良い死!研究会ML経由.朝日新聞連載「命のともしび 懸け橋に」

asahi.com(朝日新聞社):命のともしび 懸け橋に:1 患者になって初めて知った - 患者を生きる - 医療・健康
asahi.com(朝日新聞社):命のともしび 懸け橋に:2 看護先と同じ症状、震えた - 患者を生きる - 医療・健康
asahi.com(朝日新聞社):命のともしび 懸け橋に:3 頭痛・胸苦しさで看護師辞める - 患者を生きる - 医療・健康
asahi.com(朝日新聞社):命のともしび 懸け橋に:4 「息苦しい」「つらい」、分かった - 患者を生きる - 医療・健康
asahi.com(朝日新聞社):命のともしび 懸け橋に:5 選択の時まで自分らしく - 患者を生きる - 医療・健康
asahi.com(朝日新聞社):命のともしび 懸け橋に:6 情報編 「生きて当然な環境 整備を」 - 患者を生きる - 医療・健康

そこで「1/2租税方式」ですよ(「勿凝学問140 悪いね、僕は1/2租税方式論者に転向するよ」)

(記者)

 年金の話に戻りますが、昨日枝野さんが「現行の年金制度はある意味税方式である」という発言をされておりますが、大臣は現行制度は税方式、社会保険方式のどちらだとお考えかということと、民主党案は税方式であるという認識でいらっしゃいますでしょうか。
(大臣)

 今の年金制度でも基礎年金の2分の1には税金が投入されており、全部保険料でやっているわけではないわけです。次の年金制度をどう構築するかについても、もちろん保険料もありますが、しかし税金も投入していくということですのでそれを一概に保険料方式とか税方式とか一方的に決めつけるような表現はなかなか決められないのではないかと思っております。

via: 厚生労働省:平成23年1月18日付厚生労働大臣記者会見概要

利用者個人としても十分検討しないと...

この障害者自立支援法の改正案。実は結構くせ者な気がする。特に、サービス利用計画の対象者がほぼすべてのサービス利用者に拡大することは、どんな影響がでるのか想像もつかない。介護保険のように自己作成をみとめるのか、どのくらいの期間でやるのか、詳細はこれからだが、場合によっては大きな影響がでるだろう。極端には、委託の相談支援事業が基幹型のみになり、私たちがやっていることなどなくなってしまうやもしれない。今後の詳細な情報を来年一年間は見守っていかなければならないだろう

via: とみたの大耳・小耳(改): どうなる「改正」?

党議拘束,ねじれ国会,財政再建

[JMM615Sa]「中道オバマの新政策にある一貫した方針とは何なのか?」from911/USAレポート

以降はかなりスムーズに審議が進みました。(2)から(4)はどれも共和党の支
持母体の一角を担う「草の根保守」のイデオロギーとは相容れない政策ですが、結果
的に実務家による説得が通じたのです。軍の同性愛自由化については、ゲイツ国防長
官、マレン統合参謀本部議長以下が承認を求めましたし、ロシアとの新核軍縮に関し
てはそのゲイツ国防長官とヒラリー国務長官がサポートする中、議会の秘密会で国の
防衛戦略に根ざした説得が繰り広げられました。また911テロの際の出動者の救済
については、ニューヨークのブルームバーグ市長が共和党の説得に当たったのでした。
 さて、こうした一連の「新政策」ですが、何か一貫した方針はあるのでしょうか? 
その検討に入る前に、そもそも「11月の中間選挙で与党が大敗し、1月の新議会で
共和党が下院を圧倒的多数でコントロールるする」という現状にも関わらず、どう
してこれだけの「超党派合意」ができたのかという点で、「ねじれ議会+与党内分裂」
で動きの取れない日本の政局とはどこが違ったのか、その点を確認しておきたいと思
います。
 今回の「超党派合意」の背後には、確かに民選で強大な権力を与えられた大統領制
や、上下両院の性格付けや優越性に関する憲法上の規定が制度インフラとして存在し
ています。ですが、大統領制や両院の優越性の定義がなければこうした「ねじれの中
での超党派合意」は不可能かというと、そんなことはないと思います。この欄で再三
お話しているでのすが鍵は「党議拘束の解除」です。個々の議員が、大統領の説得を
受ける中で選挙区と相談して独自の判断を行う、その柔軟で独立したシステムが「ね
じれの中での決定」を可能にしているのです。
 それはともかく、実際に今回決定した政策は、単に「超党派合意ができた結果」と
いう以上の意味を持っていると思います。表面的には「減税」は共和党寄りですし、
「同性愛の自由化」とか「核軍縮」というのは民主党的な政策に見えます。また
911出動者の救済」について当初共和党が反対したというのは、彼等にとって
911と戦った伝説」よりも「目先の医療保険改革つぶし」の方が優先事項であっ
たという時間感覚を感じさせて興味深いようにも思います。
 ですが、そうした対立軸とか政争という構図の奥を見てゆくと、この四つの「政策」
には一つの共通したテーマがあることが分かります。それは「財政再建」という問題
です。まず軍の関係で(2)の同性愛自由化と(3)の核軍縮についてはどうでしょ
う? まず対ロシアの核軍縮ですが、一つには「欧州のミサイル防衛システムの仮想
敵を、ロシアからイランに一部変更」という戦略的な意味合いがあります。ですが、
それ以上に「膨大な核弾頭の維持管理コスト」にはもう耐えられないという財政上の
要請があるのです。対イラン戦略にしても、イラクとアフガンの延長に「対イラン抑
止力」を本格的に構築するのではなく、ミサイル防衛システムの「対象ずらし」で対
応するというのはコストダウンに他なりません。
 軍における同性愛カミングアウトの自由化についても、社会価値観に関するイデオ
ロギー的な政策変更に見えますが、実際のところは「コスト削減」の問題が決め手に
なったという見方もあります。折角国費をかけて募兵をした、あるいは訓練を施した
兵士であっても、これまでは同性愛を告白した場合は即時除隊にしていたわけで、そ
の「ムダ」は相当な額になっていたというのです。共和党の反対派を説得するための
レトリックにも見えますが、この「コスト要因」というのは無視できない問題であっ
たようです。
 ニューヨークの「911テロ出動者への医療サービス」という問題も、共和党にと
っては「医療保険改革を潰そう、あるいは骨抜きに」という「意欲」の延長で反対し
ていたように見えますが、これとても「小さな政府論」や「自己責任論」の延長にあ
る主張であり、「財政」の問題が色濃く影を落としています。結果的に可決されたと
はいえ、当初案よりも金額的には圧縮されているのです。
 ところで、一連の「超党派合意」の決め手になった「ブッシュ減税の継続」はどう
でしょう? 2年間で総額8600億ドル(72兆円)という額は、減税である以上
はコストであり持ち出しになる金額です。とりわけ、年収25万ドル(約2千万円)
以上の富裕層に関しては、減税を終わらせることによる税収により「財政再建」を行
うとか「医療保険改革の財源」にするというようなことを、オバマ自身が大統領選を
通じて言い続けて来ましたし、民主党の周辺には今でもこの「増税」が実現できなか
ったことへの反発が渦巻いています。
 ですが、今回議会が可決してオバマがサインした法案は、富裕層も含めた完全な
「減税の延長」なのです。これでは共和党案を丸呑みしただけでなく、オバマ政権と
しての節操はどこにあるのかという話になってしまいそうです。ですが、この判断自
体もオバマとしては一応筋を通しているのです。というのは、オバマの「再選戦略」
においては「財政再建」をキーワードにしそうな気配で、既に大統領の諮問委員会で
ある「財政規律委員会」などが動いているのですが、ここでは2020年までに累計
4トリオン弱(4兆ドル=340兆円)という巨額の赤字削減を目指すという方針が
出てきています。
 そんな物凄い赤字削減に取り組むのであれば、まず2011年から2年間の860
0億ドルの減税をするというのは矛盾に見えます。ですが、オバマとしてはストーリ
ーはあるのです。この「2020年までに赤字削減を行う財政規律委員会の提言」の
行動計画には、次のような前提条件があるのです。それは「不安定な景気回復トレン
ドに負荷をかけない」という前提で、そのために具体的な財政赤字削減については
「2012年からゆっくりスタートし、本格的な歳入増+歳出減に取り組むのは20
14年から」というタイムテーブルになっているのです。
 つまり2011年から2012年という時期に「景気回復の手段としての減税」を
行うことは「中長期の財政赤字削減計画」とは矛盾しないどころか、この減税が景気
回復に効果があるのであれば、却ってその後の税収増にもなるという計算もあるとい
うわけです。これは別に詭弁でも手品でもなく、単年度主義ではない国家経営を行う
という発想から自然に与野党で合意がされたのです。
 そう考えると、今回の「オバマの譲歩」や「共和党の妥協」というように見える一
連の「超党派合意劇」は、実現可能な狭い政策選択の幅の中で、しっかりとその「実
現可能なゾーン」での意思決定がされたというだけのことのように思われるのです。
繰り返しになりますが、それは「財政再建」という一つのテーマに集約ができるもの
です。そして、この点に関しては実はトーンこそ違え、草の根保守の「ティーパーテ
ィー」が今年一年をかけて主張してきたテーマと見事に重なるのです。
 もうすぐ2011年、年明けにはオバマの年頭予算教書演説(ステート・オブ・ユ
ニオン・アドレス)があります。大統領の今回のハワイでの静養は、この「中間選挙
敗北直後」の予算教書に何を盛り込むかを考えるためという解説もありますが、とに
かくこの演説は大事です。選挙に負けた直後でもありますが、再選を目指す大統領選
へのキックオフ宣言という位置づけもあるからです。そして、そのテーマは恐らくは
財政再建」になるでしょう。具体的には「2020年までに4トリオン弱の赤字削
減」という巨大な数字も持ち出すでしょうし、今回の減税は景気回復のためであり、
赤字削減は2012年から、そして2014年以降に本格化するということも恐らく
口にするのではないかと思われます。
 対する共和党の大統領候補レースは、今のところサラ・ペイリンを軸に回っていま
すが、アプローチこそ違え、こちらも主要な主張は「財政再建」です。例えばペイリ
ンの場合は、今回の「超党派合意劇」や「財政規律委員会」には批判的です。彼女の
立場からすれば、いかなる増税も認められないし、いかなる歳出増も認められないか
らです。ペイリンの推薦を受けて当選した「ティーパーティー系」新人議員が多数登
院する1月以降の新議会では、この点で対立が深まるという見方もあります。
 そうした違いを持ちながら、民主党共和党は恐らくこの「財政再建」をテーマに
大統領選を戦うことになる可能性が大きいと思います。仮の話ですが、同じ財政の問
題をテーマに選挙戦が戦われ、そこで様々な具体的な論点に関しての論争が行われ、
結果的に民意とのコミュニケーションがかなりできた中で、思い切った歳出カットを
国家の中長期計画として決定ができるようですと、アメリカの衰退は食い止められる
かもしれません。先週お話した「新しいストーリー」とはこうした意味だったのであ
り、この一週間、アメリカは2011年を先取りするように、その新しいストーリー
へと入っていったように思われます。
勿凝学問335 政権交代と、それはそれは立派な政治主導
[引用] 
9月19日
うんっ? なぜ、すべてのインタビューや原稿を断っているかって?
ご隠居生活を愉しんでいるから・・・というのもあるけど、「日本型マニフェ
スト選挙」の下では、選挙の後の議論は不要、つきつめれば、選挙で勝った
政党のマニフェストに書かれてしまっていたらもうおしまい、その後は国会
での議論も不要となる。ましていわんやである。
選挙の前に、有識者さん達が集まってマニフェスト達成度チェックとかをや
っていたけど、政治家も可哀想だ。誤りに気付いたり、予期せぬ事態に直面
したりして政策転換をしたら、「ブレた」なる流行り言葉でマイナス評価を受
ける時代になったんだから。政治家は、粛々と(意地になって?)マニフェ
ストを実行していくしかないでしょう。その世界では、議論や批判は無意味
ーそして次の選挙のためのマニフェスト作成に関わらない国会議員は、採決
のときだけ出席してもらう非常勤で済む話。

生産性を上げるには...

製造業のような物的生産性概念がそもそもあり得ない以上、サービス業も含めた生産性概念は価値生産性、つまりいくらでそのサービスが売れたかによって決まるので、日本のサービス業の生産性が低いというのは、つまりサービスそれ自体である労務の値段が低いということであって、製造業的に頑張れば頑張るほど、生産性は下がる一方です。

http://activity.jpc-net.jp/detail/01.data/activity001013/attached.pdf

この詳細版で、どういう国のサービス生産性が高いか、4頁の図3を見て下さい。

1位はルクセンブルク、2位はオランダ、3位はベルギー、4位はデンマーク、5位はフィンランド、6位はドイツ・・・。

わたくしは3位の国に住んで、1位の国と2位の国によく行ってましたから、あえて断言しますが、サービスの「質」は日本と比べて天と地です。いうまでもなく、日本が「天」です。消費者にとっては。

それを裏返すと、消費者天国の日本だから、「スマイル0円」の日本だから、サービスの生産性が異常なまでに低いのです。膨大なサービス労務の投入量に対して、異常なまでに低い価格付けしか社会的にされていないことが、この生産性の低さをもたらしているのです。

via: スマイル0円が諸悪の根源: hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)
追記:

わたくしにとって大変興味深かったのは、篠崎さんと大湾さんが指摘されていた間接雇用の拡大によって製造業の生産性が見かけ上かさ上げされているのではないかという点でした。

>篠崎 ・・・これはやはりデータの話で、細かいことなのですけれども、労働投入量と、生産性との関係についてです。例えば総生産が拡大しても就業者数が伸びないという話がありましたけれども、おそらく生産現場で製造業にカウントされない就業者を使っていることの影響があると思います。派遣や請負だとサービス業に分類されてしまいますから、製造業の雇用者としてカウントされません。派遣や請負を使っていれば、生産額は伸びますけれど、就業者数は伸びないという話になる。とすれば、もしある分野において、生産額と就業者数との関係を正確に見たければ、生産に投入した実質の労働投入の総数を何らかの形で推定しないと、おそらく関係は見られないのではないか。・・・

>大湾 ・・・生産性のデータを使う場合は、本当に注意深くやらないと行けないと思うんです。というのは、いろいろな要素がそれをねじ曲げる方向で働いていますので、例えば今、派遣の話がありましたけれども、正社員が派遣に切り替わったときに、派遣社員が何をやっているかというのは、統計をつくる側は分からないので、派遣への支払いは投入コストとして測るわけです。そうすると、社内の正規従業員がつくっていれば200円かかったものが、派遣の人がつくると100円で済む場合、高い人件費が低い投入コストに切り替わることで、正規従業員一人あたりの付加価値はその分上がってしまう。本当は生産性が上がっていない。生産性は上がっていないんですが、社内から外部調達へ切り替わった労働の中身を統計をつくる側が把握できないために、生産性を大きくカウントしてしまう可能性がある。・・・

生産性という概念は、サービス業自体の拡大であれ、製造分野内部におけるサービス提供業者(派遣や請負)の拡大であれ、経済のサービス化が進めば進むほど、一筋縄ではいかなくなるのですね。

via: 間接雇用と製造業の生産性: hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)

日本の生産性の低さの原因がどこにあるのかについての、もう一つの重要な指摘です。

>経済的民主主義の確立に必要なのは、経営参加制度だけではありません。ILOが出している報告書によれば、北欧の労働生産性は日本の倍も高いのです。あれだけ日本人が働いているのに、日本の労働生産性が低いのはなぜなのでしょうか。それは、労働が非効率的非合理的に組織されているので、無駄が多いことによるものですこれは、職場における民主主義の欠如とその裏腹の関係にある権威主義のためです。

>例えば、スウェーデンの首相が国際会議に出かける際、自分で車を運転していくか、せいぜい秘書に運転させていきます。また、演説するときに使うのは簡単なメモくらいです。ところが、日本の首相が国連で演説するとなれば、まず各章から原案を集め、官房でさまざまな調整をします。行くときには、外務省の大臣や局長、他の省からも同行します。そして首相のおつきだけではなく、大臣や局長のおつきも必要になり、飛行機一台でも足りなくなります。スウェーデンでは2,3人でやっている仕事を、日本では500人から800人かけて行っています。この場合、首相の生産性は何百分の一となります。会社の社長も同じで、おつきが何人もついていきます。封建時代の大名行列の名残か分かりませんが、そんな国は他にありません。アメリカでは社長が一番忙しいといいますが、日本では上の人は仕事をしません。社長を辞めた後は顧問などになりますが、この人たちの生産性はゼロで、むしろマイナス要因です。労働者の生産性には問題なくても、使用者と経営の生産性が低い。日本はあまりにも膨大な管理監視機構と、それから派生するさまざまな弊害を抱えています。・・・

>スウェーデンなど北欧の社会と比較した場合、日本ではあまりにも無駄な作業が多い。なぜなら、経済的民主主義が十分ではなく、権威主義がそれを助長しているからです。上の人を立てなければならない、上の人に恥をかかせてはいけないという、250年、300年前の封建時代からの伝統が我々の意識の下にあり、戦後の民主主義時代の中でも生き残っているのです。・・・

経済的民主主義の欠如と権威主義の残存が、とりわけ経営陣の生産性の低さの原因になっていて、労働者レベルの生産性の高さを無にしているという指摘です。

via: 経済的民主主義の欠如と生産性の低さ: hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)

http://news.fbc.keio.ac.jp/~kenjoh/work/korunakare96.pdf

>日本の医療の生産性が低いというのは出席者周知のこと、その原因が、診療報酬と制度改定により医療費が政策的に低く抑え続けられてきたからというのも出席者周知のこと。医療生産性を上げたいのであれば診療報酬を引き上げればよいのである。

>ついでに余計なことを言っておくと、必ずしも生産性は付加価値生産性で測る必要はなく、生産物で測った物的生産性を見ることもある。そこでいま、医療の生産性を、医師1人当たりの取扱患者数で見ようとすれば、わたくしが「医師の多忙さを推し量る一次接近」と呼んでいる図を見ればよいことになる。

>う?んっ、日本の医師はアメリカの5倍ほどはたらき、日本はアメリカの5倍ほどの物的生産性を示しているとしか読み取れないですねぇ、これは。

で、このエッセイの最後には、、『岩波 現代経済学事典』における「生産性」の解説が引用されています。

生産性について何事かを騙ろうという人は、せめてこれくらいの常識は身につけてからにして欲しいものですね。

>・・・エコノミスト、新聞などが誤って使っている場合が多いので、その内容を厳密に定義する必要がある。いま投下労働量をl時間とし、それによって生産された生産物をqとすると、労働生産性はq/lであり、労働当たりの物的生産性である。したがって、生産性の比較は、工場内の同じ工程をとって比較する以外ない。たとえば、乗用車の組立工程を日米間で見ると、1人1時間当たり、もっとも効率のよい工場同士で、日本1に対して、米国0.35であり、塗装工程で、最頻価日本1、米国0.5(いずれも1981年)である。しかし、通常エコノミストや新聞が用いる生産性は付加価値生産性で、価格をp、製品当たり原材料費をuとすると(p-u)q/lである。したがって、価格の高い米国の自動車産業が、物的生産性q/lは小さくても、付加価値生産性が高くなることがあり、日本は生産性が低くなる可能性がある。

via: 診療報酬を引き上げれば医療生産性は上がるよ@権丈節: hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)

「消費税の福祉目的化」と「消費税の社会保障目的税化」の違い

「消費税についての問題提起」,平成22年12月15日日本医師会定例記者会見資料(1)

4. 消費税目的税化のポイント
消費税を目的税化しても、法律上は使途を決めるだけなので、不足分は他の
税収や公債で埋めることができる。しかし、運用によっては、次のようなメリ
ット・デメリットがある。
消費税目的税化のメリットは、世代間格差が是正できること、景気に左右さ
れにくい安定的な社会保障財源になることである(表 4.1)。
デメリットは、かつての道路特定財源に見られるように、社会保障財源を目
的税化した場合、既得権益化し、財源がある限り、新たな事業が起こされるお
それがあることである。当面は、消費税率をかなり引き上げても、「消費税収<
社会保障費用」であると予測されるが、既得権益化の懸念がある以上、消費税
収が不足した場合には必ず消費税率を引き上げるというルールが組み込まれる
おそれがある。しかし、現実的には、消費税率の引き上げは容易ではないので、
逆に、社会保障費を抑制する理由に用いられやすくなる。
また、すでに、消費税率を引き上げて、雇用や少子化対策に充ててはどうか
との声も出ており、新たな事業が起こされるおそれが現実味を帯びている。

表 4.1 消費税目的税化のメリット・デメリット
メリット
・世代間格差が是正できる。
・景気に左右されにくい安定的な社
会保障財源になる。
デメリット
社会保障既得権益化し、財源に
合わせて新規事業を起こし支出をし
てしまう。
・そのため、逆に、消費税が不足した
場合には、消費税率を必ず引き上
げるというルールが組み込まれるお
それがある。
・さらには、消費税率を引き上げる環
境にないという理由で、社会保障
が抑制されかねない。

現在、消費税の社会保障目的税化が議論されているが、その背景には、次の
2つの考え方があるように推察される。

1.消費税の社会保障目的税化を善意に解釈する考え方
消費税収が不足しても、社会保障費の抑制につながる仕組みは組み込まずに、
消費税収が不足した場合には、他の税財源や公債でまかなうことを前提として
いる考え方。
2.消費税の社会保障目的税化を巧妙に利用しようとする考え方

消費税収が不足した場合には、必ず消費税率を引き上げるというルールを組
み込み、それを逆手に利用して、近い将来、国民が消費税率の引き上げに同意
しなければ、即座に社会保障費を抑制してしまおうとする考え方。
当面は、消費税率をかなり引き上げても「消費税収<社会保障費」であるこ
とは必至であり、社会保障が消費税を既得権益化するような心配はない。そう
であれば、あえて目的税化せず、現在の福祉目的化という緩い仕組みで良いは
ずであり、説明をつくせば、国民の理解も得られるはずである。
仮に、消費税の「目的税化」が、将来の社会保障費抑制を企図したものであ
るとすれば、日本医師会はその方向性に反対である。
また、国と地方の消費税収の配分、社会保障の役割分担にまで踏み込んで議
論されていないことも問題である。国は、現状の消費税の仕組みをわかりやす
く示し、社会保障の将来像、特に国と地方との関係についてどう考えるのかを
示すよう要望する。