劇場-又吉 直樹

話題の又吉 直樹作品。劇場。

役者目指す身の私は、もちろんタイトルに惹かれた。

しかーーーし!

芥川賞を受賞した火花にハマらなかった私は、購入を躊躇し、バイト時間ギリギリまで書店で悩む悩む悩む。

 

帯を見ると、なにやら恋模様を書いた作品らしい。

 

うむ。

嫌いじゃない。

むしろ気になる。

 

そろそろ出勤しろよー。

というアラームに押されて購入!!

 

おもしろくて、おもしろくて、バイトの合間を縫ってまでハマった結果、2日で読み終わった!

 

設定は割と普通だし、登場人物も普通。

芝居好きな私からすると、こんな感じの人種は身近にわんさかいる。

ゆえに、親近感が沸き、感情移入しやすかったのかもしれない。

 

心理描写がまたとても細かく、前作の火花同様、独特な表現がされていた。

 

主人公にも、その彼女にも、

「あー わかる その気持ちすごいわかるよ」

と涙が流れるシーンがいくつもあった。

 

結末も切なくて、芝居の世界に儚い希望を抱く主人公がまた愛おしい。

 

読後もしばらく余韻に浸って泣いていた。

が……。

ふと我に返ると、この男、クソ男だなと気づく。

ただ、そのクソ男に愛おしさを覚えたのもどこか悔しくて、又吉 直樹すげーなー

ってなった作品でした。

 

そう、劇場はクソ男の言い訳がやたら長い作品です。

 

劇場

批判じゃないよ。

私も彼を愛していたから。あの2日間だけは。

 

夏の夜の夢-シェイクスピア

シェイクスピア     夏の夜の夢。

高校生の時にリア王やロミジュリにチャレンジしたが、翻訳書の言い回しについていけず断念。

 

映像でロミジュリを見たものの、原作読みたいなぁ……でも難しいしなぁ。

 

というモヤモヤを抱えたまま数年。

 

最近、仕事の関係で、夏の夜の夢に触れることがあり、さすがに読まなくてはと、焦って借りてきた。

 

松岡和子さんの翻訳が読みやすいとのアドバイスをもらい、バイトの休憩時間を使って読破!

 

この作品をわかりやすく砕いて解説してくれた方もいたので、結構楽しんで読めた!

 

やはり、翻訳書なので、言い回しが難しい難しい。

見たことのない日本語がたくさん出てくるので、何度も同じ箇所を読み返す。

 

設定は、なかなかぶっとんでいて、4人の男女の恋愛模様と、妖精王の夫婦のケンカの様子が描かれている。

 

おもしろいのが、イタズラ好きの妖精パック。

妖精の王様の命令で、惚れ薬を使うのだが、誤用してしまい、4人の男女の恋愛模様はぐっちゃぐちゃ。

妃様はロバ頭の男にベタ惚れになってしまう始末。

 

惚れ薬のおかげで、ドタバタ揉める4人を、「人間って馬鹿ですねぇ」と笑うパックは、なぜか憎めず、愛らしさを感じる。

 

一方で、婚礼の余興にと、演劇を用意している集団がいる。

彼らは、悲劇の恋愛話を、見事に喜劇に変えてしまう。

 

前口上では、このあとの芝居のネタバレがされ、セリフはめちゃくちゃに間違われ、月やら、石屏の役者が自己紹介をしだす。

 

言い回しは難しいが、意味がわかるとクスクス笑えてしまう。

そんな作品だった。

読んでよかった。

 

でも、もうちょっと頑張って咀嚼したいなぁ。

7人のシェイクスピア NON SANZ DROICT(2) (ヤングマガジンコミックス)