行き過ぎた分散投資はデメリットの方が多くなる可能性を秘めている

分散投資のデメリットに関する話題です。分散投資と言うと、アセット、地域、時間、セクターなど幅広いテーマで語られることが多いですが、本記事では中でも個別株の銘柄固有のリスク分散にスポットを当てて考えてみたいと思います。

 

ご存知の通り、分散投資が必要な理由は「すべての卵をひとつのカゴに盛るな」という格言の通り、1つの銘柄に投資すると、その銘柄の資産価値が低下した際のマイナスインパクト、つまりリスクが非常に大きくなってしまう点にあります。

 

そのため、銘柄固有のリスクを分散するために、できる限り多くの銘柄に資金を振り分けようと考える方も多いのではないかと思いますが、話はそれほど単純ではなく、分散投資自体にも逸失利益にも似たデメリットが存在するため注意が必要です。

 

現に私の場合も、米国株銘柄31銘柄に分散投資している状態ですが、そもそも銘柄数も限定的ですし、セクターについても生活必需品を中心に構成するなど、長期的な配当金の最大化を図る上でも、分散投資におけるデメリットの排除に日々頭を悩ませている状況です。

 

そこで今日は、ポートフォリオにおけるリスク回避の常套手段でもある、分散投資にまつわる忘れられがちなデメリットについて、あくまでも個人的な考えをご紹介してみようと思いますので、個別株ポートフォリオの分散に悩まれている方は、この機会に是非ご参考ください。

 

分散投資のメリット

 

まずは、一般的な分散投資のメリットについて改めて簡単におさらいしておきます。先ほども少しご紹介した通り、個別株式ポートフォリオにおける分散投資のメリットは、個別銘柄固有のリスクやセクター毎のリスクを軽減できる点にあると言えましょう。

 

例えば、ここ数年の動きで言えば、ブリティッシュ・アメリカン・タバコ(BTI)やアルトリア・グループ(MO)といった、米国で事業を展開するたばこ銘柄の暴落が挙げられましょう。私も以前保有しており巻き込まれました。

 

これは、米国のFDAのメンソールタバコ規制の強化による2社に対するマイナスインパクトが大きいことに加え、機関投資家をはじめとしたESG投資の流れの中でタバコ銘柄が投資対象から外れたためであり、ほぼ銘柄固有のリスクに近いケースだと言えます。

 

ちなみに、高値からほぼ半値まで下落したブリティッシュ・アメリカン・タバコを使って分散投資の効果を例えるならば、ブリティッシュ・アメリカン・タバコのみに投資した場合は資産全体が約50%の減少、2銘柄のうちの1銘柄の場合であれば約25%、5銘柄のうちの1銘柄であれば約10%の下落で止めることができる、といった形になります。

 

分散投資のデメリット

 

それでは続いて、本題の分散投資のデメリットについて考えます。一般的に、銘柄数が多くなり過ぎた場合、売買にかかる手数料が嵩んだり、管理しづらくなるといったデメリットが指摘されることが多いですが、個人的には大きな問題だと感じていません。

 

それよりも、私が個人的に最もデメリットだと感じるのは、事業内容や業績、さらには経営方針なども含めて考えた場合に、株主にとってよりリスクが少ない(メリットが大きい)銘柄により大きい金額を投資できるにも関わらず、分散のために相対的に劣る銘柄にも資金を振り向けなければならない点です。

 

なお、株主にとってリスクの少ない銘柄とは、あくまでも過去実績や現在の状態を見る限りにおいては、相対的に優良で安定したビジネスを通じて永く利益を稼ぎ続けられる可能性が高く、且つ株主を重視する経営方針を持つが故に株主還元にも旺盛な銘柄のことを指します。

 

要するに、現実問題として集中投資のリスクは存在するものの、その反面上記のように銘柄を分散することによる逸失利益とも言えるリスクも存在するため、単に銘柄数を増やせばリスクが低いという訳ではない点には注意が必要だということです。

 

過度な分散には要注意

 

現在私が行っている米国株31銘柄に対する投資も、どちらかと言うと集中投資に分類されるのではないかと思いますが、それは集中投資のリスクよりも、株主にとっての魅力が劣るであろう銘柄に投資することで被るリスクを避けた結果とも言えます。

 

過去ETFも保有していた時期もありましたが、分散されているとは言え、やはりよく分からない銘柄や、長期的に優良とは思えない銘柄にまで投資していることにどうしても我慢ならなくなってしまったため売却しました。

 

確かに、個別銘柄固有のリスクという点は考慮すべきですが、一方で歴史や実績もあり業界を代表するような銘柄であれば、一時的に固有のリスクにさらされたとしても、長期的に考えれば遅かれ早かれ原状回復できるノウハウも資力も有しているように思えてならないからです。

 

もちろん、1銘柄に全ての資金を投資するのは無謀でしかないため最低限の分散は必要ですが、だからと言って銘柄数を増やせば解決する問題ではないため、改めて今日ご紹介した分散投資のデメリットを踏まえ、保有銘柄の点検ならびに整理をされてみることを、是非おすすめします。

 

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サラリーマンでは得られない株式投資の醍醐味とは

株式投資の醍醐味についての話題です。私も含めてですが、世の中で最も多くの方が従事している職業、サラリーマンの最終目標って何でしょうか?

 

おそらく大半の方は、昇進、最終的には社長というポジションに出来ることなら登りつめたいと、多かれ少なかれ考えているのではないかと思います。

 

それでは、サラリーマンの最終目標でもある社長についてもう少し掘り下げてみましょう。仮に社長になれたとした場合、具体的にどのようなメリットがあるでしょうか?

 

ステータスというものもあるかと思いますが、おそらく一番のメリットは給料ではないかと思います。実際にそこそこ沢山もらえるはずなので、サラリーマンの醍醐味と言えなくはないかもしれません。

 

少し古いデータですが、産労総合研究所が実施した「2015年 役員報酬の実態に関する調査」によれば、社長の平均年間報酬は平均3,476万円のようです。

 

この金額についてどう思いますか?自分がもらえていないくせに生意気ですが、負け惜しみでも何でもなく社長になっても「たったこれだけ?」という印象でした。

 

年収3,000万円以上というと、誰もが得られる年収ではなくほんの一握りでしょうから、それはそれで価値はあるのかもしれません。

 

しかしながら、長年身を削って這い上がって来た上、社長になっても一般的には家庭や趣味等、大半を犠牲にして社長業を全うしなければなりませんし、激務がたたり体調を崩して働けなくなる可能性もあります。

 

しかも、働けなくなったら終わりで、雇われ社長の場合には当然ながら辞めることになるでしょうし、そうなればもちろん収入も維持することは出来なくなります。

 

一番厄介なのは、仮に身体を壊して収入が減ったとしても、高級食材癖、外食癖、高級外車癖、高級洋服ブランド癖、子供の習い事、住宅ローンに至るまで、それまで慣れ親しんだ生活水準は直ぐには落とせないということです。

 

つまり、サラリーマンという職業は、平社員であろうと社長であろうと、自分が働かなければ永続的な収入を得ることは出来ませんし、仮に全てを犠牲にして運良く社長になれたとしても、たった?年収3000〜4000万円程度にしかならないということです。

 

それでは、株式投資について考えてみましょう。株式投資とは、株式保有という形で企業のオーナーになるということですから、社長も含めたサラリーマンとは位置づけが違います。

 

自分がその企業で働かなくても、極端な話、鼻をほじって寝転んでいても、その間も投資した企業の社員の方が一生懸命働いてくれて、毎月利益も稼ぎ出し、資産を増やし、企業価値を高めてくれるだけでなく、利益の一部を配当金として払ってくれる、これこそが株式投資の醍醐味です。

 

例えば、桁違いなのであまり参考になりませんが、ユニクロの柳井さんはオーナーでもあるため年間100億以上、ソフトバンクの孫さんも90億以上と、役員報酬などどうでも良くなるほどの配当金収入を得ているそうです。

 

仮に配当金がなかったとしても、時間を追う毎に企業価値が高まるということは、その企業の値段が上がるということであり、つまりはその一部を保有するオーナーの資産価値が上がるということでもあるので、キャピタルゲインにつながるということになります。

 

優良な銘柄に投資し、時間を十分取ることで、サラリーマン社長になるよりも高い確率で、社長では得られないようなキャピタルゲイン収入を得ることが出来るかもしれません。

 

そうでなくても、連続増配する高配当米国株に投資し、長期的にコツコツと配当金再投資を続けて持株数(配当原資)を増やすことで、柳井さんや孫さんには遠く及びませんが、庶民生活であれば賄えるぐらいのインカムゲインは十分現実的です。

 

もう一度言いますが、サラリーマンのように働かなければ終わりではなく、仮に鼻をほじって寝転んでいても、株式を保有している限り永遠に配当金を払い続けてくれます。

 

しかも、配当王や配当貴族と呼ばれるような米国株であれば、何十年にもわたり配当金を毎年増やし続けてくれるに違いありません。

 

株の事なんかそっちのけで、好きな時間の使い方をしても構いません。子供と公園に出かけたり、好きな本を読んだり、旅行に行ったりしていれば良いんです。

 

最近では、株式投資と言うよりマネーゲームとも思えるような短期トレードが主流になっていますが、改めて株式投資本来の醍醐味を味わいながらリターンを得る、という形について検討いただくことを是非おすすめします。

 

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米国株(アメリカ株)ポートフォリオのご紹介

2021年4月末日時点における、最新の米国株(アメリカ株)ポートフォリオに関する話題です。今月は若干の買い増しのみで特に銘柄を追加することもなく平和な月でした。

 

もうこの先大きく変わらないかと思いますが、引き続き高配当銘柄だけに固執することはせず、ディフェンシブ銘柄を軸に、キャピタルゲインも期待できる銘柄を組み入れるなど、グロース観点も意識したポートフォリオです。

 

ポートフォリオを構成する銘柄の選定基準

 

完全に当てはまる形とまではいかない可能性はありますが、概ね以下のような基準を全て満たす銘柄を優先して投資していこうと考えています。

 

①安定した継続性のある事業内容

 

個別株に関しても、生活必需品やヘルスケアを中心に保有していく方針ですが、他のセクターでも長期的に永く安定した利益の確保が期待できる銘柄については、セクターに関わらず投資していくつもりです。

 

②積極的な株主還元

 

必ずしも現時点で高配当か否かということだけに拘らず、今後の継続性を占う意味でも、伝統的に株主還元に積極的であり、実際に連続増配や自社株買いを長年継続している実績を持つ銘柄群を優先して選んでいます。

 

③各セクターや業種内における優位性

 

各セクターの中でも、ブランド力や販売網など、有形無形問わず何らかの差別化ポイントを持ち、参入障壁を築き上げ、それぞれの市場において相対的に優位な地位にあると考えられる銘柄を選んでいます。

 

銘柄別構成比の目標値

 

基本的には1銘柄あたり最大でも10%以内とし、長期的に腰を据えて保有する銘柄は5%程度、お試し的な投資であったり、比較的リスクの高い銘柄に関しては、1銘柄あたり2.5%以内を目安としています。

 

買い増しについては、保有株から生み出される配当金だけでなく、原則毎月最低10万円以上を給与収入から捻出し、構成比が下がった銘柄や致命的な理由もなく一時的に株価が落ちた銘柄を購入して行くつもりです。

 

最新ポートフォリオのご紹介

 

それでは最後に、現在の米国株(アメリカ株)ポートフォリオを、ドルベースの評価額の多い方から順にウエイトを添えてご紹介します。

 

昨年来、コロナの影響で決算が冴えない銘柄が多かったですが、徐々に回復の兆しが出始めたこともあり現在公表中の決算も全体的に良好で、ようやく我ポートフォリオの春も近づいてきているような気がします。

 

いずれにせよ、長期投資家として、日々の株価に一喜一憂することなく、優良な銘柄をポートフォリオに迎え入れながらじっくり腰を据えて気長に見守って行こうと思います。

 

Sector


  1  Information Technology  21.0%

  2  Health Care  20.8%

  3  Consumer Staples  16.8%

  4  Industrials  14.4%

  5  Consumer Discretionary  12.0%

  6  Materials  6.0%

  7  Financials  5.9%

  8  Communication Services  3.2%


Holding

 
  1  Microsoft Corporation(MSFT)6.2%

  2  Stryker Corporation(SYK)6.1%

  3  Mastercard Inc.(MA)5.9%

  4  Zoetis Inc.(ZTS)5.9%

  5  Church & Dwight Co Inc.(CHD)5.4%

  6  Costco Wholesale Corp.(COST)5.2%

  7  S&P Global Inc.(SPGI)4.8%

  8  McDonald's Corporation(MCD)4.7%

  9  Home Depot Inc.(HD)4.5%

10  McCormick & Co Inc.(MKC)4.3%

11  Roper Technologies Inc.(ROP)4.1%

12  Lockheed Martin Corp.(LMT)3.5%

13  Ecolab Inc.(ECL)3.5%

14  Walt Disney Company(DIS)3.2%

15  MSCI Inc.(MSCI)3.0%

16  ANSYS Inc.(ANSS)2.8%

17  Sherwin-Williams Co.(SHW)2.5%

18  Fair Isaac Corporation(FICO)2.4%

19  Waste Management Inc.(WM)2.3%

20  Canadian National Railway(CNI)2.3%

21  Union Pacific Corporation(UNP)2.1%

22  Procter & Gamble Co.(PG)1.9%

23  Amgen Inc.(AMGN)1.9%

24  Salesforce.com Inc.(CRM)1.8%

25  Walmart Inc.(WMT)1.7%

26  Certara Inc.(CERT)1.7%

27  IDEXX Laboratories Inc.(IDXX)1.7%

28  UnitedHealth Group Inc.(UNH)1.2%

29  Danaher Corp.(DHR)1.2%

30  Becton, Dickinson & Co.(BDX)1.2%

31  Amazon.com Inc.(AMZN)1.1%

 

AUM


$ 324,324



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リーマンショックで検証する米国ディフェンシブ株の下落耐性とは

リーマンショックの株価大暴落時における、ディフェンシブ株の耐性に関する話題です。正直なところ、大暴落の際のことなどできればあまり想像したくないことではありますが、ポートフォリオを組む上では誰もが避けて通れない課題だと言えましょう。

 

一般的にディフェンシブ株は、キャピタルゲインという株式投資ならではの醍醐味が少ない反面、下落局面での守りは強いタイプの株式群だと言えるため、ポートフォリオの中に一定割合組み込むことでリスクを減らすことができます。ただ、本当にディフェンシブ株には下落耐性があるのでしょうか?

 

そこで今日は、主な米国のディフェンシブ銘柄だけを集めたポートフォリオを例に、リーマンショックという大暴落を経験した場合にどの程度下落耐性があるのか、簡単にリーマンショックをおさらいした上で、S&P500指数連動ETFのIVVとの比較を通じて確認してみたいと思います。

 

リーマンショックの大暴落とは

 

まずは、株価大暴落の代表格リーマンショックについて簡単におさらいしてみましょう。リーマンショックとは、2008年9月にアメリカの名門投資銀行のリーマン・ブラザーズが経営破綻したことにより、世界的な金融危機の引き金となった出来事のことを言います。

 

2007年のサブプライムローン問題に端を発した米国の住宅バブル崩壊は、2008年の中旬になって広範囲の資産価格の暴落を引き起こし、2008年9月15日特に大きなリスクを負っていたリーマン・ブラザーズが破綻するに至りました。同じ外資金融に勤める身ですが、あのリーマン・ブラザーズがまさか破綻するとは思ってもみませんでした。

 

2008年3月に発生したベアー・スターンズの経営危機に際しては、政府による救済があったため、市場もまさかリーマン・ブラザーズが破綻するとは思っていなかったためか、リーマン・ブラザーズが見捨てられたことで一気に緊張が高まり、世界的な株式相場の大暴落が起こったという経緯です。

 

S&P500指数連動ETFの暴落率

 

それでは、リーマンショック当時の株価の動きを順に見て行きましょう。まずはS&P500指数連動ETFのIVVです。stooq.comの株価データを用いて、2008年1月2日の株価を100とした場合のIVVの7日間隔の株価Indexを、2009年12月30日までの約2年間についてIndexチャートを作成してみました。

 

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参考までに、Index63となった最初の下落地点がリーマン・ブラザーズ破綻直後の2008年10月9日ですが、これは10月3日の金融安定化法案可決後に始まった暴落の途中段階にあたり、最終的には2009年3月3日にIndex48と半分以下の水準まで大暴落することとなりました。

 

米国株のみのETFとは言え、一般的には広く銘柄分散されたポートフォリオであるはずのS&P500指数連動型であったとしても、リーマンショックのような100年に一度と言われる歴史的大暴落の前では無力であったことが分かります。

 

ディフェンシブ株ポートフォリオの下落耐性

 

それでは本題の、ディフェンシブ株を集めたポートフォリオ7種における評価額の動きについて、IVVとの比較を通じて確認してみましょう。この7種ポートフォリオに関しては、各銘柄に対して均等に投資する形で全体の評価額、さらにはIndex値を算出しています。

 

ポートフォリオ7種

 

①コカ・コーラ(KO)

②プロクター・アンド・ギャンブル(PG)

③ファイザー(PFE)

④ジョンソン・エンド・ジョンソン(JNJ)

⑤エクソン・モービル(XOM)

⑥アルトリア・グループ(MO)

⑦ゼネラル・ミルズ(GIS)

 

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最初の暴落地点に関しては、IVVの63に対してポートフォリオ7種は81と、IVVに比べ約半分の下落幅しかなく、さらに最も大暴落した2009年3月3日に関しても、IVVの48に対して68と、ここでも大幅に少ない下落率を誇っていることが分かります。

 

一般的に、リーマンショック級の大暴落が発生した際には、株価が半分になると誰もが口を揃えて言いますし、実際にS&P500指数連動のIVVでさえも半分以下になったにも関わらず、ポートフォリオ7種に関して言えば、3割ほどの下落にしかならなかったということです。

 

以上から考えると、リーマンショックの大暴落時について言えば、鉄壁と言えるかどうかは別として、今回のディフェンシブ株ポートフォリオはそれに相応しい守備力を十分発揮したように思いますが、いかがでしょうか?

 

ゼネラル・ミルズのディフェンス力

 

今回検証したポートフォリオ7種の構成銘柄の中でも、相対的な株価パフォーマンスにおいてあまり良いところがないことが多いゼネラル・ミルズですが、今回リーマンショック時の株価の動きを調べる過程で脅威のディフェンス力が発覚したため、若干本題からは外れますがこの場を借りてご紹介します。

 

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先ほどのグラフに、ゼネラル・ミルズを緑色の折れ線で加えましたが、第一の暴落地点では下がるどころか1月2日の株価100を上回っており、最大の暴落地点でも88と本当に大暴落の最中なのかが分からなくなるほど少ない下げ幅です。ゼネラル・ミルズとは思えないほど逞しく頼もしい株価の動きではないでしょうか。

 

何となくイメージでは理解していたつもりですが、ここまで高いディフェンス力を持つとは思いませんでした。普段は冴えない印象ではあるものの、ある意味これが食品株の売りであり強さとも言えるため、ポートフォリオの一部に食品株を組み込むことの重要性をしみじみ痛感します。

 

銘柄(+α)毎のチャート比較

 

続いて参考までに、ポートフォリオ全体としてだけでなく、7種の各銘柄それぞれについても、当時の株価の動きを同じように以下にグラフ化してみましたので、興味のある銘柄についてピンポイントでご参考下さい。

 

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一般的には暴落に強いとされている銘柄としては、コカ・コーラ、プロクター・アンド・ギャンブル、さらにはジョンソン・アンド・ジョンソン等だと思いますが、それらの代表的なディフェンシブ銘柄と比べても、ゼネラル・ミルズが頭一つ抜け出す暴落耐性を見せています。

 

なお、グラフにはありませんが、同じくリーマンショック時に強かったことで有名なマクドナルドに関しても、個人的な知的好奇心から調べてみたところ、最初の暴落地点が90、最大の暴落地点ではゼネラル・ミルズ同様に88という素晴らしい成績であったことを参考までにお伝えしておきます。

 

最後に

 

以上、リーマンショックを題材にして、ディフェンシブ株のディフェンス力を再確認してみましたが、皆さんのポートフォリオは、大暴落の際どのような動きになりそうかイメージされていますか?

 

特に株価の好調な時は、どちらかと言うとリスクを取ってリターンを上げることしか考えませんが、そういういい時にこそ、万一暴落した場合の守りについても考慮しておく必要がありましょう。

 

是非この機会に、単なる心の準備だけでなく、100年に1度と言われるリーマンショックを題材にして、自分のポートフォリオのリアルな下落幅を確認し、今の形で精神的に耐え得るのか、もしくは銘柄を入れ替える必要があるか否かを、冷静に判断できる今の段階で一度ご確認いただくことをおすすめします。

 

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配当再投資戦略というスタイルを選ぶに至った4つの理由

数ある投資の形の中で、私が配当再投資戦略という手段を選んだ理由に関する話題です。私は米国(アメリカ)の優良株に対する配当再投資を軸とした長期投資を行っていますが、誰もがこの方法に魅力を感じるかと言えばそうとも限りません。

 

例えば、個別株でなくETFやインデックスファンドへ投資する方、グロース株によりキャピタルゲインを狙う方、株式ではなく債券に投資する方など、投資の形は様々であるべきです。

 

なぜなら投資というのは、それぞれの投資する目的、知識や経験の深さ、さらには投資家が置かれている状態など、各投資家の状況に合う方法を選ぶべきものだからです。

 

そこで今日は、数ある投資スタイルの中で、私が敢えて配当再投資戦略という形を選んだ理由について、あくまでも個人的な考えを4つほどご紹介してみたいと思いますので、同じような状況や志向を持っている方は是非ご参考ください。

 

配当再投資は結果的に勝てる可能性が高い

 

一般的な投資家における株式投資とは、大きく勝つための手段であることが多いかと思いますが、私の場合は若干異なり、それほど大きくなくとも勝てる確率、もしくは負けない確率が高いことを重要視しています。

 

勿論、私も人並みに欲望を持っているため、大きく勝てるのであればそれに越したことはありませんが、通常リスクとリターンは連動しており、大きく勝つ可能性があるということはつまり負ける確率も同じくらい高いということになるため、それは望むところではありません。

 

その意味で言えば、長期投資かつ配当再投資戦略は株価下落に対する耐性が高い傾向にあるため、その意味では保有資産上大きなマイナスを被ることが少ない戦略だと言えます。ジェレミー・シーゲル氏の著書「株式投資の未来」の中でも、配当の効果に関して次のように語られています。

 

相場が下落する局面で、配当はとくに次の2つの役割で投資家に貢献する。まず再投資を通じて保有株を余分に積み増せるので、これがポートフォリオの価値下落を受け止めるクッションとなる。下落局面に再投資を通じて保有株を積み増す配当の働きを私は「下落相場の安全装置」と呼んでいる(「株式投資の未来」より抜粋)

 

参考までに、伝説の投資家ウォーレン・バフェットが「極めて稀に見る、実益のある本」と大絶賛し、バークシャー・ハザウェイの株主総会で配布したことで知られるハワード・マークスの著書「投資で一番大切な20の教え」の中で語られている、ディフェンシブな投資の優位性に関する箇所をご紹介しておきます。

 

アグレッシブな投資は、そのスタイルにあった環境下で(特に相場が良い時期に)非常に高いパフォーマンスをあげられるが、ディフェンシブな投資ほど確実にリターンを生み出す公算は小さい。つまり、損失を出す確率が低く、損失額も小さくて済むことは、卓越した投資成績の一環と言える(「投資で一番大切な20の教え」より抜粋)

 

自分の身の丈に合っている

 

プロフィールにもある通り、私はどこにでも居る普通の中年サラリーマンであり、株式投資に関する知識や経験も浅い素人投資家でもあるため、底値で買い高値で売るという、株式投資ではセオリーとも言えるタイミングを計るような高度な投資法を上手にできる術はありません。

 

こういう表現をしてしまうと、世の配当再投資派の投資家から怒られてしまうかもしれませんが、誤解を恐れずに言えば、自分がそういう素人レベルの投資家であると分かっているからこそ、この長期配当再投資戦略を選んだと言っても過言ではありません。

 

なぜなら、戦略という名前を付けてしまうと小難しそうに聞こえるかもしれませんが、配当再投資戦略自体は、銘柄選びと再投資の徹底というポイントを外しさえしなければ、誰でも実践できるシンプルかつ再現性の高い投資方法だからです。

 

人間というのは、一般的にお金が絡んでしまうと思わず背伸びをしてしまいがちになりますが、自らの実力を正確に把握ならびに認め、身の丈に合ったやり方を実践することこそが成功への近道だと考えており、詰まるところ私の場合はそれが配当再投資戦略であったということです。

 

市場に永く居続けることができる

 

極端に言えば、この戦略は支払われる配当金を機械的に保有銘柄に再投資することだけを考えていれば良く、且つ株価が下落相場を迎える時こそが真価を発揮できるチャンスでもあるため、基本的に日々の株価の動きに対しては一喜一憂する必要がありません。

 

一方、キャピタルゲインだけを狙う投資家にとっては、株価の動きが全てと言っても過言でもないため、下落相場が訪れてしまった際には精神的に穏やかで居ることが難しく、中には退場してしまう人も後を絶ちません。いろいろな意味で未熟な個人投資家であれば尚更です。

 

私の数少ない愛読書チャールズ・エリス氏の著書「敗者のゲーム」の中でも、タイミングを計る投資を薦めない主な理由の1つとして、市場に居続けることの意義に関して下記のような調査結果が紹介されています。

 

S&P500指数のデータを使って過去75年間という長期間分析した結果を見ると、この間の株式リターンの大部分は、上昇率のベスト60ヵ月間(900ヵ月という長期間のわずか7%だが)に達成されているという。もし私たちに、これがどの月かを見分けることができれば、その利益ははかり知れない。しかし、それはまったく不可能なのだ。私たちが知りうるのは次のような、単純で、貴重な事実である。すなわち、もし私たちがこのベストの上昇月を逃したら、まるまる二世代という長期間にわたって蓄積される利益のほとんどを失ってしまうということだ(「敗者のゲーム」より抜粋)

 

つまり、株式投資で高いリターンを得るためには、稲妻が走る瞬間を逃さないよう、長期的に市場に居続けることが重要だと言えるため、精神的に安定した状態を維持することができ、市場に長く居続けられる配当再投資戦略は、勝てる可能性を高める有効な手法だと言えましょう。

 

投資目的と合致している

 

アーリーリタイアという夢は捨てていないものの、私の現実的な株式投資の目的は、保有株式からの配当金を老後の生活費の一部に充てることにより、ゆとりのある老後生活を実現することにあります。

 

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冒頭でも触れた通り、配当再投資戦略で選ぶ銘柄は、生活必需品やヘルスケアセクターをはじめとした、景気に左右されない安定した事業を営んでいる銘柄が中心であり、それらの企業は長く安定的に配当金を支払う能力を備えているため、上記の目的にも合致していると言えましょう。

 

特に私が現在投資している銘柄は、比較的連続増配の常連銘柄が多く、老後を迎える頃には増配により配当金額も大幅に増えていることが期待できるため、恐らく想定以上にゆとりのある老後を迎えられるのではないかと勝手に想像しています。

 

最後に

 

正直なところ、私の挙げた理由はどちらかと言うといずれも消極的とも言えるような内容でもあるため、大きく儲けることを目的として株式投資を志す方にとっては、あまりに保守的な考え方やスタイルであるが故に魅力を感じない方も多いことでしょう。

 

私も昔は、株式投資で億万長者になり、アーリーリタイアを実現することを夢見て投資に臨んでいた時期もありましたが、そういった時期も経た上で今の私が大切にしている価値観を諺で表すならば、 ❝ 急がば回れ ❞ であり、それを踏まえた答えが現在の配当再投資戦略だと言えます。

 

最終的に、配当再投資戦略が一般的な最適解となり得るか否かは別として、値動きの激しいグロース株オンリーでのキャピタルゲイン投資に限界を感じている方や、手堅く勝てる投資法を望まれている方は、この機会に配当再投資戦略の採用について検討いただくことを是非おすすめします。

 

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自分のリスク許容度を簡単に診断する方法とは

自分のリスク許容度を知る方法に関する話題です。あまり意識したことがない方も多いのではないかと思いますが、これによって投資対象が変わってくる可能性もあるため、本来は株式投資を始める前に診断すべきものだと言われています。

 

と偉そうに言っていますが、そういう私もそんなことは気にもせずに大胆に株式投資を始めてしまったので、実際に経験した範囲内で後から判断するという誤ったやり方をしてしまっています。

 

そこで今日は、私自身の失敗談も混じえながら、改めて簡単に自分自身のリスク許容度を診断する方法についてご紹介してみたいと思いますので、これから株式投資を始めようとしている方は、是非ご参考ください。

 

リスク許容度とは

 

リスク許容度とは、投資家の許容できるリスクの範囲のことで、資産運用に伴い発生するリスク(損失)をどの程度受け入れられるのか、という度合いのことを言います。

 

一般的には、株式、債券などをはじめとした複数の金融資産を組み合わせたポートフォリオで運用する際に、投資家が取りうる最大のリスク水準を測定するための指標と考えられています。

 

また通常は、高いリターンを求めるならば、高いリスクを許容する必要があり、一方でリスクを取りたくなければ、低いリターンを受け入れるべきとされています。

 

例えば、株式のみで運用する場合には、基本的にはどんな銘柄でも似たようなリスクがあると一括りで考えるので、リスクを減らすためには、上記のような債券や現預金など、リターンは下がるもののリスクも低い資産に振り分けて運用資産全体のリスクを調整する必要があるということになります。

 

以下に代表的な株式と債券の各リスクとリターンを三井住友トラスト・アセットマネジメントのウェブサイトから引用してみましたが、株式は日本でも外国でもほぼ変わらず、最大マイナス50%程度は覚悟する必要がありそうです。

 

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ちなみに、インデックス投資家の方でリスクヘッジと称してバランスファンドやアセットが重複する商品を複数保有する方がいますが、リスクを下げる上で大切なのはアセット毎の分散なので複数持ってもあまり意味はありません。

 

リスク許容度の診断方法

 

上記の表をご覧いただくとお分かりの通り、通常リターンとセットで考えるべきものではありますが、リターンについては皆さん敏感で日々意識していると思うので、今日は意識が不足しがちなリスクの観点のみで考えてみることにします。

 

一般的な個人投資家が計算する場合であれば、耐え得る含み損の金額をベースにリスク資産への投資可能金額を知る方法が、分かりやすくて良いかと思います。簡単に言うと、マイナス50%になっても耐え得る水準がリスク許容度であり投資可能額だということです。

 

例えば、あなたが100万円を株式に投資していたと仮定した場合、最大マイナス50%になら可能性があると仮定すると、マイナス50万円(評価額50万円)になります。つまりマイナス50万円に耐えられないのであれば株式に100万円を投資すべきでないということです。

 

例えば、これが500万円の場合はどうでしょうか。上記100万円の場合であれば、50%は50万円の含み損ですが、500万円の場合には同じ50%でも含み損が250万円に膨らんでしまいますから、仮に250万円まで許容できないとなると、リスク資産に500万円を投資すべきではないということです。

 

したがって、新たに投資を始めたり、投資額を増やそうと考えた場合には、増やした金額をベースにその都度計算した上で、どれくらいの金額を投資すべきかを検討した方が良いでしょう。

 

私のリスク許容度の目安

 

さて、前置きが長くなってしまいましたが、本題の私の許容度についての話に移りたいと思います。過去私は、キャピタルゲイン狙いで、日本の新興株1銘柄にほぼ全資産である約1000万円を投資したことがあります。

 

今でもまだまだですが、株式投資の知識も経験も浅い状態で投資してしまったため、約2年もの期間投資していたにも関わらず、ほぼ買値撤退というお粗末な経験となってしまいました。

 

失敗談なのであまり思い出したくありませんが、参考までにその銘柄のチャートと共に、私の売買のタイミングを改めてご紹介します。

 

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ご覧の通り、結果的には高値掴みをしたため、最安値で考えると購入平均単価に対してマイナス55%という水準まで下がってしまうという、上記株式の最大リスクを上回る大暴落級の下落幅を経験することになりました。

 

つまり、冒頭でも書いた通り私はこの銘柄に1000万円を投じていたため、単純計算で550万円の含み損を抱えていたことになります。

 

当時は、妻にもそんな投資をしていることを伝えていなかったこともあり、最もしてはいけない投資のパターンではありますが、仕事にも今ひとつ集中できず株価とにらめっこの毎日を送っていたように思います。

 

ただ、結果的に最安値でも売却せずに保有し続けられたという意味で言えば、限りなくアウトに近いセーフというギリギリのラインではありますが、そのあたりが私の最大リスク許容度の目安なのかもしれません。

 

米国株に投資する今は

 

マイナス55%が起こる可能性は、先ほどの表の通り株式である以上どんな銘柄でもあるので、それぐらいを覚悟できなければ、株式への投資額を限定し債券や現預金などに振り分けてリスクをおさえるべきだと言えます。

 

また、当時の私について言えば、仕事に集中できないなど、普通の生活が出来なくなっている時点で許容度を超えているとも言えるため、一般的にはもっと低く考えるべきではないかとも思います。

 

現在の私は、相変わらず株式に全力で投資しており、且つ投資額も当時に比べて大幅に増えていますが、米国のディフェンシブ銘柄を中心に投資しているため、株式の中では比較的リスクは低くおさえられている状況だと言えます。

 

それでも、リーマンショック級の大暴落が再来した場合には、過去経験した許容限度の55%以上下落する可能性はありますが、今の私には配当再投資という武器が備わっているので、そうなった場合には配当金を使って粛々と買い増すことになるでしょう。

 

リーマンショックを経験していない方は、とかくリターンばかりでリスクについてあまり深く考えたことがない方も多いんじゃないかと思いますので、是非この機会にご自身のリスク許容度を診断してみることをおすすめします。

 

配当再投資戦略の具体的な方法について考えてみる

配当再投資戦略の方法論に関する話題です。長期投資家のバイブル「株式投資の未来」の著者、ジェレミー・シーゲル氏の影響もあり、一時期ほどではありませんが配当再投資を軸とした長期投資を実践する米国株(アメリカ株)投資家もそれなりに多いのではないでしょうか。

 

この投資スタイルは、売り時や買い時が難しい株式投資において、基本的に定期的に買い増すのみで売ることがないため一見簡単なように見えますが、実際にこの戦略で大きく成功しようと思うとそれほど単純でも簡単でもありません。

 

そこで今日は、配当再投資の基本的な仕組み、さらには米国株(アメリカ株)への配当再投資を通じてより高いパフォーマンスを実現する具体的な方法について、改めてご紹介してみたいと思いますので、今後配当再投資戦略を取り入れた投資を検討している方は、是非ご参考ください。

 

配当再投資戦略とは

 

配当再投資戦略とは、保有株式から支払われる配当金を、保有銘柄もしくはその他の新規銘柄への投資の一部又は全部に使い、配当金を生む保有株式を積み増すことで、複利的に保有資産の増大を図る戦略です。

 

したがってこの戦略の下では、支払われた配当金で、次の配当を生む株式を累計ベースで見た時にいかに多く買い増すことができるか、という部分が最も重要な課題になります。

 

その意味では、当たり前ですが保有株式からの配当金はより多く、買い増す株式はより安くという形が理想であり、できる限りその形に近い状態を実現し、再投資のパフォーマンス最大化することが、この戦略で成功する近道だと言えます。

 

配当再投資に適した投資対象の特長と注意点

 

それでは配当再投資に適した投資対象とは、どのような特長を持つ銘柄群しょうか。配当再投資の仕組みを考えれば何となくお分かりかと思いますが、答えはとてもシンプルです。

 

要するに、景気の波にも左右されず、というより不況の時でも配当金が安定して支払われる銘柄群です。というのも配当金という先立つものがなければ再投資も出来ませんし、株価が下がりやすい不況時にこそ再投資の効果が発揮されるからです。

 

探そうと思えば、米国株という括りでも、聞いたこともない怪しげな超高配当銘柄や、事業が先細り確実な伝統的な高配当銘柄が数多く存在しますが、くれぐれも配当利回りだけを基準に銘柄選びをしないようにご注意下さい。

 

結局は、数十年単位という長いスパンで安定的に配当金を払い続けることができるだけの強い事業を営み、理想を言えばそれを長期的に成長させることができる銘柄を選ぶことが、配当再投資をより効果的に進める秘訣だということです。

 

配当再投資に適した米国株(アメリカ株)銘柄群の具体例

 

上記の特長を持つ配当再投資に適した銘柄の代表格を例に挙げるとすれば、生活必需品やヘルスケアセクターに属する配当王や配当貴族と呼ばれる連続増配銘柄群でしょう。

 

これらのセクターは、景気の波にも左右されず常に必要とされる事業であり、しかも人口の増加にも伴う成長も期待することができます。しかも株主還元に積極的な銘柄も多く存在しています。

 

なお、これらのセクター以外のセクターでも、中には同じような特徴を持つ配当再投資に相応しい銘柄が存在していますので、配当王や配当貴族銘柄のランキングなどで一度ご確認いただくことをおすすめします。

 

暴落時の再投資がパフォーマンスを左右する重要な要素

 

銘柄選びと並び、配当再投資で成功するために重要な要素が、株価暴落時や下げ相場における再投資の有無です。言うのは簡単ですが、実践するのは簡単ではありません。

 

平常時の再投資に関してはタイミングをはかる必要はなく、配当金が積み上がった段階で定期的に実行すれば事足りますが、配当再投資の明暗を分ける重要な要素が株価が下落した際の立ち回りです。

 

冒頭で書いた通り、配当再投資の効果を最大化する上では、限られた配当金でいかに多くの株式を買い増せるかが重要であるため、株価が下がるタイミングが重要な買い増し時だからです。

 

ただ実際は、暴落などの下げ相場が訪れ、含み損だらけの保有株を目の当たりにしてしまった途端に、恐怖に負けて買い増し自体を躊躇する投資家が多いのではないかと思いますがいかがでしょうか。

 

気持ちは分かるものの、そこで躊躇してしまっては最もパフォーマンスに対してプラスに作用する美味しい部分を買いそびれることになるため、この戦略で大きく成功することが難しくなってしまいます。

 

つまり、市場全体か個別銘柄かを問わず、株価の大暴落が訪れた際に再投資を止めることなく継続できるか否かが、配当再投資戦略における成功の可能性を大きく左右するポイントだと言えましょう。

 

まとめ

 

以上、配当再投資の基本的な仕組み、さらには具体的な実践方法について、私なりの考え方をご紹介してみましたがいかがでしたでしょうか。

 

私のような長期投資家にとってはベストな方法だと考えていますが、株式投資はスタイルもリターンを得る手段も様々であり、そもそも投資家毎の目的や状況もそれぞれ異なるため、正解も1つではないことはご承知の通りです。

 

ただ、現時点で言えば、少なくとも米国株(アメリカ株)に対する配当再投資で財を成そうと考えるのであれば、多かれ少なかれ今日ご紹介したような銘柄選びや進め方を実践する形が、個人的にはベストだと考えています。

 

是非この機会に、今日ご紹介した内容も踏まえ、ご自身の配当再投資戦略の中身について、改めてご確認いただくことを是非おすすめします。

 

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直近3年における株式資産の資産額と銘柄構成の変化

現時点における米国株資産の構成と資産額の進化に関する話題です。本格的には2017年からなので、米国株投資歴としては4年に満たない程度ですが、それなりに変化も進化もしているので、改めて備忘録ついでに記事化してみます。

 

それでは早速ですが、きちんと記録を始めた2018年2月末日時点と約3年経過後の現在における、資産額と構成銘柄の変化についてご紹介します。現在ポートフォリオを構築中の方や方針を再検討されている方はご参考ください。

 

資産額(時価評価額)の変化

 

まずは資産額についてのご紹介です。結論から言うと、素人なりに順調に増やすことができていると言っても良いのではないかと思います。具体的には、成長率で言うと176%、金額で言うと12.2万ドル成長しました。

 

2018年2月末日:$160,435

 ↓

 ↓    175.99%($121,916)

 ↓

2021年1月末日:$282,352

 

なお、成長と書きましたが、勿論この中には配当再投資分や、毎月の給与収入から捻出した新規入金分も含まれており、全てが純粋なリターンによる資産成長という訳ではないので悪しからず。

 

ポートフォリオ構成銘柄の変化

 

続いて、ポートフォリオの構成銘柄に関する変化です。このブログを以前から読まれている方はご存知かと思いますが、当時から考えるとこの3年の間にポートフォリオを構成する銘柄がかなり入れ替わっています。

 

米国株を本格的に始めた2017年当時は、ジェレミー・シーゲル氏の書籍の影響を、中途半端且つ若干誤った形で受けていたため、兎にも角にもその中で紹介されているような銘柄、要するに以下のような伝統的な高配当や連続増配を続けている銘柄で固めていました。

 

※ 2018年2月末日時点


  1  Coca-Cola Company(KO)13.6%

  2  Altria Group Inc.(MO)12.9%

  3  Procter & Gamble Co.(PG)11.7%

  4  Mccormick & Co Inc.(MKC)10.0%

  5  McDonald’s Corporation(MCD)9.8%

  6  Exxon Mobil Corp.(XOM)9.7%

  7  Johnson & Johnson(JNJ)8.9%

  8  British American Tobacco(BTI)8.1%

  9  Royal Dutch Shell(RDSB)7.8%

10  General Mills Inc.(GIS)7.4%

 

しかしながら、その後色々と調べる中で、そういった配当目的の銘柄に投資しているよりも、配当利回りに拘ることなく、自社株買いに積極的な銘柄であったり、安定的に事業成長が期待できる優良銘柄に投資した方がより高いリターンが期待できるはず、という考え方に変わり、以下の形に変化を遂げました。

 

※ 2021年1月末日時点

 

  1  Microsoft Corporation(MSFT)6.6%

  2  Church & Dwight Co Inc.(CHD)6.1%

  3  Zoetis Inc.(ZTS)6.0%

  4  Stryker Corporation(SYK)5.9%

  5  McCormick & Co Inc.(MKC)5.9%

  6  Costco Wholesale Corp.(COST)5.6%

  7  Mastercard Inc.(MA)5.6%

  8  Home Depot Inc.(HD)4.8%

  9  McDonald's Corporation(MCD)4.8%

10  S&P Global Inc.(SPGI)4.5%

11  Ecolab Inc.(ECL)4.4%

12  Roper Technologies Inc.(ROP)4.2%

13  Becton, Dickinson & Co.(BDX)4.2%

14  Walt Disney Company(DIS)3.3%

15  ANSYS Inc.(ANSS)3.1%

16  Lockheed Martin Corp.(LMT)2.9%

17  MSCI Inc.(MSCI)2.8%

18  Salesforce.com Inc.(CRM)2.8%

19  Lamb Weston Holdings Inc.(LW)2.8%

20  Fair Isaac Corporation(FICO)2.4%

21  Eli Lilly and Company(LLY)2.2%

22  Union Pacific Corporation(UNP)2.1%

23  Canadian National Railway(CNI)2.0%

24  Waste Management Inc.(WM)2.0%

25  Amgen Inc.(AMGN)1.3%

26  Sherwin-Williams Company(SHW)1.2%

27  British American Tobacco(BTI)0.7%

 

ご覧の通り、伝統的な高配当銘柄はほぼ姿を消しており、生活必需品やヘルスケアに偏っていたセクターもかなり分散されている他、当時では考えられなかった無配当銘柄さえも保有するに至っています。ちなみに、現在のポートフォリオ全体の配当利回りは1.3%とかなり低い状況です。

 

唯一BTIが当時の名残として存在していますが、ウエイト的にはないに等しいぐらいまで減っているので、このまま未熟だった頃の想い出として残しておくことも検討中です。

 

ただ、高配当銘柄からこれらの銘柄に入れ替えて投資してみた結果、高配当株と言われる銘柄の利回りを上回るキャピタルゲインを得ること自体、当初の想定通り比較的容易に実現可能だというのが現在の率直な感想です。要するに、今の形に変えて良かったと考えているということです。

 

いずれにしても、今の形が完成形という訳でもなく、今後も引き続き試行錯誤を繰り返しながら、自分なりの正解を求めて変化を遂げていくのではないかと思いますが、ひとまず基本形としては落ち着く形が見つかったような気がしています。

 

最後に

 

以上、直近3年間の株式資産の構成と資産額の変化についてご紹介してみました。中には、たった3年程度でここまで大きく方針がブレていて、考えが浅いとか節操がないと思われた方もいるんじゃないかと思いますがいかがでしょうか。

 

実際私自身もその通りだと思っています。まさに考えが浅く未熟な投資家の典型だと思います。しかしながら、誰しも未熟な時期があり、失敗を繰り返しながら成長していくというプロセスを踏むはずですし、実際に一歩踏み出してみて初めて分かることも多いはずです。

 

その意味では、高配当銘柄に手を出したことをはじめ、失敗したことも大切なプロセスだと思いますし、途中で方針を変えたことも自分なりの正解を見い出すためには必要なプロセスだと思っているので、この3年の変化は悪いことではなく、むしろ成長の証だと考えています。

 

実際に変更してみた結果、やはり元のやり方が良いと思えば戻せば良いだけですが、やってみなければ何も変わりませんし、後々やっておかば良かったと後悔する可能性もあります。現在の形に疑問を抱きながらも方針変更に二の足を踏んでいる方は、この機会にチャレンジしてみることをおすすめします。

 

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最高のリターンを生み出すポートフォリオ論

個人投資家にとっての永遠のテーマでもある、最高のリターンを生むポートフォリオ論について、改めて最も大切な約束事であるにも関わらず、欲に目が眩んで意外に忘れられがちな基本中の基本を振り返ってみます。

 

普段参考にさせていただいている米国株(アメリカ株)投資家ブログでもポートフォリオ論は人気のテーマで、個別株の組み合わせを筆頭に、個別株とETFの組み合わせ、さらにはETFのみの組み合わせなど、本当に研究熱心な方が多く多種多様なポートフォリオが紹介されています。

 

そこで今日は、リスク許容度の観点から最高のリターンを生み出すポートフォリオの定義について再確認してみようと思いますので、自身のポートフォリオについて課題感を感じている方はもちろん、理想的なリターンを生む形が見つかった方についても参考にしていただければと思います。

 

理想的なポートフォリオは机上の空論になる可能性あり

 

最近ではインターネットを通じて様々なツールや情報を入手可能な環境が整っているため、個人投資家レベルでも過去のパフォーマンスを基にバックテストなどを通じて自身のポートフォリオのリターンをシミュレーションしたり、S&P500指数とのリターン比較をする方も多く見受けられます。

 

しかしながら、勿論リスクとのバランスが重要である前提はあるものの、仮にシミュレーション上のリターンが高ければ実際にも高いリターンが得られるかと言えば、現実的にはそれほど簡単ではありません。

 

なぜならば、投資家がそのポートフォリオを所定の期間保持し続けることができて初めて得られるリターンであり、それが実現できるか否かはその投資家次第だからです。

 

つまり、その投資家が度々訪れる調整局面や、リーマンショックのような長引く大暴落相場の中でも、銘柄毎の構成比も含めそのポートフォリオを忍耐強く保持し続けられなければ、シミュレーションで弾き出されたそのリターンは、残念ながら机上の空論に終わってしまう可能性が高いということです。

 

投資家毎に異なる最高のリターンを生むポートフォリオとは

 

ここで言うポートフォリオを保持し続けられない状態とは、いわゆる含み損に耐え切れず損切りに加え株式相場から退場してしまうケースのことを意味しますが、要するに現実的に後々退場する必要性が発生しないポートフォリオが、その投資家における最高のリターンを生むポートフォリオだと言えましょう。

 

仮に損切りをしてしまえばリターン上も大きなビハインドになりますし、最終的に退場してしまえば得られるリターンはゼロになってしまうというように、理想的なリターンを追い求める以前の問題になってしまうため、当然と言えば当然です。

 

次に、退場しなくても済むポートフォリオとはなんぞや、という疑問が湧いてくるかと思いますが、残念ながらその答えには、特別なからくりもサプライズもありません。

 

退場する必要があるか否かの線引きは個々の投資家により異なるため、最高のリターンを生むポートフォリオに関しても誰にでも共通して存在するものではなく、言ってみれば投資家の数だけ存在するということです。

 

敢えて定義付けるならば、一般的にリスク許容度という言葉で説明されるように、許容できる含み損の率もしくは金額によって線引きが決まるため、最悪の事態(例えばリーマンショックやコロナショック級の大暴落)に遭遇した際に、許容可能な含み損の率もしくは金額で収まるようなポートフォリオがそれに当たると言うことができましょう。

 

つまり、一般的にはより高いリターンを生み出すことが最良のポートフォリオの定義だと考えられる傾向にありますが、実際には、債券のみの低リスクポートフォリオが最高のリターンを生む投資家もいれば、グロース銘柄のみの高リスクポートフォリオが最高のリターンを生む投資家もいるということです。

 

まとめ

 

確かに、過去の実績データを基に試行錯誤しながら理想のリターンを生むポートフォリオを組む作業は無駄ではなく、ある程度は必要なプロセスだと考えますし私も嫌いではありません。

 

ただ、それが趣味の一環であれば別ですが、現実的に投資において最高のリターンを得ることを考えるならば、そこに対して必要以上に固執する必要はなく、机上の空論にならないように、自身の現実的なリスク許容度を踏まえたポートフォリオを組むべきでしょう。

 

リスク許容度を決める要素は多々あり、そもそもの投資資金額に始まり、給与収入額、生活防衛資金額、家族に投資の状況をシェアしているか否か、退職金や親族からの遺産が得られるか否かなど、多岐にわたります。

 

これまでどちらかと言うと、 S&P500指数を上回るか否かといったような、試算上のリターンを基準としてポートフォリオを組んでいた方は、この機会に改めてご自身にとってリアルな形で最高のリターンを生み出してくれるであろうポートフォリオについても検討いただくことを、是非おすすめします。

 

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インカムゲインの魅力について初心者向けに分かりやすく解説してみる

インカムゲインの解説とその魅力に関する話題です。インカムゲインは、資産運用に関するテーマの話の中では、必ずと言っても過言ではないほど頻繁に登場するワードでもあるため、今後資産運用を検討している方であれば、知っておいて損はない言葉だと言えましょう。

 

私の周りでも、インカムゲインという言葉を頻繁に耳にしますが、それ自体について、さらには併せて使われることが多いキャピタルゲインと何がどう違うのかを、初心者にも分かるように説明できる人が意外に少ないように感じますがいかがでしょうか?

 

私自身、米国株を通じた主にインカムゲインを目的とした資産形成を行っている身ではありますが、いざ質問された際に分かりやすく噛み砕いて上手く説明できるかと言えば、正直なところあまり自信がありません。

 

そこで今日は、インカムゲインというもの、さらには個人的に感じているその魅力について、自分自身のためにも改めて整理した上で、できるだけ分かりやすくまとめてみようと思いますので、特に初心者の方は今後の方針を決めるためにも是非ご参考ください。

 

インカムゲインとは

 

インカムゲインという名前を聞くと、一見英語のように思えるかもしれませんが、正真正銘の和製英語「income gain」のカタカナ読みであり、正式な英語では通常「investment income」と言われます。別名で言えば、インカム収入と呼ばれることもあります。

 

インカムゲインとは、掻い摘んで言うと、資産を保有していることで得られる収入のことで、不労所得とも呼ばれます。保有しているだけで得られるということから考えてもお分かりの通り、獲得難易度が低いため、副業を求めるサラリーマンやリタイア組を中心にインカムゲイン信者は多いと言えましょう。

 

対比で使われる言葉として、キャピタルゲインというものがあります。キャピタルゲインとは、インカムゲインのように保有しているだけでは得られる収入ではなく、売買による値上がり益のことを指す言葉です。当然ながら、値上がり自体の予測が難しいため、インカムゲインよりも獲得難易度は高くなります。

 

これらを例えるのによく使われるのが、ニワトリと卵の例でしょう。インカムゲインはニワトリが生む卵で得る収入、キャピタルゲインについてはニワトリ自体の売買による収入という具合です。そう考えると、少しはイメージがつきやすいのではないでしょうか?

 

インカムゲインが得られる代表的な資産例

 

それでは、もう少し具体的な内容に話を進めますが、インカムゲインを得ることができる資産としては、主に以下のようなものが挙げられます。分かりやすくするために、一般的に収入レベルの大きいとされる方から順に並べてみることにします。

 

①不動産の家賃収入


1つ目は、インカムゲインの代表とも言える所有不動産からの家賃収入です。収入レベル的には最も大きいですが、その分取得にあたっての費用も大きいほか、収入が途絶えたりするリスクも大きめであり、さらには換金性も低いため、収入レベルだけで選ぶのは避けたいところです。

 

②株式の配当収入


続いては、株式の配当金収入です。中でも、私が保有しているような長期的に増配を続けているような米国株であれば、減配リスクも少なく安定しているだけでなく、増配により収入アップも可能になるので、個人的には最もおすすめです。

 

③債券や銀行預金の金利収入


最後は、債券や銀行預金の金利収入です。収入レベルは低いですが、元本割れリスクも低いため、短期的な資産の目減りをできる限り避けたい方にはおすすめです。但し、いずれもインフレに弱い資産でもあるため、長期保有には向かない収入源だと言えましょう。

 

インカムゲインの代表的なメリットとデメリット

 

続いて、インカムゲインの主なメリットおよびデメリットに関する話です。これについては、私自身の得意分野でもある株式の例を用いて、キャピタルゲインとの比較を織り交ぜながらご紹介してみようと思います。

 

(メリット)収入の確実性

 

保有株式からのインカムゲインの最大のメリットは、安定した利益を捻出可能な銘柄を選びさえすれば、相場の動向、つまり株価とは関係なく、ほぼ確実に配当金という形で安定した収入を手に入れることができる点です。

 

先にも触れた通り、インカムゲイン目的での株式投資における最適な対象としては、毎年連続して増配を続けているような、配当王又は配当貴族呼ばれる米国株(アメリカ株)が筆頭候補に挙げられましょう。

 

なお、この収入の確実性というインカムゲインのメリットは、キャピタルゲインにおけるデメリットだと言えます。つまり、値上がり益をその収入源とするキャピタルゲインは、インカムゲインに比べて不確実性が高いということです。

 

なぜなら、そもそも株価というのは短期的には需給、つまり人気投票によって決まるものであり、株価が上がるか否かは環境に大きく左右されるため、いかに優良な銘柄であったとしても、必ずしも常にそれがすぐに株価に反映するとは限らないからです。

 

また、一般的にキャピタルゲインの対象に選ばれる銘柄は、得た利益を新規ビジネスに投資することで拡大を図り、企業価値並びに株価の成長につなげる必要がありますが、そのビジネスが上手く価値を生む保証もありません。

 

要するに、キャピタルゲインの源泉でもある株価の成長それ自体が数多くの不確実な要素により成り立っているため、当然ながらそれによる収入についても、自ずと不確実性が付きまとうということです。

 

(デメリット)時間の長さ

 

インカムゲインの主なデメリットを敢えて挙げるとすれば、資産の成長を図るのに時間を必要とする点でしょう。つまり、キャピタルゲインのように、短期間で大きく資産を成長させることが難しいということです。

 

参考までに、インカムゲインとしての株式の配当金を使って、同じ株式に再投資することにより実現可能な、株式資産の成長スピードの目安をイメージしてもらえるように、私が保有しているような毎年増配が期待できる米国高配当優良株を例として具体例に試算してみましょう。

 

当初配当利回り3%、配当課税20%(外国税は考慮せず)として、年増配率5%および7%の2通りについて、投資元本が2倍に増えるのに必要な経過年数を単純計算してみると、増配率5%の場合が19年、7%の場合には17年という結果になります。

 

つまり、インカムゲインにおいては、一般的な配当利回り3%程度の高配当株を保有した場合、配当再投資によって株式資産を2倍に成長させるのに、概ね15年~20年という長い歳月が必要になるということです。

 

ただ裏を返せば、それぐらいの長いスパンで資産運用を考えることができれば、高い確実性で資産を成長させることができるということでもあるため、やり方次第で解消することも可能なデメリットだと言えましょう。

 

キャピタルゲインとの比較におけるインカムゲインの魅力

 

確かにキャピタルゲインは、短期間で資産を大きくできる可能性を秘めているため、夢も醍醐味もある収入源だと言えます。株式の銘柄で言えば、アマゾン・ドット・コムなど、急こう配の右肩上がりで株価が上がり続ける銘柄の保有といったところでしょう。

 

ただその一方で、最終的に得られるかどうかも分からない不確実性の高いキャピタルゲインよりも、時間をかけてでも得られる確実性の高いインカムゲインを得ることを考える方が、合理的で利口な手段だと言えるようにも思います。

 

例えば、皆さんが銀行の融資担当者で、まとまった金額の融資をしなければならないとした場合、恐らく回収できなくなるリスクを避けるため、近い将来の一括返済ではなく、時間はかかっても確実に回収を進められる分割払いでの融資を選ぶはずです。

 

仮にどんなに大きな収入の可能性を秘めていようとも、最終的に得られなければ何の意味もありません。現時点でまだご自身の運用スタイルが定まっていない方は、この機会にインカムゲインの魅力について再確認されてみることを、是非おすすめします。

  

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高配当ディフェンシブ株ポートフォリオはバークシャー・ハサウェイに勝てないのか?

バークシャー・ハサウェイ(BRK)に勝てる高配当ディフェンシブ株ポートフォリオについての話題です。配当再投資戦略を志す投資家の方にとって、モチベーションアップにつながる内容になれば幸いです。

 

バークシャー・ハサウェイは、伝説の投資家ウォーレン・バフェットが代表を務める保険を中心とした様々な事業を営む持株会社である一方、同時にバフェットが厳選した個別株式を集めた投資ファンドでもあり、これまで長年にわたり高リターンを生み出してきました。

 

バークシャー・ハサウェイ、というよりバフェットは、株価成長を通じた株主還元を実現するため、税金の発生する配当金還元でなく本質的な価値を有する有望企業に対する投資リターンを重視しており、現在もなお無配を貫き高リターンを実現しています。

 

しかしながら、私が投資しているような高水準の配当金を排出してしまうディフェンシブ銘柄オンリーのポートフォリオで、上記のように無配を守ることで高リターンをつなげて来たとも言えるバークシャー・ハサウェイに勝つことができないかと言えば、実はそんなことはありません。

 

そこで今日は、バークシャー・ハサウェイに匹敵もしくはそれを上回る高配当ディフェンシブ株ポートフォリオの実例を、過去の実績データと合わせて参考までにご紹介してみたいと思いますので、是非ポートフォリオを再構築する上での参考にしていただければと思います。

 

バークシャー・ハサウェイのリターン実績

 

まずはバークシャー・ハサウェイのリターン実績についておさらいします。期間によって変わるものの、1998年からの直近20年間について、世界最大の純資産規模を誇るS&P500指数連動ETFのSPYとの比較チャートを確認することにします。

 

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※portfoliovisualizer.comにて作成

 

上記グラフのPortfolio1がバークシャー・ハサウェイのチャートですが、やはりSPYに対して大幅に上回るリターンを実現していることが分かります。世界の大半のアクティブファンドが負けると言われているS&P500指数に連動するSPYに、これだけ上回っているあたりはさすがです。

 

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※portfoliovisualizer.comより抜粋引用

 

さらに詳しく各種指標を確認してみても、単に年率リターンが優っているだけでなく、上記のいずれの指標においてもSPYを上回る成績をおさめていることが分かります。文句なくバークシャー・ハサウェイの圧勝だと言えましょう。

 

高配当ディフェンシブ銘柄の配当再投資ポートフォリオ例

 

それでは、上記の通り高パフォーマンスを誇るバークシャー・ハサウェイに挑むディフェンシブ株ポートフォリオを以下にご紹介します。ご覧の通り、生活必需品セクターを中心とした代表的なディフェンシブ株8銘柄に12.5%ずつ均等配分されたポートフォリオです。

 

①アルトリア・グループ

②マクドナルド

③コカ・コーラ

④ジョンソン・エンド・ジョンソン

⑤エクソン・モービル

⑥ブリティッシュ・アメリカン・タバコ

⑦プロクター・アンド・ギャンブル

⑧ゼネラル・ミルズ

 

いずれも成熟したマーケットでビジネスを行っており、成熟しているが故に事業も株価も大きく成長することを期待されていない高配当銘柄ばかりで構成されているため、一般的には高いリターンを叩き出すイメージを持たない方も多いのではないかと思いますがいかがでしょうか?

 

高配当ディフェンシブポートフォリオの勝敗は如何に

 

それでは早速ですが、上記8種ポートフォリオとバークシャー・ハサウェイとのパフォーマンス比較に話を進めます。以下は、先程と同様に、1998年からの直近20年間の比較チャート(配当再投資)であり、Portfolio1が8種のパフォーマンスを表しています。

 

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※portfoliovisualizer.comにて作成

 

この20年間という期間について言えば、8種ポートフォリオのリターンがバークシャー・ハサウェイを明らかに上回っていることがお分かりかと思います。特にリーマンショック以降その差が広がっていますね。それではその他の指標についても下の表で確認してみます。

 

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※portfoliovisualizer.comより抜粋引用

 

8種ポートフォリオは、ベストイヤーこそバークシャー・ハサウェイを下回っているものの、ワーストイヤー、マックスドローダウンレシオがそれと同じかそれ以上に低い点が特徴的であり、かなり下振れリスクが抑えられたポートフォリオだと言えましょう。

 

しかも、バークシャー・ハサウェイに比べシャープレシオも1.5倍以上高いことから、単にリスクが低いというだけでなく、ポートフォリオにおいて最も重要なエッセンスでもあるリターン効率、つまりリスクに対するリターンがより大きいことが分かります。

 

もちろん、期間が変わればまた勝敗が入れ替わることはあるものの、直近20年間という期間に関して言えば、バークシャー・ハサウェイよりもこの何の変哲もない8種に何も考えずに配当再投資をした方が、少ないリスクで高いリターンを実現できたということです。

 

また、勝敗は別としても、ここまで高く安定した8種ポートフォリオのリターンを長期的に上回り続けることは、いかにバークシャー・ハサウェイと言えども極めて困難な課題だと言えるように思いますが、いかがでしょうか。

 

最後に

 

基本的にはリスクとリターンは連動しているため、高いリスクを取ればそれに見合う高いリターンが期待できるものの、それではあまり意味がなく、株式投資の肝は、リスクを抑えて高いリターンを実現できるか否かだと言えます。

 

今回の記事でも、高パフォーマンスの代名詞としてバークシャー・ハサウェイを引き合いに出したものの、リスクを加味しなければポートフォリオを組む必要はなく、アマゾン・ドットコムに集中投資した方がより高いリターンが期待できるに違いありません。

 

しかしながら、特に我々のような大切な身銭を切って投資している個人投資家が取ることができるリスクは限られており、仮に高リスクを取ったとしても、高いリターンにつなげるどころか損失を被る可能性の方が高くなるはずです。

 

是非この機会に、バークシャー・ハサウェイ以上のリターンとリターン効率が期待できる今回のポートフォリオを参考に、ご自身のポートフォリオを再点検されてみてはいかがでしょうか。

 

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米国株(アメリカ株)投資のメリットとデメリットを踏まえた魅力を本音で語ってみる

米国株(アメリカ株)の魅力についての話題です。以前に比べて各種投資環境が整ったこともあり、米国株を始める方も日に日に増えて来ているように感じますが、まだ日本株に比べるとかなり少ない割合に止まっています。

 

普及が進まない主な要因としては、おそらく米国株に関する情報不足から来る漠然とした不安が挙げられましょう。つまり、興味はあるもののよく分からないために一歩踏み出せないというのが実情ではないでしょうか?

 

そこで今日は、今後本格的に米国株に軸足を移すことを検討している初心者の方向けに、改めて米国株のメリットとデメリット、さらにはそれらを踏まえた魅力について、個人的に感じたことをまとめてみようと思います。

 

米国株のメリット

 

①選択肢の広がり

 

日本株に加え、米国株という選択肢が増えることで、世界を代表するような超優良企業群に投資し、そのリターンを享受できるチャンスが手に入る点は、兎にも角にも無条件で大きなメリットだと言えるように思いますがいかがでしょうか?

 

例えば、直近の世界時価総額ランキングトップ50を見ても米国株のポテンシャルを確認することができます。アップル、アマゾン・ドットコム、グーグル、マイクロソフト、ジョンソン・エンド・ジョンソン、コカコーラなど、半数以上を米国企業が占めている状況です。

 

勿論、選択肢が増えるということは、その分取捨選択する能力がより一層求められることになるため、メリットを享受できる方は限られているのかもしれませんが、選択肢を有効に活かすことができるか否かは別としても、可能性は狭いより広いに越したことはありません。

 

②株主還元

 

株式投資の目的はリターンだと言えますが、特に米国株は配当金や自社株買いなど株主還元に積極的な企業が多いため、米国株は株主リターンという意味でもかなり魅力的であり、明らかなメリットだと言えましょう。

 

配当金に関して例を挙げると、半世紀を超える長い間毎年継続的に増配しているなど、日本だけでなく世界的に見てもトップレベルの配当金の支払いを実現している、配当王と呼ばれる米国株も数多く存在しています。

 

③情報量不足(多過ぎない)

 

一般的にはデメリットに属するのかもしれませんが、私にとって情報不足は恐らく米国株の一番のメリットだと感じています。なぜなら、情報不足により無駄に売買したくならないことが、結果的にリターン観点では良い結果を生む可能性が高いからです。

 

例えば、株価が大きく動いた際も、情報が少なく原因が特定しづらいため、結果として原因を突き止めようという気も薄れますし、仮に突き止められたとしても既にタイミング的に遅くなることが多く、そうなると不思議と株価の動きに対する興味も徐々に薄れてきます。

 

中には、株式投資では致命的な状況のように思われる方もいるかもしれませんが、優良株に投資し、配当再投資で増やすことを目指す長期投資家にとっては、売買による税金を先送りする意味でもこれぐらいのスタンスが丁度良いように思います。

 

④取引時間(夜間)

 

米国株の場合に関して言えば、取引は日本時間の夜間になります。取引時間が夜間である点は、私のようなサラリーマンにとっては、大きなメリットだと言えるように思います。私自身、日本株と米国株の両方を経験した上で、改めて痛感しているポイントです。

 

なぜなら、日本株のように取引時間が昼間の場合、ポジティブでもネガティブでも、株価に影響を与えるような大きなイベント、例えば海外の選挙などがある時などは、どうしても気になって仕事に集中できなくなってしまうからです。

 

仕事中に慌てて売買をしたとしても良い結果が出るとは思えませんし、集中せずに仕事をしても良い仕事ができるはずがなく、結局は虻蜂取らずになる可能性が高いため、サラリーマンにとって昼間に取引ができない点は非常に有難い米国株の特長だと言えましょう。

 

米国株のデメリット


①為替手数料

 

初心者の方でもFXをされている方はご存知かと思いますが、日本円で米国株を購入する場合には、購入手数料の他に米ドルへ換金する際のスプレッドと呼ばれる為替手数料が発生する点はデメリットだと言えましょう。

 

ただ、やり方次第ではかなり金額をおさえることができます。例えば、FX口座を利用して外貨購入をすれば安く抑えることができますし、証券会社によって手数料率も異なるため、できる限り安い証券会社で購入することでも安くおさえることが可能です。

 

例えば、住信SBIネット銀行です。住信SBIネット銀行は、FXを利用しない場合でも他社より安いスプレッド設定ですが、FXを利用すればさらに安く米ドルを購入することができるため、スプレッド水準の点では最もおすすめです。

 

②二重課税(外国税)

 

一般的に、投資家が米国株に対して二の足を踏んでしまう主なデメリットの2つ目が、この外国税の存在でしょう。私も米国株を始める前は、この外国税の存在をかなり懸念していました。

 

米国株の場合には、配当金や売却益に対して、外国税としての現地課税に加えて日本における課税、つまり二重課税が発生します。具体的には米国株の場合、外国税として10%の税金が余分にかかることになります。

 

ただ、確定申告の際に外国税額控除の申告を行うことで、全額ではないもののある程度は取り戻すことができるため、結果的にはさほど大きな問題にはならないケースも多いです。

 

③情報量不足

 

おそらく米国株初心者が、心理的に最も不安を感じるデメリットとしては、米国株に関する情報が質的にも量的にも入手しづらいという点が挙げられるのではないでしょうか。現に私も始める前までは不安でした。

 

ただ、短期投資でなければ、決算さえ状況を把握していれば日々それほど多くの情報を必要としませんし、必要最低限の情報であれば、英語というハードルはあるものの、ウェブサイトや海外ニュースを通じて入手することは十分可能です。

 

また、問題となるであろう英語に関しても、Deeple翻訳やグーグルなどの翻訳機能を使えば、大方の内容は理解することができます。逆に投資活動を通じて多かれ少なかれ英語学習もできる点はメリットだと言えなくもありません。

 

④日本円による納税方式

 

個人的な問題なのかもしれませんが、納税方法にもデメリットが存在します。具体的には、証券口座内に日本円のプールがない状況で利が乗った米国株を売却した際、売却益に伴う税金が払えなくなってしまう点です。

 

つまり、売却した株式はドル資産でもある米国株であっても、日本の税金は米ドルで支払うことができず、証券口座内の日本円で払わなければならないため、証券口座に日本円のプールがない場合には税金を支払うことができなくなるというカラクリです。

 

ただ、大袈裟に書いてはみたものの解決策は簡単で、常時まとまった額の日本円を証券口座内に置いておく、もしくは含み益のある銘柄を売却する際は、事前に予測した税金相当の日本円を証券口座に入金すれば問題ありません。

 

米国株の魅力とは

 

以上、米国株のメリットならびにデメリットについて簡単にご紹介してみました。当然ながら、デメリットはあるものの、米国株には、特にリターン観点などそれを上回るメリットがありしますし、デメリットも対処の仕方次第でかなり取り除くことも可能です。

 

また米国株は、リターン観点だけでなく、取引時間や情報の不足といった環境面なども、私の性格やライフスタイルにマッチしているため、長期的に投資を継続して行きやすいという点に関しても、長期投資を志す私にとっては大きな魅力だと言えます。

 

現在興味を持ちながらも、米国株に二の足を踏んでしまっている方は、本記事も参考にしていただきながら、改めてこの機会に米国株の魅力をご確認の上、できる限り早い段階で、米国株投資の世界に一歩足を踏み入れられることを是非おすすめします。

 

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ソルティノレシオ(Sortino Ratio)は銘柄選びに使える便利なリターン効率指標

金融商品の銘柄選びに活用できる便利な指標、ソルティノレシオに関する話題です。正直なところマイナーな存在で、ご存知ない方も多いかと思いますので、シャープレシオとセットで覚えておくことをおすすめすべく、今回改めて簡単にご紹介してみようと思います。

 

似たような指標にシャープレシオ(Sharpe Ratio)というものがあります。恐らくシャープレシオの方がメジャーな存在ではないかと思いますが、個人的にはどちらかというとソルティノレシオの方をより参考にしています。

 

というのも、ソルティノレシオを使うことで、一般的にリスクとリターンは連動すると言われている中で、より低リスクで高リターンが期待できる都合の良い投資対象を見つられる可能性を高められるからです。

 

そこで今日は、そんな投資家の都合の良い希望を叶える上で助けになるソルティノレシオについて簡単にご紹介してみようと思いますので、これまであまりご存知なかったという方は是非この機会にご参考ください。

 

計算式や目安も含めたソルティノレシオの概要説明

 

まずは、ソルティノレシオについての説明です。それ自体の意味だけでなく、計算式や目安となる値も含め、出来るだけコンパクトで分かりやすく解説してみようと思います。

 

ソルティノレシオとは、金融理論研究家のフランク・ソルティノ(Frank Sortino)さんという人が考案した、株式や投資信託などの金融商品について、評価額の下落リスクに対し、どの程度高いリターンが得られているかを表す指標です。

 

リスクが高ければその分高いリターンが得られるのは当たり前で、投資家の力の見せ所は、下落リスクあたりのリターンをいかに高められるかという点にあると言えます。そして、それを可能にするためのデータツールが、まさにこのソルティノレシオというわけです。

 

おそらく、実際に計算する場面はほとんどないかと思いますが、理解を深めるために計算式についても参考までにご紹介しておきます。基本的にソルティノレシオは以下の計算式で算出することができ、結果の数値は大きければ大きいほどより優れていることを意味します。

 

ソルティノレシオ =(金融商品のリターン - 無リスク資産のリターン)÷ 下方偏差

 

金融商品の種類や期間などのコンディションにもよるため一概には言えませんが、理想とする目安はやはり1.0以上といったところでしょう。ただ、現実的には相対評価になるような気がするため、この目安にはそれほど拘る必要はないように思います。

 

この計算式に出てくる無リスク資産とは、分かりやすく身近な例で例えるなら、債券などの元本割れのない金融商品のことを指します。つまり、リスク商品の純粋なプラスアルファのリターンを算出するために、無リスク資産分を差し引く計算プロセスだということです。

 

ちなみに類似した指標のシャープレシオ(Sharpe Ratio)は、この式の「下方偏差」という部分が「標準偏差」に置き換わり、下振れ(値下がり)だけでなく上振れ(値上がり)についても、リスクとしてカウントする点がソルティノレシオと異なっています。

 

個人的には、評価額が上振れする分にはいくら上がってくれても嬉しいだけで困ることはないので、私がシャープレシオよりもソルティノレシオの方を参考にしていると冒頭で書いたのは、そういった理由からでした。

 

具体例を使ってソルティノレシオの理解を深めてみる

 

それでは、もう少し理解を深めるべく、ソルティノレシオの具体例をご紹介してみます。データソースは全て(Portfolio Visualizer)、例として使用するのは、優れたパフォーマンスで有名なアップル(AAPL)とアマゾン・ドットコム(AMZN)、そしてディフェンシブ銘柄のチャーチ・アンド・ドワイト(CHD)の3銘柄のデータです。

 

以下は、上記3銘柄の約20年間のリターンチャートで、Portfolio1がアップル、Portfolio2がアマゾン・ドットコム、Portfolio3がチャーチ・アンド・ドワイトを表しています。ご覧の通りリターンだけで言えば、アップル>アマゾン・ドットコム=チャーチ・アンド・ドワイトです。

 

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それでは続いて、今日の本題でもあるソルティノレシオについても同じ期間について確認してみましょう。以下は、上記3銘柄について、ソルティノレシオも含めた主要なパフォーマンス関連の指標を書き出した表になります。

 

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結果はご覧の通り、チャーチ・アンド・ドワイト>アップル>アマゾン・ドットコムと、チャーチ・アンド・ドワイトのソルティノレシオが、アップルのそれに対して1.15倍、ほぼ同じ水準であったアマゾン・ドットコムに対して1.6倍と大きく上回っています。

 

つまり、単純にリターンだけでなく下ブレの大きさが影響しており、アップルについて言えば、確かにリターンは大きかったものの、それ以上に下振れ幅がチャーチ・アンド・ドワイトに比べて大きかったということです。上記Max. Drawdownの数値を見れば、何となく想像いただけるはずです。

 

この事例だけで単純に銘柄選びをするならば、リスクは関係なく少しでも高いリターンを得たいチャレンジングな方にはアップルがおすすめ、より低リスクで効率良くリターンを得たいという堅実な方にとっては、チャーチ・アンド・ドワイトがベストな選択だということになりましょう。

 

銘柄選びの参考指標にはソルティノレシオがおすすめ

 

以上、ソルティノレシオについて簡単ではありますがご紹介してみました。今回ご紹介した例は、あくまでも理解を深めることを目的とした限られた期間におけるデータであり、期間が変われば数値も変わってくるため、参考にされる際はくれぐれもご注意ください。

 

いずれにせよ、巷ではシャープレシオが一般的でメジャーな存在ではありますが、マイナス面のみを活用しているという点を踏まえると、実際に私達投資家のニーズをより満たしている指標は、今日ご紹介したソルティノレシオの方ではないかと思いますがいかがでしょうか。

 

個人投資家が大切な身銭を切って投資するからには、可能な限りリスクを抑えながら効率良くリターンを追求しなければなりません。これまでソルティノレシオをご存知なかった方は、この機会に今後の投資対象選びに活用いただくことを、是非おすすめします。

 

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スイッチングを活用して確定拠出年金資産を増やす方法を事例を使って紹介してみる

iDeCo(イデコ)を含めた確定拠出年金で資産を増やすコツとも言える、スイッチングの活用に関する話題です。原則60歳になるまで受け取ることができないからか放置している方も多いのではないかと思いますが、スイッチングは是非とも活用したい機能だと言えます。

 

ここ数年の iDeCo 関連の広告や啓蒙活動の効果からか、これまでは企業型に限られていた利用者層の裾野も広がり、確定拠出年金の利用者も大幅に増えてきているように思います。私の会社でも、これまで制度はありながらも利用していなかった人が、ここに来て急に始めるケースも増えています。

 

ただその一方で、私自身もそうだったように、企業型は会社で薦められたり、iDeCo に関して言えば、周りに乗せられて何となく始めたという方も多く、中には始めて以降放置状態で、資産がどうなっているのかも分からない方もいるのではないでしょうか?

 

そこで今日は、そういった確定拠出年金制度を活用しきれていない方向けに、確定拠出年金の必須機能とも言えるスイッチングについて、私自身の事例を使いながら、その必要性や活用方法を改めてご紹介したいと思いますので、是非この機会にご参考ください。

 

確定拠出年金における必須機能「スイッチング」とは

 

確定拠出年金におけるスイッチングとは、既に保有している運用商品について、予め用意されている同じ確定拠出年金用の商品ラインナップの範囲内で、他の商品に変更、つまり売却及び購入を同時に行う手続きを指す用語です。

 

単なる機能の1つではありますが、このスイッチングを上手く活用できるか否かは、確定拠出年金における最終的な投資成果を大きく左右することになるため、予め本機能の効果やメリットについては理解しておく必要がありましょう。

 

混同されやすいものに配分変更という機能がありますが、これは保有資産に対するものではなく、あくまでも毎月新規に拠出する商品毎の配分を変更する手続きを指す用語であり、スイッチングとは別物であるためご注意下さい。

 

利益確定と非課税メリットの享受

 

確定拠出年金のスイッチングという機能は、本来ポートフォリオ内の商品構成比のリバランスを目的とした機能だと言えますが、敢えて今日はシンプルに利益確定による非課税メリットの享受という点にスポットを当てて書いてみようと思います。

 

例えば、現在保有しているリスク型商品に含み益が発生している場合に、その全部又は一部を利益確定することで非課税メリットを手に入れ、待機資金として定期預金型の商品などにスイッチングするというものです。

 

ご承知の通り、確定拠出年金の最大のメリットは、売却益に対する税金の20.315%が非課税になるという点にあり、当然ながらスイッチングで確定した利益に関しても課税されることはなく、回数制限もありません。

 

もちろん、利益確定せずに含み益のまま保有を続けても問題はありませんが、下げ相場が訪れて含み益がなくなる可能性は常にありますし、仮に含み益がいくらあっても利益を確定させなければ非課税メリットも享受することはできません。

 

以上を踏まえると、継続的にリスク商品への投資を継続するとしても、ある程度利益が乗った時点で利確し、下げ相場が訪れて下がった時点で再度投資するというやり方が、理屈の上では最もメリットを享受できる形だと言えましょう。

 

スイッチングを行う際の注意点

 

スイッチングを行う上で注意すべきは、売却するにあたり手数料が発生する可能性があるという点です。購入時の手数料に関しては現状ほぼ発生することはないかと思いますが、商品によって売却する際に信託財産留保額という手数料が0.1%前後発生することがあります。

 

ファンドを解約するということは、投資信託会社は現金化のために保有している株式や債券を売却するということであり、それに伴い投資信託会社が支払うことになる諸々の費用を残された投資家が負担することになるため、その不公平を解消するための手数料がこの信託財産留保額です。

 

最近は信託財産留保額が発生しない商品も増えていますし、そもそも手数料額自体それほど高くないため大きな問題にはならないかと思いますが、スイッチングをする際は念のため保有商品の手数料コンディションをご確認ください。

 

スイッチングに関する事例紹介

 

以下は、私自身が会社を通じて行っている企業型確定拠出年金の口座状況ですが、ご覧の通り「DCダイワ外国株式インデックスファンド」が1.6倍程度まで膨らんでいます。

 

時価評価額 3,495,995 円
取得金額 2,137,966 円
評価損益 + 1,358,029 円

 

例えば、仮に利確目的でこの商品全てをスイッチングした場合約136万円の売却益が発生しますが、特定口座であれば課税される27万円強の税金がこの口座では非課税になるため、全額を利益として受け取ることが可能です。

 

コロナショック時の底値付近で、一部を定期預金型の「フリーポケット」から「DCダイワ外国株式インデックスファンド」スイッチングしたことや好調な相場を受けてリスク商品の比率が高まってしまっていますが、ひとまずスイッチングはせず、新規拠出分を全て定期預金型の「フリーポケット」にすることでバランスを少しずつ戻している状況です。

 

ただ、それでは追いつかず、あまりにも「DCダイワ外国株式インデックスファンド」の比率が高まり過ぎるようなことがあれば、再度「DCダイワ外国株式インデックスファンド」から「フリーポケット」にスイッチングすることも検討しようと思います。

 

計画的かつ定期的なスイッチングの有効活用のすすめ

 

以上、本来的には偏った観点からの説明ではありますが、非課税メリットの享受という観点に絞った形で、確定拠出年金におけるスイッチング機能の魅力について、私自身の事例と共にご紹介してみましたが、いかがでしたでしょうか?

 

基本的に確定拠出年金は、60歳を迎えるまでの数十年レベルの長期運用でもあるため、利益確定せずに運用を続けることで複利効果も働き資産を大きく増やせる可能性は十分にありますが、部分的にでもスイッチングを取り入れることで、さらに増やせる可能性も高まります。

 

特に昨今の、世界的に好調な株式相場や米国の利上げによるドル高が進んでいる状況から考えると、確定拠出年金で外国資産に投資するリスク商品を選択している方の中には、私のように多かれ少なかれ含み益が生じている方も多いのではないかと思います。

 

確定拠出年金を始めてはみたものの、何らかの理由で放置してしまっている方は、是非この機会に口座内の資産状況を確認の上、仮に含み益が発生している場合には、スイッチングを活用して一先ず非課税メリットを享受されてみてはいかがでしょうか?

 

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新社会人には複利を最大限活かした積立投資による資産形成がおすすめ

我が息子を始め、新社会人向けにも是非ともおすすめしたい、インデックスファンドへの積立投資に関する話題です。

 

ブログを運営している米国株投資家の方々には比較的若い方が多いように思いますが、実は私が本格的に株式投資を始めたのは40歳を過ぎてからと遅く、投資についての知識が増えるにつれ、この歳になるまで始めなかったことに対する後悔の念が日増しに強くなります。

 

所詮タラレバの話なので、今更後悔しても仕方ないのですが、湧き出てきてしまうのですから仕方ありません。

 

そんな女々しい私ができること、それは自分自身が後悔した経験を我が家の息子をはじめとした世の若い方に伝えることで、私と同じような後悔をしないようにすることしかありません。

 

そこで今日は、自分自身のこれまでの反省や教訓などの経験を踏まえ、息子でも人並み以上の資産形成ができる可能性が高い、インデックスファンドへの積立投資に関するアドバイスを、遺言代わりに残してみたいと思います。

 

これから新社会人になるにあたり、今後資産形成にもチャレンジして行こうと考えている方も、選択肢の一つとして是非ご参考ください。

 

新社会人になったら一日も早く証券口座を作りなさい

 

資産運用に関する知識も経験も持たない君が人並み以上の資産を作るには、たっぷりとある時間を使い、複利効果を存分に発揮する必要があるから、新社会人になり次第、積立投資用の証券口座を作りなさい。

 

積立NISAでも構わないが、今のところロールオーバーができず20年しか税制メリットを受けられそうにないから、40年近く運用し続ける前提の君は特定口座にするのが良いだろう。

 

積立投資と言っても基本的には難しいことをする必要はなく、最初に手続きしてしまえばあとは放置する前提だから、人を介さないネット証券、例えばSBI証券、楽天証券などで十分だ。

 

後で作ろうと考えていると伸び伸びになってしまい、資産運用に費やす大切な時間を無駄にしてしまうから、入社式を終えたその足で申し込みだけでもしてしまいなさい。

 

米国株インデックスファンドへの積立投資を始めなさい

 

本当ならば、私のように米国個別株を薦めたいところだが、それなりに知識や手間が必要で興味が湧かない状態で続けられるものではないから、知識や時間がなくてもできるインデックス投資が良いだろう。

 

口座が開設できたら、ノーロード(購入手数料無料)且つランニングコストにあたる信託報酬が最も安いインデックスファンドに、給与から自動的に引き落とす仕組みを使って積立投資を始めなさい

 

毎月自分で給与口座から証券口座へ資金を移動しても良いが、毎月の作業になると面倒になり積立を止めてしまう可能性があるから、自動引き落としにしておきなさい。

 

投資先は、株式、債券、さらにはリートに至るまでいろいろあるが、米国S&P500指数に連動する米国株式に投資するファンドだけで構わない。

 

君は知らないだろうが、世界一有名なウォーレン・バフェットという伝説の投資家も、バークシャー・ハサウェイの投資家向け年次レターの中で、次のような遺言を残しているぐらいだから間違いはないだろう。

 

現金の10%を米国短期国債に、90%を低コストのS&P500インデックスファンドに投資せよ。この方針に従えば、管財人の長期的な運用成績は多くの投資家-年金ファンドであれ、機関投資家であれ、個人であれ-の成績を上回ると確信しています。なぜなら、投資家は、コストの高いファンドマネージャーを雇っている分、収益が低くなるからです


君が新社会人になる頃、どんなファンドラインナップがどのような条件で設定されているか分からないが、いずれにしても君がコントロールできるのはコストだけだから、とにかくS&P500連動の米国株インデックスファンドの中で、信託報酬最安のものを選びなさい。

 

なお、複利効果を最大限活用するには配当金(分担金)の再投資は必須だから、分担金の設定は必ず再投資型に設定しておきなさい。

 

不安になっても証券会社の人間に相談してはいけない

 

全員ではないかもしれないが、証券会社の人間もボランティアではなくサラリーマンである以上、仕事上で何らかの成果を残さなければならない。

 

その成果には、顧客が株式や投資信託を売買する際に発生する手数料も主な一つとして含まれており、普通の人間であれば手数料率の高い商品を薦めたがるだろうから、君にとって最良の提案をするとは限らない。

 

しかも、新社会人は資産運用について右も左も分からない状態の、言ってみれば狩りやすい獲物だと言っても過言ではないから、彼らにとっても格好のターゲットであるに違いない。

 

参考のために相談するだけなら構わないが、相談した結果薦められた金融商品を断る自信がないならば、最初から相談してはいけない。

 

ファンドの乗り換えは慎重に行いなさい

 

積立投資を始めた段階では信託報酬が最安のS&P500指数連動インデックスファンドを選んだとしても、時間が経てばより安い信託報酬の商品が出てくる可能性がある。

 

インデックスファンドにとって信託報酬はリターンを決める重要な要素だから、当然ながら安い方に乗り換えたくなるだろうし、その時点だけで考えれば乗り換えるべきだが、そこは早まって動かずにしばらく様子を見るようにしなさい。

 

一旦は最安になるかもしれないが、この業界も競争が激しくなっているだろうから、そのうち後追いで今のファンドがより安い水準まで手数料を下げる可能性があるからだ。

 

だから乗り換えるにしても、今のファンドはそのまま保有し続けた上で、次回の積立分から新しいファンドに投資し始めるようにし、間違っても早まって売却して乗り換えることがないように注意しなさい。

 

いずれにしても乗り換えるかどうかは、利用している証券会社の価格設定水準やサービスレベルから考えて、コストに関して業界をリードして行く可能性があるか否かで判断すると良いだろう。

 

放置出来る範囲内で出来るだけ多く積み立てなさい

 

新社会人になりたての君には遠い未来の話になるが、基本的に積み立てるインデックスファンドは、君が定年を迎えるまでは解約してはいけないものだと考えなさい。

 

従って、日々の生活ができず解約しなければならない状況が発生してしまっては意味がないから、投資していることを忘れてしまうぐらい生活に支障がない範囲内で積み立てなさい。

 

今の君には理解できないかもしれないが、米国S&P500のインデックスファンドのリターンを仮に6.5%と低く見積もっても、君が定年になる頃には今の10万円は複利によって100万円になっている可能性が高いから、できる限り若いうちに少しでも多く積立てておくのが良いだろう。

 

一旦始めた後は積立投資をしていることを忘れなさい

 

積立を始めた後は、自動引き落としの設定さえできれば毎月決まったタイミングで積立投資してくれるから、投資していること自体を覚えている必要はない。

 

むしろ、どんな悪いニュースが流れても、株価がどんな動きをしようとも、君が投資しているインデックスファンドには一切関係ない話だから安心して忘れてしまいなさい。

 

中途半端にニュースや株価を気にすると、売ってしまいたい欲望に駆られるから、そんな悩みや迷いを抱えるぐらいなら忘れてしまった方が良いだろう。

 

新社会人からしばらくは、慣れない仕事で忙しいだろうし、仕事だけでなく彼女も作りたいだろうし、その他にも若い頃しかできないことは沢山あるだろうから、投資のことなど忘れて他のことに熱中すれば良い。

 

臨時収入があった時は無理のない範囲内で追加投資しなさい

 

積立だけでも十分だが、スポットで追加投資できるならばそれに越したことはない。

 

したがって、ボーナスなどまとまったお金ができた時は、無駄遣いにならない範囲で好きなことや欲しい物に使い、残ったお金の内の一部は無理のない範囲内で追加投資すると良いだろう。

 

但し、投資はこれから40年近く続けて行かなければならないもので、ストレスになってはいけないから、追加投資に迷いや無理が少しでもあるようなら見送っても構わない。

 

最後に

 

資産運用の形はこれに限らないが、新社会人として何かと忙しくなることが予想されること、面倒なことが嫌いな性格などを考えると、中途半端にいろいろ手を出すよりも、この方法に専念した方が良いだろう。

 

株式投資の形も色々だから、今後も常に新しい投資対象や方法が出て来るだろうし、それに伴い途中迷いも出てくるかもしれないが、世界のプロの投資家達に勝ってきた実績を信用し、まずはこの方法を続けてみて欲しい。

 

絶対とは言えないものの、君がこれをやり続けられた暁には、君の未来はかなり高い確率で人並み以上に明るいものになっているに違いない。

 

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