三浦ブログ

やばいぞやばいぞ

ただの日記書くね

はろーはろー

元気?なまものだよ。なまものなの?

改名したっけ?いーや、忘れたねっ!

四天宝寺ホラーナイトの概要を忘れてしまったから

思いだしちゅう。眠いね、眠くないよ

そういえばなまは高校生なのですが勉強ぐちゃぐちゃあだよ

剣道部はいりましたわっらわっらぁ

なんかね凄い先輩たちイケメンだよ笑

twitterも最近本垢がリアル垢の方に移動してる気がするーっ

あぁ、アイフォイ(爆)の画面昨日パーンってなって今日戻ってきたぜっ

誰かLINEしてる子教えてよー泣

あ、でもなまのクソきもい画像ばっかだわごめん

やっぱ中学校もクソ楽しいけど高校もクソ楽しいね

とりまなまはゲル状になって頑張ってるよ

 

うごメモ終わってからみんなに会えなくてさびしいっ

そういえばなまの幼馴染がドリライいったと言うではないか。。。

羨ましすぎ。なまはUVERのLIVEに行きたいナーーーー!

お絵かきかきかきまたするよ笑 余裕があったらにゃーん

楽しかった。また日記かこ笑

アリーヴェデルチ!!!!!!!!!!!!

 

四天宝寺ホラーナイト9

「小石川が、死んだ」

千歳は携帯の画面を何度も見直した。

嘘だと言ってくれ、軽いジョークなんだろう。

いろんな考えが頭をよぎったがすべてに蓋をして

千歳は前を向いた。

 

 

 

 

 

白石はインターホンを鳴らすと

呼吸を整えた。

自分は果たして招待されるのか、否か。

白石は扉の開く音で顔をあげた。

若い男が立っていた。

 

 

「千穂はなんで死んだんでしょうか」

出されたお茶を見つめていた白石は突然の声に

きょどってしまった。

最初の犠牲者、中井千穂の兄、中井康人は仏壇の

遺影を見ながら話しだした。

「俺たちは特別仲がよかったわけでも悪かったわけでも

なくて、どちらかと言えば喧嘩もよくするし、腹が立つこと

だってよくあったんです」

でも、と康人は続けた。

「葬式のときは実感なんてなくて『あ、死んだんだな』ってぐらいだった

 のが、最近になって胸が痛むんです。あぁ、俺は悲しかったんだなって」

遺影をおいた康人はテーブル越しに白石の前に座った。

「話せることは何もありません。だけど、俺があなたに頼みたいこと

 があるんです」

白石はその強気な態度に若干気おくれしつつ、なんですか?と問いかけた。

「この町の、古老たちについて教えてほしいんです」

白石は思わず口を開けた。

「ここの土地神のことは知っていますか?

 まだそいつを盲信している老いぼれがいるにちがいない」

「ま、待ってください」

白石は両手をブンブンと胸の前でふった。

「間狩神と妹さんになんの関係があるんですか。」

「妹は、禁忌を犯したんだ」

「禁忌?」

「聖域に入ったのさ」

聖域、それはこの△△町のここから少し離れた神社に

ある、間狩神像が保管されている蔵のことだ。

寂れているのとその不気味な様子から近隣のものは

近づかないが、よく遠くから肝試しにくる奴がいることから

ちょっとした心霊スポットになっている。

 

だがその蔵には厳重な鍵がかけてある筈。

「妹さんはどうやって聖域に?」

「ほら、もうすぐ浪速祭りだ。蔵にある鍬が

 儀式には必要だろ?」

大昔、間狩神をこれにて倒したと噂されるその

鍬は二度と間狩神の再来がないようにと蔵に一緒に閉じ込めて

あるらしく、「悪鬼からこの町を守る」という演目で

浪速祭りにはちょつとした儀式に使われる。

「最近は少し管理がずぼらになってるからね。

 妹はすんなりと入って行った。」

「なんで、そんなことを」

「着けてたんだ。最近様子が可笑しかったから。

 だけど妹は何も持たずに出てきた。

 そしてその二日後、妹は死んだ。」

白石は頭を押さえた。訳が分からないことばかりで

頭が痛くなりそうだ。

「墓参りのとき、町内会のジジィが言ったよ、罰があたった

んだって。そういうことさ。あいつらは知ってたんだ。

妹が犯した罪を。」

 

 

千歳はある一つの結論に辿りついていた。

しかしそれを認めるのはあまりにも酷であまりにも絶望的すぎた。

遅かれ早かれ、いずれ明らかになる事実である。

だが、早く食い止めなければ被害者は増え続ける。

千歳は下唇を、強く噛みしめた。

 

 

「もうすぐ浪速祭りやで、財前」

金太郎は一人で墓石の前に座っていた。

「謙也も、小石川もおらんくなってしもたし。

 今年はどうすんねやろな」

 

あと、一週間後には浪速祭。

七〇〇年前この地を暗黒へと至らしめた悪鬼「間狩神」から

人々を守った英雄を崇める祭り。

チリン、と鈴の音が聞こえた。

 

四天宝寺ホラーナイト8

大学生活が始まって間もなくして

俺の妹が死んだ。原因は不明らしい。

犯人の痕跡さえ見つからないらしく、地元では

その異様なやり口から「吸血鬼事件」なんて一つの怪事件

として噂されているようだ。どんな細かな情報でも欲しかったが

一つの情報すらもはいって来なかった。早期の解決を

俺たち家族が一番願っていた。

妹が死んで間もなくして一日約5人単位で被害者が続出した。

今度は全員怪我の一つもなかったそうだ。

そのことに関して全員が気味悪いぐらいぴったりの感想を

述べた。「男に呼び止められ振り向くと病室のベットにいた」

そして全員首元に蚊に刺されたような跡をつけていた。

それが吸血鬼事件なんてもてはやされる事になる原因なのだが

そんなことはどうでもよかった。

何故、妹は殺されたのか。

 

この春、長期休暇を使って俺は大阪に帰ってきた。

吸血鬼などいるものか。

警察はなにを言っているのか。

俺は犯人に目星がついてる。

そしてその犯人の卑劣さを理解している。

俺は妹のようにはならない。この町は、俺が守るんだ。

 

 

 

「ユウくん」

屋上に一氏はいた。

白石との乱闘の後、めっきり部室に来ることがなくなった

一氏を心配し、一氏のあとを付けてきたのだった。

「…なんやねん」

「クラリンも謝りたい言うてる。ユウ君、意地はらんと…」

「うっさいねん!!!」

一氏は柵を思いっきり蹴った。有刺鉄線がびんびん、と

音を立てて揺れる。小春は困ったような顔をして、

「待ってるから、」とだけ言い残して去って行った。

小春が去った後、壁にもたれかかるようにして一氏は

ずるずると崩れ落ちた。

「どうせい、っていうねん」

 

 

 

 

小石川は夕方の道を急ぎ足で歩いていた。

最近は物騒なため少しの予断さえも許されない。

腕時計を確かめながら小石川は家までの帰り道を

走り始めた。

その時、

 

 

小石川は足を止めた。

 

 

 

 

「謙也?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次の日、校庭に小石川の死体があった。

 

 

 

四天宝寺ホラーナイト7

「えっと…」

千歳は視線を彷徨わせた。

ショックで言葉が出ない。そんなことが大昔、ここであったなんて。

半信半疑で長老の顔を見るが、長老の顔はいたって真面目だった。

「本当の話だよ。…むごい話だ」

「そら、なんというか、気の利いた感想ば浮かばんが…

 なんで、そげんこつを俺に?」

長老は石を拾うと、池にぽちゃん、と落とした。

鯉がその場から一斉に逃げて行った。

「この悪鬼こそが今町を騒がしている犯人さ」

 

「は…?じっ様、それは昔の話で…、それに、」

「伝記に描かれてある悪鬼はどれも人に近い姿をしていて、

 その特徴は吸血鬼に通じるものがあった。」

特徴?と訝しむ千歳を爺様はちらり、と見てまた目線を

池の鯉に移した。

「首に蚊にさされたような跡があったろう?」

「あぁ、でもあれは血を抜かれた訳や…」

「間狩神は、血を吸わない。間狩神は…獲物に印をつけるのさ。

 見失わないように。」

千歳は息を飲んだ。

「イカれた人間が吸血鬼に見せかけて起こした事件なのかもしれない。

 もしかしたら間狩神の信者の仕業かもしれない。

 だが、歴史を知る儂らは怯えているよ。間狩神の再来だって。」

千歳はここですっかり外が暗くなっていることに気付いた。

「まるで神隠したい」

「?何がだい?」

「被害者は神隠しにでもあったみたいだ。そう謙也が言ってたのを

 思い出したと。」

神隠し、ね。長老は反芻した。千歳は長老に向き直った。

「じっさま、その牢屋って今もあると?」

 

 

「…ある」

だが、どうするつもりだ。

長老の眉間には深い皺が刻まれていた。

千歳は今自分が綱渡りの上にいることに気づいた。

ここから先は境界線の向こう側だ。踏み込めば後には戻れない。

だが、千歳は恐怖など微塵も感じていなかった。

もとより、財前がいなくなった時から、踏み込んでいた。

「案内してくれ」

 

 

 

「プロプラノールやったら症状が出るのに時間がかかる。

 やから犯人は睡眠薬を使ったとも考えられる。

 やけど、果たして。数十人が同じ感想を述べるなんてことが

 可能やろうか」

白石は銀に視線を向けた。

ここは商店街の奥にある古い図書館。

最新のライトノベルや雑誌などは一切なく

黄ばんだ蔵書やエッセイが雑に陳列されているだけであった。

「催眠術のようですな」

「そこや、そこがみそやねん。それで、この本や」

白石が手に持っているのは古い絵本だった。

「はぁ…『きみのはなし』?」

「内容は単純明快。なんでか身分が違う男女の恋の話や。

 どうやら昔ここらへんに住んでた人のメモを集めたたった一つの

 絵本らしい。」

白石は絵本を開けて数枚ページをめくると

あるところを読み始めた。

「『大層美しい二人だった。見ている私が恥ずかしく思えるほど。

 背格好は私と似たり寄ったりなのになぜ彼らは美しいのか。

 しかし奇妙なことがあった。私は彼らに見とれている間に

 床についているのだ。とてもあほらしい話だが、事実である。』」

銀がまさか、と苦笑いを零した。

「悪いけど俺はこの事件が人間の仕業やとは思ってへんで。」

白石は絵本を閉じると銀にきっぱりと告げた。

「人間にこんな芸当ができるはずがない。」

 

「儂は、人間の仕業やと思ってます。」

銀は細い目を開けて白石にそういった。

白石は薄く笑うと「そか、」と言った。

「トチ狂った殺人犯の仕業で間違いない」

「仲間を信じたいからか?」

「白石はんは意地悪でおられる。」

「俺も信じたいに違いで。

 

 明日、殺された女性の家にいってくる」

銀は慄いた。白石はちらりともこちらを見ずに

館内を後にした。

 

四天宝寺ホラーナイト6

今日も相も変わらず四天宝寺は狐に包まれたようだった。

被害は大阪まででとどまっているものの、

吸血鬼の活動範囲は日に日に広く、そして増加していった。

ついには小学校が長期の休暇をとり、事件の収拾がつかない

うちは自宅学習となったようだ。

この事態に一番焦っていたのは警察だった。

証拠の一切が掴めておらず、捜査は難航。

このまま被害が増える一方だと叩かれている。

 

「…ふぅ、俺の勝ちたい。じっちゃん」

周りで見ていた古老たちから感嘆の声が上がった。

「まいったね。君に一度でも勝てた試しがない」

「じっちゃんも腕を上げたな?いつもと違う相手と

 戦ってる気分だったばい」

言うね、と対戦相手の爺さんが口角を上げた。

それにつられるようにして千歳の口角も上がった。

「長老もええとこまでいった。千歳くんがおるなら

 この将棋クラブも安泰やなぁ!」

「川藤はんもよういいまっせ!なぁに、千歳君はこんなとこで

終わる器じゃないさ」

な?と白髪交じりの田中という男が千歳に話しかけた。

千歳は目をパチクリさせた。

「全国制覇目指しぃや?」

 

「田中はんそれええな!!」

「千歳君なら不可能やないわ~」

「たまげたたまげた!!」

「じっさま方簡単に言ってくれるたい…

 ま、それも悪かなか!」

千歳は少し伸びをしたあと、座布団からどき、観戦に移った。

すると長老が千歳くん、と手招きした。

 

「今日はまた、どうして学校を休んだんや?」

千歳は僅かに目を開いて長老の顔をまじましと見た。

長老は微笑むだけだった。

千歳は肩の力を抜くと「かなわんと…」と大げさに溜息を

ついた。

「最近、どうも行く気になれんたい。ばってん、

 あの事件さえなければ…」

「怪事件のことやな。…痛ましい限りや」

長老は少し遠くを見つめた。

池の鯉が跳ねた。

「千歳君は、あれを吸血鬼の仕業やと思うか」

鯉が悠々と池を泳いで行った。

「いや、」

後ろでコトッ、と静かに駒が置かれる音がした。

とどめを刺したのだろうか。何人かの足を崩す音が聞こえた。

「いつだって事件を起こすのは人間たい」

長老が静かに千歳の顔を見た。

その顔には迷いと焦りが見えた。

千歳には長老がその顔をする理由が皆目見当もつかなかったが、

千歳は黙って長老の顔を見つめることしかできなかった。

長老はどこか決意したような顔で立ち上がると千歳を散歩に誘った。

部屋の古老達がどこか戸惑いの表情をしているのを千歳は見逃さなかった。

 

池で鯉が跳ねた。

カコン、と竹が石にあたる音が聞こえ

透き通るような清流は池へと飲まれていった。

池にはゆらゆらと二人の姿が映る。

どちらも人の形をしていなくて水面に映るその姿は歪に見えた。

 

「すこし昔の話をしよう」

「じっ様の野球児時代の話か?」

「いーや、もっと昔さね」

 

約7百年前、ここは『間狩』という村であった。

人口およそ数百人。実に小規模の村だった。

村には神がいた。崇められる存在ではない。恐れられる神だった。

人々は神が恐ろしかった。

姿も見えぬ神が恐ろしくて仕方なかった。

ある日、村の青年が広場の中央で声高々に叫んだ。

「神などいない!ここにいるのは魔物だ!悪鬼だ!」

村の古老たちは彼を咎めた。

罰当たりが、祟られる、神様の怒りを買った、生かしておくべきか!

彼は間もなくして村の少し離れにある牢屋に監禁された。

当然の措置だった。村の古老たちは彼の行いのせいで天罰がくだると

地に頭を垂れて「お怒りをお沈めください」と念仏を唱えた。

だが。彼に神罰がくだることはなかった。

人々は考えを改め始めた。神などいない。あれは私たちが

何かの齟齬で作った蔓延した空気なのだと。それこそが悪鬼なのだと。

たちまち青年は英雄となった。村に笑顔が戻った。

しかし、青年は翌年、どういうことだか自殺した。

遺書さえも残さずに、自殺した。

おかしい。何があったのだ?まさか、今頃になって天罰がくだったと

いうのか。

そう思うのもそのはず、彼は、青年は今日の朝まで元気に違いなかった

のだから。

その翌日、青年の兄弟が全員池に浮かんでいた。

この事態に気が動転したのは肉親でも村の古老でもなく

英雄の信者であった。

誰も近づかない悪鬼が住むといわれる村の神域を土足で踏み荒らし、

悪鬼の像を叩き割った。

「悪鬼よ!この世から去れ!そして我らが英雄を再びこの世へ

生還させよ!!」

まるで青年が広場で高々に叫んだあの日のようだった。

あの日がそこにあった。

信者達は大粒の涙を流し、泣いた。

 

翌日像をかち割った信者の一人が、広場に逆さにつるされて死んでいた。

誰も言葉を発しなかった。木が崩れ、死体が地面に落ちると、

誰かが震え声で言った。

「祟りだ」

古老たちは即座に神域を犯した者を集めさせ、目隠しをし、

轡を口に咥えさせ、手足の自由を封じた。

 

向かったのは神域であった。

轡と目隠しを外された青年たちは眩しさに目を細めながら

目の前にあるものに仰天した。

「穴にはいれ」

青年たちは涙を浮かべ、首を横にふった。

突如、バランスを崩した青年が大声をあげながら穴へと落ちて行った。

それを火蓋に古老たちが青年たちをどんどん穴に落としていった。

穴に落とされ絶望やら諦めやら様々な表情を浮かべる仲間たちを

尻目に、一人の青年が穴の上に叫んだ。

「何故ですかじじ様!!何故俺らを殺す!?俺らの何が悪いっていうんだ!」

「貴様らの犯した罪は死でしか拭うことはできんわ」

「罪だと!?俺たちは我らが英雄の意思を受け継いだだけにすぎない!!」

「口を慎め!英雄など存在しない!あれこそが間違いだったのだ、

 あれこそが全ての元凶だったのだ!やはりあれは悪鬼なのではない…

 土地神よ!間狩神よ!!あの小賢しい童こそが悪鬼だったのよ!」

「我らが土地神の怒りを買ったとでも言うか愚かしい爺め!

 あれは邪心の塊よ、悪鬼よ!!あいつがいる限りここに平和など

 訪れやしない!!!」

「お前と話すことはもうない。怨むならあの英雄を怨むがよい。

 そしてお前達は土地神様の礎となりその存在は永遠のものとなるだろう」

「爺!!俺たちは…!!!!」

 

彼らは生き埋めとなり人柱となって神にささげる供物となった。

間狩神は確かなものとなってこの日君臨した。

その後、天罰がくだることはなく、村に平和がもたらされた。

 

 

 

四天宝寺ホラーナイト5

 

「『〇〇△△市吸血鬼事件多発!!

 警察、証拠一つも掴めず。カルト信者「ヴァンパイアが世界を

 滅ぼしに来た!」』…だとよ」

向日岳人はストローを加えたまま飲み干したコーヒー牛乳を

たたみにかかった。

跡部は差し出されたゴジップ記事を手に取ると

眉を顰めた。

「通りで忍足が最近躍起になってる訳ね」

「俺も打ち合ったこともあるし内心凄いショック。

 財前も侑士の従兄弟も欠いて、四天宝寺大丈夫かよ」

 

謙也と最後に電話で話した忍足は「あの時こうすれば…」

とたらればを話して自分を責めるようなことは一切なかった。

それは開き直ってる訳でもなく、必然であることを悟っている

からである。謙也の両親にはタラレバの演技で涙ぐませて見せた

ものの、忍足の心はもっと遠くにあった。

吸血鬼なんているわけがない。

そんなもの非科学的で、あまりに格好よすぎて、

謙也には似合わないと、忍足は岳人に笑って見せた。

一方、オカルトマニアで知られる日吉も今回の事件に

興味を持ちネットなどで調べつくしたものの落胆したように

「吸血鬼じゃない」とこぼした。

もしかしたらそれは日吉達人間のかってな妄想で生み出した

基準にあたる吸血鬼にそぐわないだけの話で

本当の吸血鬼とはそんなものなのかもしれないし

そもそもそんなものの仕業ではなく凄く頭のいい殺人鬼の

仕業かもしれない。

向日がつまらさそうに唇をつんとした。

跡部が少し考え込むような素振りを見せたところで屋上の扉が

開いた。

「お前らこんなとこにいたのかよ」

「なんだ宍戸かよ」

宍戸は一通り知り合いたちに声をかけると跡部達のとこに

戻ってきた。

「あれ、若の姿がねーな」

「あれあれ、ひよC一緒じゃなかったのー?」

めずらしく起きていたジローが一個ちょうだい、と

宍戸のビニール袋を漁った。中にはやきそばパンからメロンパン

まで幅広いレパートリーで宍戸の制止の声も無視してジローは

いただきまーすと陽気に食べだした。

宍戸があきれたように「お前な…」と呟くのを

鳳がまぁまぁとあやした。

 

「跡部さん」

「日吉お前どこいってたんだよー!」

日吉は向日の声を無視すると「このことなんですけど…」

とA4サイズのコピー用紙を何枚か取り出した。

シカとかよ!と今にも掴みかかりそうな向日を

部員全員が窘めたところで跡部が「あーん?なんだこれは」

と用紙を目にした。

四天宝寺の吸血鬼って、これのことじゃないですかね」

日吉の言葉にみんなが興味をそそられた様で

みんな一様に跡部と日吉を囲んだ。

 

「これは…、どっかで聞いたことあるわけだ」

「だと思いました」

 

いまだに氷帝部員は全員頭にはてなマークを浮かべていた。

 

四天宝寺ホラーナイト4

金ちゃんが、やめて、と小さく呟いたところで

一氏は我に返り、呆然とする周り、血まみれの白石を

視界にいれた。

一氏は横たわる白石からバッ、と飛び起き

狼狽した様子で後ずさっていった。

 

「一氏、」

肩に手を置くと、瞬時に払われた。

またしても一氏が驚いていた。

 

「あ、ごめ、いや、ちゃう、俺は、おれは、」

「一氏!!!」

 

一氏は乱雑にドアを開けると不安定に走り去って行った。

反動で強く閉まるドアの音だけが虚しく響いていた。

 

「ユウくん!」

「小春、ほっとけ!」

「でも、」

「あいつもパニくっとるんや。一人にさしたれ。

 頭の中を整頓する時間がいるはずやで」

小石川は軽く息を吐くと空気をしめなおすように

パンッ!と両の手を打った

「一氏には明日校庭百周でもやらせてやな…

 白石、部長であるお前も連帯責任や」

「そんな、小石川はんクラリン一方的にぶたれただけやで」

「発言も場所を考えろ、ちゅー話や。

 空気を読まんソイツが悪い」

小石川が視線を向けると白石が視線から逃れるように、

それでも小石川の眼を恨みがましく見つめながら身を捩った。

千歳は白石のイライラするような、それでいて忙しい様な

態度に疑問を抱いた。

それでも追求することはなく小石川の次の言葉を待った。

「振り出しに戻るけど、白石は一体何を話す気でいたんや」

皆の視線が白石に注がれる。

白石は視線をさげたあと、苛立ちをのみこむと

立ち上がり椅子に腰かけた。

「謙也については、俺一人の見解や。それだけで

 別に意味はない。本当に直感やから」

小春が聞きたくないとばかりに顔を背けた。

金ちゃんがそれを悲しそうに見るが、下世話なことはせず、

白石に話を促した。

「ただ、ほんまにこれは吸血鬼の仕業なんかな、と思って」

「どういうことだ?」

「立て続けにテニス部が襲われてる。これを、ただの

偶然やと思っていいのか…「クラリンやめて!!!」

小春が悲痛な声で叫んだ。もうその先が分かっているかのように。

だが白石が言わんとすることは小石川にも、おそらく千歳にも

わかっていることだった。

「俺らの知り合いが犯人やってか」

白石が目を細めた。

「根拠も動機も証拠もないけど、俺はそう疑ってる。」

「クラリン、お願いよ…!そんな悲しい事言わんといて」

「吸血鬼を犯人呼ばわりするよりは、よっぽど現実的なつもりや

それに…」

白石が部内を見渡す。部内は水が打ったかのように静かだった。

「俺は、ここの部長や」

 

「小春、一回落ち着き?」

驚くなかれここで口を割ったのは金太郎だった。

金太郎は心配そうにそして悲しそうに小春を見つめ

小春の背中をポン、と叩いた。

「金太郎はん、」

「白石もきっと、つらいんやで。でも白石は部長やから

 ワイらの安全のためにこう言ってんねんで」

小石川が一本取られたな、と薄く笑った。

ずっと難しい表情をしていた白石が、すこし緊張を解いた。

「小春、攻めるような言い方して悪かった」

「ええのよクラリン!ウチこそ、正気やなかったわ」

「とりあえず、疑わしきは罰せず、たい。

 人それぞれ思いは違うたい。ばってん、俺はみんなを信じとる。」

千歳の明るい声に皆少し穏やかな表情を見せた。

先ほどの鬱々とした雰囲気はもうここにはない。

四天宝寺テニス部はまた結束力を深めたようだった。

「よし!俺もお前らを信じる!けど、疑わしいことがあったら

 それはしゃぁないと思ってくれ。

 でも、俺はちゃんと理由を聞いてから判断する。

 疑わしいのは俺も一緒やしな」

「それは良い事ですな。」

銀の力強い頷きに久しぶりに白石が笑った。