めぐりめぐる。

落語や漫才を見るのが好きです。エンタメ系の記事を中心に、幅広く書きたいことを綴るブログです。メールでのお問い合わせはこちら「infomeg2@gmail.com」。最近投資系の記事は「http://www.toshi-meguri.net」で書いています。

あるいは

心が静かである。さざなみのように、小さな波はあれど大きく心がぶれることがない。平穏な日々。あるいは、単調な日々がやってきた。

 

薬が増えた。睡眠薬は強くなっていないけれど、精神を落ち着ける薬を多く飲んでいる。びっくりするほど気持ちが落ち着いてしまい、やや退屈な日常を過ごしている。

 

テンションが上がっていた時の自分はいったいなんなのだろう。どれが本当の自分なのだろう。わからないまま、時間だけがすぎていく。テンションが高い時は無駄遣いばかりしていたので、正直今のままの方がいいのだろうけれど、なんだかいろいろなことに後ろ向きな性格になってしまい、仕事にも支障が出そうだ。自分のコントロールは本当に難しい。

 

時間を潰す、という感覚が今一番近い。何かをする気になれず、ワンルームの自分の部屋をうろうろしてしまい、漫画やゲーム、本に目を通しては、早く寝る時間にならないかとうんざりしている。生きるってなんだろう。生きることが暇つぶしというなら、なんてつまらないんだ、と思うよ。

一握りの風を掴んで。

目まぐるしい日々だ。たくさんの人に会ったし、多くの人達が俺に会いにきた。あいかわらず、楽しい気持ちになったり、悲しい気持ちになったりした。あるいは踏み荒らされたりもしたし、どうしようもない俺は人をたくさん傷つけたりした。うんざりするぜ本当に。


仕事にうちこんだ。というか、公私混同をしていた。行く先々で営業をかけ、俺という存在をアピールした。無視されたり、歓迎されたり、よくわからない状況になったりした。全ては繰り返しだった。そう、なんだかんだ繰り返しなんだ。


好きな人がたくさんいる。好かれているかな?と思う人達もいる。でも俺は、本当に、自分の居場所がよくわからなくなっている。賑やかなようで、ワンルームの自宅は本当に孤独な空間だ。来客セットもない。人を呼んでも、くつろげる空間ではない。長居されたくないのもあるし、なんだか怖いのだ。すっかり人を受け入れるのが怖くなってしまった。


新しい風がふいている。一生懸命に働き、生きれば、いずれ支えてくれる人が現れるよ。そんな言葉をとある社長からいただいた。どこまで頑張ればいいんだろうか。既に限界で、目に大きなクマをつくっては休む日々だ。自分の許容範囲がわからない。いい感じに走り、一握りの風を掴む感覚を知りたい。


明日の自分が、今の自分よりも強くありますように。

金木犀

夕暮れが好きである。朝作った水出し紅茶を飲みながら、高速道路でゆっくりとアクセルを踏んでいく。時速95km。車の流れがよく見える。景色がゆっくりと移り変わっていく。目の前が赤黄色に染まっていき、車のライトと街頭の光が視界に入っては消えてゆき、儚く眩い。

 

調子がいい時は、いろいろなものがよく見える。いつもより視界が広がっていて、すれ違う車の中の様子だとか、空の雲の動きまでハッキリと認識できる。思い切って、普段聞いているBGMを消してみた。車のアクセルの音だけが響き、ハンドルの動きに合わせて車が気持ちよく動く。

 

景色を俯瞰するように、俺自身についても振り返ってみる。正直、いつ死んでもいいと思っているのだ。人生の大まかなライフイベントは済ませてしまった。手元には僅かばかりのお金と自尊心が残った。もはや苦し紛れに生きる信念を紡いでいくしかない。一握の砂よろしく、手からこぼれ落ちていったものを拾う気にもならない。現世を彷徨う亡霊のごとく、執着できるための何かを探している。なんて日だ、などと感嘆したり悲しむことがない。寝る前に1日を回顧しては首を傾げている。

 

孤独に慣れようと思っている。元来人は孤独であり、社会性だのコミュニケーションだの言ってなんだかんだ寂しさから逃れようとしているだけだ。対岸の彼女という言葉は男目線のワードだが、男女の間どころか男同士でさえ完全にわかりあうことは困難だ。自分と一番対話しているのは俺自身なのであり、唯一の理解者だ。つまり己との対話が大切なのであり、自分と向き合わずに外にベクトルが向いていると永遠に個としての俺を失い続けるんだろう。これ以上何を失うのかはわからないが。

 

そう言う意味で最近始めた一人暮らしは非常によかった。一人暮らしは己との対話の連続である。帰路に着く頃、食べたいものを想像し、買い物をして帰る。味付けを自分で決め、お湯を沸かしている間に風呂掃除をし、洗濯を回しながら野菜を切っていく。鍋でパスタが踊っている間にフライパンにほうれん草とベーコン、玉ねぎを炒めて、生クリームとにんにくを入れてソースを作る。水を切ったパスタを具に絡めて食べた。全て自分で決めたものを食べる。これ以上に幸せなことなどないのかもしれない。食べ終えた食器を片付け洗濯を干し、少しばかり残っていた仕事を終わらせたら1日の終わりの時間。窓を開けて少しひんやりとした秋の風を感じながら、今日の出来事と明日のことについて考える。繰り返しだ。常に繰り返しなんだ。

 

赤黄色の金木犀は、そのかぐわしい香りにも関わらず、花弁が小さいことから「謙虚」を示すことがある。夕暮れのように美しく、強い香りを放つこの花は謙虚には程遠い気もする。

 

美しい景色を見た時、想像してもらえるような、あるいはこの景色を、感動を共有したいと思ってもらえるような人になりたい。そう思った時、ふと後ろで、誰かがそっと肩に手を添えてくれた気がした。

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赤橙

早起きをしてしまったので、山に登った。最近眠れない日々が続いている。1日4時間程度しか眠れないのは、老化のせいだけじゃない気がする。毎日を漫然と生きているだけじゃ、取れない疲れを少しずつ身体に溜め込んでいるのだろうか。

 

山を登っていると、より深く自分と向き合うことができる。誰もいない道を一歩ずつ歩く。足の力の入れ方や、心地の良い疲れや、顔にかかる日差しの眩しさとか。普段感じられないものに、神経を集中させてみる。普段考えたくないことに、思いを馳せてみる。そんな特別な時間になる。

 

本当にいろいろなことがある。たくさんの人間が自分の中を通り過ぎていく。中には踏みとどまって、興味を持って、踊ってくれる人もいる。あるいは、踏み荒らされていくこともある。自分を守るために、信念が必要になってきたと感じる。いちいち考えていたら、辛くて生きていられないからだ。

 

人生は連続性のある事象だが、大抵のものは一過性であることに最近気づいた。みんな、同じ場所にずっといられるわけじゃない。些細なきっかけで親密な関係が生まれることもあれば、ふとした瞬間に全てが崩れ去ることもある。過去を振り返り続けても何も変わらず、1秒先は誰にもわからない。そんな不安定な世界の中で、それでも毎日が楽しくて、悲しくてたまらないんだ。

一過性の女たち

MCMぴえんが歩いていますね。そうひとりごちた時に、「お前が何を言っているのか全然わからないよ」と会社の先輩に困惑され、我に返る。知らないうちに俺は一般人とは全然違う世界線で生きているのではないかと思い、空を見上げて少し考えてみたが、もちろん答が降ってくるわけでも神が親切に教えてくれるわけでもなかった。俺は俺たらしめる要素について棚卸しをするしかなく、ただただ途方に暮れる日々である。

 

思えばMCMぴえんがセブンイレブンでヨーグルトを買い、酒に溺れる準備万全でホストクラブに向けて全力でタクシーに乗る姿を見て大笑いしたり、キラキラコンカフェ嬢が企画するバースデーイベントで次々に立つシャンパンタワーに感嘆、それに至るまでのオタクの死闘に想いを馳せたり、ボトルキープしたウイスキーがそろそろ流れちゃうから早くおいでよという色っぽくも何ともねえLINEを受け取ったりする日常に俺はすっかり慣れてしまっている。ただただ日々を面白おかしく生きてぇ、という一見高尚に見える精神は気づいたらすっかり俺の中で握りつぶされており、人類を滅ぼす巨人に心臓を捧げる覚悟で戦う戦士のように一過性の女に金と時間を捧げているのであった。

 

承認欲求で飯を食いたいというのは究極のユートピアであり、その情熱で店が立ち人が集まり経済が回っていく。俺はその仕組みに加担している加害者でもある。誕生日イベントで苦しむ女が続出し多数のメンヘラを産んでしまうのはビジネススキーム上仕方のないことではあるが、その仕組みに乗っかっても乗っからなくても不幸な人間を輩出する。前者は自分には需要がないと嘆く俺のような人間をリリースし、後者はより高度な承認欲求に向けて走り出す悪魔を召喚する。そしてその取り巻きはどうなるかと言えば、1000円のランチは高くて食えねえと思いながらカップ麺を啜る一方で、1時間の滞在で数千円から数万円を一瞬で使ってしまうのだから、我に帰った時のダメージも凄まじいようでTwitter上で悲鳴が続出しており、コミケにできるオタク雲よろしく悲哀と憎悪の感情が渦巻く。

 

こんな世界の片隅で生きるのは随分骨の折れることだから、水物の世界とは上手に付き合っていき、スマートにフェードアウトしていくのがよかろうとは思う。ただ、じゃあそれはいつなのと問われると俺もお前も困るのであり、今日もまた無数の感情が飛び交う地に行ってしまうんだよ。(ちょうど1000文字)

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