志望先研究の方法とやり方
相手(受験先)を知ることから始めよう
インターネットを活用する
民間就活といえば、マイナビやリクナビなどの総合情報サイトがありますが、公務員試験にはそういったものは存在しません。各自治体や官公庁のホームページ内にある職員採用情報ページを1つ1つ見ていくことになります。
参考:東京都職員採用サイト
地方公務員(特別区・都道府県・市)は各自治体のHP内に職員採用情報ページが設けられていますが、国家総合職・国家一般職・国税専門官・財務専門官・労働基準監督官など、試験実施主体が人事院の場合は、国家公務員試験採用情報NAVIに試験情報などがまとまっており、各職種を管轄する各府省のHP内にも採用情報に関する情報が掲載されています。
HPを見ることで、職員採用試験の情報はもちろん、職員のインタビューや採用関連イベント(説明会・相談会など)の情報、またそれらの情報発信をするためのSNS(Twitterなど)へのリンクなどもあります。
採用関連イベントに参加しよう
各自治体や各府省及び期間の説明会は、例年、受験前年の11月〜受験年の4月頃にかけて順次実施されています。
百聞は一見に如かず。ぜひ説明会などの採用関連イベントには積極的に足を運び、生の情報を手に入れておきましょう。採用関連イベントでは集合形式の説明や講演はもちろん、現役職員の方と直接話せる機会が設けられています。せっかくの機会ですから、どんなことでも結構ですから職員の方と直接話してみましょう。何か立派なことを質問しなきゃと思ったりしなくても大丈夫です。きっと職員の方は自分の受験生時代を思い出しながら、飾ることなく色々なお話を聞かせてくれるますよ。
感じたことをノートにまとめておこう
採用関連イベントに参加したら、その時の資料などに直接書き込んだりノートを用意したりして、思ったことをつらつらと書き留めておきましょう。筆記試験対策に疲れてきたときに振り返ってみたり、面接試験の志望動機を練る際の参考になること間違いなしです!
熱意のゴリ押しにならないために
一目惚れなんてありえない
恋愛を経験したことのある方なら、わかりますよね?一目惚れで付き合ったり結婚するというのは、ドラマの中のお話です。
「好きです(職員になりたいです)」という気持ちは、面接試験においては論理的かつわかりやすく、話せなくてはなりません。公務員試験の面接で頻出の志望動機についての質問に対する回答を考える際に、採用関連イベントに参加して感じたことや受験先についての理解度の高さは、志望度の高さをアピールするツールとして、とても有効なものとなります。
第一志望だけでなく併願先も
志望先研究は、第一志望はもちろん併願先も含めて積極的に行いましょう。時にはなんとなく参加した説明会がきっかけとなり、志望順位が変わったなんてこともあります。就職はご縁でもあります。最初から絞り込むのではなく、できる限りたくさんの情報を集めて、幅広く併願受験することをオススメします。
求められる人材像を意識した面接対策
求められる人材像を見てみよう
そもそもどこを見ればわかるの?
公務員試験の場合、求められる人材像はHP・採用パンフレット・説明会の資料・受験案内などに明記されています。
参考:特別区(東京23区)の求める人材像
参考:特別区(東京23区)の面接カードの項目
- あなたの強みは何ですか。また、それをいかして特別区でどのような仕事に挑戦したいか、志望動機を含めて具体的に書いてください。 ※面接の冒頭に3分程度でプレゼンテーションしていただきます。
- 今までに、あなたが最も困難だと感じた出来事はどんなことですか。また、どう乗り越えましたか。
- チームやグループで活動した経験において、あなたの役割と、独自のアイディア等によってどのように貢献したか具体的に教えてください。
特別区はここ数年、「自ら考え 行動する人材」を求める人材像としています。特別区の求める人材像はとても詳細に書かれており、「自ら考え 行動する人材」を聞く・考える・行動する・学ぶの4つの要素で構成されていることがわかります。
また、面接カードの項目を見ると、これらの求める人材像をアピールしやすいように、単なる志望動機や自己PRではなく、特別区職員としての適性に着眼した内容を練るように誘導しようとしている項目が用意されています。
熱意だけでなく適性もアピールしよう
求める人材像と自分をマッチングする
不合格者の多くは、「ちゃんと話せて面接官の反応も良かったのに…」と定型文のような言い訳をしますが、これは熱意のゴリ押しの面接をしてしまった証拠と言えます。面接官は、面接でのやりとりを通じて、受験者の熱意はもちろんですが、人間性や将来性を試しており、さらには職場への適性があるか否かについても、吟味しています。
面接官の期待に応えるためには、熱意をゴリ押しするのではなく、熱意と共に受験先に求められるもの、つまり活躍できる人材をしっかりと理解して、自己分析結果のうち合致する部分をあざとくアピールすることで、マッチングすることが大切だということを忘れないようにしましょう。
受験先研究と自己分析がとっても大切
公務員試験は、どうしても筆記試験対策に要する時間が多いことから、ついつい人物試験対策や情報収集をないがしろにしてしまいがちですが、これでは不合格へまっしぐらです。
ここでご紹介した適性アピールは、まさに愛の告白みたいなものです。男女の愛の告白ならば勢いと熱意でなんとかなるかもしれません。しかし、公務員試験の面接は相手のことをよく知るという点は愛の告白と同じですが、それを論理的に示し、相手(面接官)になるほどと思わせなければなりません。難しいことに感じるかもしれませんが、コツを掴んでしまえば、どんな試験種でも合格を勝ち取ることが可能です。
公務員試験の人物試験は熱意&適性アピールで合格できる
公務員試験の人物試験は2人に1人以上が合格できる
毎年、6〜7月が公務員試験の人物試験ラッシュです。
3〜5倍程度の筆記試験(択一試験・論文試験など)を突破すれば、あとは1.5〜2.0倍程度の人物試験(個別面接・集団面接・集団討論)を残すのみ。そう、2人に1人以上は合格できます。人物試験重視(偏重!?)の民間企業と比べたら、楽勝〜♪なのですが、公務員志望者のほとんどは公務員一本ですから、不安で仕方ないのが現実…でも大丈夫、合格できますから安心してください。合格を勝ち取るために大切なことさえちゃんと意識できていれば、誰でも合格できますので、安心してください。
熱意だけでは合格できない
え?どういうこと?と思うかもしれません。熱意のゴリ押しは、多くの場合不合格になるケースが多いのです。なぜならば、熱意があってもその職場に対する『適性』がなければ、そもそも活躍できません。また、面接官の立場からすれば、辞めてしまう可能性が高いのでは?という不安が残りやすいからです。
熱意に加えて適性もアピールしよう
面接官は職場で活躍できる人材(優秀な部下)を探している
公務員試験の面接官は、多くの場合はどこかの部局の部長さんや課長さんです。つまり、面接のプロではなく、その職場の酸いも甘いも経験し、今は現場の職員を取り仕切っている人たちです。この人たちが何を重要視しているかというと、「このコは将来、この職場で活躍できる人材だろうか」です。
どんなに優秀な受験者でも、職場の雰囲気や気質が合わなければ活躍できませんし、最悪の場合、せっかく採用したのに辞めてしまいお互いに不幸な想いをします。ですから、受験者が優秀かどうかはもちろん、職場への『適性』も大事なポイントとして、評価しようとしているのです。
受験者の評価基準は求める人材像が示している
求める人材像は、たいていの場合はとても抽象的ながらも、その職場で活躍するうえで必須な素養や気質を示してくれていますので、解釈次第でいくらでも自分の自己分析結果とマッチングすることができるはず。しかし、多くの受験者はこれを無視…これでは合格できるはずがありません。
説明会の資料や採用情報を見ると、ほぼ確実に出てくる『求める人材像』、これは必ず意識しましょう。
公務員試験は面接重視の傾向?
よく言われていることですが、正直全ての公務員試験に当てはまるわけではありません。公務員試験は筆記試験(主に教養択一・専門択一・論文)と人物試験(個別面接・集団面接・集団討論)で構成されています。確かに配点比率を見てみると、多くの公務員試験の人物試験の配点は高まる傾向にありますが、倍率を見てみると本当に?と思うはずです。
配点比率と倍率
例1 埼玉県(一般行政)
■配点比率 *平成29年度
筆記試験 300/700
教養択一(100) 専門択一(100) 論文(100)人物試験 400/700
集団討論(100) 個別面接×2回(300)
■倍率 *平成28年度
第1次試験(教養択一+専門択一) 2.7倍
第2次試験(論文+集団討論+個別面接×2回) 2.4倍
配点比率を見ると、確かに人物試験の方が筆記試験よりも100点多く配点が振られています。しかしながら、倍率は筆記試験の倍率の方が高いという結果になっています。
例2 埼玉県(一般行政) 平成29年度
■配点比率 *平成29年度
筆記試験 7/9
基礎能力(2) 専門択一(4) 論文(1)人物試験 2/9
個別面接(2)
■倍率 *平成28年度 行政関東甲信越
第1次試験(教養択一+専門択一+論文) 3.2倍
第2次試験(個別面接×1回) 1.5倍
各府省及び機関の採用試験である国家一般職(大卒 行政)の結果は、配点比率も倍率も明らかに筆記試験偏重です。人物試験重視と言われていますが、未だに筆記試験の特典が合否を大きく左右しているのが、国家公務員試験全般に言えることです。ちなみに、国家一般職(大卒)の第2次試験の倍率は、第2次試験の受験者数が公表されていないことから、第1次試験合格者÷最終合格者数で算出した数字です。つまり、実際には1.5倍以下です。正直、不合格になることの方がムズカシイのです。
民間企業の面接と公務員試験の面接の違い
民間企業は面接倍率が高い
上記の通り、公務員試験の多くは第1次試験の筆記試験の倍率が高く、面接試験は1.5〜3.0倍程度とかなり低くなっています。また、最終合格者を決める際にも筆記試験の得点が影響することから、やはり未だに筆記試験重視の就職試験と言えます。
一方で民間企業の就職試験の多くは、第1次試験として適性テスト(SPIやGAB)を実施しますが、それほど多くはふるい落としません。受験者の多くをふるい落とすのは、第2次試験の人物試験なのです。つまり、人物試験重視の就職試験と言えます。
公務員試験は人物試験の的を射た対策ができる
公務員試験は、本試験実施の約2ヶ月前に発表される受験案内に、人物試験の試験種目や実施のタイミング、また配点比率などが発表されます。つまり、事前に対策するべきことが示されることから、的を射た対策が可能です。また、受験対策予備校などに過去の質問事項・時間・形式・評価ポイントなどの情報が蓄積されていますので、それらを元にした模擬面接を受けることで、本番前にいわばリハーサルをすることができます。
一方で民間企業の就職試験の多くは、人物試験を実施することがわかるものの、具体的な試験種目がわかりません。それ故に、公務員試験とは違い的を射た対策ができないため、一般的な就活対策本の一般的な対策しかすることができません。そして本番をに臨めば想定外の連続…ということもしばしばです。
確かに面接試験重視だけれども
計算が立ちやすく対策もしやすい(情報さえあれば)
上記で見た通り、確かに人物試験重視ではあるものの、倍率や対策方法が確立されていることを考えると、公務員試験の面接試験の対策は情報さえしっかりと入手することができれば、かなり的を射た対策を講じて本番に臨ことができます。正直、民間就活では1つも内定を取れなかった人でも公務員試験の面接なら合格できたという例は数え切れないほどあります。人物試験に自信がない人ほど、公務員試験受験はおすすめと言えます。