トマトは永遠のライバル

岡山県在住。うどんにコロッケを浮かべて食べています。日常や本、ムービーのことを書いています。

2023年12月2日(土)・3日(日)小津安二郎監督の特番をみる

2023/12/2(土)
 ブーツを新調したら、突然ふところが心配になったので、家にある本を売った。
 自宅の本棚とベッド周りを圧迫してどうしようもなくなっている本を整理して段ボールに詰めていく。何度も引っ越しをしている都合もあって断捨離の判断は速いので適当に選別していくと、なんと段ボールが足りないではないか。本っていうのは私の知らない間に無限に増殖し続けているのかもしれない…。
 追加の袋を探すためにクロゼットを見ても適当な大きさのカバンがない。しようもないので剣道の防具袋に本を詰め込んだ。丈夫だし口も大きいし、防具を入れる以外にも使い道あるんだなと関心しながら、パンパンになった防具袋を持ち上げようとしたら紐が引きちぎれるほど重く、一人では持ち上げられなかった。…ということで効率が悪いけれど二回に分けて古本屋にいくことになった。
 万歩書店ブックオフでそれぞれ本を売って、明細を見たら150冊以上売っていたことがわかった。そりゃ金もなくなるよなと思った。
 本を売ったあと、万歩書店で本の陳列を見て回ったけど、あそこ本当にすごいな。世の中にはいろんな種類の本があって、でも絶対に誰かに必要とされているんだろうなって思わせられるような圧を感じる。橋本治さんの著書が四冊あったので買って帰った。

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 そのあと、Eテレで小津安二郎監督の特番があったので視聴。平山周吉という、小津監督を研究する作家が登場していて、平山周吉ってもろ『東京物語』の登場人物だよな、と思ったと同時にこの人すげえな! と非常に驚いた。HNをマンガのキャラクター名にして場の空気を異様にさせる、インターネット黎明期のオンラインゲームの震撼した交流スペースを思い出したけど、この平山周吉氏の場合は本気で名乗って顔も出しているところ、小津監督研究に相当な執念があるんだろうなって思った。そして小津監督に関する著書も最近刊行したようで、その著書の内容に関わる平山氏の見解もロケ地で淡々と語っていた。名前のおかげでかなりのインパクトを残す作家だった…。

 小津監督と山中貞雄監督、役者の原節子の関係についての推察を、後半かなり時間を使って紹介していた。監督と役者の秘めた恋愛話はあくまで推測の話であって、それは作られた作品と関係ないと、私がいろいろ調べていた当時は気にも留めなかったけど、未だ新説としてあげられるということは、それほどまで大きく作品に影響する要素だったのだろうなと思えてくる。そうなのかもしれないけれど、自分の興味に寄せてしまうと、もっと作品自体のことを深掘りした内容もみてみたかったような気もする。
 一方で従軍時の記録をたくさんではないが紹介されていて、これは小津監督自身の生死観に大きく影響して作品に反映されているのだろうと私は考えているので、非常にためになる特番だった。

www.nhk.jp

 

2023/12/3(日)
 オムライスの玉子をフライパンでひっくり返すとものすごい乱れ方をした。デミグラスソースは醤油を入れると辛くなった。味は許容。オムライスは昔から好きだけれど、この一品だけでバターとか油とか牛乳とかケチャップなどをちまちま使うから、食材を余らせまくる食ロスの料理だと思う。そして一食の量が多く、食べきれず夕食に回ることもあり、レンジで温めなおすと味が落ちる。
 今日の今日で自炊が定着するとは到底思えないが、オムライスのために買い込んだ野菜も残っていて、しばらくはフライパンを握る時間を作らなければならない。

 もう少ししたら今年が終わって2024年がくる。「現実に誠実に対処できていれば、そこから“自分”というものが存在しうる」と思いながら生活してきたけど、周囲の大人のなかには、まず「自分」が主体にあって「現実は“理念”のなかにしかない」って平気で現実を排除している大人がいることを知った。そういう考えに関心しても「あれっ?」と思い続けながら状況を先送りし続けた結果、当たり前のようにじわじわ苦悩するようになる。
 “理念”の枠で見られてしまうと、私は適応できない“敵”のようだった。

「なんとかなるっしょ♪」とノー天気にいた結果なんだろうけど、これは本当になんとかしないといけないなと思っている。またそれは明日からもそうである。

2023年11月11日(土)

紅葉の取材で走り回った11月。この仕事を始めて5年間、岡山県北の紅葉を全部制覇した気がする…。

真庭市にある徳山神社の紅葉

 

2023/11/11(土)
 10日も帰宅が遅かった。次の日は同乗者と県北を走り回って紅葉をみる取材があったので、家に帰ってすぐにお風呂に入り布団にもぐりこんだ。
 夢の中の私はスマホキーパッドにひたすら数字を入力していた。何度も数字をタッチするのに出鱈目な数字の羅列が表示され、気が焦って両手の指先を震わせながら延々とタッチパネルを押し続けていた。表示されるはずの数字が一文字も出てこない、ストレスがたまる夢だった…。
 なんで夢でストレス溜めなあかんねん、と朝起きて『夢_文字が打てない』と検索したら、わりとよくある悪夢のひとつのようで、こういった類似の夢をみる人は多いらしい。さらに調べてみると一人ひとりがみる悪夢にも共通したシチュエーションがあるということも知った。「自分の歯が抜け落ちる」「大声で叫びたいのに声が出ない」「一生懸命走りたいのに走れない」というのがそうらしい。
 …ということを同乗の女性にお話したら「歯がボロボロ抜ける」「走りたいのに走れない」という夢はたまにみると言っていた。ストレスがたまっているときにみてしまうという。興味がそそられる。考えていることも違う、使っている枕も違う他人でも同じような悪夢をみてしまうのは日常の経験や考えていることは違っても、身体のつくりで共通している脳と身体をつなぐ神経の信号が関連しているのだろうか。

 取材を終えて会社に戻る。せめて、日報だけでも、とPCをつけてキーボードを叩いた。「A」のアルファベットと「バックスペースキー」のキーが取れている。とにかく寝たい。

真庭市の福田神社のイチョウ。ここは2回通うことに…

 

2023/11/12(日)
 たまっていた洗濯、掃除、朝ご飯をすませて時計をみると7時、休日は早起きをする性分なので、少し本を読んで映画館に行った。『正欲』という朝井リョウさん原作の映画。原作も非常におもしろいけどこの映画もよかった。稲垣吾郎さんの上手な演技をみるのは初めてで、作中左手で箸をもって朝食を食べていたのが印象的だった。左利きなの? 爽やかでキラキラしているイメージの新垣結衣さんが、暗い顔しながらご飯の上に納豆をかけて食べていたのもよかった。

 

奈義町菩提寺にあるイチョウ

2023/11/17(金)
 振休だったけど午前中は出勤して、帰宅した午後はさまざまな出版社から出ている国語辞典のサンプルページをひたすら閲覧していた。
 新卒の初任給で購入したのがCASIOの電子辞書でかなり高性能なものだったのだけど、結局は参照したい言葉しか調べられないから横着してPCで調べてしまうことが多く、あまり活躍したといえないまま壊れてしまった。その点、紙の辞書は調べたい言葉の隣りにいろんな言葉があるから目で追っていくだけでたのしい。

西粟倉にある「道の駅あわくらんど」そばの川。口に出して言いたくなる良名

 

2023/11/18(土)
 滅茶苦茶寒かった。仲良しの社員さんと津山に運転して(また津山か・・・)、コーヒーのイベントに行き、コーヒーを飲んでドーナツをかじって、古本を買った。パン屋が作ったというそのドーナツが腰が抜けるほど美味しかった。そして半分仕事のような日だった。
 帰りに久米南にある時切稲荷神社に寄って手を合わせた。

2023/11/19(日)
 この日も取材でまた津山に行く。霞がかっているように頭がぼんやりしている。飲食店で支払いを済ませたけどお釣りを受け取るのを忘れてしまった。

2023/11/25(土)
 やっと2連休だ! やったー! というテンションで朝を迎えられると思っていたが、疲労がピークなのか、もともとそういう頭だったのか、ぼんやりして本も読めない。そういうときは小さな達成感が大事だと思って『三國無双7』を無心にプレイする。このゲーム買って3年以上経っているのにまだプレイしてるのすごくない? 初期化を繰り返しながら10年後もプレイしてそう。

2023/11/26(日)
 映画館で『国葬の日』というドキュメンタリーをみた。大島新監督は別府のブルーバード劇場でトークで拝見したことがある。あのときはたしか園子温を追ったドキュメンタリーだったような。園子温の映画は一作品もみたことないのに…。
 映画が終わって11時半頃、本屋に行って本を2冊購入して帰宅。『最後の息子』という吉田修一さんの小説を読んでいたらいつの間に眠っていた。文字を追いながら寝てしまっているので、文字の続きを夢にみる。起きて文字を追ってまた眠って文字が浮かんでくる。

2023.04.24(日) 会社の新年の目標達成した話

 会社の会議で今年の目標を発表する機会があって、そのとき私は「推理小説を読む」と答えたところ全員からノーコメントだったわけですが、最近その目標を達成しました。

 外出先で時間があったら本屋でブラブラして本を買うんですけど、当然自分で本を選ぶからどうしても自分好みの本ばかりが本箱に積まれてしまうんですよね。そういうこと気にしてた時期だったんです。ずーっと前「シャーロックホームズ」を読んで「つまらねえな」と投げて以来推理小説は手を付けてなかったので、それをふと思い出して口に出て目標としてみたわけです…。

 名著シャーロックホームズで積んだから日本の推理小説でも読もうかなと思い、それで思い浮かんだのは松本清張でした。一冊も読んだことありませんでした。映画「砂の器」は見て感動したことあるんですが、何度も見るけど話は面白くないし、なんかアッパーで株とコンクリートと鉄の家が好きだけど実のところいろいろ失敗してる偏屈オヤジが好きそうな内容だなって思ってたんですよね。ただの偏見なんですけど。

 しかしどこの本屋に行っても絶対に新潮文庫で並んでいる本なので、ついでに言うとテレビドラマで何度もリメイクされているので、今読んでも面白いのかなぁと、とりあえずタイトルだけは知ってた「ゼロの焦点」と「点と線」を購入して読んでみました。それが大変面白かったのでびっくりしました。

 最初に読み始めた「ゼロの焦点」は出退勤のバスでちまちま読んでました。推理小説って描写を細かく記憶して一緒に推理していくことが醍醐味で、ディテール忘れたら本末転倒かもしれないから家で一気読みしたほうがよいかなとも考えていたのですが、この本はそんな心配もなかった気がします。失踪した夫を探すために新妻が寒い北陸地方を彷徨う話なんですけど、真相にたどり着くまでの描写が、完結だけど何度も繰り返して言葉にされているのが良かった。何回も描写を繰り返すことが妻の思考になっているんでしょうか。

 で、次に読んだ「点と線」は内容が非常に面白くて、今日読み始めてページをめくる手がとまらなくて、お昼ご飯食べるのも忘れて一気に読み終えました。電車の時刻表を巧妙に取り入れたアリバイ工作を潰していく話で、最終的には組織の汚職のところまで描かれる内容ですが、アリバイ工作と汚職の関係がややこしいわけでなく、そのあたりシンプルだったので、推理のほうに振ってくれてる誠実さを感じました。というか汚職は今も昔も変わらないのね…。映画も見てみたいと思います。

 本関連ですが、こんど剣道の先生に「伝記短編集(剣豪)」という非常に謎な本を借りる予定で、次はその本を読むようになりそうです。「(剣豪)」と書かれているので宮本武蔵とか柳生宗矩の伝記かなとふんでるところで「そんなん一体誰が読むんだよ! 誰も読まねーよ! 知らねーッ!」という心情が正直なところですが、剣道の先生が勧めるほどの本であり、貴重な学びがあるはずなので、読んで剣豪になって帰ってこようと思います。