【受験生必見!】第4回公認心理師試験受験レポート
こんにちは、公認心理師の津田です!
今回は、第4回公認心理師試験に関する記事を書きました。
当記事を読めば、試験会場の雰囲気や、当日の流れ、受験時の注意点などが少しわかると思いますので、是非ご覧ください!
※当記事は、第4回試験の受験時の様子について載せたものです。試験会場によって対応が異なる可能性があります。一つの情報程度に考えていただけたらと思います。
目次
試験のスケジュールについて
試験のスケジュールです。
10:00~12:00 午前の試験
13:30~15:30 午後の試験
の、計4時間でした。
とにかく試験時間が長いので、体力的な部分も考慮する必要があります。
試験当日の流れについて
受験会場は、「東京流通センター」という所でした。
以下に、私の当日の動きについて載せます。
8:20頃、最寄り駅到着。そのまま会場入り。
会場までは、思ったより空いていて、自分の席まで比較的スムーズでした。
会場に入るときには、検温・消毒だけで、受験票のチェックなどもありませんでした。
自席につき、しばらく青ペンで間違えた問題の復習&橙ペンで用語チェック
トイレは男性は空いていましたが、女性がとても混んでいました(会場は2階で、他の階のトイレや仮設トイレもあったようです)。
9:20頃、アナウンスが入り、午前の解答用紙&問題用紙の配布。
解答用紙に受験票のシール貼付&受験番号氏名記入。
10:00 午前の試験開始
試験開始までの間に顔のチェックが一度、二度目は試験中でした。
机上に置けるものや、ひざ掛け禁止など、細かいルールがありました。
私は、机上に、時計・シャープペンシル・鉛筆2本・消しゴム2個で、特に注意は受けませんでした。
中には、鉛筆のキャップや鉛筆削りをしまうように指導されている人もいました。
試験開始後1時間経過した時点で、中途退出OKでした。
また、トイレ・水分補給などは挙手をすれば対応してもらえます。その辺は結構気楽でした。
会場は、大きなホールのようなところに、2人掛けのテーブルがずらーっと並んだ会場でしたので、500~1000人はいたと思います。
11:00~11:50、中途退出タイム。
私の会場は、本人確認が遅れた影響で、11:00を過ぎてから中途退出タイムでした。
12:00、午前の試験終了。そのまま5分程解答用紙回収タイム。
試験終了後はトイレ休憩&昼食タイム
昼食は自席で、飲食時以外はマスク徹底のアナウンス
また、人と話をしないようにというアナウンスもありました。こんなご時世ですから、仕方ありませんね。
13:10頃、アナウンスが入り、午後の解答用紙&問題用紙の配布。
解答用紙に受験票のシール貼付&受験番号氏名記入。
13:30、午後の試験開始。午後も本人確認が2回ありました。
14:30~15:20、中途退出タイム。私も15:00頃に退出しました。
退出する人が結構いました。
15:30、試験終了(私はいませんでした)
受験時に気をつけたこと
会場に着いたら、まず、平常心を保てるように、いつも使っていた参考書(青ペン、橙ペン)をさっと読みました。青ペンで過去問を解きながら、頭を試験モードに。橙ペンでは、苦手だった分野のチェックをしました。手を広げすぎると混乱しそうだったので、確認することに重きをおきました。
午前中の試験は、第1問から解くようにしました。誤っているものを答える問題には、必ずチェックを入れました。知識問題については、さっと読んでさっと答えるようにし、事例問題に早めに入るようにしました。迷った問題にはチェックを入れましたが、結局訂正をしませんでした。これは、自分の中で試験前に決めたルールで、最初の直感を大事にしようと思っていたからです。余った試験時間は、マークシートの見直しに使い、途中で退出はしませんでした。ゆとりがあったので、気分転換に、お手洗いに行きました。
お昼休憩は、お腹いっぱいにならないよう、おにぎりを1つ食べて、それで終わりにしました。午前問題の正誤チェックはせず、午前試験と同様に青ペンと橙ペンをさっと読みました。試験開始直前に、ラムネをいくつか食べました。
午後の試験は、事例問題から解きました。これは、午後は頭の疲労が予想されたので、頭を使う事例問題を早めに解こうという作戦でした。模試を解くときも同じように練習していたので、普段通りという感じでした。事例問題を全て解いた後、知識問題の最初から解きました。午後の問題はたしか70分くらいで終わりました。問題とマークシートの確認を2回ほどして、途中で退出しました。
おまけ
以下、私が受験時に感じたことを書いておきます。
- 解けない問題があっても、いちいち気にしない。
目的は満点を取ることではありません。解けない問題は絶対あるので、割り切ることが大事です。
- 頭が疲れてきたら、身体を起こしてリフレッシュ。
試験中は心身ともに疲れます。できるかぎりベストな状態で臨めるよう、リフレッシュも重要です。
-2択で迷った問題は、最初の直感を大事にする。
これは、人によりますが、私は直して結局間違えることが多かったので、訂正はしないようにしました。
- 事例問題は、できるだけ自身の経験から考えないようにする。
経験で考えると、絞り込めなくなる問題もあります。あくまで教科書通り、ルール通りで考えるようにしましょう。
- 会場付近で業者が配布している確認シートは結構使える。
第4回試験に関しては、読んでおくと解けた問題がいくつかありました。
- 絶対に合格する!という強い気持ちを最後まで持ち続ける。
これが1番大事です。強い気持ちは合格を引き寄せます!
いかがだったでしょうか。
この記事を読んでくださった受験生の皆様が、合格することを願っております!
以上、最後までお読みいただきありがとうございました!
【ポイント解説!】公認心理師法 第1条・第2条について
こんにちは、公認心理師の津田です!
・公認心理師試験の勉強が捗らない
・何から勉強していいのかわからない
・公認心理士試験に受かったけど、復習をしたい
そんな方に向けて、今回は、公認心理師法の第1条と第2条に関する記事を書きました。
当記事を読めば、公認心理師法の基本的なところが少しわかると思いますので、是非ご覧ください!
第1条(目的)について
第1条 この法律は、公認心理師の資格を定めて、その業務の適正を図り、もって国民の心の健康の保持増進に寄与することを目的とする。
第1条では、公認心理師の目的について書かれています。
公認心理師の業務の目的は、「国民の心の健康の保持増進に寄与すること」となっており、「カウンセリングの必要な人」とか、「心理的支援の必要な人」に限らない、という点がポイントになっています。
第2条(定義)について
第2条 この法律において「公認心理師」とは、第28条の登録を受け、公認心理師の名称を用いて、保健医療、福祉、教育その他の分野において、心理学に関する専門的知識及び技術をもって、次に掲げる行為を行うことを業とする者をいう。
第2条では、公認心理師の業務について書かれています。以下、順番に解説をします。
一 心理に関する支援を要する者の心理状態を観察し、その結果を分析すること。
二 心理に関する支援を要する者に対し、その心理に関する相談に応じ、助言、指導その他の援助を行うこと。
三 心理に関する支援を要する者の関係者に対し、その相談に応じ、助言、指導その他の援助を行うこと。
四 心の健康に関する知識の普及を図るための教育及び情報の提供を行うこと。
一は、「心理的アセスメント」のことです。観察や分析を行いますが、診断は行いません。
二は、「要心理支援者への援助」のことです。内容として、相談、助言、指導、その他の援助があげられています。治療という言葉は出てきませんので、注意が必要です。
三は、「要心理支援者の関係者への援助」のことです。要心理支援者だけでなく、その関係者(家族・友人・知人など)にも援助を行います。
四は、「心の健康に関する教育及び情報の提供」のことです。この文言が、「広く一般国民に対する業務」と考えられ、第1条とつながってきます。
第1条と第2条は、基本的には全文暗記することをおすすめします。これは、公認心理師試験対策でもあり、将来公認心理師になった際にも必要であると考えられるからです。
まとめ
練習問題
以下の文章を読み、空欄に当てはまる言葉を答えましょう
問題の直後に解答を入れました。スクロールに気をつけてください!
問1【第1条】
この法律は、(1)の資格を定めて、その業務の適正を図り、もって(2)の(3)の(4)の(5)に寄与することを目的とする。
解答
1.公認心理師 2.国民 3.心 4.健康 5.保持増進
問2【第2条】
この法律において「公認心理師」とは、第28条の登録を受け、公認心理師の名称を用いて、(1)、(2)、(3)その他の分野において、(4)に関する(5)及び(6)をもって、次に掲げる行為を行うことを業とする者をいう。
解答
1.保健医療 2.福祉 3.教育 4.心理学 5.専門的知識 6.技術
問3【第2条 一】
心理に関する支援を要する者の(1)を(2)し、その(3)を(4)すること。
解答
1.心理状態 2.観察 3.結果 4.分析
問4【第2条 二・三】
心理に関する支援を要する者に対し、その心理に関する(1)に応じ、(2)、(3)その他の(4)を行うこと。
心理に関する支援を要する者の(5)に対し、その(1)に応じ、(2)、(3)その他の(4)を行うこと。
解答
1.相談 2.助言 3.指導 4.援助 5.関係者
問5【第2条 四】
(1)の健康に関する(2)の普及を図るための(3)及び(4)の提供を行うこと。
解答
1.心 2.知識 3.教育 4.情報
以上、最後までお読みいただきありがとうございました!
【録音テープで不安を軽減!】場面緘黙児の支援方法について!
こんにちは、公認心理師の津田です!
「クラスに場面緘黙の子がいるんだけど、どんな支援をしたら良いかわからない」って方、いませんか?
そんな方に向けて、今回は場面緘黙児の具体的な支援方法に関する記事を書きました。
- 場面緘黙児への具体的な支援方法について知りたい!
- 学校でできることって何があるかな?
- 声を録音するってどうやってやるの?
本記事では、場面緘黙児の具体的な支援方法の一つとして、声を録音するという方法を紹介します。
当記事を読めば、場面緘黙児の具体的な支援方法について知ることができますので、是非ご覧ください!
目次
1.声を聞かれることからスタート
場面緘黙児にとって最終的な目標の一つは、緘黙が起きている場で話せるようになることです。しかし、場面緘黙児の中には、自分の声を聞かれることに対して強い不安や緊張がある子がいます。中には、咳やくしゃみをしない子もいるようです。
そんな中で今回紹介する方法は「えっ、これってあり?」と思う方法かもしれません。
それは、自分の声を録音し、それを周りの人に聞いてもらうという方法です。
2.論文の紹介
ここでは2本の論文を紹介します。
植村・永井・本田・三鈷・桑原・濱口・櫻井(2008)らの研究
9歳の女児に対し、自分の声を他者に聞かれることに慣れ、不安を軽減することを目的として「テープ課題」を導入しています。
女児が自宅で朗読を録音し、それをプレイルーム内で再生するというものです。次第にその状況に慣れ、プレイルームで朗読を録音したり、プレイルームのドアを開けたまま録音ができたりしたとのことです。
この研究では、他にもいくつかの指導を同時に行っている(挨拶課題など)ので、このテープ課題がどれほどの効果を示したのかわかりませんが、不安を軽減するという目的は果たしたと考えられています。
Blum,Kell,STARR,Lender,Bradley-Klug,Osborne,& Dowrick(1998)らの研究
学校や地域など、対象児が話せない場面で、録音テープを流すという介入を行ったところ、3名の児童に対して成果が見られたようです。
3.支援の注意点
録音テープを流すという介入は、一定の効果が得られるようですが、注意点があります。まず、録音テープを流すことに対して、本人の同意を得ることです。植村ら(2008)の研究では、女児の好きなタイミングでテープを再生するようにしています。
また、Blum et al.(1998)の研究でも、子どもが録音テープを作ることを拒否することもあり、必ずしもうまくいくわけではないと報告しています。
以前、世界仰天ニュースという番組で、場面緘黙児の話が取り上げられていました。そこでは、家庭での様子を録画し、それを本人の同意を得ずに学校で流すというすごい方法をとっていました。偶然にもうまくいったようでしたが、そのようなやり方はおすすめできません。
一方で、学校では声を出さないと評価のできない項目もあります。歌唱、九九の暗唱、音読などがそうでしょう。もちろん、やり方を考えれば声を出さなくても評価は可能ですが、もし、本人と同意をとれたら、録音して担任の先生に聞いてもらうという方法も、検討してみる価値はあるかもしれません。
4.まとめ
最後に、今回の内容についておさらいしてきましょう。
- 場面緘黙児の支援方法の一つとして「声を録音する」という方法があります。
- 成果の上がっている研究がいくつもあります。
- この支援方法を導入する際には、まず本人の同意を得る必要があります。
以下に、紹介した論文についてあげておきます。
参考にした論文
以上、最後までお読みいただきありがとうございました!
場面緘黙児の支援方法【話せる場面を増やそう!刺激フェイディング法について】
こんにちは、公認心理師の津田です。
「場面緘黙児の具体的な支援方法がわからない・・・」と悩んでいませんか?
そんな方に向けて、場面緘黙児の具体的な支援方法についての記事を書きました。
- 場面緘黙児の具体的な支援方法について知りたい!
- 刺激フェイディング法って何?
- 学校でできる支援について知りたい?
本記事では、「場面緘黙児に関わっている人向け」に、刺激フェイディング法を用いた支援について説明をします。
当記事を読めば、場面緘黙児に対する具体的な支援方法について少しわかると思いますので、是非ご覧ください!
目次
1.場面緘黙の具体的な支援方法
場面緘黙の支援については、色々な人が色々な方法で取り組んでいます。これが絶対に有効であるという方法はなく、子どもの実態に合わせて支援方法を検討していくのが現状です。
例えば、行動療法や、遊戯療法、箱庭療法など、いろいろな方法を用いた研究や実践が報告されています。
今回は、行動療法の一つである、刺激フェイディング法を用いた支援について紹介します。
2.刺激 フェイディング法の紹介
場面緘黙児に対する支援方法として、有効性が高いと感じているのが刺激フェイディング法です。
場面緘黙児であれば、少しずつ刺激を入れたり(fade-in)刺激を取り除いたり(fade-out)しながら、話せる場面を増やしていくという方法です。実行条件が揃えば、この方法は非常に有効であると考えられます。
例えば、学校の中で、お母さんと2人きりなら話せるお子さんがいたとします。そこへ、学校の先生が扉の向こうにいる状況でも話せるようにしていきます。次第に、扉を開けた状況や、先生がそばにいても話せるようになるように支援をしていきます。
実際には、話せる状況や緊張の少ない場面から支援をしていくことが重要です。
2.子どもの安心できる場面から始める
場面緘黙児は、特に学校で話すことに対して、困難さを抱えていることが多いです。そのため、学校の日常生活場面で話せるようになることを目標とすることが多くなります。刺激フェイディング法では、まず、子どもの安心できる場面で話せるようになることから始めます。
学校であれば、子どもから安心できる場所(例えば、放課後の教室や、誰もいない空き教室)を聞き、そこで安心できる相手(例えば、とても仲の良い友だち、保護者や先生)と話せるようにします。話せるようになってきたら、次第に場所を変えたり相手を増やしたりして、最終的に教室での指導をします。
とてもざっくりですが、徐々に刺激を増やしていくことがポイントです。
3.般化の困難性
この方法は、有効な手立てに見えますが、一方で般化の困難性を抱えています。般化とは、あるところでできたことが、他のところでもできるようになることです。
例えば、刺激フェイディング法で考えると、放課後の教室で話せるようになったけれど、教室で話せるようになるという保証はないのです。放課後の教室で話せるようになったとすれば、それは刺激フェイディング法の有効性を示していますが、最終的な目標にはたどり着けていません。また、学校外で指導を始めた場合(例えば、通級指導、大学等の指導室)、さらに般化しにくいのではないかと考えられます。
とはいえ、この方法は非常に有効であり、時間はかかるものの、成果を出している実践研究も多々あります。
もちろん、普段の学校生活場面で話せるようになることがベストですが、そこにたどり着けなかったとしても、刺激フェイディング法で話せる場面を広げていくことは、場面緘黙児にとっては意味のあることだと思います。
まとめ
最後に、今回の内容についておさらいしてきましょう。
- 刺激フェイディング法とは、刺激を入れたり取り除いたりして、話せる場面を増やしていくことです。
- 話せる場面が増えていっても、最終目標にたどり着けないこともあります。
以下に、参考となる論文や本を紹介します。
刺激フェイディング法を用いた論文
加藤哲文・小林重雄・財部盛久(1981)中度精神遅滞児の選択性緘黙反応に対する行動療法的アプローチ.行動療法研究, 7 (1), 2-8.
園山繁樹(1992)行動療法におけるInterbehavioral Psychology パラダイムの有用性-刺激フェイディング法を用いた選択性緘黙の克服事例を通して-.行動療法研究,18,1,61-70.
松村茂治. (1992). 場面緘黙児の発話行動の般化を促進するための学校場面におけるフェーディング法の適用 (資料). 行動療法研究, 18(1), 47-60.
松村茂治. (1998). クラスのなかの場面緘黙: 緘黙児とクラスの子どもたちとのふれあい. 東京学芸大学教育学部附属教育実践総合センター研究紀要, 22, 75-91.
趙成河・河内山冴・園山繫樹(2019)場面緘黙を示す幼児に対するクリニック型行動的介入の初期段階における刺激フェイディング法及び随伴性マネジメントの適用.障害科学研究,43,183-192
刺激フェイディング法について書かれている書籍
松村茂治(1994)教室でいかす学級臨床心理学.福村出版.
刺激フェイディング法の理論や、場面緘黙児の指導実践について書いてあります。
以上、最後までお読みいただきありがとうございました!
公認心理師試験過去問解説(事例問題編)その1【行動分析学編】
こんにちは、公認心理師の津田です!
「公認心理師試験の過去問解説がよくわからない・・・」と悩んでいませんか?
そんな方に向けて、今回は行動分析学系の過去問解説の記事を書きました。
- 行動分析学の問題の解き方がわからない!
- 事例問題を解くときのコツが知りたい!
- どうやって解いたらいいの?
本記事では、「過去問をやってみたけど、よくわからない人向け」に、実際に過去問を解説しながら、解答のポイントについて説明をします。
当記事を読めば、行動分析学の事例問題が少しずつ解けるようになると思いますので、是非ご覧ください!
一般問題を解きたい方は、こちらをどうぞ。
目次
1.喫煙行動のアセスメント(第4回問137)
30歳の男性A、会社員。喫煙をやめたいが、なかなかやめられないため、会社の健康管理室を訪れ、公認心理師Bに相談した。Bは、Aが自らの行動を観察した結果を踏まえ、Aの喫煙行動を標的行動とし、標的行動の先行事象と結果事象について検討した。
先行事象が、「喫煙所の横を通ったら、同僚がタバコを吸っている」であるとき、結果事象として、最も適切なものを1つ選べ。(第4回試験問137)
① 喫煙所に入る。
②タバコを吸う。
③同僚と話をする。
④自動販売機で飲み物を買う。
⑤コンビニエンス・ストアでタバコを買う。
注
標的行動:目標とする行動のこと
解答のポイント
今回の問題は、ポイントが2つあります!
1つ目は、問題文を三項随伴性の枠組みに当てはめることです。これができれば、ほぼ確実に解くことができます。
※ちなみに、三項随伴性の枠組みに当てはめることを、ABC分析ともいいます。
(ここから先の文では、ABC分析という言葉を用いていきます。)
では、今回の事例について、問題文にABC分析してみましょう!
A先行事象(きっかけ):喫煙所の横を通ったら、同僚がタバコを吸っている
B行動:喫煙する
C結果事象:???(問題の解答)
図にすると、以下のようになります。
ここまでできれば、ほぼ解答にたどり着けます。
2つ目のポイントは、喫煙をなかなかやめられない=行動パターンの「○○の強化」である、ということです。
やめられないということは、正の強化(良いことが起きて、行動が増えている)か、負の強化(悪いことが除去されて、行動が増えている)のどちらかであると考えられます。
ですから、喫煙所に同僚がいるとき、喫煙をすると、良いことが起きるか、悪いことが除去されるはずです。
選択肢を見ていきましょう。
①の「喫煙所に入る」は、喫煙をするのに喫煙所に入っているはずなので、話の流れがおかしくなります。
②の「タバコを吸う」は、行動の「喫煙する」と同義なので、結果事象に入るとおかしくなります。
④の「自動販売機で飲み物を買う」は、先行事象と行動とは無関係(同僚の有無や喫煙の有無の影響を受けない)なので、結果事象にあてはめるとおかしくなります。
⑤の「コンビニエンス・ストアでタバコを買う」は、例えば、先行事象が「タバコをきらしている」ときに、それに対する行動であれば成立します。ですが、コンビニでタバコを買うのは、同僚の有無の影響を受けないので、正答にはなりません。
③の「同僚と話をする」は、まさに「同僚が喫煙所にいるときに、喫煙をすると、良いことが起こる」に当てはまります。
同僚がいる喫煙所という先行事象によって、喫煙という行動が起こり、結果として同僚と話ができる(良いことが起こる=刺激の提示)という流れになります。
まさに、正の強化ですね。
2.行動の前後に着目しよう!
話が少しそれますが、行動の前後(先行事象と結果事象)に着目することで、なぜその行動が続いているのかを見出すことができます。
今回の事例問題であれば、喫煙所に同僚がいるとき(先行事象)に、同僚と話ができる(結果事象)から、喫煙をする(行動)ということです。
例えば、身近な事象でいえば
電車に乗るとき(先行事象)に、空いている(結果事象)から、8両目に乗る(行動)。だから、8両目に乗るのをやめられない。などがあります。
先行事象・行動・結果事象が、1つの流れになっていることを覚えていてくださいね。
3.まとめ
最後に、今回の内容についておさらいしてきましょう。
- 事例問題を解くときも、まずは三項随伴性の枠組みに当てはめましょう(ABC分析をっしましょう)。
- 結果事象に入るものは「刺激の提示あるいは刺激の除去」であることを意識しましょう。
- 行動の前後に着目することで、行動が続く要因を探ることができます。
少々読みにくい、わかりにくいところがあったかもしれません。
行動分析学の基礎について知りたい方はこちらをどうぞ
公認心理師試験過去問解説その1【行動分析学編】
こんにちは、公認心理師の津田です!
「公認心理師試験の過去問の解説がよくわからない・・・」と悩んでいませんか?
そんな方に向けて、今回は行動分析学系の過去問解説の記事を書きました。
- 行動分析学の問題の解き方がわからない!
- 問題を解くときのコツが知りたい!
- どうやって解いたらいいの?
本記事では、「過去問をやってみたけど、よくわからない人向け」に、実際に過去問を解説しながら、解答のポイントについて説明をします。
記事の後半では、練習問題を用意していますので、合わせてご利用ください!
当記事を読めば、行動分析学の問題が少しずつ解けるようになると思いますので、是非ご覧ください!
行動分析学についてよくわかっていない人は、過去記事も合わせてどうぞ!
目次
1.逃避学習や回避学習(第1回追試問39)
オペラント条件づけで、逃避学習や回避学習を最も成立させやすいものとして、正しいものを1つ選べ。(第1回追試問39)
①正の罰
②負の罰
③正の強化
④負の強化
(注)
オペラント条件づけ:ざっくりいうと、三項随伴性の枠組みで行動が成立していること
正の罰・負の罰:正の弱化・負の弱化と同義
解答のポイント!
4つの行動パターンについて問われているときには、「行動が増えるのか減るのか、刺激が提示されているのか除去されているのか」という視点で解答していきます。
今回の問題で問われている、逃避学習、回避学習とは、ざっくりいうと「嫌なことから逃げる」ことです。
例えば「授業中に、教室を出ると、課題をやらずにすむ」のようなことだと考えてください。
これを三項随伴性の枠組みに当てはめると、以下のようになります。
まず、行動が増えるか減るかですが、嫌なことから逃げているわけですから、当然、行動は増えていきます。嫌なことから逃げることを学習しているわけです。
次に、刺激の提示、除去についてですが、「課題をやらずにすむ」ということは、嫌なことがなくなる、つまり、刺激が除去されています。
刺激が除去されることで行動が増えている、つまり、正解は④負の強化です。
前回の記事で用いた表をもう一度載せておきますので、復習してみてください。
2.練習問題
練習問題を用意したので、是非挑戦してみてください!
次の事象はオペラント条件付けのどれに当てはまるでしょうか。
問1 夕食時に、手伝いをしたら、褒められた。(難易度☆)
問2 家に帰ってきて、お酒を飲んだら、叱られた。(難易度☆)
問3 お店で泣きわめいたら、欲しいものを買ってもらえた。(難易度☆☆)
問4 イライラしているときに、ガムを噛んだら、落ち着いた。(難易度☆☆)
問5 うるさい子がいたので、怒鳴ったら、静かになった。(難易度☆☆)
問6 家に帰ってきて、ゲームを始めたら、おやつがなくなった。(難易度☆☆)
問7 好きな子にLINEをしたら、返事があったので、またLINEをした。(難易度☆☆☆)
問8 飲み屋で「生!」と注文すると、生ビールがきた。(難易度☆☆☆)
解答
問1:正の強化(褒められた=刺激の提示)
問2:正の弱化(叱られた=刺激の提示)
問3:正の強化(欲しいものが手に入る=刺激の提示)
問4:負の強化(落ち着いた(イライラがおさまった)=刺激の除去)
問5:負の強化(静かになった=刺激の除去)
問6:負の弱化(おやつがなくなった=刺激の除去)
問7:正の強化(返事がくる=刺激の提示)
問8:正の強化(ビールがくる=刺激の提示)
全て解けましたか?日常生活を三項随伴性の枠組みに当てはめてみると、すらすら解けるようになると思いますよ!
3.まとめ
最後に、今回の内容についておさらいしてきましょう。
- 問題を解くときには、行動が増えたか減ったか、刺激の提示か除去かを見極めましょう。
- 行動分析学では、同義の語句がいくつかあります(弱化と罰など)。
- 是非、練習問題に挑戦してみてください!
以上、最後までお読みいただきありがとうございました!
☆公認心理師試験キーワード解説☆【行動分析学編】
こんにちは、公認心理師の津田です!
「過去問解き始めたんだけど、行動分析学の問題がよくわからない・・・」と悩んでいませんか?
そんな方に向けて、行動分析学に関する解説を用意しました。
- 行動分析学がよくわからない
- 強化と弱化の違いって?
- 解答のポイントが知りたい!
本記事では、「行動分析学の問題がよくわからない人向け」に、基本的な考え方を用意しました。
当記事を読めば、行動分析学に関する基本的な考え方を理解できるようになると思いますので、是非ご覧ください!
目次
1.行動分析学の基本的な考え方
行動分析学は、ざっくりいうと「行動が起こる仕組み」を考える学問です。
行動分析学では、行動を「先行事象(きっかけ)⇒行動⇒結果事象」の3つの流れで捉えていきます。
この枠組みを「三項随伴性(さんこうずいはんせい)」といいます。
例えば、「おなかが空いたので、ご飯を食べると、おなかがいっぱいになった」という事象を、三項随伴性で表すと、以下のようになります。
なんだ、これでいいの?と思った方もいらっしゃると思います。
大事なことは、ある事象を3つに分けるということです!
これが、行動分析学の考え方で重要になってきます。
2.行動のパターン
三項随伴性で行動を考えていくと、4つの行動パターンが出てきます。
正の強化、正の弱化、負の強化、負の弱化です。
この4つのパターンについて説明をします。
①正の強化
ある行動をした後に、本人にとって良いことが起こるパターンです。
良いこと(刺激の提示)が起こるので、将来的にその行動が増えていきます。
②正の弱化
ある行動をした後に、本人にとって悪いことが起こるパターンです。
悪いことが起こる(刺激の提示)が起こるので、将来的にその行動が減っていきます。
③負の強化
ある行動をした後に、本人にとって悪いことがなくなるパターンです。
悪いことがなくなる(刺激の除去)ので、将来的にその行動が増えていきます。
④負の弱化
ある行動をした後に、本人にとって良いことがなくなるパターンです。
良いことがなくなる(刺激の除去)ので、将来的にその行動が減っていきます。
行動のパターンを言葉で分けると、以下のようになります。
行動が増えた(強化)か減った(弱化)か、刺激が提示された(正)か除去された(負)かで4つのパターンに分けられます。
試験でも問われるところなので、4つのパターンについて是非覚えてください!
3.まとめ
最後に、今回の内容についておさらいしてきましょう。
- 行動分析学では、行動を「先行事象(きっかけ)⇒行動⇒結果事象」で捉えていきます。
- 上記の3つの流れ(枠組み)を三項随伴性といいます。
- 行動には4つのパターン(正の強化・正の弱化・負の強化・負の弱化)があります。
以上、最後までお読みいただきありがとうございました!