卒業論文

 

これは文系の話である。

 

 時期も7月を過ぎ、そろそろ就職活動の目処がついた大学4年生が増えてきたのではないだろうか。

そして就職活動が終わると、通常の大学生であれば、ホッと一息ついて、就職活動前の大学生活へと徐々に戻っていく。

バイトを増やし、残りの学生生活に、何をして過ごそうか計画を立てる。

 

 自分も大学二年の頃は、一般的な学生生活を送れると思い込んでいた。

勉強と無縁とまではいかないものの、バランス良く「良い感じ」の学生で「いれるはず」だったのだ。

 

 そうして、ゼミ選びの時期がやってきた。

俺は、赴任一年目の若い教授の研究室を希望した。なんとなく、若いノリで楽そうだと感じたからだ。 

教授と実際に話してみても、当時は、俺の選択に間違いは感じられなかった。

 

大学では、三年からいわゆる「ゼミ」がスタートする。

そうして、次の春を待ち、二年冬に差し掛かったころ、教授から連絡が来た。

「来年四月までで、いわゆる学部生がやる内容は終わらせたいと思っています。なので、今から教えるテキストをそれまでに終わらせて理解しておいてください。」

とメールが来た。

 

聞けば、ゼミが始まってからは、即研究をしてもらうとのことであった。

 それからというもの、ゼミに費やした時間は半端なかった。

 

俺の主観によるコストは、大学の単位数で換算すると64単位分くらいはあった。

クソほど、研究に取り組んだのだ。大学3年生にも関わらず。

 ・先行研究(もちろん海外の)を5本

・仮説(学術誌に乗るくらいの面白いレベルでないとOKが出ない)

・データ(本当に何万項目)

・分析(計量経済学一から勉強を強いられたが文系脳の俺には理解できなかった)

・考察

・他大学との合同ゼミで発表

 

 去年これをすべてこなすとは思わなかった。

 まさに俺の学生生活クソである。

 そんなこんなで、就職活動に入り、今年の4月終わり頃だろうか。

 

教授「俺、8月から中国で教授やることになったのでそれまでに卒業研究終わらせてください」

 

心臓が飛びでた。終わるわけねえ.........去年ですら半年以上かかったのに、なぜ2ヶ月3ヶ月で終わらせられると思ったのだ。

 でも弱音とか履いた暁には、

      「できないんじゃねえんだよ。やるんだよ」

              ってまた言われるんだよ。

 余談ではあるが、卒業した瞬間600万の負債を抱える未来ボンビーマンが、何をモチベーションに、卒論などというものに時間を投入すればよいのか。

 

やるしかねえんだよなあ、くそがああああああ。