休むことも生きること 丸岡いずみ
うつ病は、心の病気ではありません。
という帯の文章。
100パー同意。
うつ病は脳の病気。
自分がうつ病になって本当に理解できた。全身症状のある脳病なのだ。
彼女はうつ病の患者に取材したり、大学院で心理学を学んだり、そもそもジャーナリストであるにも関わらず、
勝手な思い込みで、薬を飲む事を拒否していた。そして、医師には飲んだと嘘をついて、結局入院するほど酷い状態になってしまった。
という、もし自分だったら恥ずかしくて口外できないようなエピソードを惜しげもなく披露してくれている(何だか意地悪な書き方になってしまったが、褒めている)。
彼女のように、聡明で予備知識も持っていた人ですら、うつ病の薬を怖がるのである。私の周囲にも、薬を飲むのをやめろと言ってくる人がいた。そういう謎な恐怖感、無意味な拒否感は
うつ病は心の病気だ
という間違った知識からきているのでは?
脳の病気です、薬が効きます。と言われたら、あっさり飲めるのだと思うのだが、まぁそこは人それぞれか。
丸岡いずみさんは、幸い薬がすぐ効いたようで回復も早かった。
私はうつ病になってすぐに、真面目に薬を飲み続けていたのだけど、自分に合う薬が見つかるまで何度も処方を変更した。結果、ちょっと時間はかかったが寛解した。
とにかくもっと世の中に広まって欲しいのは
うつ病は脳の病気だ
という事。そもそも精神疾患って名前がね。
法廷遊戯 五十嵐律人
自分は、人とは違って特別な人間なんだと思いこむ時期が誰にでもあるような気がする。そしてそれらは、成長とともに黒歴史となって、特別な人間になれなかった自分をうわあああああと苛む。
太宰治の人間失格を読んで、太宰は自分だ。と思った人は多いらしい。私もそうだった。
別に何の作品も作っていないくせに、変なペンネームを考えては友達に披露していた中学時代。ポップなものを蔑み、アングラなものを至高としていたあの頃。同級生の記憶から消えていたい。
法廷遊戯という本を読んだ。主人公にも、ヒロイン的な人物にも、誰にも感情移入できず、読むのに苦労した。唯一親近感が持てたのが、作中で軽薄な役を任されていた人だけ。でも、反発しながら読むのも疲れるし、一番ポップな人物がいなかったら途中で投げ出していたかもしれない。ミステリーの本筋とは関係ないのだけれど、ありがとうポップな人。ポップな人が道化を演じてくれた。ポップイズ太宰。誰がこんなブログを読むのだろう。と思って調べたら、ほぼ誰も読んでいなかったのでもう好きなように書きました。法廷遊戯のファンの方や、このブログを読んでしまった奇特な方が万が一にもいましたら、心よりお詫び申し上げます。
モノがなくても、大丈夫!
図書館で借りてきた。コミックエッセイだったのであっという間に読了。
作者は自分で「気付いた」タイプのミニマリストだ。
ミニマリストになりたくて、ミニマリストに憧れて、指南書などを読んでモノを捨てたタイプのミニマリストとは違って
買っては捨て、買っては捨てるを繰り返していたある日。
自分は、本当は、嫌いな自分を捨てたいのではないかとふと気付くのである。
ゆるい絵柄に騙されて、軽い気持ちで読んでいたが、この作者は自分でトライアンドエラーを繰り返してついには本を出すまでの捨て名人となったという内容だった。親の形見まで捨てたのだ。凄い。そのエピソードは、真似できないが作者の心象風景には納得。
そんな捨て超人と化したある日、服を捨ててお気に入りの服ばかりを着ている事を、他人から「いつも同じ服じゃん」と指摘されるのだが、作者はサラッと流す。かっけぇ。
他人にどう思われようが、それが自分を揺るがすものでないなら、別にどうでも良いんだよな。モノがなくても大丈夫という言葉の説得力が増す。
安倍晋三 沈黙の仮面 野上忠興
安倍ちゃんの生い立ちや、学生時代のエピソードと、
野上忠興の決めつけとこじつけが読める本である。
何かにつけ、安倍ちゃんが独裁的だと決めつけて、それは幼少期の愛情不足からくるものだと断定したりする。なんそれ。
著者は政治記者らしいが、ところどころ間違ったエピソードもあり、これ誰かチェックしなかったのかな?と思いながら読んだ。拉致についての事実も間違いがあり、さすがに拉致被害者帰国の日付とかは間違えちゃダメでは?と思った。
こういった本を読んで、反安倍の人は溜飲を下げるのか。いや、それにしてはそこまで安倍ちゃんを悪人に見せるようには書いてない。かと言って、公平公正な目線で書かれた政治家の姿、でもないし。うーん、なんこれ。
文豪の死に様 門賀美央子
芥川龍之介や樋口一葉がどうやって死んだかは、教科書で習ったので知っていた。
さて、有島武郎や梶井基次郎などは、どうやって死んだんだっけ?と思って読み進めれば、へー、となる。
有島武郎など、びっくり。そ、そんな人だったんだ…。
作者の、容赦ない文豪へのツッコミ具合が小気味よく、面白く読んだ。読んでいた。
ただ、小林多喜二の章になり、いきなり現代の日本の政府批判的な事を作者が言い出したのには閉口した。正直、ちょっと飛ばし読みした。2019年くらいに、日本は全体主義的な空気が漂っているなんて言ってたの、ごく一部の左翼だけだったような?
楽しく読んでたのに、突然のそういうの、たまにあるけどやめてほしい。ジェーン・スーとか読んでる気分だ。自分の狭量さを強制的に再認識させられる…うぅ…ダメージ。
でも楽しい本でした(雑なまとめ)。
人の死に様を、楽しいなんて言ってしまって罪悪感あり。でも、みんな絶対死ぬからなー。
あと、文豪愛人多すぎ!
お探しものは図書室まで 青山美智子
図書館に行くたびに考える。例えば家庭を持って、家事をこなし、中には育児をしている場合もあり、そして司書としての仕事をしてから帰宅してまた雑事をこなして、その後に本を…読めるのか?なんて不要な心配をしてしまう。
この小説に出てくる司書の小町さんは、そして多くの働く司書の方々は、寝る間を惜しんで本を読むのだろうか。
レッドブルとか飲むんだろうか。自分は飲んだことないけど。
という、内容には全く関係ない感想。