ぽんの日記

京都に住む大学院生です。twitter:のゆたの(@noyutano) https://twitter.com/noyutano

労基署にメールで通報してみた話

「メール」と書いてあるけど、メールでやり取りが進むわけではない。

送信フォームで情報を送った後、所轄の労働基準監督署から電話がかかってくるのだった*1

 

www.mhlw.go.jp

*1:電話番号の記入は必須ではないので、その場合は電話がかかってくることもなく、純粋に情報提供という形になるのだろう

続きを読む

年次有給休暇の違反率

いわゆる「働き方改革」による法改正、さらに新型コロナウィルス感染症の流行拡大があって、定期監督における違反率(違反事業場数÷定期監督等実施事業場数)が2019-2020年で大きく変動しているものがある。

最も大きな変化と見えるのは、年次有給休暇労基法第39条)に係る違反率だろう。

 

年次有給休暇の違反率推移

 

出所は『労働基準監督年報』各年のものから計算。

2019年版以降の『労働基準監督年報』では、法改正によって新設されたものだけでなく、以前から法規定のあった労基法第106条(法令等の周知義務)や安衛法第13条(産業医の選任義務)も記載されるようになったので、参考としてそちらも載せておく。

 

違反率の推移
年次有給休暇」=労基法第39条、「年次有給休暇管理簿」=労基則第24条の7、「時間把握」=安衛法第66条の8の3、「法令等の周知義務」=労基法第106条、「上限規制」=労基法第36条、「産業医」=安衛法第13条、「休業手当」=労基法第26条

 

 

企業名公表手法の射程

【要旨】

政策研究は、政策立案や意思決定過程を対象としたもののみならず、その政策をいかに実現していくかという観点からの研究も求められている。本稿は労働政策の実現手法に対する関心から、その行政手法を取りあげ、とくに労働基準行政における企業名公表制度について検討を行った。本稿ではまず、行政手法全般についての共通の分析視角を提供することを企図して、経路(①使用者/②使用者→労働者/③労働者)、時制(A事前/B事後)という観点を提示した。企業名公表について、先行研究は制裁的機能と情報提供機能に整理するものが多いが、本稿では以上の分析視角に基づいて、制裁的機能(①-A)、予防(②-B)、第三者保護(③-B)の目的ないし機能を有するアプローチとして把握する。こうした重層的な機能を持ち、他の企業や労働者への波及的効果が見込まれる点が、企業名公表という手法の特徴である。ところが行政文書の検討により明らかにしたところによれば、行政当局は、企業名公表の目的について、上記のうち「同種事案の防止」(②-B)のみに限定する態度を取っている。企業名公表制度が拡充されていく中にあっても、②-B以外へと目的を拡大することはなかった。公表の基準や内容が制度の目的に照らして決定されるとすれば、こうした行政当局の認識は、今後の制度設計やその運用に影響を及ぼすおそれがある。また制裁的機能を否定しているのも、法律の留保の観点から課題であろう。

 

  • Ⅰはじめに
  • Ⅱ分析視角
    • 1 時制
    • 2 経路
    • 3 強制の程度
  • Ⅲ企業名公表の機能
  • Ⅳ行政当局の認識
    • 1 情報開示に対する姿勢
    • 2 司法事件の公表
    • 3 企業名公表の拡充
  • Ⅴおわりに
  • 参考文献

 

続きを読む

送り仮名が同じでまぎらわしい漢字

漢字は複数の読み方を持っているものが多い。送り仮名は読み分けの便宜になるけれど、なかには同じ送り仮名になる動詞、形容詞もある。その場合は文脈で読み分けることになるのだろうが。

続きを読む

京アニ事件の鎮魂なのか?:藤本タツキ『ルックバック』

『ルックバック』という読切マンガが話題となっているようだ。

ルックバック - 藤本タツキ | 少年ジャンプ+

 

私が気になったのは、この作品を京アニ事件あるいはその鎮魂と結びつける人が多いことだ。以下、その違和感を書き留めておきたい。

続きを読む