佐々木一成のブログ

元JOYBRASS トロンボーンアドバイザー 佐々木一成のブログです

音量と音色

どうも、トロンボーンアドバイザーの佐々木です。

 

いやーあれですねー、ジョイブラスのアドバイザーから離れたのでアドバイザーという呼称をどうしようか考えましたが…

まあ、名乗ってても良いんじゃないの?

と思いました、今も似たようなことやってますしね。とりあえずアドバイザーの前にトロンボーンを足してみました(笑)

何かご意見がございましたらコメントください(汗)

 

はいっ!というわけで、今回は音量と音色の関係についてです。

 

きれいなフォルテとはなんでしょう?発音もすごく大事な要素ですが、ここでは音量にフォーカスします。単純に考えると音色感とか音のスピード感がある程度同じように保たれたまま音量が出せてる状態を指すものだとは思います…が、それがどの程度かというのと、音量のアップがどのくらい可能がどうかというのはここ数年特に考えていることではあります。

 

というのもその昔、2005年でしたでしょうか…ハンガリーのブダペストでトロンボーンの国際コンクールがあり、僕はそれに行ってたのですがそこで優勝したロシア人、アレクサンドル・ゴルブノフ(調べたら現在はマリインスキー劇場の奏者のようです)というプレイヤーが本選で吹いたトマジの音量の大きさがとてつもなく印象に残っているんです。本選で演奏した他のプレイヤー達も既に有名なオーケストラにる奏者達だったのですが、比べても彼の音量は2つ3つ飛び抜けていました。しかも明らかに「フォルティシモ吹いてます」的な質感ではないんですよね、メゾフォルテくらいの質感なのにめちゃくちゃ聞こえるような感じです。前に書いた音のスピードの話もありますし、いわゆる「通る音」だとかあるでしょうけれど単純に音量の大きさを感じたんです。

 

それで、めちゃくちゃ刺激を受けまして、コンクールが終わった後ににダイナミクスレンジを拡張(主に音量アップね)を狙って色々と練習していたのですが、どうしても音色、アーティキュレーションに難が出るというか…まあ普通に考えると当たり前なんだと思いますよね(笑)

 

音量の幅自体はもちろん小さいだけのままだとどうにもならないと思いますが、大きくしていこうとする段階で自分の奏法や楽器のセッティングになんとなく限界が見えてくるというか…最近は特にそんな気がするんですよね。音色的な好みもありますしね、例えばある程度の音量になったときに独特の「割れた感じ」や鋭さを求めたり、ずっとふくよかな音色で音量を上げていきたいとかね…こういうのはフレーズとか曲想にもよりますが。それに奏者のタイプによっても変わってくると思います。例えばざっくりとパワータイプ、もしくはコントロールタイプだったりすることでまた変わってくるのかな?と考えています。だとすると奏法で大きく影響される部分もあるのかな?ゴルブノフさんはどちらかといえばパワータイプの奏者のように感じますが、それだけでは説明できないくらいの音量を使った表現力がとても豊かなプレイヤーだと思いました。

 

また、それとは別に個人的に思うのが小さめのマウスピースでちゃんとハマった音が出るなら独特の音の伸びとかが強くなる気がするんですよね(とりあえずクラシカルな太管テナーの話を想定してます)、そういう意味ではフランスのテナー吹きが6−1/2サイズが多いのもわからなくはないのかな?と思います。まあ僕みたいに苦手な場合は素直に大きくすれば良いと思いますが…。

単純に大きめのマウスピースで息をしっかりと入れられるセッティングに唇(リード)がちゃんと反応してくれればそれなりの「フォルテ」を手に入れられると思います。が、やはりそれだと大抵コントロールが難しくなりはします…(笑)

 

あとはこんなこというとあれですが、声のように人によってそのときの限界音量があるんじゃないかと思うんです。特に金管楽器は音源が唇というところもあって体格や身体能力などで変化しやすいかな…と考えたりしますね。

 とはいえ、音楽表現のひとつとしてダイナミクスレンジは大きいほうが良いと思いますのでアプローチは続けているほうが良いと思います。個人的に大事だと思うのはいつも言ってるように吹きたい音が先に頭にある状態が前提で出来るだけシンプルな奏法で効果を掴んでいく練習をしていくことだと思います。それで少しずつ負荷を重ねていくような感じのイメージです。ブレスや息の流れ、アンブシュアとそれに伴うアパチュアの状態とか色々ありますが、とりあえず自分の欲しい質感に近づくアプローチを試していくのが大事かなと思います。それに個人的にダイナミクスの練習をしていくことは、自身の奏法を大きく変化していく可能性を持っていると思います、が故に調子も変わりやすいかもしれません。ただこれもアプローチしていかないとわからないことですしね、まあ無理をしすぎないようにすれば良いかと思います。

 

今回はここまで、それではまた。

 

【お知らせ】

こんにちは、トロンボーンの佐々木一成です。

東京は蒲田にある楽器店「Joybrass」のトロンボーンアドバイザーを2019年3月10日を持ちまして辞めました。

 

ということで、このブログもどうしようかな~と考えてはいたのですが地味に需要があるみたいでしばらくは続けてみようかな?とは思ってます。

 

なのでこれからもよろしくお願いします。

 

復活します!とか前の投稿で書いたにも関わらずなかなか進まなくてすみません…考えてみると僕もこの一年は色々と大変ではありましたので…。

 

いつまで続くかわからないですがとりあえずのご報告でした。

 

それでは、また。

 

 

佐々木一成

復活します。

お久しぶ~り~ね~

 

はい、どうもアドバイザーの佐々木です。

いやー、色々とやってるうちに年が明けてしまいまして…(言い訳)

 

あ、明けましておめでとうございます…。

 

昨年の初めのブログだったかな?昨年は色々なことがあり…とか書いてましたが2018年は輪をかけてもっと色んなことありました(笑)

う~ん、何なんでしょう(笑)今はそういう星回りなのかしら…まあね、なんだかんだいってやっていくしかないな、頑張っていくしかないなというところです。

 

今年は…というか昨年の10月くらいからですかね、ちょっとそれなりに大きく根本的な奏法の見直しを実験してまして、その状況によってはまた色々と考え方が変わる可能性があります。まあ聴いておられるかたはどこが違うの?とおっしゃるかも知れませんが…今年も少しみなさんの前に出るような企画を少し考えていますが…まだ未定な部分が多いとだけお伝えしておきましょう(笑)

それが、とりあえずの近況ですかね~。

あとは普通にブログもまた書いていきます。

まあ、不定期でしょうけれどね…よろしくお願いいたしますm(_ _)m

 

と、いうわけでそれでは、また。

 

リサイタル終了!

どうも、アドバイザーの佐々木です。

 

鳥塚心輔さんとのトロンボーンデュオリサイタルが終わりました!

ご来場いただいた方々、本当にありがとうございました。

 

いや~

 めっちゃバテました

 

後半の1曲目が終わったらライフが一桁になってましたが、まあそれなりに想定内ではありました(笑)とはいえ策はあまりなくて、考えないようにしましたね。

それでも出ないもんは出ないと開き直って吹いてるとどこぞで少し復活するので不思議なものです。

 

本当に鳥塚さん、城さんに助けられてなんとか…という感じで終われました!

 

いやはや、勉強になることばかりでこれからもっと上手くなろうと思いましたね…。

 

ここまでなかなか本番というものから遠ざかっている中で、総じて自分らしさは出ていたと思うものの精度や音程感、テンポの感じ方などベーシックになるべきものが上手くいかないことが多くて、これらをどういった練習で出来るようになるかというところを試していきたいと思います。

 

なんとなくですが、音の倍音成分の鳴り方で感じる音程は意外とバラつくような気がしました。パツっとした音色だとわかりやすくてモワッとした感じだとわかりにくいみたいな…。実際はその極端ではなく、バランスがどこよりか、というところなんでしょうね。

今みたいな音色感のまま、音程の感覚をもう少し良くなるように色々とやってみます。

あとは発音ですかね、発音時の音程感が上記の音のままだと幅を感じてしまいぶれてしまうというか…。もちろん歌っていて、そこに狙ってはいるのですが響きの感じがいまいちそこを外してしまっている感じがしました。

 

でも、本当にやって良かったと心から思います。

これまで演奏するということに対してなかなか自発的になれませんでした。

プレイヤーとしての自分は、今まではむしろ上手くいかないことが多くて、評価されるということに対してとか自分がやりたいことというものに対してとか単純に自分がどれだけの技術かとか…鳥塚くん(同い年なのです)のひと押しはもちろんでしたが、ジョイブラスでお手伝いしている中での色々な縁でつながってこのリサイタルが出来たといっても良いと思います。それを感じてからはある種の、いろんな人に対しての「感謝祭」のようにしようと途中から思い始めて、自分らしい部分と合わせてどうやってお伝えしようかとか考えるようになりました。

初めてお目にかかるお客さまもいらっしゃいましたが、そういう方達も巻き込んで楽しい空間に出来たら良いな…と。

なのでなんというか緊張しながらもとてもアットホームな環境で演奏出来たことに本当に感謝してます。そしてこれからも少しづつ皆さんの前に立つ機会を増やしていこうと感じました。

 

ありがとうございました。

 

それでは、また。

 

 

 

マウスピース vol.4(Griego)

どうも、アドバイザーの佐々木です。

 

マウスピースメーカーの第3弾はGriegoです。

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えっ!いきなり?と声が聞こえてきそうですが…

良いんです(笑)

自分が通ってきたメーカーとそれにまつわる話が出来ればという個人的な話から広げていければと思っています。

そもそも第2回がクルトワだったですしね。

というわけで、そうですね…アレッシホーンを買ってから、もう8年ほど経つでしょうか?あれからさらに中古ですがもう1本買って今はそれをメインで使っています。

それまではクルトワの420MBO…といっても20年近く前のB&S時代のものです。クルトワ自体がB&Sに買収?されたかなんかで一時期このB&S時代の楽器がありました。それでも今と違い、フランスの工場も稼動してましたので「Made in France」と刻印されていました。その後ビュッフェグループがクルトワを買い戻し、B&Sも買収し、金管楽器の製造を一元化したためドイツ製クルトワが誕生したのでありました。

前置きが長くなりましたね(笑)

そんなクルトワを使いながらずっと思ってたのですが、

アレッシホーンを買う一年ほど前から、仕事したりするのに少しテイストの違う楽器が欲しいなと思い、色々と探していました。そこで見つけたのがエドワーズということでした。

エドワーズという楽器はアレッシをはじめ、アメリカのプレーヤーが多く使うようになり僕がちょうど高校を卒業したくらいから身近に見かけるようになりました。

ただ、エドワーズ自体にマウスピースは付いておらず、ゲッツェンの場合はGetzenと刻印されたマウスピースが付属だったように思います。僕の記憶ではグレイゴマウスピースは2000年半ばくらいから見かけるようになりましたかね…。

それで、アレッシホーンを購入した流れバックの5Gで吹いていたのですがイマイチしっくりこなくなってしまいました。

それで初めに買ったものがグレイゴNY4です。

まあ、単純に同じようなメーカーのところから出ているからというのとサイズ違いで吹き比べたところ多少大きいほうが良かったというのもありまして4サイズ、そして後々3サイズも買いました。この3サイズをしばらくは使い続けていましたね。

でも、なんだかしばらく経ってくると、どうしてもリムの感じというか違和感を感じていました。未だによくわからないのですがね…。

そうこうしてる内に出ました。

Griego - Alessi

このアレッシモデルはグレッグブラックにあるNYシリーズ(旧アレッシ)と比較的スペックが近いように作られているもののかなり違った印象があります。

これから探せば流石に合うでしょうと色々と吹いて買いましたね。

ただこれも、なんかリムが合わない感じがどうしても出てきます。

本当になんなんでしょう(笑)

吹いた感じは良い感じなんですが…音色は落ち着いた倍音を含んだ音といえば良いのか、温度でいうと少し冷たいというか座ったという感じの音色感がするイメージです。キャパシティも大きくハッキリとした質感になる傾向があると思います。

個人的にですが、このGriegoのマウスピースは個体差が多いように感じます。

ですので同じ型番でも結構違うなって思うことがそれなりにあるのですが、どういう作り方なのかすごい気になりますね。

今はモデルも増えて選択肢もかなりあるマウスピースメーカーとなりました。

楽器も比較的選ぶ傾向があると思いますが、選んでいけば合うものがみつかるはずです。これからもさらに進化していくメーカーだと思います。

 

今回はここまで、それではまた。

マウスピース vol.3(Courtois)

どうも、アドバイザーの佐々木です。

 

マウスピースの第二弾はクルトワです。18世紀の終わりころに創業した世界的にも老舗中の老舗の金管楽器メーカーです。

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前に書いたエピソードのように初めて買ってもらった楽器の付属品を使ったことくらいで実はそんなに吹いたことがないマウスピースです。

数を吹くようになったのはジョイブラスで入ってくるものを吹くようになってからですね。多くはベッケモデルですが、10PM、11PMといったモデルもあります。

音色は明るめで上目な倍音感をもつマウスピースです。6−1/2系のプレーヤーが揃うフランスの国柄もあり、大きめのサイズはほとんど見たことがないですが結構良いんじゃないかって気がしています。個人的には意外とクルトワ以外の楽器に合うような気がしますね。ヨーロッパっぽいと言われれば確かにと感じますが、この系統の音色感が好きであればメーカー問わずいけると思います。

 

このクルトワというマウスピースはバックと同じように古いものを探されてる方が多くいらっしゃる印象ですね、やはり現行で販売されているものと昔のものとでは違いがありまして、リムの縦の厚み(内径ではなく、外側=ブランクの見た目)が薄くネックがぼんやりとしたなめらかな作りになっています。僕も古めのものを持っているのですが、リムの厚みが厚くなったころのやつですね。良かったとは思いますがなにぶん小さいサイズなもので…。

プレイヤーでいうと元東京交響楽団の荻野昇さん、XOカルテットの若狭和良さんがずっと使われてた印象です。お二人ともwillie'sからモデルが出てますね。

「montee」「esprit」ともに昔のクルトワのマウスピースをコピーしたような作りになっています。

willie's 「esprit」

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私物のBecquet M

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どうですか?ネックのところは似てますね。 

そしてこれが現行のものです。

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昔のものと比べてかなり変わってるのに気づくはずです。

確実な違いというと正直良くわからないです(笑)僕自身が古いものを沢山吹いているわけではないですしね…。現行のものでも、バックとかとは全然違う印象を受けるはずです。6−1/2や5G系をお使いのかたであれば試して頂きたいと思います。

 

今回はここまで、それではまた。

それとリサイタル終わりました!その感想などはまた!!

質問に答えます vol.9

どうも、アドバイザーの佐々木です。

質問が来ましたので、ブログ上でもお答えしようと思います。

個別にはお答えしたのですが、あれから考えてある程度思ったことをブログにしようと思いました。

 

Q.
喉、口をあけて吹くよう指導されます。
しかし口、喉をあけるというより、軟口蓋をあげるが正解とききます。実際はどうなんでしょうか?
 
A.
そうですね、結論からいうと僕はあまり気にしてないです。というところでしょうか。
 
実はこの問題に関して色々と考えてみたのですが、確かに単音で出やすい音域の音の場合「喉を開ける」という動作をやってみることで音質の変化を感じることは出来ると思いますが、歌と違ってタンギングや音域の変化に対しても舌の位置で喉の状態はかなり変化するというところが落とし穴になるというのが意外と抜け落ちてしまうんじゃないかと感じています。
 
試しに自分で喉を開けているという動作をしながらチューニングとその1オクターブ上下のB♭を吹いてみてください、かなり吹いた感触が違うと感じると思うのです。さらにはタンギング、ダブルやトリプルもやってみてください。上手くいくなら良いですよ!でもこの「喉を開ける」という意識がやりづらさを生むんだとしたらあまり意味のなさないものになると思うのです。
 
あくまでも音の変化を体感することでその音を知る⇨色んな音域でその音色を再現するというのであれば良いですが、音を意識せず喉を意識することで上手くいかなくなるということもあるのではないでしょうか?
 
変化は必要だと思います、それは上達するプロセスにおいて変化を求めなければなかなか良くもならないと思いますが、個人的にいつも考えてるように、演奏時における意識した動作が少ないなら少ないほうが良いという考え方なので自分にとって良いと思われる「演奏」が出来ているかどうかという判断が大事なのであってそのためには「喉を開けなければならない」ということにはならないと思うんですよね。
全てを再現しようと考えるとそれらは様々な「縛り」みたいになっていってしまったりします。それを感覚的なところまで落とし込まないと実際に演奏するのが難しくなるんじゃないかと思っています。
 
前にも書いたようによりシンプルな動作で結果が良かったと思うものを少しづつでも選択していく感じが良いのかな?と思っています。
こんなところでどうでしょうか?わかりづらい等ありましたらメッセージくださいね!
 
質問お待ちしています。
メールなら【 kazooy1978@gmail.com 】かコメントでも受け付けれるようになりました!