観察眼

「わたし、まだ9歳なのにいろいろおこって大変だよ」

次女、寝床で。ぼくは隣の長女の足を揉んでいる。長女はもう寝たようだ。

先にドライヤーをしてあげているときから、ちょっかいを出してくる同じクラスのうっとおしい少年の話。去年から続いている。今年度も同じクラスになってしまった。相変わらずだ。

他の女の子が、その少年が授業中に堂々と鼻をほじっていることを指摘したら「なんで?べつにいいやん」といってやまなかった。やっかいがられているらしい。

それでもその少年と仲良くする男の子もいること。その子は性格がいいナイスガイらしい。

クラスでみんなから悪態つかれている子のこと。その子はおとなしい優しい子だからかわいそうと。

さらに、小さな頃からしってる女の子の友だちも、順番に仲良い子の嘘の悪口をいってまわっているらしい。次女もそのキャンペーンの対象になってたいへんな思いをしたと。今は乗りこえたみたい。

家でも、気になることがあるという。教えてといったけど、かたくなに教えてくれなかった。

「言っても良くても、言わない。大丈夫」

「パパにいいにくかったら、言いやすい人にいいな」

「うん。おやすみ」

いろいろ敏感に観察して、疲れやすい気質なのかもしれない。いまは追い込まれている感じはなく明るいが、もっとテキトウになって、気楽に日々を生きていいんだよ、といいたい。

高校デビュー

夕暮れどき。「バレー教えて」と長女が息子に。家の外でしばらくパスやアタックの練習を二人で和気藹々としている。アタックのジャンプのステップの足の運び方、ボールとのタイミングの合わせ方。習いたてのたどたどしい長女のそぶりにアドバイスを与えている。

息子が高校デビュー戦。戦力になって新チーム公式戦初勝利に貢献したそうだ。妻のみならず、中学の同級生の母親軍団が応援にかけつけてくれたそう。ありがたいことだ。相手のチームにも中学の先輩、同級生もたちがたくさんいて、同窓会さながらだったようだ。

当時のチームメイトたちの多くは街を出て強豪にいったが、彼のように弱いチームで1年から主力になって引っ張る側として下剋上を目指すのもまた、人生の糧になるだろう。

悔しい悔しい中学の最後の試合から、ユニフォームが代わり、8ヶ月を経て、あの日以来の公式戦。新しい章が始まった。

ミステリーハンター

長女の夢は、地球上のすべての国を周ること、にしたらしい。素晴らしい。ぜひ叶えてほしい。アムステルダムは外せないと。でも親としては、危険な国がなくなるのが一番だけど、もしあれば、ちゃんと避けてほしい。安全と健康第一。地球を体感。両手に満たない国しかいけてない、ぼくが叶えられなかった夢でもある。イタリア、スウェーデンアイスランドベネチア。友人たちの話を聞いて、憧れる国々。あげたらきりがない。

発光病

佐野徹夜さんの、デビュー作『君は月夜に光輝く』を長女から「面白いから」と勧められて試しに読んだら夜更かし、一気読み。こんなおじさんがこんな瑞々しい若い子の恋愛に心打たれるとは。世界の中心で愛を叫ぶ、を思い出す。教えてくれてありがとうと長女にお礼をいう。

お礼

長女の誕生日、彼女の父方の祖父からお祝い届く。何も言わなかったけど「パパ、送っといて」と手渡されたくまのプーさんの絵葉書。お礼と近況が書いてある。ホラー映画にハマっていることも。自分からちゃんと筆をとった。たいしたものだし、うれしい。

お礼の手紙は、いつの時代でも人間関係を築く基本。安藤先生から学んだこと。怠ることなかれ。

コーヒー

オムライス食べた帰り。同じビルにあるスタバでコーヒーを買いたかったが、「本日2杯目」のレシートをもう一つの車に置き去りにしたために、できなかった。家を出て車に乗ったときわかっていたけど、その場で取りに行く手間を面倒におもって諦めた。

家に着いて、車を乗り換えてスタバに買いにいこうか。そうおもって時間を確認したら、あと6分で閉店で間に合わず。家のコーヒーは今朝尽きて、淹れることもできない。

再度諦めたら、この一連を聞いていた長女。こたつでぼーっとしてるぼくに「パパ、はい」とインスタントコーヒーを一杯つくって、持ってきてくれた。彼女の誕生祝いのディナーのあと、成長感じる優しさ。心温まった。