【Jリーグ】2018年のJ3リーグをデータでまとめてみました ~チーム・スタッツ編
FC琉球 ・鹿児島ユナイテッドFC 初のJ2昇格!!
【公式】ハイライト:FC琉球、J3優勝&J2への昇格が決定!!vs ザスパクサツ群馬 明治安田生命J3リーグ 第30節 2018/11/3
メリークリスマス(時候の挨拶)!!
さて、2018年、平成最後の年も残すところあと僅か。
今回お送りするのは、「J3リーグ」。
J3のエントリは今回が初になります。
2018シーズンのJ3は、FC琉球の優勝、そして2位に鹿児島ユナイテッドFCが入り、両クラブ初めてのJ2昇格で幕を閉じました。
昨季の昇格は栃木SCのみだったこと、栃木SCとしてはJ2復帰というかたちだったので、そこまでJ3について着目することが無かったというのが正直なところ(失礼)。
ところが、来季のJ2リーグには新顔が2チームも増える訳で、これは見ておかなければなるまいな...と思い、データを集め可視化してみた次第であります。
J2ウォッチャーとしては、来季おらがジェフユナイテッド千葉と対戦することになる両チームにフォーカスしつつ、J3というリーグがどんな傾向にあるのかを考察できればと思います。
データはご覧の提供でお送りします。
さて、J3についてひとつ申し上げておきますと、J1、J2と違ってJ3リーグには「降格」がありません。 昇格、または優勝に向けてのモチベーションはどのクラブにも強くあるとは思いますが、「降格」に対する恐れがそもそも無いのです。
また、U-23チーム(ガンバ大阪、セレッソ大阪、FC東京)については、例えJ3優勝、または2位となっても昇格することはありません。(仮に1位、2位にU-23チームが入った場合は、3位、4位クラブがJ2ライセンスを保有している場合、J2昇格となる)。
レギュレーション、そしてU-23チームの存在がJ1、J2と大きく異なるということを、エクスキューズとして申し上げておきたいと思います。
前置きが長くなりましたが、早速可視化を見ていきましょう。
パス本数とパス成功率のプロットをJ3リーグ最終順位ソートで可視化。
J2と同様、J1のようなパスの多さ、成功率の高さと勝ち点≒順位との相関はあまり無いものの、優勝したFC琉球は、J3においてはパス本数が多く、成功率も高め(本数はリーグ3位、成功率はリーグ2位)。
2位の鹿児島ユナイテッドFCはが平均的なパススタッツなのと較べると、琉球の方はパスを駆使してボールを動かせるチームと言えそうです。
各種攻撃指標のプロットを上記に。
「30Mライン進入成功率」、以下「ペナルティエリア(以下PA)進入成功率」、「シュート到達率」、「ゴール率」と、アタッキングの指標は順位とポジティブに影響していることが伺えます。
順位が上のチームほど各攻撃指標は高くなっているのがお分かりいただけるかと。
前項のパススタッツと同じク30Mライン進入成功率では突出して高いガンバ大阪U-23ですが、以降ゴールに近付いたプレーでの効率では、順位相当の水準に落ち着いています。
FC琉球はシュート到達率、ゴール率でそれぞれリーグ1位。手数を掛けている攻撃を効率的にシュートまで繋げられているのかなと。
今季最下位に終わったギラヴァンツ北九州はというと、PA進入成功率、シュート到達率はリーグ平均水準にありながら、ゴール率が5.1%と著しく低かったようです。
北九州にとっては来季順位を上げてJ2復帰を目指す上でも、決定率の改善は急務な課題ではないかと思います。
平均ボール支配率とパス成功率の散布図を17年シーズンとの比較で可視化。
うっすらではありますが、リーグ全体のパス成功率が昨季より上がっているのがお分かりいただけるかと。
17年シーズンは70%に届かなかったパス成功率が、今季は73%にまで上昇。
J2もリーグ平均のパス成功率は73%ほど。J1になると78%という水準に高まります。当然、カテゴリが上がれば球際のプレッシャーの強度やスピードは上がるはずなので、パス成功率というのは各チームにおけるボールプレーの質を占うひとつの指標と言えると思います。
来季、J2を戦うFC琉球と鹿児島ユナイテッドFCはというと、いずれも70%以上のパス成功率を記録していますし、ある程度ボールを動かすという部分では、J2でも遜色なく通用するのではないかと推察されます。
攻撃回数とパス本数との散布図を可視化してみました。
ここで見たかったのは、文字通り攻撃あたりのパスの本数、つまり攻撃の手数の多寡です。先程、パス成功率が昨季よりも上がっている事に触れましたが、ここでもその影響が垣間見られます。
昨季は1試合あたり145回以上もの攻撃を試みたチームが3チームもありましたが、今季はというと140回台のチームはゼロ。
可視化も昨季との比較で見ると、分布が左から右に動いているのがお分かりいただけると思います。パスが増えて、セーフティに保持する場面が多くなれば、ボール前進を試みる頻度は相対的に減るということ。
攻め急ぐのではなく、じっくりとボールを動かしてゴールを狙う攻撃のやり方に変化していると言えそうです。
攻撃にかける手数を「攻撃1回あたりのパス本数」という指標に置き換えて、シュート到達率との関係を見てみたのが上記の可視化。
手数を掛ける、または掛けない攻撃がどの程度シュートまで至ったのかを見られるかなと。
分布全体は17年から18年にかけて右に動いているので、トレンド的には「攻撃に手数をかける」傾向にありますが、縦軸のシュート到達率で見てると下がったようには見えず、むしろ大きくシュート到達率を伸ばしたチームも見受けられます(ガンバ大阪U-23など)。
琉球と鹿児島は昨季から若干シュート到達率を下げましたが、それでも手数≒コストを掛けた分がペイできていないという訳ではなさそうです。
手数を掛けずに攻める事で、逆に増えるリスクもあると思っていて、簡単にボールを手放す事でその分だけ相手のボール保持、攻撃機会が増えることにも繋がるため、どちらを優先するかによって、チームとしてどう収支をプラスに持っていくかという狙い、考え方が反映されると思っています。
17年シーズンから18年シーズンにかけて、各チームどのような狙いを持っていたかここでは細かく見ていくことはしませんが、リーグ全体でパス成功率が上がり、ボールを保持し手数を掛けて攻めることにシフトしたことで、結果的に攻撃回数が減りつつも、シュートの場面は割合的にさほど減ってはいないというのは、各チームボールプレーの水準が上がったという証左なのかもしれません。
最後に「被シュート到達率」と「被ゴール率」の散布図。
意外だったのが、被シュート到達率リーグ最小のFC琉球が被ゴール率では、今季ワースト2位という事実。
割合的に被攻撃あたり浴びるシュートは少ないものの、決定機では失点を喫する場面が少なくはなかったということを表しているのかなと。
鹿児島ユナイテッドFCは、被シュート到達率10%、被ゴール率9.2%とほぼリーグ平均に落ち着いているのとは対照的です。
この散布図は、J1、J2でも出力しましたが、左上側に布置するチームの特徴として、攻撃にリソースを大きく振っているというのがあります(J1では横浜Fマリノス、J2ではジェフユナイテッド千葉)。
事実、先日FC琉球の守護神・朴一圭選手が横浜Fマリノスへの移籍を発表しており、所謂「ハイライン」を敷くチームなのではないかなという見立てができそうで...
ただ、実はJ2昇格を決めた両クラブは、昇格に導いてくれた指揮官とは今季限りでお別れするという選択を採りました(琉球を指揮していた金監督が来季は鹿児島を率いる)。
これによって、J2昇格という果実を手にしたスタイルを手放すのか、継続するのか、J2リーグは両チームの動向が注目されるシーズンになると思います。
J3リーグは、新たにヴァンラーレ八戸が加わり、降格となったカマタマーレ讃岐とロアッソ熊本と合わせて18クラブで争われます。
元J2クラブが6つとなる一方、J2への初昇格が2クラブも生まれたことから、新旧の趨勢が入れ替わりつつあるのか、元J2組の復権があるのか、オフ真っ只中ながらも今から混沌とした争いを予感させます。
比較的、J2よりも攻撃的で、J1のようにボールを握るチームが上位に入った2018シーズンでしたが、来季は一体どんなシーズンとなるのか。
また来年、同じようにJ3リーグをデータで振り返られればと思います。
では、また!