サウジアラビアはどのような国か
トルコ人記者の殺害で国際ニュースを騒がせることになったサウジアラビア、この国が一体どのようなルーツを持っているか、ご存じの方は少ないかもしれません。
中学・高校の社会科教科書では、「原油が豊かな国」ぐらいのことしか書かれていません。今回は、このサウジアラビアについて、一体どんな国なのか、まとめていきたいと思います。
1. サウジアラビアの基本データ
正式名称:サウジアラビア王国
人口:3228万人
面積:215万平方㎞(日本の約5.7倍程)
民族:アラブ人
言語:アラビア語
アラビア語表記の正式名称は、「アル・マムラカ・ル・アラビーヤ・ッ・スウーディーヤ」といい、「サウード家によるアラビアの王国」という意味です。
宗教はイスラム教のスンニ派が大多数を占めています。シーア派はサウジアラビアでは少数派です。
民族構成は、アラブ人が7割ほどで、その他の3割は外国人です。ちなみに、アラブ人とは「アラビア語を話す共同体」を指します。ルーツは、イスラム教の誕生にまで遡り、イスラム教を信仰し、同じ言葉を話す者としての意識が強いです。私たちがイメージする中東のアラブ人の他に、アフリカ系のアラブ人も存在します。
この民族的な特徴は、ユダヤ人の特徴と瓜二つです。ユダヤ人は、「ユダヤ教を信仰する者」とされていますので、特定の宗教に民族カテゴリーの役割を与えている点がそっくりです。
2.サウジアラビアはいつできたのか
サウジアラビア建国の発端は、意外と新しい年代にあります。サウジアラビアの国王を継承しているサウード家は、1700年台に登場し、アラビア半島地域で他の部族との衝突を繰り返します。
サイード家は、現在のサウジアラビア王国の原型となる国を1902年に建国します。その後、アラビア半島地域の他の部族国家を次々と制圧し、1932年に統一を完了します。ここで、サウジアラビア王国が正式に建国されました。
3. サウジアラビアは昔、貧しい国だった
今でこそ、サウジアラビアといえばオイルマネーで潤っている裕福な国のイメージが強いですが、実は最初から原油で潤っている国ではありませんでした。
現在の原油生産を支えるきっかけとなった油田の発見は1938年のことです。油田が見つかってからも、第二次世界大戦が原因で思ったように開発が進まず、建国から10年程は苦しい時代が続きました。
第二次世界大戦が終結した後、油田開発が本格的に再開され、「石油大国」としての地位を築きあげていきます。1973年の第四次中東戦争の際は、敵対国ならびに敵対国と友好関係のある国に対して、石油輸出をストップする戦略を発動しました。
石油を使った経済・外交戦略により、これに依存する国々はサウジアラビアの行動を否定することが困難になりました。
サウジアラビアは、「コーラン(イスラム教の聖典)」を絶対的なルールとしています。コーランに記載されている内容にそった行動とらなければ、罰せられる社会です。
イスラム教を信仰しているアラブ人にとっては、そこまで苦ではないかもしれませんが、イスラム教を信仰していない外国人にとっては、非常に暮らしづらい国です。
裁判の基準もコーランをもとにしたイスラム法ですので、近代的な司法制度が整っているとは言えません。政治に関しても、イスラム法が第一のルールとなっています。
サウジアラビアの語源からも分かるように、サウジアラビアはサウード家によって建国された国です。そのため、現在でも国政の主要ポストはサウード家によって独占されています。外交上の意思決定もサウード家が主体となって行います。
サウード家に逆らえば干されてしまう、とまでは確証を持って言えませんが、少なくともサウード家と良好な関係を持たなければ国内で高い地位を得ることは厳しいとされています。
この絶対君主制の国と同盟関係にあるのがアメリカです。サウジアラビアはアメリカ軍のサウジアラビア国内での駐屯を認めており、国外のアラブ諸国から非難を受けています。
サウジアラビアとしては、石油の大口輸入国であるアメリカとは良好な関係を持ちたい思惑があります。対して、アメリカも中東地域で即座に軍事行動を取れるよう、サウジアラビアとの同盟関係に前向きな姿勢です。
サウード家がアメリカを国内に招いたことに対して、当時サウジアラビア国内でイスラム聖戦士として活動していたオサマ・ビン・ラディンは憤慨し、後にアメリカ同時多発テロを引き起こします。
政治体制からも分かるように、今回起こったトルコ人記者の殺害に、サウード家が関わっていないと言うほうが無理があります。
残念なことに、日本国内のニュースでは、トルコ人記者殺害についてそこまで報道されなくなってきました。今後のサウジアラビアの行動は、BBCなど外国の主要メディアから集めるしかありません。
米朝関係の進展はあるのか?
8月23日、アメリカのポンペオ国務長官が北朝鮮を訪問すると発表しました。7月の訪朝以来、1ヶ月ぶりです。また、ポンペオ氏に同行して、アメリカの自動車大手フォードの副社長スティーブン・ビーガン氏も訪朝します。
ポンペオ国務長官は、中央情報局(CIA)の長官を務めた経験があります。交渉に長けた人物ということもあり、今回の訪朝で何かしら成果を出したいというのがトランプ政権の意図であることが読み取れます。
というのも、6月に行われた米朝首脳会談から米朝関係に目立った進展が見られない為です。今回、フォードの副社長が同行するのは、北朝鮮が求めている経済支援について具体的な話をするためかと考えられます。
ただ、7月の訪問の際は、金正恩委員長との会談は実現しておらず、今回の交渉でも直接の交渉はない可能性が高いです。
トランプ大統領が本気で米朝関係を改善したいと考えているのか、今回の会談が1つ指標になりますので、注視しなければなりません。