ママ留学記@ハーバードビジネススクール

2歳の息子を連れ、主人と2人揃ってハーバードビジネススクールに留学している一家の記録。日々の生活の様子に加え、MBA受験の経験談や、「ワーキングマザーとしての成功」に関する考察を共有したいと思います。

黒人差別とHBSの罪と謝罪

ジョージ・フロイドの死を発端として、現在全米各地で抗議デモが起きている。

黒人差別は今に始まったことではない。

それに対する抗議活動も今まで何度も行われてきた。

HBSの授業でも黒人差別に関するケースもあり、セクション内でも黒人の学生達が主体となってアメリカにおける黒人差別について自身の経験も踏まえ話してくれていた。

アメリカの歴史に根付いた深い闇であり、これまでの歴史を振り返ると、今回の動きで差別が一切なくなることはないだろう。その一方で、各企業や大学などもこの動きをサポートする声明を出しており、「本当に何かが変わるかもしれない」という期待も持ち始めている。

その気持ちが大きくなったのは、先日HBSの学長から送られてきたメールの内容を見たからかもしれない。ジョージ・フロイド事件直後、HBSからは学生向けにHBSとしても黒人コミュニティーをサポートするといった旨のメールが届いたが、その時私の中には「HBSでこれだけ黒人差別について議論しているのに、こんな事件が起きてしまっている。HBSは何も変革をもたらすことができなかったのでは」という疑心が生まれた。そんな中、昨日再度学長からもう一通のメールが届いたのである。その内容に私は少し驚きを覚え、また少しの希望を見出したのだと思う。

 

 

学長からのメール

以下はそのメールの一部の和訳である。

 この数週間、George Floyd, Breonna Taylor, Ahmaud Arbery、そして数えきれない多数の死や抗議デモや人種間の平等が何を意味するのか、ハーバードコミュニティのメンバーと話したり、インプットをもらう機会があった。その中で様々な感情を聞いた。アメリカにおける奴隷制度の廃止、そして第13条、第14条の憲法改正から150年も経つのに、全ての国民に保障されているはずである根本的な経済的、社会的、法的な権利の多くを黒人は享受できていないということに対する苛立ち。変革を謳っていても実体的な結果は何も出ていないということに対する怒り。そして意味のある変革をもたらすことのできる地位にある組織や団体が、その変革をもたらすために声を上げたり、リソースを使わずにきたという事実に対する幻滅。

 

そして彼らの多くがハーバードビジネススクールもそういった組織や団体の一部であると指摘した。そしてそれは正しい。これまでHBSの教職員、学生、スタッフ、卒業生は黒人学生をリクルートしサポートしたり、黒人のビジネスリーダーについて書かれた教材を作ったり、組織や社会の中で人種差別や不正をなくすことができるかという内容の研究を行い、多くの人に広めてきたりした。しかし、この国における根本的な差別をなくすための努力が欠けていたことで、我々の進歩は残念ながら不十分だった。HBSの100年以上の歴史の中で、我々は黒人の教授4人にしか終身在職権を付与していない。MBAプログラムの黒人学生の人数は過去30年間、50人ほどから増やすことができていない。将来の教授のパイプラインである博士課程における黒人学生の人数はどの年をとってもほぼいない状況である。黒人のスタッフの人数も少なく、リーダーシップの地位にいる黒人の職員はさらに少ない。黒人を主人公としたケースや人種による困難を描いたケースや研究はひどく不足している。2年前、African American Student Unionの50周年記念の際に、我々はこの難しい事実を皆で認識したはずだった。

 

そして今日、人種差別に対して我々が最大限戦ってこなかったこと、そして我々の黒人コミュニティーによりよい形で役に立つことができなかったことに対し、HBSのコミュニティーを代表して謝罪を申し上げます。

 

私は早急に解決に向けて前進することを決意した。そしてAfrican American Student Unionも含め多くの学生がこの動きに協力してくれることを知っている。我々は直ちに行動を起こし、厳粛にこの活動にコミットする。

 

我々の計画と行動は3つの柱に注力する。①人種差別に関する理解を深めるための研究や教育を行うこと、②ハーバードビジネススクール内外の黒人コミュニティーを支援すること、そして③人種平等に関してより幅広いビジネスコミュニティーを巻き込むこと。我々は、人種差別を減らすことだけを追求するのではなく、積極的に人種差別反対主義の姿勢を取っていく。

 この後、実際にHBSとして行っていく活動の具体的内容が書かれており、このような活動を通してHBSが黒人コミュニティーと共にいるということを示したいという言葉で終わっている。

何に「これまでと違う」と思ったか

このメールがこれまでの内容と違った点は2つある。

まず、学長が「謝罪」したという点。今までHBSのスタンスとしては「我々も常に黒人コミュニティーをサポートしている」というものが多かったが、今回はHBS内でも黒人職員や学生が少ないといった様々な事実も列挙し、HBSの罪を認め、謝罪したわけである。謝罪せずに、HBSは今までも最善を尽くしていたというニュアンスを少しでも出していたら、学生、特に黒人学生からの信頼を一気に失っていただろう。学校としてこの点を謝罪するのはかなり勇気のいることであったと思うが、今回は不可欠だったのではないかと思う。

 

次に、「人種差別を減らすことだけを追求するのではなく、積極的に人種差別反対主義の姿勢を取っていく。」という文章もパワフルだ。大学側としても色々なステークホルダーがいるので、ある考え(もちろん人種差別反対というのは政治的考えではないことは大前提だが)を積極的に主張することは難しかったのではないかと思う。その点を克服し、明確に言ったことは力強く感じられた。且つ、その言葉通り、具体的なアクションが書かれていたことも、「口だけではない」という印象を与えた。

 

まとめ

コロナの感染が広がり、アジア人への差別行為が増えてきた中、私自身もキャンパス内で差別的な行為を取られひどいショックを受けた。ただ汚い言葉をかけられただけでも相当ショックでその後も人が近づくと構えてしまうようになったのだから、日々自分の命が奪われるかもしれない恐怖を抱えている黒人の方々のことを考えると言葉が出ない。

差別を解消していく上では、マイノリティー・差別されている側だけではどうすることもできない。今、力を持っている人間が動かないと根本的には何も変わっていかない。力を持っている人間が、「差別ってあるけど、まぁ自分は関係ないし、他の誰かが解決してくれればいいや」と考えて何もしないことこそが、差別を拡大させている大きな要因の一つであることに間違いない。

 

In the end, we will remember not the words of our enemies, but the silence of our friends.

 

というキング牧師の言葉がまさにそれを示している。

 

今後、私自身も人種差別を含めた様々な差別がなくなるよう積極的に行動していきたい。

 

 

HBS 1年目を終えて

 5月9日、TEMの期末試験を最後にHBSでの1年目が終わった。


子連れで本当にやっていけるのかという不安から始まり、HBS初日はついに来たんだというワクワク感でいっぱいになり、日々こなしていくうちにケースを読むのが嫌になってきたり、家族旅行を楽しんだり、コロナが広まり始めどうなるのか不安になったり、そして最終的にはオンライン授業に移行したりと、とにかくジェットコースターのような1年間だった。

 

1年振り返ってみて一番先にぱっと思ったのは、

 

「本当に来てよかった」

 

ということ。

 

アカデミックな学びに加え、人生について色々考えるきっかけになり、家族としても成長するとても有意義な1年だったと思う。

 

具体的に詳しく振り返ってみる。

 

 

1. 「エリート」という意識と責任

HBSで聞いた様々な講演において一番記憶に残っている言葉は、HBS学長が言ったもの。

どんなバックグラウンドであれ、HBSに来た今、君たち全員が「エリート」の一員である。つまり、今後の社会がどうなっていくのかは君たち「エリート」の責任であり、社会をいい方向に変えるために行動を取っていかなければならない。

 正直、私はHBSに来る前まで自分が「エリート」と思うことはあまりなく、どちらかというと「エリート」という言葉が嫌いだった。帰国子女で、東大を卒業し外資コンサルに入ってと、周囲からは「エリートコースだね」と言われることは多かったが、「エリート」という言葉は「お高く留まっている」というニュアンスがある気がして、褒められている気が全くしなかった。

 

だが、この学長の言葉を聞き、「エリート」に対する考え方と自分のマインドセットが変わった。まず自分はエリートなんだと認めるようになった。そしてその上で、自分が今まで恵まれた環境で育ってくることができ、そのおかげで今HBSにいるということをしみじみと感じ、これからは社会へ貢献していかなければならないと強く思うようになった。エリートになった今、自分の人生は自分のためだけじゃないのだと。そして社会の負の要素に対して、傍観者として文句を言っているだけではだめで、主体者としてそれを変えていく必要があると。

 

以前も記載した人生の成功の定義(人生の「成功」とは - ママ留学記@ハーバードビジネススクール)についても、やはりこの「エリートの責任」と切り離せないところがあると思う。自分だけがハッピーになる生き方は成功とは言えず、周囲の人や社会にポジティブな影響を与えられることで、エリートとしての責任を果たし、且つ自分自身の幸せにも繋がるのではないか。

 

こういう意識はHBSのような環境下だと常に意識させられるが、一旦離れると忘れがちなマインドセットなので、今後もしっかりと意識して行動していきたい。

 

2. アカデミックな学び

コンサルにいたらMBAではアカデミックに学ぶことはほとんどないよと言われていたことが多かったが、そんなことはない。

ファイナンスのWACCの計算や会社のバリュエーション、アントレのタームシートの読み方やキャップテーブルの計算方法、会計のバランスシートの読み取り方、政治経済の歴史を含めた各国の状況や意思決定とその背景の政治経済学の考えなど、今までしっかりと理解していなかったことを理解できるようになった。

 

もちろん各領域でエキスパートになったとは言えないが、少なくともその領域の「言語」が理解できるようになったことで、その領域についての議論についていけるようにはなったことは非常に大きな一歩だと感じている。

 

夫が以前PEで働いていた時は「ファイナンスなんて興味ない」と彼の仕事内容すら理解しようとしなかった私が「ここの割引率はこう計算するのかな。あとはマルチプルを見たらいいよね」と夫と話ができるようになり、夫もびっくり仰天である。

 

3. 家族としての成長

HBSに来る前は、夫は激務だったので、私が5時に退社し、子供の迎え、食事の準備など平日はほぼワンオペ的に回していた。もちろんその時も夫は週末には掃除洗濯や子供の世話をしてくれたりしていたが、全体でみるとやはり私の家事・子育ての負担が多かった。

 

子供が生まれる前はほぼ100%のエネルギーを仕事に使っていたのにそれができなくなったことで、キャリアや自分の人生に関して、「どうせ周りとは同じ土俵に上がれないのだから、とにかくなるべく負担が重くないような仕事をしたい」、「金銭的には夫に頼ればいいからもはやフルタイムはやめようかな」と思っていた節もある。

 

HBSに来て、まずは夫がものすごく変わった。今や家事・子育てはほぼ半々、というより、逆に夫の方が多く負担しているかもしれないほどになった。そのことで、私自身も余裕ができ「一人の人間としてしっかり歩んでいかなければ」と、キャリアや自分の人生についてより主体的に考えるようになった。お互い忙しく余裕がなくなることも増え、喧嘩することも多くなったと思うが、そういう時もしっかり話し合えるようになり、前よりも「1対1の関係」が築けてきたのではないかと思っている。

 

来た時は2歳だった息子も先日3歳になり、ますます成長を見せている。コロナで保育園が閉鎖してからは、トイレトレーニングを行い、1ヵ月ほどで夜以外はオムツが取れた。また毎日Zoomで保育園の先生方がライブで歌を歌ってくれたり、絵本を読んでくれたりとオンラインでのふれあいの時間ができた。始めはパソコンから話しかけられることを怖がり、大声を出し、「やりたくない」と言い続けていたが、最近行われたライブのダンスパーティーでは、スクリーンの先生の真似をしながらのりのりでダンスを披露していた。小さいながら1年間一回も病気をせずに過ごしてくれた彼のおかげで、この家族HBS生活が成り立っていることは間違いない。

 

4. コミュニティーの重要性

HBSが始まって、「セクション」と呼ばれる90人強のクラスに振り分けられ、セクションのイベントがたくさんあったりと、初めは「ビジネススクールというよりはなんだか高校生みたいなノリでちょっと・・・」と思ったことも正直あった。HBS初日にセクション担当の教授が仰られた「5-6人卒業後も仲良くいられると思う人が見つかれば大成功」という言葉を聞き、そこまで皆と仲良くなろうと積極的に動いたわけでもない。このようにセクションに対し懐疑的で且つ消極的だった私だが、最終的にはセクションが大好きになった。もちろん全員が「Best friend!!」と言えるようなことにはなっていない。それが現実。だけど、授業中のそれぞれの発言を聞いてたくさん学ぶことがあったし、セクションで行っていたMy Take(自分の人生について30分程話す会)によって皆の人生に少し触れられたし、セクションの人にしかわからないようなジョークでたくさん笑ったし、そして卒業後も仲良くしていけるだろうなという友達も見つかった。コロナという異常な状況を一緒に乗り越えられたという達成感も大きい。最後の授業では、これで皆と授業を受けるのは最後なのかと思い、うるりとしたくらいである。セクションDの皆に感謝の気持ちでいっぱいだ。

 

HBSなのになんて子供っぽいことをするのかと思っていたけど、やっぱり歴代ずっとやっているということには意味があるんだなと思った。

 

まとめ

1年目。長かったようであっという間だった気もする。
子連れでのMBAは毎日大変だったけど、とにかく1年目を乗り越えることができて達成感でいっぱい。

 

2年目の授業は完全に選択になり、今まで以上に自分でHBS経験を作り上げていく必要がある。残された1年間、悔いのないように日々大切に過ごしていきたい。

V-Day!HBS初のオンライン授業

今日はHBS史上初のオンライン授業が行われた。

 

1週間の春休みを経て久々の授業だったこともあり朝は少々緊張。旦那は2階の勉強部屋、私はリビングルームでそれぞれパソコンを広げ準備。Amazonで頼んでいたAirPodが配達されていなかったので、結局イヤホンはなしで授業を受けることに。(ちなみにAirPodは授業が終わったくらいで届いたので明日から使おうと思う。) 

 

今日の1限目はFinanceの授業。教授も少し緊張した面持ちで、オンライン授業をどう行うかなど簡単に説明し、いよいよ授業スタート。今日はコール、プットなどオプションに関するケースだったが、ケースというよりもとにかくオプションについて説明・議論するという流れに。

 

私は授業早々に、手を挙げるボタンをクリックし、バーチャル挙手デビュー!

 

開始早々だったこともあり、あまり挙手している人も少なく、教授に当ててもらうことができ、初オンライン発言!

 

ミュートを解除し(教授の方がミュートしてくれるのかなぁと勘違いしていたため名前を呼ばれた後少し遅れてミュート解除)、コメントを30秒くらいささっと話して、さっさとミュートに切り替え、発言終わったよアピール。

 

教室で90人以上の学生のいる中で、全員に聞こえるようにかなり大声で発言しなければいけない状況に加え、自宅でただパソコンに向かって話すだけなので、プレッシャーは相当少なくなっていることに気づいた。大勢の前で英語で話すということには変わりないのだが、実際に人が目の前にいるのといないのでは精神的にかなり違いがあるんだなぁと改めて感じた。

 

内容も内容だったため、議論というよりかは基本レクチャーのような形で、その中で生徒にいくつか質問を投げかけ答えさせるというような形式で授業は進められた。Financeが苦手な私にとっては議論中心よりレクチャー中心になったのでわかりやすかったし、初めてのオンライン授業にも拘わらず教授もパソコンとiPadを駆使して、黒板にいつも書いているように生徒の発言を記したり、グラフを描いたりとかなりスムーズだったので、結構満足度は高め。

 

 

2限目はTEMの授業。

こちらは授業中に3-4人のスモールグループに分かれての議論なども途中で入り、一旦そのグループだけに切れ替わった後、また全体のグループに戻るというオペレーションがあったのだが、この際に普通だと制限時間の後に全体のグループに自動的に戻るのだが、なぜか戻れない生徒もいたよう。私は普通に戻れたから問題なかったが、途中戻れなかった学生のことを考えると可哀そうでならない・・・。

 

授業の最後にはあらかじめ撮ってあったケースのプロタゴニストのビデオが流されたが、教授のマイクがミュートになっておらず、思いっきりエコーして何を言っているかわからないという状況もあったりと、少しテクニカルイシューが多く発生してしまったという印象。

 

FINに比べ、こちらは教室でのディスカッションベースの進め方にかなり近かったし、テクニカルイシューがありながらもしっかりと時間内に授業も終わり、初めてのオンライン授業にしてはものすごくスムーズだったなと思う。

 

ちなみに旦那のクラスでは、「オプショナル」としてそのまま20分程コロナウイルスの状況に絡めたディスカッションがあったらしく、トピックとしては面白いと思うが、アジアから受けている学生もいたり、子供の面倒を見ながら授業に出ている学生もいたりと様々な状況で授業を受けているので、授業の時間はしっかり守った方がいいのではないかと思ったし、授業に出ていた旦那も同意見だった。

 

まとめ

初めてのオンライン授業。教授も学生も色々な気持ちを持って参加し、うまくいったところ、うまくいかなかったところなどまだまだ100点には遠いのは間違いないが、とにかく無事に初日が終わったなぁという印象。

 

HBSの歴史に残ることに間違いのないこのV-DAYに参加することができて、ちょっぴり誇らしい気持ちで今日を終えようと思う。

コロナウイルスによるMBAへの影響は?

アメリカもそろそろ危ないんじゃないか。

 

そんな雰囲気が漂い始めたのは、3月頭頃。
それまでは「コロナはアジアのもの」という認識が強くあり、アメリカはそこまで大変なことにはならないだろうという楽観的な雰囲気がありました。

 

しかし3月に入りアメリカでも感染者が少しずつ増え始め、いよいよこれはパンデミックになるというパニックが始まりました。

 

今回は、今日に至るまでのボストンの様子やハーバードの対応、そして私達の生活などについて記載しようと思っております。

 

 

ボストンでの動き

2月下旬から3月頭はまだまだ問題なく、スーパーでの欠品など一切なく、いつも通りの日常がありました。

 

ところが一転、3月の1週目が過ぎたあたりになると、段々と欠品が目立つようになります。Amazonや薬局で普通に売っていたPurellなどの消毒液、アルコール除菌のできるウェットティッシュ、トイレットペーパーなどが徐々に欠品になり始めました。そんな中、中国語の書かれたアルコールティッシュなどがAmazonで高値で売られ始め、日本でも問題になっている転売ももう始まったと驚きました。

 

そして先週辺りになると、我が家がいつも使っていたInstacartやPrime NowによるWhole Foodsからのデリバリーサービスも需要が急激に増加し、デリバリーのスロットが全くない状況。金曜日にオーダーして月曜日にやっと届けてもらえるくらいの状況になってしまいました。且つ、パスタ、トマト缶、ツナ缶など日持ちのする商品の欠品が目立ち、実際の店舗でもかなり物がなくなっている印象でした。

 

ハーバードの対応

そんな中、ハーバードは先週、学部生に対しキャンパスからの退去を指示します。学生寮に住む生徒は全員強制的に寮を出なければならないということでパニックになったと思われます。

 

一方、ハーバードビジネススクールの方はというと、色々な決断がゆっくりと取られていったという感じです。

3月3日 FGI全てを中止にすることが決定
3月10日 HBS全ての授業を春休み明けの23日からオンライン化、春休みまでは通常通り教室での授業を行うことが決定
3月12日昼 MD/MBAのダブルディグリーを取得しようとしている学生達が学校側に今すぐにでもオンライン化するようメールで要請
3月12日夜 翌日13日から授業をオンライン化することが決定

そしてキャンパスからの退去については、「推奨」するものの、強制的に退去させることはなく、オンライン授業をどこで受けるかは個人の判断に委ねるということになりました。

 

3月の2週目からは、教室で授業を受けたくない人については「Excused Absense」を取得し、自主的に授業を休むことも認められましたが、多くの人がまだ普通に授業に来ていました。また100人以上の集会については中止するように指示が出て、この間予定されていたいくつかのカンファレンスもキャンセルに。

 

このようになるべく大勢の集まりを避けるように言われている中、夜にクラブやカラオケなどで学生の多くが集まっていたという情報もあり、セクションの中でも「こういう中でもいつも通り友達と遊んだり普通に過ごしたい」という人と、「コロナを抑えるために最善を尽くすべき」と考える人の間でテンションが生じ始めました。ただセクションのプレジデント及びリーダーシップポジションにいる人も絶対的な権力を持っているわけでもなく、学校側もこういった学校外の活動について制限を設けなかったため、結局誰も学校外の活動についてコントロールされずじまいでした。

 

HBSの対応に対して

正直今回のHBSの対応は非常に残念だったとしか言えません。


GSB、コロンビアなど他のスクールがオンラインに早々に移行し始めた中、HBSはぎりぎりまで教室での授業にこだわりました。ケースメソッドに基づくユニークな授業であるため、他のスクールに比べオンラインへの移行が簡単ではないことは理解できます。実際にオンラインに移行すると発表があった時には、教室での経験を再現できるはずがない・・・と多くの学生が落胆したのも確かです。しかし、その対応の遅さから、学生に対し「コロナはそこまで危なくない」というような間違ったシグナリングを出してしまったような気がしており、そのため夜遊びなどの学校外での活動にも歯止めがかけられなかったのではないかと思います。

 

また今後どのような方針を取っていくのかというコミュニケーションもひどいものでした。毎日違う部署からコロナウイルスに関するメールが2-3通が届き、そもそもどの情報を読めばいいのか、信頼すればいいのか、学生は戸惑うばかりでした。その後ようやくメールが一本化されましたが、メールがばらばら届いていたことからもわかるように、コロナウイルスの拡大に向けてどのように対応していくかHBS全体で一つとなって考えられていなかったことが浮き彫りとなってしまいました。

 

今後はどうなるのか?

今後、私達家族はボストンのキャンパス内にある自宅に残り、自宅から授業を受けることを決めました。一旦出国すると戻ってこられないリスクが大きいのと、そもそも引っ越しすることの労力がものすごくかかるからです。

 

友人の多くは帰国したり家族の元へと帰って行ったり、次々とボストンを離れていっています。私のセクションでは大体ボストンに残る人とそうでない人で半々というところです。寮に住んでいたもののボストンを離れることにした友人5人分のちょっとした荷物を自宅で預かってあげたり、逆に退去するにあたって不要になった食品や日用品をもらったりと、ここ数日で家の中にものがたくさん増えました(笑)

 

息子の保育園は今日から30日まで一時的に閉鎖することに。春休み明けは学生のママ友と相談して、ベビーシッターさんをシェアしようという話を進めています。保育園の閉鎖がいつまで続くのか、またその間の保育料は返金されるのか、わからないことだらけで心配はつきませんが、今のところ息子は元気いっぱいなのでどうにかなるだろうという明るい気持ちでいようと思います。

 

オンライン授業自体はまだ一度しかなく、且つ授業というよりはうまく動作するかの確認という感じだったので、春休み明けに本格的に始まってからのお楽しみというところです。教授、学生どちらも慣れない中でのスタートとなるので、期待値はそこまで上げず、最低限できればいいかなと思っております。

 

まとめ

コロナの拡大によって今回授業がオンライン化されることになりましたが、教室で授業をしないというのはHBSにとって1945年の第二次世界大戦後以来初めてのことだそうで、如何にこのパンデミックの影響が大きいかを物語っています。

 

1年生はセクションとして過ごす最後の数カ月を、そして2年生はHBSで過ごす最後の数カ月と卒業式を突然失ったわけで、悲しい気持ちがあるには変わりありませんが、逆にHBSとして直面している大きなチャレンジに当事者として立ち向かえているのは長期的に見たらいい経験になるのかもしれません。

 

この秋からMBAを始めるという方々は入国できるのか、授業体系はどうなるのかなど不安がさらに募っているかと思いますが、「きっとどうにかなる」というポジティブな気持ちを忘れないことが大事な気がします。引き続きボストンの様子を記載していこうと思いますので、是非それらも合わせてチェックいただければと思います。

 

大変な時こそポジティブに、そしてEmpathyを忘れず日々過ごしていきたいと思います。

 

MyTake

コロナウイルスの影響でFGIが全てキャンセルになったことが今日の昼に判明しました。学校から送られてきたメールを見て、セクションメイト達も騒然。

 

FGIとはHBSのプログラムの目玉の一つでもあるプログラムで、全生徒約900人が、16都市に振り分けられ、現地企業に対しコンサルティングを行うというもの。アフリカや南米、アジア、など自分ではなかなか行かないような都市に行けるということからも学生内の期待は非常に高いものでした。

 

しかし数週間前に中国の上海と深セン行は中止。これら都市に行く予定だった学生は他の地域に振り分けられました。そして先週、今度は韓国のソウル行が中止に。さらに昨日行われるはずだったボストンでの事前授業も急遽キャンセルになり、これは全部中止になるのではと学生内で囁かれていたところ、本日中止が決まりました。

 

私はギリシャのアテネ、旦那はガーナのアックラに行く予定だったので、お互い楽しみにしていたし、息子を見ていてもらうため母にボストンに来てもらう手はずも整えていたので、今回の中止は結構ショックでした。。。FGIが行われる予定だった週がどうなるのかはまだ決まっていないようですが、戻ってきた学費を使った旅行に行くのもありかもしれません。もちろんコロナが少し収まっていればの話ですが・・・。

 

さて、そんな騒動の中、今日はMyTakeをやったのでそれについて記録しておこうと思います。

 

 

MyTakeとは

MyTakeとは、各学生が自分の人生について20分程話すというもの。

 

今までの人生であった特別な出来事や、自分の価値観を形成したような経験、自分にとって大事な人についてなど、話す内容は人ぞれぞれ。色々なバックグラウンドの学生が集まる中、彼らの人生についての話を聞くことは、非常に興味深いと共に、非常にインスパイアリングで、MyTakeは私の楽しみの一つでもあります。

 

私のセクションではほぼ毎週お昼休みの時間に2人ずつMyTakeをしていて、出席率も非常に高いことから、私だけでなく多くの人も楽しみにしているイベントだということがわかります。

 

International Women's Dayというテーマに沿って

3月8日にInternational Women's Dayがあることから、今週の「Working mothers」に焦点を当てたMyTakeが行われることに。そこで、私ともう一人の学生ママに声がかかり、今日MyTakeをすることになりました。

 

週末4時間ほどかけて、何を話すかを考え、スライドを準備。ワーママの観点で話すことに加え、それまでの人生についてをどう組み込むかで結構苦戦しましたが一応何とか形に。そして昨日再度考え、構成を少し変更し、今日の本番を迎えました。

 

セクションの参加率は今日もかなり高く、加えて声をかけた日本人の同期もたくさん聞きに来てくれて、70-80人くらいは来てくれていたと思います。大勢の前で話すのは久々だったので、少し緊張しつつ、話し始めました。

 

自分の価値観は何か

その価値観がどう形成されたのか

結婚・出産によってどのような影響があったか

ワーママをした経験からの学びはなにか

 

というポイントについて話しました。

意外とリラックスして話せ、皆が真剣なまなざしで聞いてくれていたこと、時々頷いて理解を示してくれていたこと、たまに笑いが起きたことなど、全てしっかりと感じることができました。

 

MyTakeをしてみた感想

やってよかった。これが素直な感想。

 

自分の人生について深く振り返るいい機会でもありましたし、それを知らない人にわかりやすく、20分という時間内でどう話すかということを考えるのも面白かったし、何より終わった後の皆からの温かい言葉がとにかく単純に嬉しかったです。

 

特に女性陣からは「いつかワーママになる日が来るだろうから、すごく役に立つ話だった」、「母親業は大変だけど価値のあるものだと感じることができて勇気づけられた」など声をかけてもらい、ワーママであるということに対してポジティブなメッセージングができたのは良かったなと思います。

 

私もまだまだ未熟なワーママなのでそこまで深い知見もあるわけでなく、単に私の限られた経験と感じたことを共有したまでですが、同年代の女性、且つ将来第一線で活躍していくであろう彼女達に対し、少しでも影響を与えることができたのならば、それ以上に嬉しいことはないなと感じましたし、MyTakeをした意味があったなと感じました。

 

まとめ

私もMyTakeの中で話しましたし、もう一人の子も彼女のMyTakeの中で話していましたが、ワーママがより活躍するために必要なのは、周囲の人の「優しさ」なのではないかと思います。

 

「ありがとう」、「何かあったらサポートするよ」、「一緒に頑張ろう」などちょっとした一言が、自信ややる気に直結している気がするのです。

 

女性陣が女性同士をサポートするのはもちろん、今日聞きに来てくれていた男性陣もそのメッセージを受け止めてくれて、将来そういった優しさを持ってワーキングペアレントに接してくれるようになったらいいなと思います。

LVMHグループの考えるラグジュアリー業界の今後

今日はLVMHがメインスポンサーとして主催されたLuxury Goods Conferenceに参加してきました。

 

このカンファレンスの前夜には、LVMHのインバイトオンリーのイベントにも参加し、LVMHの価値観や今後の展望など色々話を聞くことができました。コスメティックスやスキンケア商品などを幅広く揃えているSephora USAのCEO Jean-André Rougeotさんや、REMOWAのCEO Alexandre Arnaultさん、そしてLVMH North AmericaのCEO Anish Melwaniさんなど錚々たるメンバーと直接話すことができ、非常に貴重な機会となりました。REMOWAのイニシャル入りのネームタグもプレゼントとしていただけたのも嬉しい!

 

色々な学びはありましたが個人的に面白いなと思った話を書いてみようと思います。

 

RIMOWAの買収の話

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REMOWA CEOのAlexandre Arnault

RIMOWAはもともとドイツのスーツケースメーカーだったのですが、2017年にLVMHグループ傘下に入りました。現在CEOのAlexandreさんは、このRIMOWAのスーツケースに惹かれ、グループ傘下に入る前からRIMOWAのスーツケースを愛用していらしたようです。そのうちRIMOWAのCEOと接点を持つ機会があり、AlexandreさんとRIMOWAのCEOは親睦を深めていったようですが、始めは両者共に買収の話などは一切考えていなかったそうです。そしてある時、RIMOWAのCEOから息子が会社を継ぐ意思がないから、もしよかったらRIMOWAをLVMHに買ってほしいと話を持ち掛けたそう。そして条件は、「AlexandreさんがRIMOWAのCEOになる」ということ。

 

その後、Alexandreさんはこの買収案件を進め、グループの承認を得て、若干25歳という若さでCEOに就任したのです。

 

そしてその後、マーケティング、サプライチェーン、プロダクトのラインアップなどブランドの課題に次々と手をつけ、今のRIMOWAのブランドを確立していったそうです。

 

LVMHのCEOのBernard Arnaultの息子と言え、この若さでブランドをターンアラウンドしたのはすごいなと思いました。この先もトラベラーに焦点を当てつつ、色々なプロダクトを展開していくビジョンも持たれているので、今後のRIMOWAがどうなっていくのか個人的に楽しみです。

ブランドのDNAの重要さ

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Sephora USA CEO Jean-André Rougeot

SephoraのCEOが語られていたのは、ブランドのDNAがいかに重要かということ。

当時はデパートでカウンター越しに化粧品を買うことが当たり前だった時代に、自分で手に取って化粧品を買う楽しさに焦点を当てたSephoraは画期的だったと言います。そしてその後もSephoraはそのアイデンティティーを守り続けてきたため、今の成功を収めていると熱く語っていらっしゃいました。

またSephoraには毎年色々な新しいブランドの化粧品が並ぶわけですが、生き残っていくブランドとそうでないブランドの一番大きな違いも、ブランドのDNAがあるかどうかという話をされていました。ただ売れる商品を作ろうと思って作られた商品は淘汰され、例えばDrunk Elephantのように「Clean skincare」というDNAを強く持った商品、そしてそのDNAに対するパッションを持つ起業家(ちなみにDrunk Elephantの創設者は専業主婦で、ある日突然Sephoraに開発した石鹸を持って話をもちかけたようです)のみが生き残ると。

 

カクテルパーティーの際に直接お話しするタイミングがあったので、イノベーションとDNAが対立することはあるか、またどう乗り越えるかという質問をしたところ、対立することがあったら必ずDNAを優先させるとはっきりと言い切っておられました。

リテールの今後

SephoraのCEOが仰っていたこと、またカンファレンスでのパネルでも出た話ですが、オンラインのチャネルが強くなっていくことは間違いない一方で、実際の店舗の重要性も変わらず存在し続けるという話がありました。

「Gen Z」世代と呼ばれる13-25歳の世代は、ミレニアム世代に比べ店舗に行く割合が多いそうです。経済が低迷している中生まれてきたこの世代は、ミレニアム世代に比べ、どこにお金を費やすかに非常にセンシティブであり、且つ社会との繋がりを非常に重視している世代だそうです。

そういった背景がある中、店舗での「Engagement」が非常に重要になっていくとSephoraのCEOが仰っていました。店舗では店員と話すだけで商品の購入率が50%になり、実際に商品を試した場合は70%にあがるそうです。店舗でのサービスを改善し、顧客の体験を最大化することが、店舗での売り上げ、およびオンラインでの売り上げを向上させることに重要だと仰っていました。

 

まとめ

オンラインでの購入が伸び、多くのデパートが苦しむ中、Sephoraは今後郊外への店舗展開を進めていくようです。またRIMOWAもより多くのトラベラーにアプローチするため商品ラインアップを拡大していくとのことでした。

 

両者共にこれまでのDNAやレガシーを大事にしつつ、オンラインやデータアナリティクスなどのイノベーションを積極的に推し進めてきたからこそ今日の成功があるのだと感じました。

 

 

女性の活躍を促すためには?Women's Conferenceでの学び

今日はWomen's Student Association主催の「HBS Dynamic Women's Conference」に参加してきました。テーマは、

Driving Change Together

ビジネス界でこれまで様々な変革をもたらしてきた女性リーダー達を称えると共に、今後どのようにして男女平等を実現していくのかを模索することが目的。個人的に、ビジネスにおける女性の活躍を促すことにパッションを持っているので、今回のトピックはどんぴしゃ!という感じで、どのような話が聞けるのかわくわくしておりました。

 

Keynote speakersの後、様々なパネルディスカッションが用意されており、どれも面白そうなトピックだったので選ぶのに非常に迷いました。今回はそれぞれの話の中での学びを書き留めたいと思います。

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Keynote Speakers

今日は2名のスピーカーがお話ししてくださいました。
1人目は、Clarine Clarkさん。Three-timeというテック企業のCEO兼President。癌を克服した経験も踏まえ、女性が活躍するたには何が必要かという点をお話しくださいました。

2人目は、Lydia Gilbertさん。DIA&COというプラスサイズのファッションのスタートアップのCo-founder兼President。彼女の企業経験を軸として、どのような困難をどう乗り越えてきたかお話しくださいました。

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この2人のスピーカーからの学び:

  • Stop thinking that you are not good enough: 女性は男性に比べ、「この仕事をするには自分は十分な実力がない」と思いがち。まずはそのマインドセットから抜け出そう。
  • Forgive others and let the past go: 過去に自分に対して嫌なことをしてきた人達を許して、過去の嫌な経験に囚われることをやめよう。
  • Write your own script: 自分の人生は自分で決めよう。癌を経験され、死ぬか生きるかという局面に立たされた時でも、「自分は2人の子供達を残して死ぬわけにはいかない。なんとしてでも生き残る」と強く決め、そのために何が必要か、何ができるのかを必死で考えたことから、自分の人生の台本は自分で決めるということの大事さを感じたそうです。
  • As long as you are going to the right direction, it's going to be fine. Keep going: 目標を決めたとはいえ、もちろんその中では山あり谷ありというのが現実。うまくいかないことがあっても、方向さえ合っていれば何とかなるから、とにかく恐れずに前進しよう。
  • Don't forget to be kind: 人に親切にすることを忘れない。
  • Choose courage over comfort all the time: 自分が心地良いと思うことを選びたくなるが、少し勇気を持って行動することが長期的な成功に繋がる。このマインドセットを持ち、行動に移すには、とにかく練習するのみとのこと。ミーティングで何が起きているかフォローできなくなった時に黙らずに、とりあえず質問してみることから始めるといい。
  • Pay attention to your intuition: 自分の本能を信じよう。脳は無意識のうちに色々な情報を集めていて、それが本能に繋がっている。本能は基本的に自分に不利になるようには働かないので、本能を押し殺さずにしっかり耳を傾けよう。
  • Find someone who you feel you can build trust: ネットワーキングの時には何十枚もの名刺を集めることよりも、「この人なら本当に助け合える(助けてもらうだけではなく助け合えるということが大事)」と思う人を1人でもいいから見つけよう

 

パネル1: Changing Dynamics of Advocating for Women in the Workplace

このパネルでは職場でどのように女性の活躍を促していけるのかというトピックについて議論が行われました。

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その中で、パネリストの方々の企業で実際に取り組まれた活動もお話しくださり、非常に興味深かったです。

  • 長期的に休みを取った人の復職サポート
  • 良いスポンサーになるためのトレーニング
  • ファミリープランニングのサポート
  • 育児休暇を取る予定の人とどのような会話を持つべきかを教えるマネージャー向けのトレーニング

などなど、実際に一旦キャリアを止める必要がある人に向けたサポートに加え、その人達をサポートできるように周囲の人々もトレーニングするというのが鍵なのだなと感じました。

また面白かったポイントとしては、passiveに投資するのではなく、activeに投資することがESGの実現には非常に重要だというポイント。ESGに取り組んでいる企業・そうでない企業が混ざったインデックス投資をするのではなく、ESGに本気で取り組んでいる企業をしっかりを見定め投資することがESGを推し進めるために必要というわけです。先日のGPIFのESG投資に関するケースでもそのような話が出たので、投資がESGを推し進める上でかなり大きな役割を果たしていると改めて感じました。

 

パネル2: Managing Work-Life Balance

このパネルでは、ライフワークバランスについての議論がなされました。重要なポイントとして挙げられたのは、

  • 自分の優先順位をしっかり決めること
  • バウンダリーをしっかり決めること
  • 「No」という勇気を持つこと

この議論の際に、「企業側はライフワークバランスに関して何をすべきか」という話があったのですが、この点については少し疑問が残るところがありました。1人のパネリストの方が、「基本的にライフワークバランスは個人がオーナーシップを持って管理することであるから、自分でこの企業は自分が実現したいライフスタイルに合うのかを見定めて仕事を決めるべき」という内容のお話しをされました。確かに個々のライフワークバランスの定義も違えば、どのようなライフスタイルにしたいかも千差万別なので、全ての思いを企業が受け止めることは難しいと思います。ですが、このように企業側が特にアクションを起こさずにいると、例えば現在女性比率の少ない金融などでは、女性側が例えば子供を生んだ後もここで続けるのは無理だと感じ辞めていくという流れに歯止めをかけることができないのではないかと思いました。

この点について主人と夕食をしながら話していたのですが、だからこそ企業側に今の働き方を変えるインセンティブを持たせることが必要であり、その手段の一つとして女性活躍を促しているような企業に対する投資が重要なのではないかという話になりました。

 

まとめ

ビジネスにおける女性の活躍も、ワークライフバランスを実現することも、どれも複雑で一筋縄ではいかないのが現実です。私達女性自身がより自身を持って、そして勇気を持って前進していくと共に、企業側もサポートを増やしていくことが大事だと改めて感じました。

特に日本では労働人口が減っていく中、女性の社会進出は「あったらいい」ものではなく「進めていかなくてはいけない」ものになっています。子育てなどを理由に一旦辞めてしまった優秀な女性をいかに取り戻すかという点についても企業はよりクリエイティブに考える必要が出てきていると思います。

男女関係なくお互いに助け合えるようなカルチャーを作ることが大きな一歩に繋がるなと改めて感じた1日でした。