シューカツノ嚮導

現役採用面接官による就職活動お役立ち情報…かもしれない

働き方の選び方

【記事のポイント】

  • なるべく正社員・可能であれば総合職を目指そう
  • 一般職はコスパ悪い
  • 初めてって大事だよね

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前回は「自己分析」について書きました。

今日は「働き方をどうやって選ぶか」について書こうと思います。

 

昔は就職=正社員というのがほとんどでしたが、近年は仕事の在り方が多様になり「派遣社員」・「契約社員」という働き方も珍しくはなくなってきました。また、昔の女性の就職は「一般職」が基本でしたが、今は「総合職」で働く女性も数多くいます。

就職活動に当たっては、業界・業種に加えて、こうした「働き方の形態」についても考えていかなければなりません。

しかし、私個人の考えですが、「新卒」のカードを使って就職する時には、家の事情や健康状態などの制約がないのであれば、なるべく「正社員・総合職」を目指すことが良いと思っています。

理由は「正社員・総合職」で働いた経歴は「キャリア」として評価されることと、現状ではこの働き方が一番手厚く保護されていることです。

 

働き方が多様化している現在では、「ゆったりまったり働きたい」と考えている学生さんも多いと思います。私自身としてもその考えが誤りであるとは思いません。しかし「ゆったり働きたい」が為に、最初から「派遣社員」や「契約社員」を目指すのはちょっと勿体ないと思います。

なぜなら「派遣社員」・「契約社員」は、会社の都合や情勢で簡単に切られてしまう上に、そこから「正社員」になる道のりはかなり厳しいから。

「コロナショック」と呼ばれる昨今の情勢を受けて、事業を縮小したり人員を削減する企業は決して少なくないと考えます。そのような場合に、真っ先にクビになってしまうのは、どうしても「派遣社員」や「契約社員」です。

現状の制度下では、よっぽどの理由がない限り「正社員」をクビにすることは難しいです。しかし、派遣社員契約社員なら契約を更新しないだけで簡単にクビにできてしまいます。次の仕事がすぐに見つかれば、文字通り「首がつながった」状態となりますが、また経済に新たな困難が降りかかってくれば、同じような目にあってしまいます。

派遣社員」や「契約社員」が転職して「正社員」になることは、決して不可能ではありません。しかし、ケースとしてはかなりレアです。我が社でも中途入社者の採用は行っておりますが、元々派遣社員だった人を正社員として採用したケースは、今のところ例がありません。転職時の面接では「これまでに培ってきたキャリア」が一番の評価ポイントとなりますが、残念ながら「派遣社員」・「契約社員」のキャリアは評価されにくいのが現状です。「正社員」から「派遣社員」・「契約社員」になることには何の支障もありませんが、その逆はかなり困難であるといえます。

 

では「一般職」はどうでしょう。「一般職」は「正社員」になりますので、雇用は保証されています。ボーナスもちゃんと出るし、有給休暇もあります。また、あちこちに拠点のある企業の場合でも、一般職が「転勤」となるケースは少ないです。あったとしても、転居を伴う異動となるのは本当に稀です。その点総合職は「4月になったら北海道から沖縄に異動」なんてことが、ザラにあります。

それでもなぜ私が「総合職」を推しているか。それは一般職の「コスパの悪さ」です。

かつて一般職は、女性の働き方の定番であり、いわゆる「腰掛け」としての役割を果たしていました。多くの女性が、学校を卒業して就職して、同じ会社の総合職の男性と社内恋愛をして寿退社…といった働き方をしていましたが、こうした「昔ながらの働き方」に憧れる女子学生が、実は最近かなり増えています。恐らく、ブラック企業の悪質な労働環境が取り沙汰されていたり、育児など家庭と仕事の両立への不安などから、多くの女子学生が「一般職」を目指すようになっているのだと思います。彼女らの母親世代に、そのような働き方をした専業主婦が多いことも理由かもしれません。

こうした思考を持つ女子学生は、「高学歴」と呼ばれる難関大学にもかなり多くいます。しかし、「一般職」を募集する企業は少なくなっています。かつて「一般職」が担当していた仕事は、「派遣社員」や「契約社員」が担うようになったからです。

つまり「昔ながらの一般職」は、現代ではかなりの「狭き門」と言えます。

しかしその競争を勝ち抜いても、得られるのは「一般職」としての安い給与です。

多少の例外はあると思いますが、「一般職」の給与で独り立ちして暮らすことは、かなり難しいのが現状です。実家で暮らしていたり、安く住める社員寮などがあれば良いですが、自腹で家賃や高熱費を賄っている場合は「生活するだけで精一杯」になるかと思います。

また、総合職に比べれば昇給も鈍いです。総合職であれば勤続10年で家を買って家族を養うこともできますが、一般職では難しいでしょう。

一般職には「残業が少ない・仕事が少ない」といったイメージを持つ方もいるかもしれません。しかし、実情としては総合職と同じ仕事をして、残業・休日出勤も当たり前…という会社が少なくありません。我が社にも一般職の女性はかなりの人数がいますが、忙しい時期には21時ぐらいまで残業をしています。彼女らの大半は、仕事の量・質に対する自身の給与の少なさに不満を持っています。

一般職から総合職に転換する制度はあります。しかし筆記試験や面接などがあり、かなり面倒くさいです。仕事でもそれなりの実績がなければならず、新卒から総合職で採用されることに比べるとその道は困難と言えるでしょう。

 

日本は何だかんだ言って、新卒で社員を採用することが基本です。終身雇用は過去のものとなりつつありますが、新卒で入った会社での立場や雇用形態は転職の時にも付きまといます。

大雑把な言い方をしてしまうと、給与の低い職種から高い職種にレベルアップすることは難しいですが、その逆は容易です。事情がない限りは、最初は正社員・総合職で働き、結婚や出産・育児や介護などによりフルタイムで働くことが難しくなってから職種転換をすることでも良いのかなぁと、個人的には思います。

「大卒」という学歴を持てる人は、それだけで優位なスタートラインに立っています。そして星の数ほどある企業の多くは、大学の名前だけで学生を選抜することはありません。就職は受験などに比べると時勢に左右されやすく、「運」の要素もあります。自分の力ではどうしようもないところで選別をされることもあります。でも「新卒」という強いカードは、できるだけ有効に活用してほしいと思っています。

「新卒」での就職は、何にだってなれる可能性を秘めているのですから。

自己分析の憂鬱

【記事のポイント】

  • 自己分析ありきで就職活動を始めると、遠回りになったりする
  • 働いている人の声を聞いて、自分にフィットするかをイメージしてみる
  • 「あなたをモノに例えると何ですか?」という質問はしたことがないし、されたこともない

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さぁ、就職活動を始めよう。何から始めたら良いだろう?

この問いかけに対しては、十中八九「まずは自己分析から始めよう!」という答えが返ってくると思います。大学内のセミナーや、就活イベントの講師、インターネットのサイトでも大体「自己分析→業界研究→書類選考→面接→内定」といった筋書きを提示してくると思います。

これは決して間違いではありません。でも、やってみると案外遠回りでしんどいと思うんです。ものすごく極端な例で書きますが

 

①自己分析をしてみた!明るくポジティブな性格がアピールポイントだ!

②明るい性格を活かせる営業職が自分に向いているのではないだろうか?

③営業の仕事を募集している企業にエントリーしたよ!

④明日は面接!とりあえず明るく頑張るぞ!!

 

という、学生さんがいたとします。

この流れには決定的に欠けている部分があるのですが、お気付きでしょうか。

実は「自分が営業職に向いていること」を検証するプロセスが、まるっと抜けてしまっているんです。

問題の工程は「②」。明るい性格の自分には営業職が向いてそうだという「イメージ」だけで突き進んでいます。

 

「営業職」とひとくちに言っても、その実態は様々です。新規の顧客を取り込むような仕事であれば、「明るさ」は大きな武器ですが、既存の顧客との信頼関係を重視する会社である場合はどうでしょう。もしかすると「明るさ」は「軽佻浮薄」と思われてしまう可能性もあります。

そうすると会社からは「ミスマッチの人材」と判定され、せっかく面接まで行けたのにお祈りメールが送られてくる事態になってしまいます。また、仮に面接が通って内定をもらえたとしても、入社後に本人が「イメージしていた仕事と違う…」と悩んでしまうかもしれません。

自分の性格や特性を知ることは大切ですが、一番大事なことは「それを志望する企業で活かせることができるか」を「現場の人に聞いて確かめる」ことです。インターネットの適職診断や就活のエージェントから「おすすめの企業」を紹介されることもあるかと思いますが、これらは自分の性格や特性が、その企業に適している「可能性」があることを示しているだけなのです。

 

この「現場の人に聞いて確かめる」というプロセスは、なるべく早い段階で済ませたほうが良いでしょう。出来ればエントリーシートを提出する前に行うのがベストです。選考が始まってからは、基本的に質問は全て記録されて合否に影響すると思ってください。面接官の「選考には関係しません」と、男性の「何もしないから…」を信じてはいけません。

では、どうやって「現場の人に確かめる」のか。

一番簡単なのは「説明会」ですが、昨今の情勢で中止も相次いでいるようなので、可能であれば是非「OB訪問」を活用してみてください。それも難しければ、サークルやゼミの先輩、兄弟姉妹など何でもいいので、とにかく「社会に出て仕事をしている人」に話を聞いてみましょう。

「仕事」の話を聞く際には、以下のポイントを押さえるようにしてください。

 

(1)「仕事」がどのように発生するか。どのように依頼されるか。

(2)「仕事」をどうやって進めるのか。何が成果物なのか。

(3)「仕事」の成果物は誰に対してどのように納めるのか。

 

大雑把な言い方になりますが、仕事は上記の(1)~(3)の順で進めるのが基本的な流れです。それぞれの工程を、可能な限り具体的に掘り下げてみてください。

例えば(1)。仕事は自然に発生するものではなく、営業が売り込みを掛ける、世論や情勢を鑑みて上層部が指示をする、現場の担当者から要望が挙げられるなど、何かしらのアクションがあって生まれるものです。この(1)は会社の性格や、年次や役職が上がったらどのような働き方をするのかを知ることに繋がります。

(2)は具体的な仕事の進め方です。仕事の最終目的は(3)の成果物(モノやサービス)を期限内に依頼者に提供することです。その成果物が何であるか、成果物をどうやって作るのか、どうやって提供するかを知ることが、会社の仕事内容の理解に繋がります。

同じ業界や業種であっても、この(2)~(3)の工程は会社によってかなり異なってくると思います。私の勤める「IT業界」でも、成果物(アプリケーション)を作るまでの工程はまちまちです。いきなりプログラミングしてすぐに納品という会社もあれば、wordで設計書やテスト項目を作成し、都度上司の判子が必要になる会社もあります。

この工程の内容を知れば、その会社に入社してからの仕事のイメージも鮮明になるのではないでしょうか。

上に書いた例でいうと、「プログラミングをしてすぐに納品する会社」は几帳面な人や心配性な人にとっては合わないでしょうし、「都度上司の判子が必要になる会社」は自由を好む人にとって居心地が悪いかもしれません。

このように、会社の性格や仕事内容と自分の性格や得意・不得意を擦り合わせていって、しっくりする会社があなたにとって「相性のいい会社」となります。

 

ここまで来たら、あと一息!

「相性の良い会社」で自分のどのような特性が発揮できるかを説明してみましょう。これは強い「志望動機」になります。そして「自分の特性が具体的・客観的に分かるエピソード」を見付け出しましょう。これが「自己PR」になります。

 

「自己分析」は確かに重要なプロセスですが、就職活動ではそれ以上に「会社を知ること」が大事です。就職活動はよく「恋愛」に喩えられますが、「相手を知る・理解する」ことが疎かになると、上手くいかないですよね。

「相性のいい会社」にいきなり出会うことはかなり難しいです。でも一人で自己分析をぐるぐる繰り返しているよりも、働いている人の声を聞きながら社会人になった自分を想像する方が、多分ワクワクできるのではないでしょうか。

 

尚、就職活動の面接の定番?と言われている「あなたをモノに例えると何ですか?」という質問は、1度も訊かれたことがありませんし、自分から発したこともありません。もしこういう質問をされたとしても、アイスブレイク的なものなので、そんなに深く考えなくていいと思います。

このブログについて

【記事のポイント】

  • このブログには「これから就活をするが、何をすればいいかわからない・何をしたいのかがわからない学生」に向けたクソバイスアドバイス的なことを書く予定
  • 著者は某IT企業の社員。人事担当ではないが、毎年数十名程度の新卒採用面接を担当
  • 著者が面接をする中で感じたことを元に書き連ねるため、主観に基づく内容になること・必ずしも「正解」にはならないことを含んでもらいたい

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初めまして。

昨今の情勢から、家にいる時間がかつてないほど長くなりました。しっかり「Stay Home」しています。

新型コロナウイルスが「就職活動」にどの程度の影響を及ぼすのかは未知数ですが、恐らく決して小さくはなく、学生さんにとってはどちらかといえば「マイナス」になるのだろうと考えます。

このような情勢下で、自身の経験が少しでも誰かの役に立てば…という思いで、ブログを開設してみました。

 

私は某IT企業に新卒で入社し、今年で勤続12年目となります。普段は開発部門でプロジェクトマネージャーとして働いていますが、採用のシーズンになると「面接官」としての仕事もします。あと、独身です。

あまり細かいことを書くのは控えますが、弊社の社員数は約500名で一応「大企業」に該当します。が、知名度はそんなに高くありません。自身が面接を担当する学生さんは、毎年10名~20名ぐらいです。しっかり準備をしてきている学生さんがいる一方で、そうでもない人もそれなりにいます。よっぽどのことがない限り、「そうでもない人」には、申し訳ないけれど「お祈りメール」を送ることになります。

 

入学試験と異なり、「就職活動」には「正解」がありません。「次の選考に進める人」と「お祈りメールが届く人」の差は、努力量や能力というよりも「力の入れどころ」の差なのかなぁと感じています。

 

このブログでは、「就職活動」何に力を入れればいいのか、面接官はどのように学生を評価しているのかを、身バレしない程度に書いていこうと思っています。

但し、書く内容は私自身の経験と主観に基づくものとなるため、全国に知られているような超有名企業や、公務員試験、その他特殊な業界の採用選考に役立つ情報はたぶん提供できません。また、既に志望する会社を決めてたり、就職活動に迷いがないような人にとっては、目新しい情報が無いかもしれません。

 

「就職活動」で何をすればいいのか、自分がどんな仕事に向いているのかがわからない。このブログが、そういった人の参考になれば幸いです。

私自身も、当時はそういった就活生だったので。