おだやかな人生なんて!
今日は、というより昨日は、バイトをしていました。
大学の講義がなく、恋人に会う予定もなく友人と遊ぶ予定もない日は派遣のバイトにいっています。
大抵、段ボールだらけの流通センターで、箱に商品を詰めたり、商品に値下げシールを貼ったりする仕事です。
単純作業だけど夢中になれば面白く、しかしやはり肉体労働なのでクタクタに疲れてしまう、から
夜8時くらいに、恋人に
「24時か25時くらいに電話をかけておこしてね」と頼んで寝ました。
どうしてそんな中途半端な時間に起きるのかというと
私の恋人は夜型人間なのでSkypeやLINE電話をできるのが大抵夜中なのです。
つまり私は電話で起こして貰って、そのままいつもみたいにお話しできたらいいなあと思った。
それで、まあ、さっき起こして貰ったんだけど
なんと今日の恋人はもう寝てしまうらしい。
やる予定の仕事(在宅)が急に無くなったので、明日は釣りに行くんだ、と。
釣りの為に早起きするから今日は早く寝るんだ、と。
もしかしたら、こんな時
「8時に電話頼んだ時にそれ教えてよ!そしたら寝なかったよ!!」
ってちょっと怒る人が世の中にいるのかもしれないし
「30分だけでも話せないの〜?」
ってわがままを言ってみてもよかったのかもしれないけど
私は恋人のことがすごく好きだし
そのうえ夢見がちで臆病な性格なので
「私の恋人はなんだかスナフキンみたいだなあ。
風の吹くまま、気のままに生きてるんだなあ。
いいなあ、好きだなあ。」
と思い、じゃあ私もやっぱりこのまま寝ようかななんて言って電話をきってしまった。
これで、こんなんでいいのかな人生。
いいんじゃないかしら人生、しあわせだし。
と最近よく思います。
しかし人間は、世の女たちは、私は、
なぜ毎日長電話しているのに
今日も明日も長電話したがるのか。
私の毎日はわりと単調で、ひとにどうしても伝えたいビックニュースなんたそうそう起きないんですよ。みんな似たようなもんでしょう。
でも話したい、なにか聞いてほしいし、聞かせてほしい。
女友達となら、単調な毎日のダラダラした話をよくするもんだけど、どうやら世の男性たちは女のそのような話をつまらない、と思っているらしいのに!
どうすればいいんでしょうね、毎日話し合うべき議題を用意してディベート形式にしたりすればいいのかもしれない。(もちろん冗談です。)
あなたはそれを 知っていたと思っていたよ
恋人と家族の話しをしている時
「お兄ちゃんも逃げちゃえばいいのにね〜」
と言ったら
「逃げたなんて言葉使わなくていいでしょ。君も逃げたわけじゃない。子どもが進学や就職のために親元を離れるのは自然なことだよ。」
と言われ、なるべくいつもの声で、そうだね と返したけど
ほんとは泣きそうだった。嬉しくて。
私の家族は離婚したりなんだり少しややこしいことがあって、私は母と2人暮しをしていたのだけれど、
女の二人暮らしはどうにもこうにも息がつまるし、
住んでいるところが田舎で若者として単純な都会への憧れがあり、
それから当時の好きな人(現在の恋人)が東京に住んでいたので(正確には千葉だったけど…)
大学進学にかこつけて上京しました。一年ほど前に。
そんなわけで、東京に逃げてきた という言い方をよくしてしまう。
田舎とか母とかその他の親類とか、色んなものから逃げてきた。
たぶん、私のなかには
「両親の離婚とか、母子家庭とか、田舎暮しとか、別に珍しくも不幸なことでもなかったけど、私はその生活が嫌だったから、頑張って頑張って東京にきたんだーい!誰か認めて!褒めて!」
って気持ちと
「でも、別に父や母や育った土地が本当に嫌いなわけじゃないし、母に寂しい思いをさせたいわけでもないんだよ…」
っていう気持ちがあって、
恋人の言葉は、どちらの気持ちも(特に後者のほうを?)なんとなく肯定している…ような気がしたから嬉しかった…のかもしれない。
実際恋人がどんな気持ちでその言葉を言ったのかわからない。でも私は私の勝手な解釈で、勝手に幸せになったりする。
最近そういうことをよくしていて、ああ恋だなあと思います。
そしてこういう時にはいつも江國香織さんの あの日母は台所にいて という詩を思い出す。
一部抜粋
「あなたはそれを しっていたのではなかったの?
たったひとりで生まれてきたことを
わけもわからず それでも生きていたことを
ほめてくれたのではなかったの?」
子どものとき、この詩を読んだときは、いつか自分にも すべて知っていてくれてる人が現れるのかな と思ってたんだけど
これはそういう詩でなかったなあ、やはり。
知っていてくれてるのかもしれない、という錯覚が恋なのかな。
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あなたの孤独をまもる人になりたい。
今年2014年はムーミンの作者トーベ・ヤンソンの生誕100周年らしい。
ということで流行りに乗じてトーベ・ヤンソン短編集買って読みました。
これが面白い!知らなかったよヤンソン!あなたのムーミン以外の本がこんなに面白かったなんて!
「誰かとこの面白さをわかちあいたい!」と思ったのに、周りが誰も読んでない。なんで!トーベ・ヤンソン100周年でしょ!?流行ってないのかよ!
ということで
トーベ・ヤンソン短編集の中で1番気に入ったお話しのこと書きたいと思います。
【往復書簡】
日本人の女の子タミコからヤンソン宛に届いた8つのファンレターで構成されている小説(…小説だよね??)
ヤンソンからの返事が載っておらず、すべてタミコからの手紙である。タミコはヤンソンに憧れ英語を勉強し旅に憧れ留学も志している。6つ目の手紙で奨学金がもらえるかもしれない、という話も出てくるが、8つ目最後の手紙で突然タミコの母の死が告げられ、タミコは旅をあきらめてしまう。
まあこんなお話で、タミコのヤンソンへの憧れが可愛らしく、若い情熱は読んでるこちらが気恥ずかしくなるほど…なんですが
たった8つの、それも一方的な手紙で
ちゃんとストーリーが成り立っていることが素晴らしい。
でもなにより良いなと思ったのはタミコが色々な言葉でヤンソンへの好意を表すところです。
「わたしはあなたが大好きです。
おなじくらい年をとって、おなじくらい賢くなりたい、と夢みています。」
「あなたはしあわせだなあと思います。」
「わたしの時間は、あなたのことを考えるにつれ、どんどん長くなっていきます。」
同じくらい年をとりたい っていうのは良い、私は老いに肯定的な言葉が好きです。
それから、あなたはしあわせだ、というのも良い。ひとの幸不幸を決めつけることは時に(というか大抵の場合)失礼なことだったりするけれど、タミコの中では好意を表す言葉になっている。不思議だなあ。
上に書いたような感じにタミコは色んな言葉でヤンソンへの想いを綴っていて、そのどれもすきなんだけど1番すきなのは、
「わたしはあなたをなぐさめ、あなたの孤独をまもる人になりたい。」
という一文です。
あなたの孤独をまもる って矛盾している。タミコはヤンソンと会って話がしたいけど、ヤンソンの孤独を守ってあげたい。
多分そのふたつは同時にはできない。一緒に居れば、それはもう孤独ではない。
でも、もしそれが出来たなら、それはとっても素敵な居心地の良い関係になるんじゃないかな。
家族でも恋人でも友人とでも。
一緒に過ごして、お互いの孤独を守り合えたなら。
いつか私もそんなふうに誰かと生きたいし、今のところは恋人とそのような関係になりたいです。
- 作者: トーベ・ヤンソン,冨原眞弓
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