追い詰めてしまった。
 みな思い悩み、裁判でそのことが白日の下にさらされ、裁きが下された。そうしてみな、救われた。
 やはり、人を救えるのは、結局人なのだと思う。教会には懺悔室があると聞く。色々と宗教的な意味づけがあるのだろうが、人間のこうした性質をよく理解していたからこそ導入された制度なのだと思う。日本にはそうした制度は無い。当然、学校や会社で裁判が開かれることもない。だとすれば、我々は、信念に従えなかったとき、どうすれば救済されるのだろうか。
 日本は恥の文化。なおさら、人からの救済を受けにくい。日本の高い自殺率と何らか関係があるのだろうか。だとすれば、日本人にとっての救済は「死」、ということになるが・・・。

特許庁の所掌事務とは?産業財産権=特実意商+営業秘密?

少し前にこんなニュースがありました。

日本企業の知的財産を守る「秘密の金庫番」来年度からスタート
http://goo.gl/GdhMY2


記事によれば、「特許を出願していないと、営業秘密が奪われて訴訟などを起こす場合に、企業はそのノウハウをいつから保有していたかを示す証拠を示しにくいデメリットがあった。
 特許庁はこうした課題を解決するため、営業秘密の開発時期と内容を暗号化したデータを専用サーバーで保管。政府機関の管理により、裁判でも使える有力な証拠を残す仕組みを整える。」とのことです。

 

ここで疑問に思ったのは、「営業秘密」は特許庁の所掌事務なのか、ということです。

 

僕はてっきり経済産業省の所掌事務かと思っていました。
例えば、不正競争防止法の担当課は、経済産業政策局の知的財産政策室です。

経済産業政策局の関係法令一覧
http://goo.gl/CyeeQb


そこで、経済産業省設置法を見ると、特許庁の所掌事務は、以下のとおりです。

経済産業省設置法>
第二十三条   特許庁は、前条の任務を達成するため、工業所有権に関する出願書類の方式審査、工業所有権の登録、工業所有権に関する審査、審判及び指導その他の工業所有権の保護及び利用に関する事務並びに第四条第一項第七号、第五十六号及び第五十八号に掲げる事務をつかさどる。

経済産業省設置法
http://goo.gl/kzMr99


要するに、特許庁の所掌事務は「工業所有権」に関する諸々の事務です。
では、「工業所有権」には「営業秘密」は含まれるのか。
経済産業省設置法には、「工業所有権」の定義が無いので不明ですが、通常は、特許権実用新案権意匠権商標権の4つを意味しますよね。

特許庁のテキストでもそう書かれていますし・・・。

平成26年度知的財産権制度説明会(初心者向け)テキスト(p.5)
https://goo.gl/1D6Ep5

※「産業財産権」という用語は、権利の性質をより的確に表現するために、「工業所有権」という用語が改められたものです(知的財産戦略大綱参照)。

知的財産戦略大綱
http://goo.gl/8b9J9P


そうすると、今回の「営業秘密」の保管は、特許庁の所掌外なようにも思え、なぜ、不正競争防止法のように、経済産業省が担当しなかったのか疑問ですが、まぁ、色々あったのでしょう。

今後は、「産業財産権とは何か」と聞かれたら、「特許権実用新案権意匠権商標権、営業秘密」と答えなければならないでしょうか。


ちなみに、パリ条約では、以下のように、「工業所有権」には、不正競争の防止に関するものが含まれるようです。

<パリ条約>
 第1条 同盟の形成・工業所有権の保護の対象
(2) 工業所有権の保護は,特許,実用新案,意匠,商標,サービス・マーク,商号,原産地表示又は原産地名称及び不正競争の防止に関するものとする。

パリ条約
https://goo.gl/gKZ2ys