日進月歩

都内企業法務系法律事務所の若手弁護士です。日々の出来事や読んだ本、ガジェットやアプリの感想などを綴ります。英語を勉強中です。

リーガル・リサーチについて①

法律実務に携わる者であれば避けて通れないのがリサーチ。

特に、若手弁護士・法務担当者は、かなりの時間をリサーチ作業に費やすのではないかと思います。

とはいえ、リサーチに充てることのできる時間は無限ではありません。私も司法研修所を出てすぐの弁護士1年目の頃は、締め切りに追われつつ、非常に苦労していました。ここでは、備忘も兼ねて、私が参照しているサービスや工夫を紹介させていただきます。

 

1 CiNii

CiNiiとは論文、図書・雑誌や博士論文などの学術情報を検索できるデータベース・サービスです。利用されている方も多いのではないかと思います。本文を見ることは基本的ません。基本無料です。

 

例えば、執行役員制度について調べたいとします。検索ボックスに「執行役員」と入力し検索するといっぱいヒットします。ほーら、こんなに。

 

CiNii Articles 検索 -  執行役員

 

これだとさすがに心が折れてしまいます。私達にまず必要なのは法律雑誌に掲載されている文献です。

そこで、OR検索を使います。OR検索について知りたい方はぐぐってください。

 

ORで関係する法律雑誌等の名称をつないでいきます。こんな感じで。

 

(商事法務 OR NBL OR 事業再生と債権管理 OR JCAジャーナル OR 法曹時報 OR 法律時報 OR OR 判例時報 OR 法学セミナー OR 法律のひろば OR 自由と正義 OR 民商法雑誌 OR コピライト OR 司法研修所論集 OR 現代消費者法)

 

(判例タイムズ OR 金融法務事情 OR 金融・商事判例 OR 銀行法務21 OR 労働判例 OR ジュリスト OR 法学教室 OR Business law journal OR Libra OR NIBEN Frontier) -判決

 

すると、

CiNii Articles 検索 -  (商事法務 OR NBL OR 事業再生と債権管理 OR JCAジャーナル OR 法曹時報 OR 法律時報 OR OR 判例時報 OR 法学セミナー OR 法律のひろば OR 自由と正義 OR 民商法雑誌 OR コピライト OR 司法研修所論集 OR 現代消費者法) 執行役員

 

CiNii Articles 検索 -  (判例タイムズ OR 金融法務事情 OR 金融・商事判例 OR 銀行法務21 OR 労働判例 OR ジュリスト OR 法学教室 OR Business law journal OR Libra OR NIBEN Frontier) 執行役員

 

こんな感じに絞り込めます。それでも、それなりの分量ありますけど。

よく引用する法律雑誌をOR検索でつないで、検索したいワードと一緒に検索すると関連する論稿をある程度見つけることができます。自分の業務に関連する雑誌名を追加し、カスタマイズして使ってみてください。

 

ちなみに、このOR検索のまとまりを辞書登録しておくと捗ります。

 

注意点としては、当然ながら文献の中身の言葉は検索対象になっていないということです。

 

2 Google

賛否両論があるGoogle検索。知●袋に書いてあることをそのまま引用するのは御法度です。パートナーの逆鱗に触れます。それではGoogleをどのように業務に活用するのか。

 

(1)filetype: 拡張子 【キーワード】

特定のファイルタイプを検索することができます。官公庁のフォーマルな文書や委託調査の報告書類はPDF形式で作成されていることが多いのでPDFを指定することが多いのではないかと思います。

 

例えば、営業秘密に関する情報や、営業秘密に関する報告書を探したいとします。そんなときは、このように検索します。

 

filetype:PDF 営業秘密 報告書 - Google 検索

 

こんな感じに、官公庁の文書を探すことができました。

 

(2) site: URL 【キーワード】

特定のサイト内でキーワード検索をすることができます。

例えば、営業秘密に関する情報を経済産業省で調べたい、というときには、

 

site:www.meti.go.jp 営業秘密 - Google 検索

 

こんな感じに検索することができます。

また、 政府や官公庁はgo.jpを、大学や学校法人はac.jpドメインと利用しています。そこで、

 

site:go.jp OR site:ac.jp 【キーワード】

 

と検索すると、政府や官公庁、大学が発行している論文類(オンライン上公開されているものに限られる。)に絞って検索をすることができます。例えば、D&O保険で検索すると今感じに、官公庁の文献と大学教授による論文の両方がヒットします。

 

site:go.jp OR site:ac.jp D&O保険 - Google 検索

 

他にも、related:(関連するページを検索)やcache:(現在閲覧することができないウェブページについて、Googleのキャッシュ情報を閲覧。)等があります。

 

3 まとめ

ここでは、CiNiiGoogleに絞って紹介させていただきました。

他にも、判例秘書やウエストローなどのデータベースを活用します。注釈書・コンメンタール、体系書等の参照も必須でしょう。リサーチの過程で、官公庁に照会することもあります。また、法律以外の情報(統計データなど)を探すこともあります。これらについては、別の機会に記事にしてみようと思います。

私も日々悩みながらリサーチしております。他にもアイデアがありましたら教えていただけるとうれしいです。

 

 

 

 

 

はじめまして

東京都内の法律事務所で若手弁護士として勤務しているkenkenといいます。

司法修習期は60期台後半で、企業法務や紛争解決に関する業務に従事しています。

 

業務と並行して、LLM進学に向け英語の勉強をしています。TOEFLの対策が中心ですが、オンライン英会話にも手を出しています。

 

ガジェットやアプリ、家電も好きです。Apple製品大好き、気になったアプリ、家電はとりあえずぽちります。

 

日記と備忘を兼ねて身の回りの出来事や気づいたことを綴ります。