昔の遺跡が出る可能性がある土地は埋蔵文化財包蔵地に指定されている。建築確認をもらうためには、市役所で手続きが必要。勝手に工事することはできない。
手続きの流れとしては以下のようになった。
試掘はその土地で1回やれば、その土地は確認済になるため今後の確認は不要となる。試掘は松山市が実施するので、費用はかからない(もし、埋蔵文化財が出た場合はさらに対応が必要になる)。
選んだ工務店の標準工法は耐力面材を使わず、筋かいで外壁を作る工法をとっている。壁の気密をどこで取るのかを確認すると、要するにこういう構造だった。
室内>クロス>石膏ボード>不織布>セルロースファイバー>透湿防水シート>洞縁>ラス板>そとん壁
防湿気密層が無い。聞いた感じだとC値は平均して2ぐらいらしく、気密は力を入れていないというか、自然乾燥木材といった「動く木」を使っているのでなかなか難しいところもありそう。気密は結露にも影響するので、壁内結露について確認したら「過去に建てたもので内部結露は起きていない」と実績を言っていた。省エネ基準地域区分が7の松山市なので、冬もそこそこ暖かいことが関係しているのだろう。
設計士さんからは結露計算の結果が送られてきたけど、送られてきた結露計算シートは住宅性能評価・表示協会のフォーマットで、室内温度や湿度を変更できない(室温15度、湿度60%固定)。また、外気温も最も寒い月の平均的な最低温度(松山だと6度、湿度70%固定)になっている。
結露計算をするのが一番手っ取り早いので、施主側でも計算してみた。さすがに室温15度では寒すぎるので、これぐらいで過ごすかなと思う気温24度、湿度50%に変更。外気温も寒くなるケースを想定して−2度、湿度10%に変更した。また、夏は石膏ボード側で結露が起きる可能性があるため、今年の最高気温で計算した。
シビアなコンディションを想定しているため、結露が起きていたとしても日中気温が上がったり外出で室温が下がったりするので、そのうちに乾くとは思う。寒波が来た時や私のように温かく加湿するような生活習慣によっては結露リスクがあるという結果になった。
松山の場合、夏型結露のリスクも高く、ポリエチレンの防湿気密シートを張ると石膏ボード側での結露リスクがあるという結果だった。
これらの計算結果から可変透湿気密シートを貼るのがいいだろうと設計士さんに伝えたところ、デュポンのVCLスマートをお勧めされたので、このシートを張ってもらうことにした。設計士さんが言うには、透湿防水シートは同じデュポンのタイベックを使っていて、長期耐久性が良い。他メーカーのは経年でボロボロになりやすいので、デュポンが良いらしい。
耐力面材を使えば、ボード気密よりも比較的容易に気密がとれると思うのだが、合板などは極力使わないという会社の方針があるらしく、筋かいで外壁を作る工法にこだわりがあるそうだ。
いつもはC値が2ぐらいの工務店なので、気密測定もすることで現場での品質確認をすることにした。現場でみんなで漏気を確認すれば、そこそこ気密もとれるでしょう。省令準防火構造、シート気密、中間および完成時2回の気密測定実施を設計仕様とした。
余談:
ボード気密とシート気密の他に気密が取れないかなと探したところ、タイベックで気密を取っている工務店があった。しかも低い値を出している。すごい。
標準仕様の構造が分かってきた段階で、外皮性能計算を行って断熱性能の仕様を決めた。建築士さんは専用ソフトで外皮性能計算をしていたが、Webサービスでも計算できるので、施主でもある程度の断熱仕様が分かっていれば手元で計算ができる。
どの程度を狙っていけばいいかは、デコス社のFAQにあった資料を参考にした。
日経アーキテクチャNo.1224 2022年9月22日:断熱等級7に挑む
外皮性能計算のWebサービスは窓サッシがYKK APなので、YKK APのサービスを利用。
天井、壁、床、基礎、窓や玄関ドアの数値を入れていくと、各断面の熱抵抗/熱貫流率が表示される。
床は大引間断熱のため、大引の木材が全体の15%が熱橋になるので、床の断熱材を標準から強化(60mmから75mmに増強)してもらった。
玄関ドアはYKK APの引き戸で断熱性能が低く(2.91W/m2K)バランスが悪かったのだが、建築士さんからユダ木工の引き戸(1.94W/m2K)を紹介してもらい、断熱性能が上がり、木製ドアのため意匠性も良くなった。
窓はAPW330が標準仕様なので、アルゴンガス入り・樹脂スペンサーを指定した(防火窓の部分はアルミスペンサー)。
天井点検口は、天井面のセルロースファイバーの性能が6.25 m2k/wなので、断熱性能が6.25 m2k/wのSPC-S4545BH3を指定した。
床下点検口は床下のスタイロエースの性能が0.38 w/m2kなので、断熱性能が0.34 w/m2kのSPF-R60F15-BC2を指定した。
ルフロ掃除用の床下点検口は断熱面から外れているので、断熱性能は不要、標準型を指定。
玄関とユニットバス部分は基礎断熱になるので、スタイロエースを50mm立ち上げ部と底盤部にも設置。
最終的に建築士さんに計算してもらった結果がHEAT20 G2 UA値0.43(サッシを試験値にするとUA値0.40)で断熱仕様は確定。
ショールームで設備の仕様を決め。
工務店の標準仕様を選ぶと値引きが深いので、工務店が標準仕様を設定している各メーカーのショールームに予約して見てきました。工務店の担当営業さんも同行するみたいな話もあったが、日程調整するのも面倒なのでご遠慮した。
営業さんによると、数年前に各メーカー同じ金額で標準仕様を決めたけど、ここ数年の値上げで今となっては費用がまったく異なる。TOTO<LIXIL<クリナップ=タカラスタンダードの順番で費用が高い。ステンレスやホーローは原材料や製造時に必要な電気代が上がっているからだろうか。キッチンの感想は以下のような感じ。
クリナップとタカラスタンダードで迷ったが、タカラスタンダードのステンレス鋼は比較的グレードが低いのと、ミーレ食洗機の方が長持ちしそうという印象でクリナップに決めた。
ステンレス鋼の比較:
SUS304とSUS430の違い - 金属加工のワンポイント講座|メタルスピード
トイレはTOTOとLIXILが標準だった。トイレはTOTOでしょうということで、TOTOを選択。タンクレスなどデザインの良いものは標準仕様から外れていた。価格差を聞いて素直に標準仕様のモデルにした。
洗面台はデザインが気に入ったので、同じくTOTOのオクターブで決定。
ユニットバスはTOTOのサザナが床に赤カビが発生しやすいという話を聞いたので、LIXILと少しだけ迷って、暖かくて柔らかい床が良いと思ったのでTOTOで決定。
外観と間取りが決まったら、詳細な仕様の相談が始まる。モデルハウスの仕様書を見せてもらい、以下のような項目があった。1つ1つ精査して仕様を決めていく。
標準仕様はあるので、変更したいところに注文つける。はじめに変更した箇所は以下の部分。全て対応可能との回答だったが、省令準耐火構造にするのにあたり、石膏ボードを柱に直張りするため、動きが出てしまう柱の一部と横架材は自然乾燥木材ではなく、機械で乾燥させる人工乾燥木材(動かない木材)を利用する必要があるらしい。
また、過去の施工経験で外壁面にセルロースファイバーがぱんぱんに入るので、省令準耐火にすると石膏ボードを内壁に張れないことがあったらしい。ネットで事例を探すと胴縁を壁の上ではなく壁の中に入れて対策している大工さんのブログがあった。建築士さんに紹介したところ、これでいけそうだとの回答。
各社のモデルハウスや完成見学会では建材と仕上げの質感や耐久性を確認をしました。集成材やプリントなどはすぐに分かるポイント。
実際のところ朝起きた時の冬の寒さはどうなのかとかは分からない部分で、担当営業さんに色々と相談していたら、体験宿泊をしてみませんかと提案いただき、年始の寒い時期(とはいえ、今年は暖冬だったが)に家族で体験宿泊をしてきた。
一泊して、暖かさは率直に言って驚くようなものはありませんでした。驚きというか感動したのが自然乾燥木材の香り。暖かさは注文住宅なので調整できるが、こればかりは後でどうにもならない。デメリットというか干割れ(経年乾燥で木材が割れる)や背割り(予め木材に割れを入れておく)の説明を聞いて、細かいことを気にする人は文句を言う人もいるだろうけど、うちは全く気にならない。それよりも自然乾燥木材、無垢材のメリットが印象に残った。
モデルハウスのスペック
地域工務店のB社、C社、D社から間取りの提案を受けました。
間取りのやり取りは、間取り作成アプリ「まどりっち」を使って、各社とメールでやり取りを行った。一部が2階建の間取りのため、B社とC社は1階に小さな2階部分が乗った感じの外観。イマイチとは伝えたのだが屋根の形と外観が最後まで変わらなかった。D社は切妻の大屋根で屋根の形が気に入った。
いつまでも複数社とのやり取りを続けるのも手間、相手にも無駄に引っ張るのも申し訳ないので、以下のようなメールで選考から外れたことを伝えた。こういうのはハッキリ伝える方が相手のためにもなる。
先日は間取り案のご提示いただきありがとうございました。
ご提案いただいておりました家の件ですが、色々考えた結果、他社と検討を進めることに決めました。
お忙しい中丁寧にご対応いただきありがとうございました。
何かありましたらこちらからご連絡させていただくので今後の連絡は不要です。
またご縁がありましたらよろしくお願い致します。