令和5年度予備試験論文式試験終わりました

 奇しくも認定考査と同じ時期に実施された論文式試験が終わりました。しばらくは気力が戻らないと思うほど消耗しています。

 実はフルサイズの論文を書くのが初めてというぶっつけ本番でしたから、試験の出来は勿論ボロボロです。延べ12時間以上にも亘る過酷な試験を最後まで気力を失うことなく受け切れたことだけは良かったです。

 それにしても全く書けませんでしたね。無勉強の選択科目以外、手は動きましたが、ただだらだらと私見・感想を書いただけ。「法律論文」の体をなしていませんでした。今回フルサイズの問題を解いてみて、自分に何が足りないのか(何もかもですが)、この試験のボリューム(「予備試験沼」の広さと深さ)がどの程度なのかを知ることができたのは収穫です。

 でも僕の主戦場はあくまで司法書士になることで、予備試験対策はそれに資する限度で法的思考力を鍛えるつもりでやっています。流石に日々の代償が大きすぎて、勉強を継続するかどうかは現状分かりません。当面は中断していた司法書士実務・登記法の勉強に回帰したいと思います。積読本もいっぱいあるし。

 ただ、短答合格から論文直前期にかけての妙なハイテンションと大きな割引があったことで調子に乗って「4S基礎講座」申し込んじゃってるんですよね。アガルートの講座は難しくてついていけなかったけれど、4Sは分かるかもしれないと思って。大枚はたいてしまったし条解だけでもやっておくかなぁ…。

 

 さて一応の結果が出たところで、いよいよ司法書士業界への転職に向けて動いていこうと思います。関西に戻りたいです。

 

以下、論文初受験の雑感(出題内容に言及するレベルにありませんのでご容赦を)

  • 土日の2日間に及び心身とも相当きついです。試験会場の近郊在住でも宿を取って正解でした。
  • 試験中参照できる「法文」がとても読みづらいです。
    • (例)市販の六法と違う点→条文番号が六法なら「第一〇九条」と書いてあるのを法文では「第百九条」と記載されている。六法に比べて「条文の見出し」が目立たないしそもそも記載が少ない。六法のページの余白にある(〇条-〇条)という表示が法文にはないので条文の場所のあたりを付け辛い。また極端に分厚くて取扱いに困る。
  • 「法文」には書き込み禁止というのはやり辛かったです。うっかりマーカー引きそうになります。
  • 東京都の会場ですがあの有名な伊藤塾塾長が激励にいらしてました。初めて生で見ることができました。握手を求めればよかったな。
  • 受験生に中高年が多い司法書士試験とは対照的に若い受験生が多かったように感じました。未来ある若者には夢を掴んでほしいですね。

令和5年度予備試験短答式試験終わりました

 令和5年度の司法書士試験、そして予備試験短答式試験が終わりました。受験された皆さまお疲れさまでした。


 司法書士試験は毎年驚くトピックがありますね。今年は埼玉の会場で停電があったとか。また不動産記述式は複数解の疑義があったり、商業記述式は監査等委員会設置会社が出た上に吸収分割&募株発行という心を折るようなボリューム。
 私は以下のように僅か1点差の合格なので、昨今の鬼のような試験問題では合格しなかったと思います。本当についていました。
 毎年輩出される優秀な合格者に負けないよう、実務を学べないうちは試験勉強を続けなければと改めて思いました。私が司法書士試験に合格して5年になります。試験勉強は法改正を追いかけていくのにもってこいです。

 

R4

基準点

H30

基準点

H30

成績

午前

81(27問)

78(26問)

87(29問)

午後択一

75(25問)

72(24問)

84(28問)

午後記述

35.0

37.0

42.5

総合点

216.5

212.5

213.5

上乗せ点

25.5

25.5

26.5

受験者数

12,727

14,387

-

合格者数

659

620

-

 

 その勉強素材の一つとして選んだ予備試験短答式試験去年は惨憺たる状況でした。その反省から今年は自分なりに相当負荷をかけました。相変わらずフルタイム勤務しながら司法書士試験勉強と同様の負荷をかけたので正直きつかったです。自己採点した結果は以下の通りで、コツコツ頑張った成果が出たようで正直嬉しいです。

 

R4

R5

速報

※成績

民法

26

26

※28

商法

20

30

民訴

16

26

※29

憲法

22

14

行政

8

6

※11

刑法

12

24

※26

刑訴

14

25

※23

教養

21

39

合計

139

190

※200

合格点

159

※168

 民事系、刑事系が伸びたのと一般教養のヤマ勘が当たったのが本当についていました。もう二度とこんな高得点は取れないでしょうね。
 短答式の勉強しかしてないので論文式試験にはもちろん歯が立ちません。10年以上かけて目指した司法書士試験並みの情熱も無いですし。でも白紙答案というのも癪なので1枚くらい書けるよう勉強して論文式試験に臨みたいです。

 試験勉強ができるというのは自分の仕事や健康に問題がないだけでなく、家族にも同様の条件が奇跡的に整わないと叶いません。また自分の力で如何ともし難い社会や社内のことと違って、ただ自分が頑張ればいいもの。有難い世界だなと思います。

 

 でもそろそろ畳の上の水練は終わりにして、実務に出て学んだことを活かしたいですね。

 

※追記 短答式試験合格発表がありました。200点も取ることができて嬉しいです。

あれから色々ありました

令和4年の予備試験短答式試験が終わってから、またも投稿が止まっていましたがその間にも色々ありました。

・父の逝去

 一昨年母を見送ったばかりなのに昨年父も見送ることになりました。あれよあれよという間に両親ともこの世からいなくなってしまって心の整理が未だにつきません。SNSや同期につい愚痴をこぼしてしまいました。多くの方々に励まされて本当にありがたく思います。
 「看取り期」に入ってからは施設の方が面会を許容して下さり、母の時と違って最後の交流ができました。ある日、もう口のきけない父の耳元で「家を建て、家族を養い守ってきた親父のことを心から尊敬している。ずっと忘れないでくれ」と何度も何度も話しました。それを聞いた親父の目に涙が浮かんでいたので、きっと聞こえていたと思っています。別れを告げることができたのは辛かったけど良かったと思います。
 「コロナ禍での面会謝絶」が引き起こした家族分断の悲劇は枚挙に暇がないです。いわゆるクラスターが発生したときの大騒ぎを考慮するとそうせざるを得ない施設側の事情もありましょう。この取扱が厚労省の通達や指示に基づくものかどうか知りませんが、家族分断の悲劇を招いてもなお優先するべき対立利益とは何だったのか、 施策の検証は必要だと思います。

・コロナに罹患

 これまでなんとか罹らずにいたのですが、とうとう罹ってしまいました。
 熱は3日間位で下がったものの咳と怠さが2か月以上続き、実は今も完治していません。発症時に発熱外来に電話するも繋がらず、キットで調べたら陽性。なんとか自力で陽性者登録(MY HER-SYS)したら65歳未満で基礎疾患もないのでイコール自宅療養希望者の扱いらしく、やっと電話がつながった病院にも来院謝絶。薬が貰えないかと思って「自宅療養者支援センター」に電話するも、声の感じ貴方は軽症者なので病院には来ないでくれとのこと。熱で朦朧としている患者自身が、スマホで色々調べたり、身分証明書等の写真撮影を含む陽性者登録作業をしたり、電話をかけ続けた挙句来院謝絶の応答を聞かねばならないのはきつかったです。結局診察を受けられず薬も貰えず、手持ちの市販風邪薬とのど飴だけで乗り切りました。毎月安くない社会保険料を引かれている身としては色々思う所がありますね。

・予備試験対策

 今は心身の調子がいまいちなので少しペースを落としています。あくまで将来の司法書士業務の足しになるように、それまで法律知識が衰えないようにと始めた勉強でした。これがとても有益です。そして合格がいかに困難か、いかに弁護士の先生の法的思考が深いか、よく分かりました。
 30余年銀行に勤めて稟議書を作成してきたためか、僕の作る文書には2つの悪癖がありました。1つは何でもA4一枚にまとめる習性から計表を駆使したり、多少不正確でもインパクト重視のざっくりした文章を書くこと。もう1つは「思料する」「首肯できる」みたいな銀行(役所?)独特の変な言い回しを使うことです。これらは論文対策をする中で初めて気づきました。
 特に前者の悪癖は難敵です。法律家が作成する文書には厳密な論理性とそれに裏付けられた説得力が必要です。長い間「丁寧に論じる」ということをしてこなかったので、文書を書くだけでなく思考も浅くざっくりしたものになっていました。司法書士は裁判所提出書類作成業務以外にも様々な法律文書を作成するでしょうから、今の勉強はきっと役に立つと思います。

・青司協に参加

 関東に越してこちらで青司協に参加させていただきました。各種相談会や研修などに参加して登記業界との繋がりを大事にしたいためです。また大阪との絆も大切にしたいので大阪青年会も退会せずに籍を置かせていただいています。合格者向けの要件事実ドリル改訂のお手伝いができて嬉しかったです。これから徐々に会社から司法書士へ軸足を移してゆこうと思います。僕に何ができるのかなぁ。。。

令和4年度予備試験短答式試験終わりました

 関東に越して半年たちました。大阪に戻りたい気持ちは毎日感じていますが何とか頑張っています。通勤時間が3倍くらいになったのもきついですね。

 昨年6月からアガルートさん「総合講義300」の受講を開始、聞き終わるまでに約1年もかかってしまいました。もちろん演習が圧倒的に足らず、過去問は資格スクエアさんの無料肢別アプリを通勤時にぽちぽちやりつつ、辰巳さんの予備総択模試を受けただけでした。

 結果は伊藤塾さんの速報によると以下の通りの惨状です。

 

あなたの得点

満点

合計

141(→139)※

270

 憲法行政法

30

60

   憲法

22

30

   行政法

8

30

民法・商法・民訴

61(→62)※

90

   民法

26

30

   商法

20

30

   民事訴訟

15(→16)※

30

刑法・刑訴

29(→26)※

60

   刑法

12

30

   刑事訴訟法

17(→14)※

30

一般教養

21

60

 …ひどいですね汗。

 自分の中では働きながら挑んだ司法書士試験直前期とほぼ同じ時間を確保して頑張ったつもりでした。科目の重なっている会社法・民訴法はもう少し取れてると思っていたので特に反省です。

 これまで公法系・刑事系の法律群を本格的に学んだことがなく、今回の挑戦でより広い法領域に触れることができて大いに勉強になりました。例えば登記業務においては主として登記官という行政官吏を相手にしますが、行政法の考え方(法律による行政)は役に立つのではないかなと思います。

 ちなみに司法書士試験では「択一式」というのに、司法・予備ではなんで「短答式」というのだろうと不思議でした。司法・予備では「2つ選べ」という問題もあるからなんですね。個数問題など全肢検討が必要な問題もあり、ほぼすべて組合せ問題だった司法書士試験の択一より解答しづらかったです。あと配布される問題冊子にシールが貼ってあり、試験開始前に中が見られないようになっていたのは司法書士試験等にはない工夫です。手先の不器用な僕はあのシールを破くのがかなり下手で、びりびりやってしまいました笑。

 ともあれお疲れさまでした。ここから天王山の論文式試験に向けてアクセルを踏んでいく皆さまの気力に敬服します。

 

 来年は受験どうしようかなぁ…。

 

※追記:成績表が届きました。得点は速報値を下回り139点でした汗。

偲ぶ

 親が急逝してから時間が経ち、一時期は有料のカウンセリングを活用しながらも少し落ち着いてきました。不思議なことに亡くなってから告別式を執り行うまでの一番キツかった数日間の記憶が所々欠落しています。自分の人生観や死生観・家族観を問われて何が辛いのかわからないほど心が灰色でぐちゃぐちゃだったあの時間、自分が何を思っていたのか後のためにメモしておけばよかったなぁ。

 うまく言語化できないけれど、人ひとりこの世からいなくなるって凄まじいことだという思いと、あっけないことだという思いの両極端な印象がありました。「人は死んだらどうなるんだろう」漠然とした問いの答えは親の死から教わるのかなと思っていたのに、あまりに急逝したので橋を渡る後ろ姿を見つめる暇がなかったです。
 きっと本人はまさか自分がもうすぐ死ぬとは思っていなかったはずです。私が病院に着替えを持っていって看護師さんに渡したとき、ガラス扉を隔てた向こうで親の姿が見えました。トイレに行きたいと、看護師さんと普通に話していたのです。その夕方、医師の話では「心臓が急に止まった」とのことです。(コロナ対策で直接会うことができなかったことが悔やまれてなりません。後から振り返れば亡くなる直前だったその時、一言でも言葉を交わしたかった…。)
 八十数年生きてきて家庭を築き、物心両面の様々なものを世に残したはず。それがある日突然意識を失い、生命を失い、数日後には肉体も失う。なんというあっけなさだろうか…。そしてやがて私もそうなるのです。心の底から死が恐ろしい。と同時に、悩みごとの大半に意味などなく「生きてるだけで丸儲け」なのかもしれないとも思います。

 「相続」はこういう人の死によって引き起こされる。冒頭に記したようなキツすぎる日々を経て遺族は銀行の店頭や司法書士のような専門家のところに辿り着くのですね。店頭でそういうお客様を迎えたとき、枕詞のように添えていた「ご愁傷さまでした」の言葉が口だけだったとよく分かりました。

 死を通じて教えてくれた親の最後の教えを胸に、依頼人に寄り添う専門家になりたいです。

色々ありました

 令和3年の調査士試験に合格して以来、投稿が止まっていましたがその間に色々ありました。

・予備試験の勉強
 銀行の役職定年まであと数年あります。登記業界に転職するまで力が落ちないよう、あくまで生涯学習的に予備試験に挑戦してみようと思いました。
 早速アガルートさんのインプット講義を購入して受講を開始したところ、司法書士試験と予備試験(司法試験)の質の違いを思い知らされました。司法書士試験は知識量勝負で、必要な知識の量は実に膨大です。瞬時に正誤を吐き出す力が問われます。一方、予備試験(司法試験)は知識量に加えて徹底した「論理力」が問われると思いました。知識が曖昧でも択一式試験は解けますが、理解や論理展開が曖昧だと論文式試験は全く解けません。「自分は法律家のモノの考え方・法律文書の書き方を全く分かっていなかった(裁判書類作成業務は司法書士の本来業務なのに)」と大いに反省させられました。まだ民事系しか終わってないですが。
 一方で両登記法の知識喚起も開始しました。田畑先生(辰巳)の「記述式問題集60」と森山先生(LEC)の「ケータイ司法書士(記述式)」を回すのがもってこい。これに加えて「オートマ先例集」(TAC)での知識補充が勉強になりました。

・関東へ転勤
 住み慣れた大阪を離れ東京へ転勤し、親を介護するために実家に戻りました。大阪には司法書士試験合格同期の知己が大勢います。新人研修や青年会での交流もありました。仕事は最前線の店頭現場で法律知識を駆使することができました。日々の生活でも近所の方々に良くしていただき、公私ともに良い思い出ばかりなので大阪を離れるのは本当に辛かったです。

・親の急逝
 介護のために戻ったのにその親が急逝してしまいました。
 親の死は初めての経験で目の前が真っ暗になり、自らの人生観・死生観・家族観を大きく揺さぶられました。人が1人この世から居なくなるとはこういうことなのかと大きな衝撃に襲われたり、葬儀の準備の中で露わになった兄弟間の価値観の相違が大きなストレスになったりしました。またあまりに煩雑な各役所における諸手続きにも茫然としています。「相続」という言葉は現職でも試験勉強でも聞きなれた言葉で、相続ときたら戸(除)籍謄本の収集・相続人全員の確定と合意の確認…と為すべき「作業」が脳裏をよぎります。でも遺族は今私が味わっているようなとてもしんどい状況を経て、やっと銀行窓口や司法書士のところに辿り着くのだと思い知りました。職場でそのような気遣いが出来ていなかった、ご愁傷さまでしたと枕詞として言う台詞が「口だけ」だったと大きく反省しました。
 ときに介護は1日いや数時間と目を離せない状況なので、どうしても急な欠勤や早退遅参を伴います。大きな金融機関ならともかく一般の司法書士事務所や司法書士法人でそれが許されるはずもなく、これでは登記業界への道は当面諦めるほかないと思っていました。なのに親がまるで私の足手まといにならないよう私の背中を押すかのように急逝…。
 今は親の死を受け止められずに頭が混乱しています。安定した銀行員の職を捨てて良いのか。この不景気に、登記件数が右肩下がりの時に登記業界に身を投じるのは無謀ではないのか。ただこのタイミングでの親の死が私に何かを示しているような気もするのです。

 

 そんな状況で今は勉強もストップしています。でも今が人生のターニングポイント・踏ん張りどころかもしれないです。心身が崩れないよう踏みとどまっていきたいと思います。またご縁があって日本組織内司法書士協会や日本登記法学会に参加させていただくことにもなりました。登記業界への道を閉ざさぬよう歩んでいきたいです。

司法書士試験経験者の調査士試験対策

 去る2/12に令和2年度土地家屋調査士試験最終合格者の発表がありました。これでやっと調査士試験卒業になります。例年なら法務局で合格証書授与式があるようですが、コロナ禍の影響か今年は何の案内もないので、おそらく郵送されてくることでしょう。

 調査士試験卒業ということで、特に司法書士試験経験者が調査士試験対策をするときのポイントを記しておこうかと思います。全体として言えることは「民法や不登法について既習であり択一においては確かに有利だけれど、決してなめてはいけない」ということです。
 権利変動の過程を忠実に公示する権利の登記と不動産の物理的現況を公示する表示の登記では考え方が異なる部分があり、頭を切り替える必要があります。そして記述式は司法書士試験におけるそれとはかなり違う、全く未知の作業になります。

1.択一
(1)民法
 民法司法書士試験時代の蓄積があれば十分です。制限行為能力者や代理、177条関係、親族相続あたりは解けると思うので、「条件・期限」「相隣関係」「添付・付合」といった調査士試験でお馴染みだけど苦手という分野があれば思い出しておく位です。
 …と言うものの3問中1問でも落とすと痛いですね。択一は司法書士試験と異なり僅か20問しかなく、1問の重み=1問差にひしめく受験者数が非常に大きいのです。
(2)調査士法
 条文を見れば分かるように調査士法と司法書士法はそっくりです。司法書士法が抜けてしまっている場合はもう一度勉強が必要とはいえ、すぐに思い出せると思います。
(3)不登法総論
 司法書士試験で飛ばした「表示」の部分は未修です。総論は既習と侮っていると痛い目を見ます。流石に「登記識別情報」のあたりは解るものの、しっかり勉強しなくてはなりません。
 各論でもありますが表示登記の大枠として「報告的登記」と「形成的登記」の峻別が非常に重要です。ところが僕はなかなか慣れませんでした。形成的登記と聞くと「共同根抵当権関係」「設立」みたいに「登記が効力要件」という頭があって、そう考えるとはまってしまいます。
 「オンライン申請」では表示登記にしかない特則があったりします。
(4)不登法各論
 司法書士試験での蓄積がありません。土地・建物・区分建物と一から十二分な勉強が必要です。そして司法書士試験対策時とは表題部を見る目が変わってくる筈です。
 各論は区分建物の「敷地権」の理解が天王山でしょう。区分建物は司法書士試験でも何となく苦手な分野でしたが、調査士試験で敷地権をしっかり理解すると、それも「そういうことだったのか」と分かります。こと敷地権の理解に関しては調査士がエキスパートだと思います。
(5)筆界特定
 ここも司法書士試験での蓄積がありません。一から十分な勉強が必要です。因みに認定司法書士は一定額の範囲で筆界特定業務が出来ますが、全く勉強してないですよね。調査士試験の勉強をして良かったです。
   択一は過去問10年分くらいをひたすら回すことで基準点は超えられます。ただ満点近くを目指すとなると、近時の調査士試験において過去問10年分くらいでは不十分ですね。もっと古い過去問や答練・模試等で知識を補充すべきです。僕はたまたま司法書士試験対策での蓄積が役立っただけで、それが無く過去問10年分くらいを回すだけでは満点は無理だったと思います。

2.書式
 司法書士試験での蓄積が一切なく、なすべき登記の決定の次に「計算」「作図」という未知の作業を行わねばなりません。
 この作業の習熟には手を動かすしかないところ、脳内で答案構成できた司法書士試験の記述式と異なり、「計算」「作図」はどうしても一定時間、机に向かって作業しなければなりません。司法書士試験勉強時代に通勤時間等の隙間時間で勉強をしていた人は「机に向かう時間」をなんとか捻出しなければならない、ココが大変です。ドトールの小さな丸いテーブルで電卓と解答用紙と三角定規を広げて作図するのは大変でした。
 予備校を利用するメリットは主にこの記述式攻略にあるでしょう。司法書士試験と同じように「択一で高得点を取り、記述式で安定して基準点を超える力を付ける」それがセオリーです。と言いつつ僕は最後の最後まで記述式は苦手でしたが…。
 作図は三角定規2つを駆使して図面を書きます。座標値計算ではこれまで触ったこともない関数電卓を叩きます。計算においては複素数計算を使う派・使わない派がいて、僕は使う派です。作図に時間がかかり複素数計算で時間を節約しないととても時間内に解けないからです。数値切捨てタイミングの問題で三角関数真数表での計算と複素数計算とで結果がずれる問題もあり得ますが、気にしないで交点計算も含め複素数計算一本でした。僕は基本講義をLECで受講しましたが、複素数計算ではアガルートの講義が群を抜いていました。

 こんな感じでしょうか。参考になれば幸いです。