インバル/東京都交響楽団によるショスタコーヴィチSym7
今、世界最高の組み合わせの一つ、と思っている、インバル/東京都交響楽団による、ショスタコーヴィチの交響曲が聞けると、急ぎチケットをとり夫婦で3月20日火曜に東京文化会館に行ってきた。
S席の当日券が一部残っているという、ショスタコーヴィチファンの私には信じられない状況であったが、やはり当日はほぼ満席。
何度もコンドラシンやロジェストベンスキーのCDやLPで聴いていた曲だが、最初は、「上手いけど、心に響かない。」などと生意気におもっていたが、レコードやCDでは気づかなかったスネアドラムの延々と続くリズムや3楽章始めの弦楽器が歌い上げるところなど、徐々にインバルの唸り声も大きくなり、音楽も大きくうねってきた。
今の都響が上手い!、と言っても もはやそんなレベルではないので本当に素晴らしかった。管楽器のソロパート、弦楽器のそれぞれのパートが一つの音にしか聞こえないなどなど・・・。
最後は、拍手が途絶えることがなかった。
日本で、この組み合わせでショスタコーヴィチが聴けることが、本当に幸せだった。
神田 古本まつり
昨日(2017年11月1日)に神田古本まつりを訪ねる。
水曜の昼間(11時から13時まで滞在)にもかかわらず、多くの人が古書店や歩道の屋台に群がっていった。
私は、以下の8冊を購入。
岩波文庫:「追憶(上下)」ゴーリキ、
「ドイツとドイツ人」トーマス・マン
「臨済・荘子」前田利鎌
200円/冊
音楽之友社:「バーンスタインの思い出」 W・W・バートン 500円
新潮社: 「現代音楽を考える」 吉田秀和 300円
読売新聞社:「大拙つれづれ草」 鈴木大拙 600円
無名舎:「脳の探求」 スーザン・グリーンフィールド 300円
少しずつ読んで、感想をアップしていきます。
国立歌劇場でのR.シュトラウス 「エレクトラ」
昨夜(2017年6月26日(月))は、19日に続いて2回目のエレクトラ
作曲:リヒャルト・シュトラウス
演目:エレクトラ
指揮:Michael Boder
エレクトラ:Nina Stemme
クリュソテミス:Regine Hangler
キュリュテムネストラ:Waltraud Meier
オレスト:Alan Held
エギスト:Herbert Lippert
ウィーン国立歌劇場管弦楽団・合唱団
R.シュトラウスのオペラは、「薔薇の騎士」、「アラベラ」、「ナクソス島のアリアドネ」とコメディは大好きだが、エレクトラはほぼ初めて聴く。19日は正面のGalerie(天井桟敷の立見席で聴けたが、今回は油断してゆっくり出かけたところ正面は空いておらず、舞台に向かって左の一番端のGalerie(天井桟敷)。舞台とオーケストラの左側(第一バイオリンや木管、ハープ)は見えないが、逆に指揮者から右側の第二バイオリン、ビオラ、トランペット、トロンボーン、チューバ、パーカッションが直接見え、その分音もダイレクトに聴くことができた。
5月末に家内と聴いた「薔薇の騎士」は、いったい何だったんだろう。歌手、オーケストラともいいところがなくガッカリしたが、今回の「エレクトラ」は本当に素晴らしかった。出ずっぱりのエレクトラは最初から最後まで素晴らしい歌声。オーケストラは、ため息の出るほど艶やかな弦楽器、華やかになりすぎない金管、甘い木管、どれをとってもきらびやか。R.シュトラウスの音楽はどうしてもクリムトの絵を想像してしまう。爛熟した、落日直前の甘く、大きく気怠い太陽のような美しさとはかなさと切なさを感じる。
演出は、以下のYouTube 。なかなかグロテスクです。
ポリーニのショパンとドビッシー
今日、2017年6月18日(日)は、ムジークフェラインでポリーニのピアノ独奏会。
ピアノ:マウリツィオ・ポリーニ
曲:
ショパン ノクターン 作品 27-1
ノクターン 作品 27-2
バラード 作品 47
バラード 作品 52
子守歌 作品 57
スケルツォ 作品 20
(休憩)
ドビッシー プレリュード 第二集 の12曲
ショパンは、曲が進むにつれて盛り上がる構成になっており、徐々に聞いているこちらも集中できた。ピアノには、遠くから見ると”YAMAHA"のロゴが横から見えるように思えて、ベーゼンドルファーの中低音の重厚さともスタインウェイのきらびやかな高音ともことなる中庸なポリーニにぴったりの無色のYAMAHA(このピアノを正式に音楽会で聞いたことはなく、勝手なおもいこみです。)を選んだ、と思い込んでいた。
休憩中にピアノの近くに行って確認すると、しっかり”Steinway & Sons"の名前があり、いかに自分の耳があてにならないか、を思い知った。
ショパンに比べて、盛り上がりに欠けると思われる、ドビッシーの後半が心配...。
後半のドビッシーは、退屈どころか最初から終わりまで息つく暇もない緊張感と迫力で聴衆の心を引き付けた演奏だった。さすがにポリーニが休憩後に持ってきただけある自信のある、迫真に迫る演奏だった。
2015年のN響との共演で五嶋みどりのショスタコーヴィチVn協奏曲を聞いたことを思い出した。ショスタコーヴィチのVn協奏曲はこの日が初めてで、予習も何もせずに聞いたが、出だしから五嶋みどりさんの迫力に息ができないほど。会場全体が固唾を飲んで演奏を聴いていた。私は聞きながら、五嶋みどりさんが演奏中に倒れてしまうのではないか、と思うほど精神を集中した(命を懸けた、と表現する方が当日の私の素直な感想)みどりさんだった。
ドビッシーも、私にはほぼ初めての曲だったが、ポリーニの演奏は一曲一曲の性格を際立させた、変化に富む、とても退屈している暇などない気迫のこもった演奏だった。
アンコールは、おそらくドビッシー1曲とそのあと有名なショパンの曲を2曲(聞いたことはあるが作品名まで覚えていない)。アンコールは、いつものことで演奏者も聴衆も肩の力を抜きながら、決して演奏も聞く方も中途半端にならず集中力を持続しながら楽しめる、とても有意義な時間。3曲もアンコールを演奏してくれて会場はスタンディングオベーションの嵐。
いい演奏会だった。
■
昨日(2017年6月16日(金)は、昨日に引き続きムジークフェライン。
今回は、ヤンソンス/ウィーンフィル。最近、ウィーンフィルには逆の意味で偏見を持ってしまっていて、ブランドが高すぎて演奏内容によらず集客できるので、感動できる気持ちのこもった演奏は聞けないのでは?
前回、そうゆう経験をしたが、今回はヤンソンスに期待。
曲目:ドボルザーク 交響曲第8番
休憩
R.シュトラウス 死と変容
ストラビンスキー 火の鳥
マリス・ヤンソンス 指揮 ウィーンフィル
プログラム構成からして、休憩前にドボルザークで軽く肩慣らしをしたのち、R.シュトラウスとストビンスキーで盛り上げる、との意図と理解。
しかし、私はドボルザークの8番を新たに発見した、といってもいい、これまで聞いた中で最高の演奏だった。出だしのチェロの音、弱音の緊張感。メロディーの歌わせ方。どれをとっても秀逸。私の中のデファクトが、セル/クリーブランドのため、どちらかと言うと、さっそうとテンポよく進む曲、のイメージがあったが、こんなにメロディーが美しく、しかも甘ったるくならない演奏になるとは、予想もしていなかった。最初からグイグイ引き込む演奏となった。
大満足。
休憩後のR.シュトラウスとストラビンスキー。R.シュトラウスは、ばらの騎士やアラベラ、ナクソス島のアリアドネなどのオペラは大好きだが、交響詩は楽しみ方が良くわからず、それほど聞いていないため、私の中のデファクトがないので、多分演奏は素晴らしく良かったと思うが、なじみの薄い曲はどうしても感動が沸き起こってこない。
火の鳥は、どうしてもスベトラーノフやフェドセーエフのロシアの指揮者の演奏がデファクトになっているので、逆に今回のヤンソンス/ウィーンフィルの弦の美しい、均整の取れた、メロディーを歌わせるような演奏は物足りなく感じる。メロディーよりもリズムを強調し、体に響くようなパーカッションでグロテスクな表現。ウィーンフィルにこれを求める、こちらが筋違い。ロベストジェンスキー/ウィーンフィル でストラビンスキーやショスタコーヴィチの演奏が聴けたら面白いのに。(無理な望みは承知の上だが)。
もちろんこちらの好みの問題で、会場は大拍手で、ブラボーの嵐。
良い演奏会だった。
ウィーン大学のオーケストラと合唱団による カルミナ・ブラーナ
今日、2017年6月15日はキリスト教の聖体祭でオーストリアはお休み。
夜 8時からカール・オルフのカルミナ・ブラーナを聴く。
以前(2010年4月)にムーティの指揮で、東京文化会館にて実演を聴いたのが最初。もともとはケーゲル/ライプチッヒ放送交響楽団の圧倒的名演が私の基準になっているので、どうしても上から目線で批判してしまいそうだが、実演は何が起こるかわからないのが楽しみ。
ケーゲルの演奏については、以下のブログが的を射ている?
でも、私にはこれが基準なので他の演奏が物足りなくて…
またもや超お下劣「カルミナ・ブラーナ」決定盤!! ( 音楽レビュー ) - ■めぐみさんが帰ってくるまで頑張らなくっちゃ■ - Yahoo!ブログ
曲目: カール・オルフ 作曲 カルミナ・ブラーナ
指揮:Vijay Upadhyaya
ソプラノ:Vanessa waldhart
C-テナー:Ricardo Fenzel Baudisch
バリトン:Kristjan Johanneson
合唱とオーケストラ:ウィーン大学 合唱団、交響楽団
オーケストラと合唱団が入場してきて、合唱団の数の多さに圧倒される。ムジークフェラインのオルガンのある2階部分全体と両サイドの客席にまではみ出して女声。1階も通常の合唱団の2倍の人数はいそう。女声のボリュームによる迫力は満点。本来この曲の持つ性格上、オーケストラは脇役となりがちだが、今回は断然合唱団主体。打楽器が活躍する曲だが、ティンパニーはまだまだ大きいな音が欲しかった。(すっかりケーゲルに毒されたためか?)
指揮者はインド人のようで、ボリウッド俳優顔負けの踊る指揮者で、なかなか見ているだけで楽しかった。
ソリストの中ではソプラノが素直な通る声で〇。主役級のバリトンも強い個性の要求されるC-テナーも十分な声量がなく、物足りない。
会場は合唱団員やオーケストラの知り合いらしき人だらけ。始まって90分近い連続演奏だったことと立見席の人数がウィーンフィル並みの混雑ぶりで中盤以降は聞いている人が少し緊張の継続が難しかったよう。暑かったせいもあり、話す人、写真を撮る人、紙で顔を仰ぐ人など落ち着かなかった。
でも、これだけのスケールのカルミナ・ブラーナをMusikvereinで聴く経験は今後ないと思われ、貴重な経験となった。
演奏終了後は、指揮者、ソリスト、当然合唱・オーケストラにブラボーの嵐。心温まる演奏会となった。
YouTubeにウィーンフォルクスオーパーの合唱、オーケストラによるおもしろフラッシュモブがあったので貼っておきます。
ÖBB( Österreichische Bundesbahnen)は、オーストリア連邦鉄道の表示。ダンスしている人の制服や券売機にこの文字が見えるので、オーストリアのどこか駅? 少なくともウィーンの国際空港ではないようです。
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同窓会へようこそ ~遅すぎた夏の帰郷....
をたまたま見る。
ネット上では結構評判になっていたようだ。
豊川悦司扮する主人公が20年ぶりに届いた同窓会名簿から、高校卒業以来帰っていない倉敷の街へ帰る物語。
高校生当時つきあっていた彼女(加藤あい)の消息も知らず、同窓会前に一度会いたいと尋ねると、そっくりの娘と会い、病弱な母親の代わりにデートする。豊川悦治と加藤あいのラブシーン、倉敷の街並み、静謐で淡々としかしドラマティックに展開してく内容。時間を忘れて一気に見てしまった。
同窓会へようこそ ~遅すぎた夏の帰郷~ 倉敷 矢掛 児島 下津井 豊川悦司 加藤あい
会社に入った直後から長い間お世話になった倉敷の街。美観地区も蔵屋敷も阿知神社も瀬戸大橋も、すべてが懐かしい。
同時に、父を亡くして4年。父親を亡くした気持ちも重ね合わせて切なく見てしまった。
あらためて、お世話になった人、店、場所にお礼をして帰国後再出発することを誓った次第。
いい映画だった。