2023年まとめ
スケジュール帳でざっと確認しましたが今年はリリイベとかも入れると130くらいどっか行ってたみたいで今年も充実した日々だったみたいです。
今の環境に感謝!手放したくなさすぎる。
さて今年の舞台3選を発表して、2023年の現場をざっと振り返って終わります。時間がないので手短に。
何故なら今月から担当業務が増えたうえに今住んでる家が3ヶ月後閉鎖するから退去を命じられたので。仕事が終わったら管理会社にひたすら抗議メールを送りながら物件を検索しています。
することが多い。
1,脳内クラッシュ演劇 ドラマティカルマーダー フラッシュバック
2023年といえばこの舞台です。何もかもドラマティカルだった。
まず初演は配信で観たので再演こそ行くぞ!しかも大好きBADエンドルートが追加され、キャス変こそしたけれどキャストが以前から拝見していた人でかなり好みの役者さんなので好きキャラを好み俳優がやることで興奮していたら、まさかの主演が変更。代役となったキャストのアー活現場に一ヶ月前に招待で行っていたというなんだか始まる前から縁を感じる現場でした。
追加されたウイトリルートは文句なしの舞台で過激な性描写を演劇で表現する難易度を軽々と越えていました。俳優、演出家の総合芸術でした。
キラル舞台は全て円盤化されておらず、残念ながら2023年12月現在はドマステは配信されておりません。機を待てば再配信があるかと思うのでその時は是非ご覧いただきたい作品です。
不便さを感じつつも稀少性にたまらんものがありますね。
そしてドマステ後はこの舞台に一番貢献し素晴らしい蒼葉の演技を見せてくれた直武くんにお礼をしたくて同時進行していたダンスボーカルグループAVESTのリリースイベントに通い、にわか新規ながらオリコンデイリー1位の瞬間に立ち合わせていただきました。
そしてなおくんともう一人リリイベ通い中に気に入ったまさやくんに度々接触しに行っていたら10月に卒業、芸能界引退という現場通った人が初めて完全にいなくなる寂しさを体験しました。傷は浅いというかないようなもんだけど、でも少しでも客として関わったので悲しかったですね。
そして12月でなおくんとりょうくんも卒業。
出会ってからの展開が早い。
後半AVESTの自分語りになっちゃったけど怒涛の展開を5月から経験させてもらいました。
2,舞台『吸血鬼すぐ死ぬ』
通称「しぬステ」
2.5舞台にはプロジェクションマッピングをふんだんに使用した派手な演出が多いですが、しぬステはどこまでもアナログ。城爆発さえもスモークと照明で演出。
ドラルクの「すなぁ…」は最初の出オチ以降どうするんだろうと思っていたら様々なアナログ手法で表現されていて、くだらないことを真剣にやるおもしろさが約2時間ノンストップでずっと爆笑、集中力が途切れなくて通うのが本当に楽しかったです。
出演者が全員芸達者で、特にW主演の一慶さんと鈴木さんの頭の回転の速さとアドリブ力の強さに驚かされました。
要くんはぶぶおの日替わりを任されていて久しぶりに「さすが要くんだぜ!」という気持ちになりました。
3,劇団時間制作10周年記念公演「哀を腐せ」
2023年度、自分が観た舞台作品の中で群を抜いて素晴らしかった。この作品に出会わせてくれた安西くんに感謝。そしてお声かけされる安西くんの芝居の凄さを改めて感じました。
「どう生きるか」が作品テーマとして掲げられており、親子スキー合宿大型バス交通事故の被害者の会の面々が勝訴後の納会をほぼワンシチュエーションで描くのですが、事故による被害が死者、生存者、後遺症のある生存者、親をなくした子、子を失くした親、事故現場にいた者・いなかった者、と異なる上に家庭事情も全員異なるため同じ事故被害者でも抱えるものが違いすぎて、その歪みから生まれる強い感情が狭い空間内で平行線でぶつかり、登場人物たちの抱えている閉塞感、以前のように人生を楽しめない息苦しさを観客の胸の中に侵食するように入りこんできて重苦しい気持ちさせる巧みさに圧倒されました。
一人一人の感情がリアルで、人生で近いことはあっても登場人物全てと同じ経験をしたことはないだろうに何故こんなにも人の思考や感情を描けるのか驚くばかりでした。
群像劇を描ける人って頭の中が謎すぎる。
人生で舞台の3作品だけ上映会していいよ、と言われたらひとつは「哀を腐せ」選びます。
今年を振り返ると自分の人生に大きな変化はないけれど、少しずつ変わってきていることがあり、またAVESTを通して人生の転機を考えたりして縁って不思議だなーと思うなどしました。
年末の今まさにAVESTメンバーのけいとくんとツイパラが舞台で共演してるのも縁だねー。
勇くん要くんが約3年に渡って常陸院光・馨を演じたホスミュがフィナーレを迎え、一作品目とは役としても役者としても双子の関係性に変化が見えたり、安西くんは30歳にして初のバースデーイベントを開催し、お祝いしつつも彼の役者人生をファンと振り返ったりして、期間は違うけれど活躍を見続けている人の芸能活動の歩みに思いを馳せたりしました。
あと怪談にはまり、今年は怪談イベント行くのがちょっとした目標だったので「今月の宮下雄也」でYoutubeでよく見てた怪談師の話を聞けて労せず目標達成できてラッキーでした。
願わくば今の生活が続いてほしいと思う日々なので、それは今が一番楽しいからそう思えるのだと思います。
平和でいてくれ。
来年も好奇心の赴くままに行動していきたいです。
本年もブログ読んでくださり、ありがとうございました!
よいお年をお迎えください!
しぬステ、とってもとってもとってもとってもとってもとってもとってもとっても、おもしろかったです!!!!!(感想)
芝居も歌もダンスも上手い大御所から中堅、若手まで実力者が集められ、二時間ノンストップでバカバカしいギャグ漫画を舞台に体現すべく全力で駆け抜ける。
その突き抜けた勢いは感動さえ覚えるが、やってることがバカすぎる。(例:野球拳)この街にはバカしかいない。
注目が集まっていた砂になる方法が、プロジェクションマッピングが当たり前になりつつある昨今、全て人力全てアナログでありとあらゆる方法で死んで砂になる。
砂以外にも舞台ではどう表現するのか、可能なのか気になっていたさまざまな吸血鬼たち(例:ゼンラニウム)をすべて人力で演じており、中劇場なのに小劇場のような良い意味でチープさもある表現が原作のばかばかしさに合っており、アナログな手法だからこそ再現度が高くなる、珍しい方向性で見事にマッチした演出だった。
演出も創意工夫が素晴らしかったのですが、しぬステはさらに全キャストの高い技術が相乗効果を生み、ここまでハイクオリティな(ハイクオリティ?)な舞台となりました。ここまでエンタメに振り切って、才能を無駄遣いを見るのは気持ちがいい。贅沢とは浪費。
出演もしてないけど、あまりに全員が素晴らしかったので全キャストのコメントを書いていこうと思います。
よく大楽後にブログが得意なキャストがやるやつ。
ドラルク役 一慶さん
一慶さんだからこそ、しぬステは成り立ったと思います。一慶さんしかできないであろう頭の回転が早すぎるツッコミがアドリブはもちろん固定のツッコミも全て面白い。ただでさえおかしい場面が一慶さんの一言によりさらにおもしろさが倍増し、しぬステはここまでおもしろくなったのだと思います。
舞台にハプニングはつきものですが、一慶さんはそれをほとんど回収しギャグへと変えてしまう器用さがすごい。個人的に驚いたのはウイッグの毛先に砂がついてしまい、客席の笑いで即座に見えないところについているのを感じとって「どこだ?どこについている」と言いながら視界に入らない場所を払った回です。勘よすぎ。
あとジョンを動かすのが上手すぎて、ラストスナァ……のドラルクを心配するジョンが生きているようで見えないのにどうやって稽古つけたのか気になります。やっぱ動画とって感覚で掴んでいったのか?
ロナルド役 鈴木さん
漫画みたいな顔がうますぎる。目玉がでかい。本当にギャグ漫画の驚いた時の顔。セロリで泣いている時の顔が特に好き。けれど冒頭やギルド曲や決める時は主役のセンターに立つべき人のかっこよさがありロナルドの黙っていればイケメンを表せるのは鈴木さんの持ち前の性質だと思いました。顕著なのは舞台上でマイクロビキニからの着替え後、片手を上げて爽やかに笑うところ。
一慶さんのツッコミが目立っていましたが、日に日にラストの「おっぱい!おっぱい!」の声のボリュームがデカくなっていくところやマイクロビキニで尻をわざと客席に向けているなど細かいところで面白いことをやっていて貪欲な一面も知ることができました。
ドラウス役 今さん
吸死アニメは大御所になんて役をやらせてんだよ、というのがアニメならではの面白さだと思うのですが舞台でその役割を担っていたのが今さんでした。わたしは日比谷界隈に詳しくないのですが、歌唱力はもちろん表現力がこんなに高い人にわけわからん歌詞の歌を歌わせているくだらなさが最高に贅沢でした。
気品があってお茶目な点も役そのものでした。
吸血鬼Y談おじさん役 OH-SEさん
大御所になにをpart2。振り付けも担っており、ショーパレっぽい華やかな振り付けで好みでした。Y談曲のジャンプし半回転する振りでスリーピーススーツの背広が綺麗に広がるが美しかったです。変な歌詞だけど。OH-SEさんも立ち振る舞いに品がある人なのでY談でも下品にならなかったのかと思います。
ご本人のことではなく恐縮ですが、個人的に要くんのダンスのキレはあるけど緩急の急急急!て感じで勢い任せ、力任せな点がずっと気になっていたのですが、しぬステではそれがなく、振りと振りが自然につながっていたのでOH-SEさんの振り付けと振り入れ時のレッスンが良かったんだろうな〜と妄想しています。
半田役 吉高さん
お噂はかねがね聞いてましたが、しぬステで見たらそりゃ駆け上がってくるし、これからもっと行くなと思いました。歌の上手さ、スタイルの良さは納得ですがそれ以上にお芝居が舞台を心底楽しみながら演じているのが伝わってきて、い〜い役者だ!と思いました。本役の半田も良かったのですが吸血鬼野球拳大好きの時により一層楽しんでいるのが伝わってきました。
ヒナイチ役 其原さん
「ちんちちーん」(どうしよう……)がかわいくてニタニタしながらオペグラで見てました。ひどい単語を舞台上で叫ばせてしまって申し訳ないな、という気持ちもあるけど演じ方が上手いのでジョンの鳴き声みたいで可愛かったです。クッキーも大変だろうなと思いながらも一慶さんに対抗する姿がかわいくて今日はどう対応するのカナッ…⁉︎とここでもオペグラしました。
フクマ役 寿里さん
ツイートがずっと面白い。本役よりも兼役の方が多い一人でお疲れ様でした。ナギリ以外の兼役は元気なキャラが多かったですが、フクマさんの時は無言の圧がよく出ていて一つの舞台でこんなに色んな種類の演技が見られてよかったです。寿里さんの体格に合わせて作ったらしいバカデカバトルアックスも使いこなしていて前方列で見たバトルアックスは客席まで届きそうなほど迫力満点でした。
サテツ役 重松さん
真面目で優しくて押されると負けちゃう絶対いい人だと初見で伝わってきてキャスティングぴったりでした。客降りの時、要くんと対になっていたのでほとんど見られなかったけどちょっとはにかんだような笑顔がキャラらしくてかわいかったです。ミカヅキくんに絡むところもサテツだけ「眼鏡かっこいいですね」等褒めてていい人だった。
シーニャ役 じゃるさん(鈴木さん)
トートダンサーのダンスをここで見られるなんて…!ゼンラニウムの栄養の行き届いている蔦が顕著でしたが、セロリダンサーの時も公演の後半でターン等足していたり、バックダンサー時は一人だけ動きの優雅さが違うのですぐわかりました。吸血鬼マイクロビキニのダンスショーは野球拳大好きが「驚愕のダンス」「見たこともないダンス」とハードルを上げますがあんな狭い野球拳結界の中で踊りこなすのはさすがでした。シーニャの話が全然出てませんがY談結界曲の時に他の人より足をきちんと寄せて膝を深く折るのがシーニャらしい動きで好きでした。
マリア役 明音さん
かっこよすぎてめろめろ。ドスの効いた低めの声でいうセリフはもちろんかっこいいですが歌声もかっこいい。野球拳でジャンケンに負けた際の絶叫が日に日にデカくなっていき、こんなかっこいい人がリアクション芸で笑いをとりにくるのがしぬステがいかに一筋縄ではいかない舞台だったかを物語っていたかと思います。人間靴下コレクションもイケボでめろめろ。ショットとよく並んでいたので顔がいい二人を同時に眺められて眼福でした。
ター•チャン役 田崎さん
日替わりの天才。要くんの武々夫をおいしくいじってくれてありがとうございました!ター・チャンに楽屋裏の努力をバラされたり、褒められたかと思えばオチでちゃんと罵ってくれたり笑わせてくれる上に双方のファンへの配慮がうまい。てなことをツイートしたらエゴサでみつかったらしくいいねもらってしまって照り。エリが結婚する20個上の金持ちの職業もウィットに富んでいました。PTA、元落武者、遣隋使。もう職業じゃない。
メドキ役 大見さん
本役より兼役の方が多いPart.2。特にIF世界線ナギリ回に入ってからの早替えはめちゃくちゃ大変だったと思います。七変化。兼役のミカヅキくんの方が印象が強いのですがバカが足りませんよ!の時の吹っ切れた笑顔が晴れやかでした。
ホームランバッター役 千賀さん
最年少初舞台と聞いてましたが、ベテラン勢に混じっても立派に演じていたので、また他の舞台で見たいです。出世すると思うので実は彼は初舞台から見てるんだけど〜とタチの悪い古参顔をさせてください。(今、星元くんでやってる)
コユキ役 知念さん
みんな言ってるけど身体能力が高すぎる。他の人とちょっと違うことを言うならY談♪Y談♪の時に頭の位置が全く動かないのが彼女の身体性の高さを物語っていました。
途中までジョンは裏で声を当ててると思っていたので本当に生きているかのように動かしながら声も当てていて、時たまテグス?が絡むのもあったのですが器用に動かしながら解いていて、ドラルクミュージカルではジョンも動かしてスナァ…も曲間にやってプロフェッショナルでした。彼女も本役以外の話になってしまった。
暴々夫役 ウラシマさん
要くんとは旧知の仲で何度か共演があり中劇場2.5舞台で観ているのがちょっと不思議な気持ち。ゼンラニウムの一言がめちゃくちゃ面白くて涙流しながら手を叩いて上向いてガハガハ笑ってしまいました。マジでバカウケしてる時の私は泣きながら仰け反ります。「おじいちゃん」「婦人会」と「ヘヴィメタ」「ラップバトル」「ブルベイエベ」のあまり繋がらない言葉の組み合わせがよかったです。
個人MVP「さて、我はこれから駅前で歯のないおじいちゃんたちとラップバトルをしてくるかのぅ」
ショット役 要くん
中段で一人だけ長文になるのはバランスが悪いしテンションが違うのでトリで。
本役じゃなくて恐縮なんですが、武々夫の日替わりがんばった!!すごいよ!お疲れさま!!!半田の壮大な窓割りから突然素明かりで一人約700人の前に出るあの空気。そして武々夫という名前はあるけどモブキャラ。そこで無音で一人日替わりを任される村上さんからの信頼。初日はどきどきしましたがこんなに演出家に頼られるのオタクやってて誇らしかったです。こういうところがBIG LOVE。さすがはわたしが芸能人として見初めた男。(何様)
田崎さん演じるター・チャンさんのいじりとも相性良くて、日替わり上手い二人が組んだおかげでさらに良くなったのだと思います。最掲になりますが田崎さんは双方のファンに気を配った上でおいしくするのが上手い。
ショットの鉤爪縄殺陣が今までにない武器で複数人いる上で思いきり動かすのは難しかったと思いますが縄がきれいな線を描いていました。リカバリーも上手かったです。衣装のマントも扱いが難しそうだったけどこなしていた印象でした。何をやらせても器用にこなす技量が好きですね。
OH-SEさんへのコメントでも書きましたが、特にメインテーマの「すぐ死ぬ♪すぐ死ぬ♪」時の手拍子は手を叩いた後の溜めからの次の手拍子への動作と力の流れがきれいに外へ流れていたので、要くんの体格と動きを大きく見せる技術(これはおそらく天性だとわたしは思ってます)と振り付け師orダンスレッスンの指示が上手いこと合わさってわたしのみたいもの見ることができました。改めてOH-SEさんありがとうございました。
実は初日入った時は「初見だからおもしろいんだろうな」と思ったシーンが多かったのですが、次の日マチソワしてもおもしろくて、ゲラゲラ笑っていて日替わり・アドリブとしておもしろいところ、変えなくとも何度見てもおもしろいところが常にありエンタメとしてたくさん楽しませてくれたしぬステに通えて上半期の締めとして最高に楽しい公演期間でした。
第二弾があるとするなら、要くんも出してほしいわがままを強く希望していますが、それ以上にW主演と演出は変更なしでお願いしたいです。要くんも出してほしいですが。
最後に完全に日記ですが千秋楽前日に22時過ぎ帰宅すると家の鍵をなくしていて管理会社に電話とメールをし、朝一でまた管理会社に鬼電しスペアを受け取り、爆速風呂着替えで銀劇に向かい、唯一の客降り動線通路席でファンサをもらえたので限界観劇した甲斐を感じました。鍵はその日ご飯食べたお店に落ちてました。
バカエピソードを大楽直前に生み出してしまったのもいい思い出です。なんとかなったのは生存バイアスですが。
技能の高いキャスト陣がその能力をフルに活かして、劇場にきたお客さんのためにばかばかしいことを全力でやるお金でははかり得ない贅沢を味わわせていただき、ありがとうございました。
2023年5月いろいろ
5月はいろいろ見たり行ったりしました。
○脳内クラッシュ演劇 ドラマティカルマーダー フラッシュバック
長すぎたので個別で記事にしました。
脳内クラッシュ演劇ドラマティカルマーダー フラッシュバック感想 - ちわきにくおどる
○舞台 エヴァンゲリヲンビヨンド
換骨奪胎。
設定や登場人物はエヴァと同じ骨組みだが、キャラクターの性格やストーリー展開が別物で、でも出汁には確実にエヴァが使われている!といった感じでした。エヴァライト層なので楽しめたのかも。人によるとは思いますがディープ層もエヴァらしさとは、エヴァとはなんなのかを考える一つの経験となりそうでした。
COCOON PRODUCTION 2023『舞台・エヴァンゲリオン ビヨンド』リハーサル映像 - YouTube
演出はリハ映像を見てもらえればわかるのですが一幕はほぼ30°近い八百屋舞台の上で行われます。二幕になると坂を作っていた大道具の裏側の骨組みが学校内の教室以外の場所になったり、NERV(ではない)の地下への通路になったりします。
エヴァの表現は役者をワイヤーアクションで吊り上げ、エントリープラグ内に見せ、その背後で人形のエヴァ機を複数人で操り、動きを同調させることで行われます。
このワイヤーアクションが一番すごかったのは主演の窪田さんで三半規管の強靭さを見せつけるほどに高速で回る回る回る。前方列だったので頭上近くまで飛んでくる。
ワイヤーアクションだけでなくダンスも素晴らしく、肉体言語の語彙力が高すぎてマスメディアトップクラス役者の実力を目の当たりにしました。
演技力の高さは映像作品では知っていても、ビヨンドのような機会がなければ彼の身体能力の高さを大勢の人が知り得なかったのかもしれないと思うと勿体ないどころではないと思います。
また原作でいうところのミサトを演じた石川さんのコンテも素晴らしかったです。
ダンスも芝居も表現力の強さが上手さだと捉えているのですが、両者は方法が別物なのでどちらもできる役者は稀有な存在なので今回知ることができて本当によかったです。まあわたしが浅学なだけですが。
アンサンブルのダンサーのコンテは世界レベルのプロなので体の構造が異次元すぎて、人ならざる者を表現するには言語のいらないダンス表現が一番だと改めて思いました。
演出として気になったのは後半になると、今裏で転換してるんだとわかってしまう繋ぎのダンスが集中力を削いでしまうのが惜しかったです。これは完璧さを求めるが故の感想です。
○流行パトロール
こちらはどちらかというと4月のWキャスト要くん回の方が観た回数が多かったのですが、5月の勇くん回も観たしおもしろかったので感想を残しておきます。
冒頭の長すぎるTM Networkからの松田さん演じる仕事が長くなり勘もセンスも鈍くなった直人が出掛ける前にキャップを正面に直して暗転するアバン前での流れがOPとしてわくわくさせてくれました。
社会人であればどんな職種でも通じるものがあり、観劇趣味のオタクなら趣味で創作活動する人も多いと思うので刺さる箇所が多かったと思います。
センスは不確定要素である限り不安は一生ついて回るもので、だからと言って諦めたわけでもなく好きなもの、自分のセンスを信じつつも割り切って仕事に挑む姿は、大人ならではの現実味がありながらも明日の仕事もがんばろうかなと一歩踏み出させてくれるラストシーンでした。
真面目な話をしましたが一番楽しんでたのは夢の中のTM Networkを演じるあたって見せてくれた要くんの異様なキレでした。場面が違ったらかっこいいと思うかもしれませんが、あの場ではとにかく異質でおもしろすぎました。
○『HUNTER×HUNTER』THE STAGE
キャスティングが上手い。そういえばネルケはキャスティングの会社でした。思い出した。
最年少で経歴も少ない15歳の大友くんですが、がちがちの実力派に脇を固められても謙遜なく上手く、押されない強さを持っているのに10代特有のフレッシュさが共存するのは今この時しかない!!と言った感じでナイスキャスティングでした。
他のキャスト陣のハマり具合は想定内で(はるちゃんのヒソカなんて絶対見たいよ)でしたが、周知の実力でもやっぱり観てて気持ちよさを感じさせてくれるのは期待値を越えているからかと思います。
久しぶりに小越さんのお仕事を見たけれど歌舞伎の見栄みたいに決まる殺陣の動きが見ていて爽快感を感じさせるほどでした。テニミュ2ndの全立試合を思い出して、癖は強いかもだけどやっぱり気持ちいいんだよなー、と懐かしい気持ちになりました。
サトツさんの第一次試験のシーンはタップ音メインの音楽にするなど「正解!」と言いたくなる演出ばかりでしたが、圧巻されたのは最終試験でのイルミとキルアの対峙です。
甚大さんの歌唱力と繰り返される歌詞、音楽、照明、演出の全てがきれいに折り重なり、キルアが感じている重圧を客席にいても感じられました。その表現力を持っている甚大さんもすごいけど、その力をさらに演出が惹き立てていて素晴らしかったです。
そこから2幕のゾルディック家訪問にも繋がるし焦点の当て方がよかったです。
舞台だけど歌うまメンツでだいぶ歌ってくれたし、華やかさもあり、原作再現度を重視しながらも舞台ならではの見せ方、まとめ方をしていて原作好きとしても舞台好きとしても満足の観劇でした。
◯舞台『ブルーロック』
アニメ1期を2時間半にまとめたのでハイスピードでブルーロックが履修できる。
巻きのテンポがすごくて、県大会で潔が負けた後叫んでからブルーロックの招待状が届くまでの切り返しが早すぎて「情緒…」。
しかしチーム戦の千切くんが怪我の呪いから解かれてからの熱とスピードがマッチしてどんどん加速していくのがすごかったです。若手俳優の体力と身体性をフルに活かし、劇場ならではの熱を生む舞台を浴び、スポーツ観戦に近い爽快感を味わいました。
凪のトラップをセット段差を上手く利用して見せていたのが印象的でした。
○【Tie LOVE×DisGOONie/AND ENDLESS『もういいよ~We tied an endless love~』】
Tie LOVEさんの演奏と2時間10分ほどのお芝居。
例のごとく詳細が出ないままだったので、軽くあらすじを説明すると、
「この蝋燭に火を灯せば100年、歳をとらずに生きられる」
そんな噂のあるレストランがどこかにあった。
結婚前夜にひとみ(渡辺みり愛)(以下敬称略)と百(中村誠治郎)はレストランで待ち合わせをしていた。ひとみには天使(安西)が見えており、天使は明日ひとみが死ぬこと、この蝋燭に火を灯せば彼女の寿命は101年になると伝えた。だが彼女は火をつけなかった。そして100年が経ち、百の孫であるかさね(田中良子)と噂を聞いて店を訪れた歳月(読み:としき,村田洋二郎)が出会い、堕天使となる契約を天使から持ちかけられたひとみはこの二人の関係を進展させようとする。
こんな感じです。
いつものように時系列がバンバン飛び過去と未来を行ったり来たり。
2週間前なのに安西くんがいつもの通り何するか全く聞かされてません。笑、と話していたのでまぁ長くても90分かなと思ったら演奏時間も含めますが2時間がっつり芝居してくれて、この短期間で仕上げてくるのはさすがのメンバーだな、と思いました。
船のレストランでの演劇は客席とステージが同一となり小劇場とも違う近さでステージと席の高さが同じなので境界が曖昧になるのがおもしろいところで、今回は特にレストランだからできた演出が多かったです。
メインテーブルの他にも壁沿い以外のテーブルにはキャンドルが置かれ、その一つ一つにキャストが火をつけたり、消していったりする場面があり、天使役の安西くんがキャンドルを手に取り消していくシーンは火が消え、キャンドルから伸びた白い煙の線が美しく、安西くんが人ざらなる者に見えた瞬間でした。自分のテーブルに来た時にガン見したらガン見してくれてガンつけ合えたのもおもしろかった。
もう一つよかったのは、キャンドルサービスに見立てて、ひとみと百がテーブルを回っていく演出が終盤にかさねの体を介してですがもう一度会えたひとみと百を祝福する思いが高まって本当に結婚式に参加しているような他人の幸せで心が満たされる気持ちになれました。
そしてクライマックスは天使役の安西くんの合図で全席キャンドルの火を一切に消して暗転するので物語の中への没入感と世界に入り込めた高揚感でレストランだからこその演出として最高のものでした。
舞台以外にLIVEも行きました。
◯MADKID ALLTIME BEST LIVE -Future Notes-
6月にMADKIDさん主催の対バンゲストに決まったのでフォロワーに招待いただきました。
一曲でも多く届けたい、という思いからメドレーにしたりして2時間で30曲近く歌ってくれたのですがめちゃくちゃに踊りながら転調しまくりレベル難の曲をほぼノンストップで、途中衣装替もして、圧巻のパフォーマンスでした。
安定のパフォーマンスを見せたかと思えば最後に昂まって突然客席に降りてしまう、ギャップに心くすぐられました。
縦ノリ楽しい!うしろーまえうしろまえ、まえうしろーまえー!をまたやりたい!
◯AVEST 2ndシングル『Lily Flower』ミニライブ&特典会
ドマステ感想ブログにもちょっとだけ書きましたがお礼も兼ねて、……正直に言うとなおたけくんさんとドマステの話がしたくて何度かお邪魔させていただきました。セトリで曲も結構変わるから新規は色んな曲聞けて楽しいです。
なおたけくんさん、一褒めると十お礼を返してくるので褒めたいマンは言葉をねじ込むのに必死です。
リリイベって本当に大変なので、一枚だけでも買ってくれる人が増えてくれるありがたさをツイパラで実感しているので、蒼葉を演じ切ってくれたお返しを本人と今まで彼を支えてくれたオタクにできればと思います。
番外編 配信
◯ギーツエクストラ 仮面ライダーパンクジャック
要くんが仮面ライダーに出たぞーーー!!!
要くんがライダーになったぞーーー!!!
こんなことってあるんですね!(破顔)
アクションあり、抵抗して叫ぶ、戦いから離脱、音楽への情熱喪失エンドと大好き要素が詰まってて、ハッピーエンドではありませんが笑顔になりました。
◯本能バースト演劇「Sweet pool」
わたしの生涯トップ3に入るであろう舞台作品がミラクルスメイの5月に再配信。
エログロ描写があるので人を選ぶ作品ではありますが、このゲームを舞台化した製作陣・キャストの気概が一目見ていただければわかると思います。
わたしはBLの才能はありませんし、どヘテロですが、人が愛し合う尊さ、人肌の温もり、肌を重ねる心地良さ、官能、それらがない混ぜになる多幸感を感じられるのがキラル作品・キラル舞台だと思います。
また見られてよかったです。
それとこれとは別で恒常配信の希望は送ります。
やはりスプステにおける宇野善弥は巧妙キャスティングが生み出した奇跡だと思います。
主演二人とのスペース同時配信企画もありがとうございました!!
節操なく見えると思いますが、色んなものを見られる、体験できるのは最高!!!
2023年後半も楽しい現場がたくさんあるといいな。
脳内クラッシュ演劇ドラマティカルマーダー フラッシュバック感想
○脳内クラッシュ演劇 ドラマティカルマーダー フラッシュバック
4/30〜5/6 ウイトリ3公演と蓮ルートを1公演
初演が行けなかった+待望のウイトリルート追加ということではりきってチケ取りをしました。
初っ端わたしの物語になりますが、手元に4公演分所持状態で3/21に招待特典のお手伝いでAVESTワンマンにお邪魔した10日後の3/31に蒼葉のキャスト変更発表があり土屋くんに変わったので会社帰りにスマホ見てびっくりした前日譚もあり、偶然とはいえわたしにとって思い出深い舞台になりました。
ウイトリルート初日は期待値爆上がりで観に行きましたが期待通りで期待以上でした。
セックスシーンは初演同様、ダンスとリフト等で表現されるのですが人形のように担がれ、なされるがまま無気力に脱力しているように見えてきちんと身体が頭から足まで真っ直ぐのまま持ち上げられており土屋くんの体幹の強さを感じました。(わたしは体幹の強さが見えると喜ぶ人間です)
トリップが一番好きなキャラなのですが、あの「やっほー」やタメ口など文字で見ると軽いのにダウナーな口調が大好きで磯野さんは淡々と喋るけど棒にならない塩梅が上手かったです。カテコのダンスもトリップのまま適度に力を抜いたキャラとしての踊り方で良かったですね〜。客降りでもキャラ保ってて、またその仕草がいいんだ。
カテコのダンスといえばノイズ役の富園くんのダンスが素晴らしく、緩急のテンポととにかく見栄えが良かったです。みんなと同じ振りに見える範囲内で振りを付け足して映える動きを細かく入れていたのが素晴らしかったです。あと次の振りのギリギリまで前の振りを引っ張ったり、振りと振りの繋ぎに切れ目がなくて本当にきれいでした。見えにくいところで高度なことをやりつつノイズとしての表情と動きを崩さないの器用すぎる。富園くんについて何も知らないので当たり前体操でしたら失礼しました。やはりわたしは映像の情報不足は否めないです。
クリア役の山懸くんもダンスが上手くて、こちらは表現が多彩で踊りで色んな演技を見せて楽しませてくれるダンスでした。日替わりネタも上手かった。
でも一番良かったのはなんと言っても主演の土屋くんの蒼葉です。
上記の通り、再演でチケ発後に主演がキャスト変更。しかも追加ルートがあり6ルートを日替わり公演するので覚えることが多い。それも初主演。全年齢版も発売され、地上波放送アニメ化もしていますが原作は成人向けBLゲームで性描写もあり、何もかもがイレギュラーすぎるなか土屋くんは見事、大役を務めあげ、かわいくてかっこいい蒼葉を演じきってくれました。
個人的に感謝しているのが、暴露(スクラップ)の蒼葉の嵌まり方です。外見の話になってしまいますが、土屋くんの顔の造形がわたしの暴露蒼葉像とどんどんどんドンピシャりなのです。見た目も合う上に、人格が交互に出てくる芝居も切替が上手くて最高。暴露になる瞬間は常にオペグラ。顔が見たいので。
そして一番楽しみにしていたウイトリルートの監禁シーンですが、とっっっっっても素晴らしかったです!!!
リコネ(続編の通称)のストーリーも織り交ぜウイトリの出会いと関係性も描いてくれたのでウイトリ好きとしても嬉しかったです。赤の他人なのに似た格好してる異常性をさらりと話のも好き。
リコネで描かれたウイルス、トリップそれぞれの部屋に行くルートからの3Pで恵比寿顔Wピースでした。一対一でも絡みのシーンはテンポを合わせるのがむずかしいのに、難易度は上がる上に演技も苦しいものが続くので肉体的精神的両方の負荷を負いながらも怯えたお芝居が上手くて逃げられない閉塞感と絶望感を表情と力の入らない四肢で巧みに表現していました。
トリップ贔屓としては最高潮フィニッシュで上半身を担いでいるトリップの顔に手を添えてくれたのに御礼奉ります。あれってウイトリ楽以外でもやってました?記憶に自信がないけど他の回でもやってたらオペラ待機してたと思うので、多分あれが最初で最後ですよね?
カテコ曲もウイトリルートだけ曲を変えていてBADENDの興奮をそのまま保てるのがよかったです。何よりニコニコAI CATCHとの無気力無表情の落差が最高。他のルートできゃわ笑顔で踊るのでウイトリルートでの絶望顔が映えるし、土屋くんの表情作りの上手さがわかりますね。
初めて見た土屋くんの演技がテニミュの伊武だったので「この子、こんなに表現豊かだったんだ!」ギャップにめろめろです。*1
テニスから数年経っているので経験値上がったのもあるかもしれませんが男子、三日会わざれば刮目して見よ。
残念ながら円盤化の予定はないのですが5/28までアンケートが実施されているので、ベリベリCuteなお葉(蒼葉)くんをまた見たい方は再配信のお願いでもいいので一筆したためてください。
わたしも見てないルートがあるのでお願いしています。
何卒よろしくお願いいたします。
けむりの肌に 感想
公式HPよりあらすじ
『澄乃が死んだ…』
久々の電話で理人が言った。 自殺らしい。それで、僕らは集まる事になった。広田理人と長谷部サラサ。 僕らは学生時代、よく4人でいた。あの頃は何をしてたっけ? 少し思い出してみる。澄乃と過ごした… ぼんやりした風景も… 何気ない会話とか…
しばらく会ってなかったら、もう二度と会えなくなった。
「こんな事なら、電話くらいしてやれば良かった…」
僕は澄乃の事が苦手で、大人になって全然会わなくなったけど、 僕は、今やっと、久々に、あの子の事を想ったりする。あの子が死んでからの、残された人らの、その後の話です。
http://kijyooo2013.com/kemuri/
ネタバレしまくりです。
特にラストは配慮なしです。
前半は会話中心で、普通に生きていたら、たまに出くわすイラッとする場面だが事件が起きるようなものではない凡庸な苛立ちをリアルにコミカルに描いていく。銀橋のような円を描く段差と舞台の至るところに置かれた椅子と机のセットを通して、主人公の職場、居酒屋、撮影先、過去の大学生時代と暗転を使わず、台詞を繋いだまま場面転換していくのが巧みでその技巧を楽しんでいた。
※ロビーに置かれた撮影可のセットミニチュア
だが後半の一つ一つを見れば些細なことだがそれらが積み重なり、さらに過去の澄乃との思い出が交わり、茂木が激昂する場面でじっとりと湿っているような不快が恐ろしさと悲しみに変わる。恐ろしさは茂木を演じる安西くんの演技力の賜物だが。(怖すぎて初見は泣いた。最高。狂気を吸えて満足)
それに伴うかのように周囲の環境も悪くなり、俳優の仕事は好転していくのに曇天のままである。
そんななか、澄乃の職場の後輩だったという木南がリモートでもいいから学生時代の友達と彼女の話をしたいと持ちかけてくる。
茂木、理人、サラサと4人でリモートで弔い会が始まると茂木の知らない出来事を彼は知らされる。それは澄乃が彼の出演する戦隊モノの初回をリアルタイムで見ようと二人を誘い、三人で盛り上がりながら視聴したという思い出だった。彼が知らなかったのは当時撮影で忙しかったため話す機会がなかったからであった。
茂木は学生時代、澄乃に告白し友達でいようと振られている。
澄乃が自殺をした日、茂木の元には彼女から電話がかかってきていた。
茂木は電話に出なかった。なぜならバイト先で仲良くなった二十歳の女の子の家までつけていき、カーテンを開けっぱなしのまま着替え始めた彼女を見ながら抜いていたからである。(最悪。気持ち悪い。最低すぎる。満面の笑み)
木南は澄乃に婚約者を取られ、それを職場全員にバラして病んで勝手に死んだ、その話を彼女を知る人全員に伝えたくてこの会を開いたと告げる。
自分が見ているのは、その人の一部分であることは自分が立場によって振る舞いを変えていることから充分に理解しているが、こうして多面的な部分を一度に見せられ、直視させられる居心地の悪さと自分はその人のどの部分を信じているか、いたいかを観劇しながら考えてしまった。
作中半ばで、死んだ人間に対して生前連絡をとっていなかったくせに「もっと会って入れば」「もっと話していれば」と思う生きた人間の身勝手さを見させられるのも良かった。
その時その時で一緒にいて楽しい人としか人間関係を築かないくせに、会わなかったということはそこまで付き合いたいと思っていなかったくせに、なんでもっと会いたかったなんて言えるのだろう。会って話していれば、その人の自殺を止められるほど濃い関係になれたかもしれないと思うのだろうか。生前、希薄な付き合いだったくせに。
このような関係はいくつもあるし、全員と深い関係をしていたら疲れてしまうし自分には無理な話なのであまり思わないようにしている。これは脚本家が観劇者に明確に伝えたいものではないし、わたしが勝手にストーリーをみながら思ったことなのでだが、おそらく観た人の人生の送り方で感じるものはまた変わってくるだろう。
これはこういう話です、問題提起したいのはこの話題です、と明確な意思表示なしに観客に色々汲み取らせるといった面ではこの脚本は非常に素晴らしかった。
わたしは彼女の描いた空っぽのバケツが実はこういう意味だったんじゃないかとわかる終わり方なのでハッピーエンドだと思います。
2022年まとめ
エンタメが戻ってきたな!と感じつつもまだ体調不良などによる延期も中止もあって、あと数年はゆるゆるとこの状態なんだろうなと思う一年でした。
ジャンル問わず、舞台ライブイベントの半券を数えたら96枚でした。
中止なかったら100いってた悔し〜と思ったけど電子チケのイベントが5はあったのでたぶん3年振りに3桁越えたので様式は変わってしまったけど以前の活気を取り戻しつつあるのを実感しました。
個人的事件ですが1月は「天使は桜に舞い降りて」「歌劇桜蘭高校ホスト部」の公演期間が重なり、12月は「はじまりのカーテンコール〜your note〜」「歌劇桜蘭高校ホスト部f」の公演期間が被って2回も一人でダブルスする菊丸になりました。
今年の総括としてお気に入りの舞台3選を発表して締めくくりたいと思います。
1.新テニミュ 2nd stage(レボライ)
新テニミュ2楽しかったが具体的に説明できない。~「なんだか接戦みたいだぜ」「でも何が起きてるか全然わからねぇ」~ - ちわきにくおどる
G10にメロメロ。
中学生キャラに思い入れがありすぎて、高校生に対してあまり感情が動くことが少なかったですが舞台となりベンチワークや芝居で新たな解釈を目の前で観てしまうとコロンブスが新大陸を発見した時と同じくらい世界が変わりますね。
テニミュの方では新キャラ初登場でしか味わえなくなってしまったものが新テニミュで洪水のごとく情報量が流れてくるのでテニミュと出会った頃に近い感覚を覚えました。
あと歌うま、ダンスうまが多い。ただ上手いだけじゃなくて見映えするから楽しかったです。
2.象
登場人物が絶対悪ではなく、リアルな人物像なのにリアルだからこそ不快感が強くて全員嫌いでした。この絶妙なラインを演じる役者陣がすごい。
役者の小林且弥さんの初演出舞台でありながらも中央に舞台を配置し、どの席に入るかで見えるものが違うので毎公演気付きがたくさんあって楽しかったです。
3.本能バースト演劇「sweet pool」
本能バースト演劇「sweet pool」感想 - ちわきにくおどる
本年度映像化熱望No.1舞台。
わたしは円盤めったに買わないし、買っても見ないことが多いので舞台がパッケージ化しないことに対してそんなに悲劇的ではないのですが、スプステだけは…スプステだけは……口伝ではなく映像で伝えてほしい……!!
個人的に宇野さんの善弥がはちゃめちゃに良かったので青9好きで最近宇野さん見てなかった人に見てもらって気持ちを共有してほしいですね。まぁまぁ人を選ぶ内容ですが。
ドマステのように配信でいいので販売してほしいです。お願いします。
色々語りたいですがこれの一言につきます。
中屋敷さんありがとう!!演劇LOVE!!!
いわゆる推し目当てで舞台に行くのがほとんどですが、おもしろいもんは推しの有無に関わらずおもしろいので来年は上手く調整して観たい舞台にたくさん行けるようにしたいです。
ここには上がってないけど推し目当て足を運んだ、「ドロシー」「人生が、はじまらない」「歌劇桜蘭高校ホスト部」「歌劇桜蘭高校ホスト部f」「銀河鉄道のなかで」もおもしろかったです。
ただ3選に選んだ舞台は全て個別でブログを書いているのでそういうことです。
書きたかったけど終演後忙しくてまとまらなくて書き上げられなかったのもあるので全部がそうではないんですが。
今年は上半期におもしろい舞台に当たることが多くて(3選は2〜4月の舞台)、特にスプステが最高すぎたので3月以降は月末に月額サービス解約と共に「今年はスプステがぶっちぎりだな〜」と毎月スプステのことを思い出してました。
最高の舞台に出会えた年でもありましたが、初めて体験するなんとも言い難い舞台にも出会った年でした。
そう、「比翼の人」です。
ネットミームでつまらない舞台を「虚無舞台」「虚無」と呼ぶのですが近年、個人の好みに合わないだけでは??というものも虚無呼ばわりされるのに疑問を持ち始めて、あまりこの言葉を使いたくはないのですがわたしにとっては初めての「虚無」でした。
もう何がつまらないのかわからない。とにかく何もわからない。何を見てるのかもわからない。わたしはだれ。ここはどこ。
でもこの舞台の悪口を好きなだけ言っていいのは全通した人だけだと思うのでこの辺にしておきます。わたしは自分の入った回数だけ悪口を言わせてもらいます。
唯一の利点はこの舞台見た後はなんでも楽しめたことです!
演出といえば今年は且弥さんの他にも、糸川くん・植田くんと、役者としても優秀な現役プレーヤーが出演はせず裏方に回る舞台を観る機会も多かったです。
絶え間なく舞台に出ているのにいつそんな時間があるのか、売れているからこそスケジュール管理や俯瞰で見る能力値が違うのか。とにかくサポートスタッフがいたとは言え初演出にも関わらず見応えある魅力的な舞台を作っていました。(なおさら比翼って一体……となった)
創作物には本人の人間性や価値観が色濃く現れると思っているので、人間性込みで推しているファンなら推しの本質を垣間見えて楽しいたまろうなと少し羨ましくもあり、全く合わないものだった時のことを考えると恐怖でもあり。
好きな演出家がそれほど明確ではないのですが、これまた目当ての役者はなく、強いて言えば主役の阪本さん含めその周辺のキャストが好きだしメインビジュアルはいいし、何より西田演出幕末物なので絶対自分好みだと思い観た「音楽劇まほろばかなた」がわかりやすく西田演出でありながらストーリーがわかりやすくて久しぶりに、西田演出の人が死ぬ前の宴会、登場人物の華々しい死、刀以外の武器で殺陣、爆音BGM、蝉の鳴き声、天丼ギャグ(控えめ)を浴びて快感でした。
演出家のアイコン的な見せ方を知っていると「待ってました!」みたいな高揚感が味わえるけど、知らずに原作再現を求めて観に行くと齟齬がおきるのかもなーということを外野ながらに思った事件もありました。
舞台以外では、カレンダーイベントと数年振りに店頭でのリリースイベントが復活して対面接触がたくさんあってうれしい気持ちもあり、久しぶりにすぎて失敗したりもしました。
禍以降なので仕切りが生まれたことによる弊害(互いにバカデカボイスで話さないといけない)など以前と全く同じではないけど、やっぱり直接会って話せるのはとーーーーーーっても良い!!!!!
上手く話せることの方が少ないけど、直接伝えられた想いやそれに対して直接返してもらえた言葉はファン一人一人のオンリーワンな宝物だと思うのでみんなそれぞれの思い出が増える接触イベントが今年もたくさんあるといいなと思います。
本年も弊ブログをお読みいただきありがとうございました。
良い年末をお過ごしください。
ホスミュʄ感想
きゃー!一年ぶりー!と思いましたが前作は今年1月上演なんですね。
そう考えると結構早いターンで上演してますね。
2時間20分休憩なしでしたが、前半はミシェル王女・後半は体育祭と2つの話で山場を作りつつ、各キャラのホスト部に入るきっかけ・環との出会いを合間に上手く挟み、複数回観ても集中が割と続いて楽しむことができました。
セットも変わり、中央に前後に動くせりみたいな扉付き舞台装置(無知失礼)が場転でさまざまなな印象を与え、ある時はメタに、ある時はコマ枠からキャラが覗き込んでいるように、ある時はキャラクターの心象風景に見えて、客の想像力で補われる舞台ならではの見せ方がたくさん見えておもしろかったです。
後ろに下がって扉が閉じる時に、骨組み中に入ると照明が逆光気味になってキャラクターのシルエットが濃い照明で浮かび上がるのが、二次元的に見えるのが好きでした。
白組作戦室が下がっていく時にいたずらで鏡夜先輩のキーボードを押したのを相手のせいにしてる馨とれんげちゃんがすごいかわいくて顔CPをお許しください……と思いながら見てました。誰に許しを乞うているのか知りませんが。
キャラクターの心象風景とは双子の心の鍵のことなんですが、今まで場転として見えていた扉が中等部回想曲で二人の心の扉になるのが上手すぎて、漫画やアニメではすぐ背景を変えられるけど舞台では同じものを客席に読み取ってもらわなくてはいけないのでむずかしいところがあると思うのですが、ここが一発で伝わってきて、心を閉ざした扉に見えた瞬間がめっちゃ気持ちよかったです。すげー!同じものなのに全然違うものとして見える!!!快!!!
あと体育祭の組み分けで双子が組が別れちゃったのも光は走りながらかわいく拗ねてるのに対し、馨は無言で歩いて扉を開けてるのも二人の心の成長具合が読み取れていいですねえ〜。
あと体育祭の白組ダンスの決めポーズ後、装置が下がると同時に馨くんが舞台からセットの階段に足を乗せるのもいいですね〜。(立ってるだけでかっこいいレベルのどうでも良い感想なので真面目に見なくて大丈夫です)
ここまで読んだ人は気付いたと思いますが、基本馨くん(要くん)のことしか見てないので馨中心の感想になります。
他のキャストの感想もあるけど偏りがすごい。
ストーリー構成は先も述べた通り、前半ミシェル王女メインでハニー先輩過去回、ハニモリ兄弟を合間に挟んで進みます。
前回の一幕はれんげちゃん一人勝ち状態だったのですが今回はあの強烈な同担拒否曲にも負けず劣らずミシェル王女大活躍でした。
可愛くて歌うまなんですが、何より日替わりアドリブが全部違って全部笑いとっていくのが素晴らしかったです。
客席がどうしても女性客が多くなってしまうので、そんななかいい塩梅にボケて笑い声が毎回起きるほど持っていくのでシンプルに笑いのセンスがよい。異性キャストと共演するのも嫌だという人も一定数いる場で(その気持ちは悪いものではない)笑いを取るって本当にむずかしいと思ってたので本当にまじすごい。
前半の締めでハルヒと環のデュエットから一転して「変態お父さんだぁーーー!!」のコメディになるんですがこの「変態お父さん」が何度聞いてもおもしろかったです。
語感の強さもありますが小松くんの演技が上手かったです。
一つの舞台に通っていると初見にしか受けないギャグと日替わりだから受けてるギャグがわかってくるのですが、この「変態お父さん」は台本と演出に忠実に全公演全く同じ言い方にも関わらず毎回おもしろかったので、小松くんの中に環という王道王子系キャラの芯を感じました。ブレずに台本通り演じて毎公演同じ客から笑いを取る王道、主役としての強さみたいなものを垣間見た気がします。
「変態お父さん」以外も環のギャグパートはたくさんあるのですが日替わりすることなく笑いを取っていくので今まで日替わりおもろい奴が優勝!と思っていた自分には新鮮で、こういう魅力や力を持つ人がいるんだなあと目から鱗でした。
本公演で存在感と異才を放っていたのは埴之塚靖睦の熊谷くんのひよこターンでした。
場転繋ぎのパート以上の仕事をしていて大阪公演でも唯一進化し続けたシーンで熊谷くんの高低差のやばい振り切り演技がはちゃめちゃにおもしろかったです。ハニー先輩宇宙人説もすごかった。UFO!UFO!ひーよこ!ひーよこ!
あとスマホ投げる演技がめちゃくちゃうまい。すぐ投げる動作だけでポケットに入れてのはわかるんだけどしまうのが自然で器用でした。
れんげちゃんの歌が体育祭までないので最初は今回はれんげちゃんソロないのかな?とそわそわしてましたが体育祭でたっぷりと魅せてくれてありがとうございます!初日から自然と拍手が沸いててそれはそう!
事前に客降り演出ありとお知らせがあり、てっきり観たことないけどエーステ方式だとテニミュ脳は思い込んでいたので体育祭の途中で客降り始まって初めて見た時はびっくりして、それ以降れんげちゃんの「さぁ次はおまちかねの貸し出し競争ですわ」を聞くと心臓が痛くなってきて頬も熱いなんらかの発作を起こしてました。
ペーパーローズがもらえなさすぎて替え歌を始めた人
期待するのも疲れちゃう
— こがんも (@koganmoko) December 13, 2022
通路最前わたしを満足させられないわ
新規ハイの頃じゃ普通のことなのに
立派な対応の思い出があるからかしら🎶🎶🎶
後半の山場の体育祭は歌とダンスが長丁場で後半に向けてどんどん運動量が増えていくので大変だろうなとは思いましたが、学生時代の学校行事で感じた爽快感が蘇るエモさもあり盛り上げ方を積み重ねていくのがすごく上手かったです。
今回ホスミュ演出の米山さんは夏に安西くん主演で脚本演出舞台「ドロシー」を観たのですが90分休憩なしでどんでん返しが5回くらいあり、演出も巧みですごいテンション上がった現場だったけど、でも原作付きだとわからないからなーとハードル低めにしたのですが、同じくらい演出が上手くてめろってしまいました。演出にめろるって何?
以下、馨くん(双子)のターン。
今回一番嬉しかったのが舞台装置で触れてしまったけど中等部時代の性格悪い時の双子が見られたことです。
顔目当てでどっちの顔でもいい、ってのは確かにひどいけど気持ちを弄ぶのはひどい!でも最高!
光に告白してる時に興味なさげに爪見ているの最高!大阪では前髪いじりも入っていていいね!
要くんは他の舞台でも、興味ない・退屈のポーズは爪を見て表現するのでわたしの中でお決まり好き芝居になりつつあります。
曲も双子の歌唱力を遺憾なく発揮してて、二人とも感情をのせて歌うのが上手いですよね。贔屓なく表現としてキャストの中でも群を上手かった。
曲も90年代後半ジャニーズ曲っぽくて癖になって楽しかったです。
今回のホスミュ全体的に歌謡曲っぽくて耳馴染みがあり、見れば見るほど癖になる曲ばかりで楽しかったです。
歌もいいけどダンスも良くて、というかようそんな勢いよく上半身降ってふらつかずいられるな、という体幹の強さを感じて興奮してました。ウイッグ飛ばないかハラハラするほど全力でした。
大阪のみの小話ですが、一番前の幕裏で早着替えを行なっているのが袖奥のスタッフが照らすLEDライトで影が動くのが上手端に座ると見えてゆらゆら動く影を見ながら、まさに今暗幕の裏で着替えてる!と思って興奮してしまいました。ごめんなさい。
まあ着替えと言っても上着だけなので。許してほしい。
今回一番興奮したのは体育祭前の光に初めて共有されない出来事があってショックを受ける馨くんの「え」ですね。
フィクションでの暗い話、人間の醜い感情を上手く表現しているものが大好物なので、エンタメ色の強い舞台でも僅かな憂鬱要素を吸い尽くして楽しんでいました。
というか要くんの負の感情を立ち姿から表現してくれる芝居が好きすぎる。比嘉公演ベンチから延々と擦り続けます。
中等部時代曲のリフレインもワンフレーズで心象表現を見せてくれるのも最最最高でした。初めて見た時はソロくるか?と期待してしまいました。
ダンスは見せ場でもありましたが体育祭のフィナーレが華やかでよかったです。
本音を言えばもう少し力を抜いて、雰囲気で見せるのを身につけないとこれから体力減っていくから大変になるよ、と思うのですが30で全力で踊ってくれるのはえらいっちゃえらいのでがんばってるなぁと思いながら見てました。
また、ここでも勢いだけで左右にターンして、地軸かな?というくらいぶれてるのに着地はきっちり決めるから体幹の強さを吸えるのでよかったです。いつの間にか体幹フェチに目覚めつつあります。
公演中に気付いてびっくりしたのが白組ダンスで鏡夜先輩を白組で囲んでいる時に膝をつけずにしゃがんでいて、なんで?絶対、膝つけた方が楽なのに。
ホスミュʄは歌、ダンス、芝居の全てで要くんの好きなところを堪能できて最高でした。
二葉の現場として最高の締めでした。
ここからちょっと不平不満愚痴直訴になるので大楽で綺麗に締まった方は気分を害すると思うので読まないでください。
東京楽の熱量が素晴らしかったので大阪初日で東京初日のクオリティに戻ってしまったのがショックで大楽で少し持ち直したけど大阪3公演が東京よりあきらかに下がっていて残念でした。
大楽より東京楽の方が明確に表現はできませんが熱量があって東京楽のクオリティを大阪でも見せて欲しかったです。大阪でやっと劇場で観られた人もいるので、あのクオリティを大阪でも届けて欲しかったし大阪しか入らなかった人にこの位かと思われるのが悔しかったです。
できないことをやれと言ってないし、できるのを知ってるからこそ見せてほしいから言ってるんですよ。
これは誰かを責めているわけではなく全体に対して思うことです。
中学校の顧問みたいなこと言ってる。
だからこそ、そんな中で進化し続けたちかちゃんのひよこはすごかったです。大阪では彼の一人勝ちでした。
間が空いて集中切れたのかなとか、前回大阪中止になったから打てただけで安心しちゃったのかなとか、大阪でも客席埋まらなくて士気が下がっちゃったのかなとか色々思ってしまったので不満があるとしたら、その一点でした。
やる気が出ない時は何やっても出ないから気持ちはわかるんですが。
気持ちとしては東京楽でスタオベしたほうが気持ちよかっただろうなーというのが本音です。
でもそれを持ってしてもホスミュʄは舞台としておもしろかったのでマイナスになりませんでした。
ずっとテンション高く通える現場で楽しかったです。
第三弾があればʄのクオリティでお願いします。