友達を待ちながら書く。
ここは群馬県中之条町。就職で故郷に戻った友人に、車検をギリギリ通過したバイクに乗ってやってきた。

どうやらここは、経済的にはそれなりに安定していそうな町だ。
どっちつかずの天気だったが、結局雨に降られ、逃げるように立ち寄ったここはtsumujiという名前の何か。民族資料館に喫茶店や雑貨屋さん、足湯まである。第3セクターってやつなんだろうか。
足湯では高校生のカップルと独身ぽいおじさんと、ギリギリ若者といえるカップルが足をつけ込んでいた。今はおじさんの独壇場だ。
金曜日なのにお酒を出す店にお客は居ない。喫茶店の18時の閉店とともに人気がどんどんなくなっていく。
館内にはゆるくジャズが流れていて、なんだか自分までゆっくりしてしまった。
はっきり言って、気に入ってしまった。


僕の実家は、ギリギリ都内の大学に通える程度に位置する町にある。けれども東京で働くにはいささか不便なので、就職すればもう少しだけ東京に近い町に多くの子ども達は部屋を借りることになる。
それに対して、この中之条町は、東京に通うとなるといささか遠すぎる。多分、さっきのカップルも、大学に行くとなると下宿をとるか、経済事情によっては通える範囲の大学を選択せざるを得ないのだろう。
僕の町では、高校を卒業して、就職する人はほとんどいない。東京は、近郊を含めると数多の大学や専門学校があり、別段努力をせずともそのどこかには引っかかるはずだし、仕送りや家賃の心配がないため、なんとなく進学をするという選択がとりやすいのだと思う。

進学しなくても、十分満ち足りた生活を送ることは出来ると考えている。それに、選択肢が少ないことは僕のようにぼんやりと生きている人間にとってはある意味メリットでさえあると思っている。迷うのは無駄なことの一つだからだ。
悩めることは幸せだが、無駄は少ない方がいい。