今までアトピー性皮膚炎の治療は、炎症が起こったときにステロイドを使うリアクティブ療法が中心でした。
軽症の場合は、炎症が鎮まったらスキンケアで良い状態をキープするこの方法でよいのですが、外用薬からスキンケアにうまく切り替えができない場合など再発を繰り返す患者が増えています。
そこで、最近は皮膚表面の炎症がおさまっても一定期間ステロイドを使って皮膚内部の炎症をコントロールして悪化を防ぐプロアクティブ療法が注目されています。
皮膚内部の炎症をしっかりしずめ、悪化を予防する「プロ(前もって)アクティブ療法」というわけです。
このプロアクティブ療法は、「見えない炎症を抑える」アトピー治療として現在学会が強く推奨しています。
症状が出ていないのにステロイドなどの外用薬を使うのは躊躇する患者さんは多いと思います。
ただ、かゆみや湿疹などの症状が出てから外用薬を使う方法では何度も再発を繰り返す場合が多く、予防的に塗るほうが長期的に見てステロイドなどの抗炎症剤の量が抑えられるとという医師も増えてきています。
この見えない炎症の程度を測るのがTARC(ターク)と呼ばれる血液検査です。
皮膚の内部でくずぶっている炎症の度合いを数値で見ることによって、患者にとっても外用薬を使う動機付けになるし、医師の処方の目安にもなっています。
プロアクティブ療法に自己判断は禁物
プロアクティブ療法を自己流で行うのは失敗する可能性が高いです。というのも、まず皮膚に起きた炎症をゼロの状態に持っていく必要があるのですが、この判断は本人では分かりづらいことがあげられます。
信頼できる医師に判断してもらう必要があります。その場合やはりTARCの血液検査ができる病院が良いです。
プロアクティブ療法のメリット
プロアクティブ療法のメリットは、だらだらとステロイドを塗り続けることが防げることでしょう。
従来のリアクティブ療法はに比べて湿疹の再燃するまでの期間が長くなるからです。
このように、プロアクティブ療法というのはあくまで外用薬を塗る量を長期的に見て抑えられると捉えるべきです。
もちろん、湿疹が出ていない状態を長くキープできることはアトピー患者にとって喜ばしいことですが、漫然とステロイドを長期連用する可能性のある従来の使い方に比べたらマシということです。
ただ、症状が抑えられている状態というのはとても大事だと思っています。
食事療法をするにも、体質改善を目指すにも、体調も精神状態も良いときでないとやる気が起きないです。