プロレスの萌えポイントを語る会

〜迷っても行けよ 行けば分かるさ〜

「KENTA、ありがとう」って事!

リバーサル原宿でのKENTAサイン会レポなのか、内藤哲也vsKENTAの王位争奪戦の感想なのか、KENTAクロニクルなのか、自分でもよく分かりませんが、きっと全部です。

1ヶ月間、本気になったKENTAファンの独り言です。何卒。

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僕はKENTAのファン。

 

2010年夏。僕が小学5年生の頃。テレビをザッピングしていたら『KENTAvs青木篤志』に出会った。KENTAの顔と名前は知っていたけど、試合を見るのはこの時が初めて。KENTAvs青木はテーマのないシングルマッチとは思えないほど凄惨な試合だった。KENTAに一発で惚れた。

 

青木篤志とのシングルマッチから半年が経とうとしていた頃、KENTAはヒールと化した。

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ヒールのKENTAはとても魅力的だった。ただ悪態付いてるヒールじゃなかった。

 

「地上波放送終了」

「創設者の急逝」

「観客動員数減少」

 

ネガティヴな話題が続くプロレスリング・ノアを、在るべき姿に導くダークヒーローがKENTAだった。

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時には積極的に他団体に参戦するノアの選手たちを「内も盛り上げられねえヤツが外に出るな」と批判し、時には「愛のないマッチメークをするな」とGMを批判していたKENTA。

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当時のノアファンが思ってはいたけど口にできなかったことや「言われてみれば確かにそうだわ」と思うこと。

KENTAは刺激的な言葉と確かな試合内容を通して、ファンの支持を得ていた。

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僕もすっかりKENTAの虜になっていた。

 

「KENTAの虜」と言っても、当時頻繁に会場に足を運んでいたわけではない。僕は富山在住の小学生(中学生)だったから。

ノアの興行が頻繁に行われる後楽園ホールディファ有明にはそう簡単に行けなかった。

KENTAを生で観られるのは、年に1度のプロレスリング・ノア富山大会だけだった。

僕は地方で悶々とするプヲタだった。

 

そんな僕も今や二十歳。

一人で遠くへ出歩くことができるようになった。アルバイトも出来るようになった。

そしてそんな今、KENTAが日本のマットに帰ってきた。

 

KENTAが選手会興行で杉浦貴を撃破した時も、

KENTAがグローバルリーグ戦を優勝した時も、

KENTAが大阪でGHCヘビーを奪取した時も、

KENTAの防衛ロードも、

KENTAのノアラストマッチも、全て生で観ることができなかった。

 

だけど今ならできる。

小・中学生の頃にできなかった"現地での"KENTAの応援をいま爆発させている。

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そんな爆発の一環として観に行った、2020年1月5日 東京ドーム。

f:id:kusarigama:20200219204949j:imageKENTAが後藤洋央紀に負けてしまった。

KENTAのエモさのない負けを観て、かなり落ち込んだ。

 

「大丈夫、KENTAはNEW JAPAN CUPで必ずやってくれる」と無理矢理自分に言い聞かせていたら…

 

まさかのまさかだった。

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史上初の新日本プロレス東京ドーム2連戦の最終試合で、史上初のIWGPヘビー&インターコンチの二冠王者となった内藤哲也をKENTAが奇襲。そしてそのまま興行が終了。

荒れるドームとは裏腹に、僕のセンチな気持ちは一気に晴れた。

 

その翌日。1月6日、大田区総合体育館

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メインイベント終了後、倒れた内藤にKENTAが「何が言いたいかっていうと……この2本のベルト、俺いただいちゃうよって事!」とマイク。KENTAが二冠王者・内藤に正式に挑戦を表明。

 

1月7日、内藤哲也vsKENTAのIWGPヘビー級・IWGPインターコンチネンタル ダブル選手権試合が決定。

 

昨年6月、KENTAが新日本プロレスに参戦表明した際、戦いたい相手に内藤哲也の名前を挙げていた。f:id:kusarigama:20200221002011j:image

 

KENTAが戦いたい相手と戦うこと、

 

かつてカリスマと言われたKENTAが、いま日本プロレス界で一番のカリスマ的人気を誇るレスラー・内藤哲也と戦うこと、

 

ノア時代は団体内に全力を注いで、一切外に出なかったKENTAが「IWGP」に挑戦すること、

 

つまりKENTAが新日本プロレスの中心に絡むということ。

 

もう観に行かない理由がなかった。

すぐに大会チケットを購入し、富山⇄大阪の夜行バスを予約した。

 

 

それから11日後。

1月18日、リバーサルが大阪決戦2日前にKENTAのサイン会を開催することを発表。

 

KENTAのサインは持っていることには持っている。

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しかし、どちらも入手時に既にサインが入っていたもの。目の前でKENTAにサインを入れてもらったことはない。

そう、僕はKENTAに会ったことがない。

大会会場でKENTAが戦っている姿こそ生で観たことがあるけど、サイン会や撮影会などといった、KENTAとの接触の場を経験したことはない。

長年恋い焦がれた男に会えるチャンスがいま目の前に転がっている。

サインそのものが…というより、時が欲しい。

 

「行きたい…」

 

まあそうなる。

 

「だけど、平日の東京か…。しかも大阪決戦の2日前じゃん…。今回はお預けかな。またいつか会えるかな…」

 

半ば諦めモードに入った

…けど、やっぱり諦め切れず。

 

「…いや、次待ってるヤツに次なんてこないぞ。何回目の『今回は』だよ。KENTAの大阪決戦に向けて燃えるためにも、絶対に行かなくちゃいけないんだよ、お前は。」

 

僕が僕にそう声をかけた。

 

「よし、東京も行くぞ!」

 

しかし、KENTAサイン会参加にあたり、僕の前に2つの壁があった。

 

第一に、学校に関すること。

僕が普段通っている富山高専では、毎年2月上旬から2月中旬にかけて、卒業論文に関する口頭試問が行われる。今年度で高専卒業の僕は口頭試問直撃世代。

 

口頭試問の日付を決める権利は学生側にない。教官が提示した日付を学生が受け入れるのみ。これは困った。

 

そこで僕は「2月7日だけどうしても外せない用事があるので…」と教官たちにお願いしに行った。

何事だ、という顔をされたけど、本気で頭を下げたら、なんとか受け入れてくれた。

口頭試問、無事クリア。…といってもまあ授業はサボることになる

 

第二に、資金。

1.5東京ドーム観戦前は「春先までプロレス観戦はお預けかな。それまでバイトしてコツコツ稼ぐかな...」と思っていた。

そこにやってきた、KENTAのIWGP挑戦in大阪とKENTAのサイン会in原宿。全く貯金がないわけではないけど、せっかく行くならゆとりを持って行きたい。

そこで何年も前に購入してからずっとタンスの中で眠っていた内藤グッズを売りまくった。

旅の資金、無事クリア。内藤よ、人気者で居てくれてありがとう。

これは二冠戦に向けて、KENTAに忠誠を誓う意味でも良かったと思う。

(そもそも内藤グッズ持ってたんかい、というのは触れんで良し)

 

晴れてKENTAサイン会に行けることになった。

富山→東京の夜行バスを予約し、事前に予約していた富山→大阪の夜行バスをキャンセル&コツコツ貯めてきたマイレージで東京(羽田)→大阪(伊丹)のフライトを予約。

 

2月7日 富山→東京(夜行バス)

            KENTAサイン会参加

2月8日 スターダム後楽園

2月9日 東京→大阪(飛行機)

            大阪城ホールでKENTA応援

            大阪→富山(夜行バス)

 

といった濃いKENTA旅に。

 

そこからKENTAの過去の試合映像やKENTAと内藤の前哨戦、バックステージコメントを繰り返し見たり、KENTAの過去のインタビュー記事や週刊プロレスでの連載を読み返したりする日々が始まった。

僕の体の中で既にメラメラと燃えているKENTA熱に油を注ぎまくった

…というと、ちょっとネガティヴな表現に聞こえるかもしれないけど、とにかくKENTAファンの自分を鼓舞しまくった。

 

 

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そして迎えた2月7日。

整理券配布が始まる2時間前の午前10時にリバーサル原宿に到着。 

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既に20人以上が並んでいた。僕の後にも続々とファンがやってくる。

 

10時40分。リバーサルのスタッフが整理券獲得のための整理券を配布し始める。

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正午になったら、このステッカーに書かれた番号順に案内するから、一度解散してくれとのこと。

寒いところで並ぶよりはずっと有難いけど、朝の原宿でやりたいことなどあるはずがなく。

竹下通りのロッテリアでめちゃくちゃゆっくりバーガーを食べながら時間を潰した。

 

そして正午。整理券配布の時間。1人ずつ入店し、会計を済ませるという流れ。

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ちなみに列に並んでいる時、リバーサルの隣の店の店員が「こんな行列初めて」と呟いていた。この時にはもうサイン会の定員100人を超えていたようで。

 

12時30分。無事整理券をゲット。

FANG REVIVES Tee、GO2SLEEP CLUB Tee、新作・RELENTLESS CICATRIZ Tee。

3種のTシャツがサイン会対象商品だったけど、僕が店に入った時には、

FANG REVIVES Tee 残4(Mサイズのみ)、

GO2SLEEP CLUB Tee残1(XLのみ/ハンガーにかかったもの)、

RELENTLESS CICATRIZ Tee各種サイズ在庫あり、

といった具合だった。

僕はMサイズ、XLサイズ、Lサイズとサイズバラバラで全3種購入し、3枚の整理券をゲット。

 

そしてそのうち1枚を昨夏僕のKENTA熱を高めてくれたプ事の主・92さんに。

サイン会が始まるまで、「KENTAはIWGPを獲れるのか」を軸に92さんとプロレス談笑。

 

 

18時10分。リバーサル原宿前に三度参上。

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合流した数時間前、92さんと二人で

「今日のサイン会、最初に行く?最後に行く?最後が一番長く接触できる気もするけど、最後のほうだともうKENTAも疲れてるかな?」

なんて話し合ったけど、いざサイン会直前になると、KENTAに会えるというだけで有難く、最初か最後かなんてどうでもよくなり、二人ですんなりと列に並んだ。

 

18時44分。開始予定時刻(18時30分)より遅れて、KENTAがリバーサル原宿に到着。

冬の裏原の路上で寒さに耐えながら待っていたKENTAファンたちのテンションが一気に上がった。

砂漠に雨が降ったら、きっとあんな感じになるのだろう。

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まあまあ遅れてきたのに、笑顔でやってきたKENTA。スターのオーラがハンパない。

白パーカーにロングベージュジャケットを着こなせるアラフォーを初めて見た。

 

KENTAが到着し、すぐにサイン会が始まった。

 

18時55分頃。そろそろ僕の番。

KENTAが店内中央に座っている。KENTAの横には、リバーサルスタッフと新日本プロレスの記者たちがいる。そして店内には、KENTAの現入場曲が流れている。

 

まず僕の前に並んでいた92さんがTシャツを持って、KENTAのもとへ。

僕が緊張しているからなのか、店内に流れる入場曲の音量が大きいからなのか。92さんとKENTAの会話は聞き取れそうで聞き取れなかった。

 

いよいよ僕の番。

 

リバーサルスタッフと一緒にTシャツを引っ張る。そしてKENTAがTシャツにサインを入れ始める。

 

僕「学校サボって富山から来ました!」

 

KENTA「(手を止めて、ツッコミかます時の顔になって、ちょっとだけ声を張って)学校行かなきゃ!」

f:id:kusarigama:20200223124728j:image※ツッコミかます時の顔

 

リバーサルスタッフ&記者「(笑)」

 

いきなり思い出の一発頂きました。長年恋い焦がれた人からもらう最初の言葉が「学校行かなきゃ」という教育的指導だとは。

 

KENTA「高校?大学?」

 

僕「高専っていうところに通ってます。まあ大学生みたいなもんですけど」

 

僕は現在高専5年生。世間でいう大学2年生の世代である。

普段この手の質問をされたら、僕は「大学生です」と答える。だけど、この時だけは「高専です」と言いたかった。

というのも、「高専」というアカウント名でTwitterをやってるから。

KENTAが新日本にやってきた昨夏、KENTA公式ハッシュタグ「#KENTAG2S」をつけて何度ツイートしたことか。あの夏、「#KENTAG2S」を多用していたのは、僕と92さんとリバーサル公式の3人。

 

KENTA「あ〜っ、高専だ!」

 

この「高専だ!」が

「あ~高等専門学校だ!はいはい。あるね、そういう学校」と

「俺のファンのツイッタラーの『高専』だ!」のどっちを意味しているのか。

真相は分からない、というか知らなくていい。ただ、嬉しかった。

 

KENTA「えっ、じゃあ今日帰るんだ?」

 

僕「いやっ、このまま大阪へ行きます」

 

KENTA「(いきなりトーンを落として、クールな表情で) あっ、ほんとう…ありがとね」

 

 

 

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完っ全にやられた。とどめの一発だった。

 

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ノア時代から発揮してた"言葉のチョイス"と、WWE時代に磨きがかかった"表情"、そして最近新日本で使っている、楽しそうなトーンからの"いきなりマジトーン"。

まさかこのフルコンボが自分のもとにやってくるとは。

 

僕「いえいえ!最後に握手だけいいですか?」

 

KENTA「あー、是非(と言って固い握手)

 

僕「ありがとうございました。またいつか!」

 

次のファンの番が来てたけど、最後にGACKTの握手かっていうくらい強く手を握ってくれたKENTA。

やっぱりKENTAとはToo sweetより握手になっちゃう。僕にとってKENTAは、「BULLET CLUBのKENTA」以前に「憧れの人・KENTA」だから。

 

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店を後にして、92さんと一緒にとりあえず駅のほうへと向かった。

色々話したいことはあるけど、うっとりしちゃって言葉が出てこない僕。

 

92さん「とりあえずスタバ入ってクールダウンしよう(笑)」

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席に着いてからも、しばらくうっとりタイムに入る。

田舎モンが20くらい上の人と原宿ど真ん中にあるスタバでうっとりしながら華金を過ごす。

KENTAがくれた不思議な時間。

 

 

92さんが机にKENTAのサイン入りTシャツを広げて撮影を始めた。

この時、まだうっとりタイムに入ってる僕が自分のフラペチーノを92さんのTシャツにこぼしかけた。ここでやっと我に返った。92さん、すみませんでした!

 

そういえば僕もKENTAに貰ったサインをちゃんと確認していなかった。サインを入れてもらってる時は、KENTAとの会話に夢中でサインを見ていなかった。

92さんを真似て、僕も袋からTシャツを取り出し、机に広げた。

 

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FANG REVIVES Tee。メッセージ性が強く、大好きな一枚。そこに2020年のKENTAのサイン(「G2S」入りサイン)が入るのは嬉しい。ちなみにこのTシャツ、これで4枚目です。

サインに添える「G2S」は、vs世界を掲げている2020年のKENTAの主張なのかな。KENTAが開発した技なのに、CMパンクの手によって「GTS」として世界に広まったわけで。

 

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大阪決戦より発売…なんだけど、このサイン会で先行販売されたRELENTLESS CICATRIZ Tee。

 

92さん「完成してんじゃん!」

 

最初ネットでこのTシャツを見た時は、

「前作、前々作が超カッコよかっただけに…。う〜ん。左下にあるG2Sの位置もよくわからないし」

と思っていた。

だけど、左下の「G2S」プリントの対になるように右下にKENTAのサインが入った。サインのサイズもちょうど良い。どこか完成した感じがある。

 

大阪決戦前に作られたTシャツ。

その大阪決戦直前に開催されたサイン会。

そしてこの「完成した」感。

 

リバーサルとKENTAにやられた。今回のサイン会のためにあった一枚だった。最初微妙とか思ってすみません。

サインを入れてもらう時、「デッカくお願いします!」や「後ろに入れてください!」と言わなくてよかった。

 

 

そしてまたKENTAファン二人で「KENTAはIWGPを獲れるのか」を軸にプロレス談笑。

 

「今日のKENTA、頬がコケてたよね。相当走り込んでるよ。気合入ってるよ」

「スターのオーラだった。垢抜け度がハンパない。ベルト巻く奴のそれ」

「KENTAが言ってたベルト奪取後のプランは...」

 

色々と話した。2日後の大阪決戦に向けて、間違いなくボルテージが上がった。

 

 

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2月9日。大阪決戦当日。

東京から大阪に移動。

大阪に到着した後、まだ試合開始までたっぷりと時間があったため、サウナへ。

髪を二度洗っていることに気づいたとき、自分がいかに気が気でないかを知る。

 

14時00分。試合開始2時間前に会場に到着。

もっとゆっくりサウナに入っていればよかったのに、ソワソワして、無駄に早く会場に到着してしまう。

 

14時50分。入場完了。

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会場に入ったとて、することはない。ソワソワするのみ。

 

16時00分。試合開始。

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リングを見つめてはいるけど、試合を観ていない。そんな時間が続く。

 

メインイベント2つ前あたりからウォーミングアップを開始。首や肩を回して、深呼吸して、無駄に御手洗いへ行く。

 

19時15分。内藤哲也vsKENTAの煽りVTRが始まる。

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煽りV始めの「3万人から嫌われたことある?一瞬で」というKENTAの言葉に、客席から笑いが。

昨年11月の大阪。vs石井智宏の煽りV中の「萌え~!」がゲロスベリしてたことを思い出すと、「よくやった!」といった感じ。

 

19時18分。煽りVが終了。

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そしてチャレンジャー・KENTAが入場。

緑の照明にBC。過去も今も全部背負って挑む。

これはもう勝ってくれるだろうと思った。

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ただ1つ、気になる点が。GoDの二人がこの後乱入してくるとは思えない格好だったこと。

「KENTAにはガンスタンとマジックキラーがあるから」と思ってた矢先のGoDのダブルチノパン。まあでも、信じよう。

 

19時29分。運命のゴング。

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KENTAが場外へ避難し、内藤を焦らしまくる。
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KENTAペースが続く。これはいいぞ。

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ヒートアップ!

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同じ大阪の地でGHCヘビーを奪取した技、GAME OVER!
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ジェイが来たーッ!イイ!間違いなくイイ!
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…うっわ、ヒロムに連れてかれた。

他のBCメンバーは?え、来ない?

 

 

え、ちょっ、邪道さん!何してはるんすか!?

 

それでもKENTAペース。いざ征け、ブサニー!
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あれ?これは…
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内藤、勝つ。
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『STARDUST』が流れた瞬間の脱力感たるや。

KENTAが負けた。悔しかった。本当に悔しかった。

 

内藤を流血で覚醒させちまったのか…

 

 

RELENTLESS CICATRIZ…

Tシャツ言霊だった。

 

 

悔しかったけど、嬉しかったことが1つ。

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誰かの肩を借りるわけでもなく、千鳥足で去るわけでもなく、自分の足でピンと立って、ゆっくりと退場したKENTA。NJPWに則らない退場。

2020年の新日本プロレスの一部になっても、新日本プロレスに染まることはない、というKENTAの意志を最後の最後に感じた。

 

 

 

「KENTA、この1ヶ月間よく盛り上げたね」とか「KENTAはヒールとしての仕事をした」とか、そういうことは言いたくない。

負けたKENTAを僕は褒めたくない。

 

だけど間違いなく本気にさせてもらった1ヶ月だった。

一生忘れることのない東京&大阪の旅になった。

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21時過ぎ。阪急三番街高速バス乗り場に到着。

今日一日スタバとモンスターエナジーしか口にしていないことに気づき、バス出発前にCoCo壱へ。

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良い試合を観た後に美味しいものを腹一杯食べるのがプヲタ。

 

21時50分。富山行きの夜行バスに乗車。

 

 

24時になり、車内が消灯。闇に包まれたバスに揺られながら、僕は号泣してしまった。3列シートで助かった。

 

KENTAが負けたことに対する悔し涙なのか、KENTAに会えた喜びが今になってやってきたのか、また日常へ戻ることが寂しいのか、あるいは今聴いてる尾崎豊の「十七歳の地図」に感動しているのか。

自分でもよく分からないけど、きっと全部。

 

サイン会で、僕は最後に「またいつか」とKENTAに言った。

次また会えるのかなんて分からない。なんせ初接触まで10年かかったわけだし。

とか言って、近い将来、また会えたりしてるかもしれない。なんせ1ヶ月前にはこんな旅が待ってるなんて、全く想像できなかったわけだから。

…だけど、WWEにいる時のKENTAには冷めていたように、またKENTA熱が冷めることがあるかもしれないし。

 

でも、またKENTAに会えることを信じて。

 

 

 

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2月10日、午前5時35分。富山駅に到着。

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その日の授業で提出しなければいけないレポートを駅の自由スペースで早急に仕上げる。

 

6時30分。最寄駅に到着。

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東京へ発つ日に積もっていた雪は、ほとんど溶けていた。

それだけ長い時間が経ったということか、僕のKENTA熱が富山に届いていたということか。

間違いなく前者だけど、KENTA熱で地元の雪まで溶かしたと思いたい。

 

そしていつもどおり学校へ行き、寝不足のまま卒業研究の口頭試問を終えた。無事に僕の高専卒業が(ほぼ)確定。

 

2月11日。新しいバイト先の初出勤日。

しかし、企業側から「本日はお休みとなります」とまさかの逆ドタキャン。

 

2月12日。高専生活最後の授業をあっさり終える。

 

こうして日常に戻っていく。旅中の1日に比べたら薄っぺらい1日一日が淡々と過ぎていく。

 

 

 

2月16日。KENTAのIWGP挑戦から丸1週間。

思い出が薄れてしまう気がして見られなかった「動画での内藤哲也vsKENTA」を、ちょっとだけ勇気を出して、新日本プロレスワールドで見る。

 

「自分は日々何を残しているのか。死んではないけど、生きてもないような日々を続けてるだけじゃないか。たまに観に行くプロレスだけが『生きてる時間』になってしまっているのではないか。KENTAみたいに強く生きなきゃ」

 

発信を重ねてきたKENTAが大一番に挑んでいる姿を見ると、そんなふうに思えてきた。

 

そしてこの時、2月9日の大阪城ホールに取り残された自分がようやく富山に帰ってきた気がした。

 

試合を見終えて、先シリーズ中にKENTAがTwitter上で言っていた言葉を思い出す。

 

「時間を有効に使ってくれ」

 

 

 

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友だちとの時間や家族との時間。

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5年間の高専生活。友だちと遊びに行ったりすることもなく、プロレス旅だけを拠り所にしてきたけど、最後の最後にちょっとだけ変われた気がする。

新日本プロレスワールドで内藤vsKENTAを見直した16日から今日に至るまで、以前よりも毎日を噛み締めてる気がする。

毎日を大切にできるっていいな。

 

 

 

 

 

あ、プロレス旅は今後も続けますよ。

 

まあ結局、僕が何を言いたいかというと…

 

 

「KENTA、ありがとう」って事!

 

俺のイッテンゴ《KENTA》編

KENTAファンがKENTAファンになってからKENTAの乱入劇に大満足するまでの経緯をただただ書いたブログ記事です。何卒。

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2020年1月5日。昼にプロレスリング・ノア後楽園ホール大会を観戦し、そのまま東京ドームへ移動。新日本プロレス『WRESTLE KINGDOM14』を観戦。

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目当てはKENTAのタイトルマッチ。その一点買い。

 

KENTAがいま新日本プロレスにいなかったら、僕はきっと2020年の年始に東京に滞在してなかったことだろう。ノアのイッテンヨンも観に行かずに富山で正月を過ごしていたかもしれない。

 

 

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2010年8月下旬。僕がまだ小5の頃。夏休みも終盤にさしかかり、憂鬱な気分に浸っていたある日の深夜。

あてもなくテレビの電源を入れ、テキトーにザッピングしていると、衝撃的なプロレスに出会った。

 

2010年8月22日 プロレスリング・ノア 有明コロシアム大会

第4試合

KENTAvs青木篤志

 

タイトルマッチでもなければ、スペシャシングルマッチでもない、ノアのジュニア戦士ふたりによるシングルマッチ

ジュニアの試合だけど、現代ジュニアっぽい試合ではなかった。試合のほとんどがエルボーの打ち合い。しかもヘビーのそれよりハードだった。

互いの意地のぶつかり合いとそれを表現できるだけの確かな強さ。ふたりの凄さを見せつけられた。

 

「小柄なふたりの対戦なのに、ヘビー級選手同士の対戦よりもずっと強さを感じる。これは一体何なんだ?」

 

プヲタ1年目の僕にとって、これは本当に衝撃的な試合だった。

今振り返っても、10年間のプヲタライフの中で、五本の指に入るほどの衝撃。僕の頭の中にあったジュニアの概念…いや、プロレスの概念がぶっ壊された。

その日からKENTAを応援するようになった。

 

 

最初のうちは「試合が凄いから」という理由でKENTAを応援していたけど、次第にKENTAの"軸の部分"に惚れるようになった。 

 

観客数が減少し、団体の勢いが鈍化していた当時のノア。でも、その現状について誰も触れることなく、リング上の戦いだけがただ続いていた。

だけどKENTAは違った。

空席が目立つ日本武道館大会の試合後に「あれが現実なんです。今のノアは武道館レベルにいってない」とコメントしたり、愛のないマッチメークをするなとGMを批判したり。

選手やファンの誰もが思っていたけど口にしなかったこと、そして誰も気付いていなかった問題点の指摘。痒いところに手が届いていた。

 

アイデンティティを確立するために、単にまわりを批判して、「自分が正しい」と主張しているわけではない。

根底に団体愛がある批判だった。

現状から目を背けず、次に進むための批判だった。

 

KENTAは誰よりも野心に燃えていた。それでいて常にクールだった。

そんなKENTAの姿勢がハードヒットなファイトスタイルとリンクしていて本当にカッコよかった。

そこが地続きになるのは必然なのかもしれないけど。

 

 

KENTAが試合内容と言葉を通してファンの支持を得て、ノアを照らすブラックヒーローと化した2011年。

GHCヘビー級王座を獲るだけの実力が既にあったにも関わらずベルト奪取ならず。

GHCヘビー奪取ならず」どころか年間を通してこれといった記録を残すことができなかったり、「これから」という大事な時に長期欠場へ突入したり、と目の前のチャンスをなかなかモノにできないKENTAの、そのどこか不器用な感じさえも愛おしかった。

僕はKENTAの虜になっていた。

 

 

その後もKENTAを応援していた。

KENTAが遂にGHCヘビー級王者となった2013年には、王者・KENTAの姿を見るために富山から上京したこともあった。

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KENTAは、名実ともにノアを照らすヒーローになっていた。

 

 

そして2014年。KENTAはノアを退団し、WWEに入団した。

WWE入団当時は必死に追いかけていたけど、時間が経つに連れて、僕はKENTAを追いかけなくなった。僕が惚れていたKENTAの自分軸が薄れてきているように感じたから。

ノアに所属していた頃のような軸がなくなっていくのが目に見えた。

 

その後は、KENTAが怪我で長期欠場に入ったというニュースや中邑真輔やASUKAといった後から来た日本人選手に追い越されていく状況を見て、「何やってんだよKENTA…」と歯痒さを感じていた。

あれだけ痒いところに手が届くレスラーだったのに、WWEに入団してからは……いや、そうじゃない。

これからという時に怪我を負った時も、GHCヘビーを奪取できなかった時も、歯痒かったけど応援していた。

僕はどこかKENTAにのれなくなっていた。

 

 

 

--

2019年6月9日、新日本プロレス大阪城ホール大会。盟友・柴田勝頼に紹介されるかたちでWWEを退団したKENTAが登場。翌月から始まるG1 CLIMAX29への参戦を表明。

これはKENTAファンだった僕にとって、ものすごく熱い出来事だった。

KENTAが「KENTA」として日本に帰ってきたことに興奮したのは勿論、あのKENTAがG1に参戦するというのである。

積極的に他団体に参戦していた丸藤正道秋山準を「中を盛り上げることもできねえ奴が外に出るな」と批判し、ノアの外に一切出向かなかったKENTAが、時を経て、新日本プロレスのリングに上がる。G1 CLIMAXに参戦する。

こんなに熱いことはなかった。

 

 

週刊プロレスのインタビューにて、WWE退団後に選んだリングがなぜノアではなかったのかと問われたKENTAは、

「4年半前に活躍してほしいっていう思いで送り出してもらって、なにもその思いに応えられないまま帰るっていうのも、ただの甘えでしかない」

「“よく帰ってきた”って言ってくれる人もいたかもしれないですけど、そう言ってもらえるようなことなんて、なに一つできてなかった」

「対世界でこのまま終わりたくない」

などと語っていた。

 

久々にKENTAの軸に触れた。何年ぶりかのKENTA熱が出てきた。

 

 

--

2019年8月10日。僕は日本武道館にいた。目当てはKENTAのG1最終公式戦。

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2019年夏のKENTAは、僕が知ってるKENTAとは違った。僕が幼い頃に見たKENTAはもっとギラギラしていた。

だけど、Twitterで「つまらない」だとか「塩」だとか批判されているのを見たら、悔しくて悔しくて。自分が幼い頃に惚れた男が批判の的にされている現実は辛かった。

 

そこで「俺がKENTAを見守らなかったら俺終了だろ」という使命感に勝手に駆られた僕は、日本武道館へ向かったのであった。

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試合はKENTAの負け。僕はそれなりの数の興行を生観戦してきたけど、この日のKENTAの負けが一番悔しかった。レッドシューズ海野がゴングを要求した時は頭を抱えた。

 

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でも、この日のKENTAは、僕が小学生の頃に惚れたKENTAだった。

この夏一番の打たれ強いKENTAだった。日本武道館という地、ザック・セイバーJrという対戦相手がそうさせたのか。ギラギラしていた。

負けは負けでも、SANADAやバッドラック・ファレとの公式戦でコロッと負けてしまうようなKENTAではなかった。

 

 

---

KENTAのG1最終公式戦を見届けた2日後。2019年8月12日、G1 CLIMAX 29決勝大会。

KENTAが盟友・柴田勝頼を裏切って、まさかのBULLET CLUB入り。

最高すぎた。

 

棚橋弘至からの勝利を見て、iPad越しにガッツポーズしたあの日。

オカダ・カズチカとの接戦に興奮したあの日。

日本武道館で頭を抱えたあの日。

 

この夏の全てが上書きされた。このギラギラこそKENTA。

あの衝撃的なヒールターンを現地で見届けられなかったことは、僕のプヲタ人生最大の後悔。

日本武道館でKENTAvsザックを観て、翌日に青木篤志追悼興行を観戦して、そのまま富山に帰った自分。あと1日、東京に残っていれば......。

今思い返しても悔しい。

 

 

そしてこのKENTAのヒールターンを通して確信した。

 

「来年のドームでKENTAvs柴田だな」

 

8月12日の武道館で一瞬実現したKENTAvs柴田。柴田の動きとKENTAの容赦ない攻めを見ると、これは一日限りなら復帰もあり得るなと思った。

 

「KENTAのヒールターンは生で観られなかったけど、KENTAvs柴田は絶対に生で観るぞ」

 

決まってもいないのに、あるものだと信じ込んで、ただただワクワクしていた。

 

 

---

2019年11月3日、新日本プロレス大阪大会。

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「NEVER無差別級選手権試合 KENTAvs石井智宏」と

メインイベントで行われる「IWGPインターコンチネンタル選手権試合 ジェイ・ホワイトvs後藤洋央紀」の試合後にKENTA-柴田間に何かが生まれることを信じて、僕は会場にいた。

 

NEVER戦では、ずっと求めていたKENTAが観られた。

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ハードヒットなKENTA。闘魂燃え尽きぬKENTA。

夏よりも打たれ強さが格段に増していた。

 

そして何より挑戦者を叩き潰す、王者・KENTAの姿に喜びを感じた。

KENTAには常に勝って欲しいし、常に王者で居て欲しいし、常に凄い試合をして欲しい。

 

 

メインのジェイvs後藤のゲスト解説には柴田が登場。あとはKENTAの乱入あるのみだった。

 

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「うおーっ!KENTAきたー!」

 

リングサイドでKENTAvs柴田が再び実現。これはもう続きはドームだなと思った。

 

 

---

2019年12月9日。新日本プロレス東京ドーム大会の全対戦カードが発表された。

 

2020年1月4日

スペシャル8人タッグマッチ

KENTA&バッドラック・ファレ&高橋裕二郎&チェーズ・オーエンズ

vs

後藤洋央紀&石井智宏&矢野通&YOSHI-HASHI

 

 

2020年1月5日

NEVER無差別級選手権試合

【王者】KENTAvs【挑戦者】後藤洋央紀

 

東京ドームでKENTAのシングルマッチ(タイトルマッチ)を観られることは喜ばしいこと。

だけど、「まあそうなっちゃうか...」という思いの方が正直強かった。

 

1月4日から1月6日の間、東京に滞在することは確定していたから、1月4日の夜は新日本ドームより面白そうなノア後楽園を観ることにした。

 

 

---

2020年1月5日。KENTAvs後藤。

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KENTAが後藤を散々おちょくるも、逆転負けを喫するという展開。

おもしろかった。だけど、エモさがなかった。

「おもしろい試合」ではあったけど、「凄い試合」ではなかった。

 

やっぱり第一に「KENTAの勝利」を見たい。そして第二に「凄い試合」を見たい。

KENTAがエモさのない負けを喫すると、ファンとしてはへこむもので...。

 

NEW JAPAN CUP2020のKENTAに期待しよう

 

 

...と思っていたら。

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ロス・インゴベルナブレス・デ・ハポン」の大合唱をKENTAが阻止。そのまま東京ドーム大会が終了。

まさか東京ドーム大会2日目をKENTAが締めるとは。

 

KENTAが乱入した時、客席の内藤ファンたちがマジなトーンでいろいろ呟いていた。

 

「ありえないんだけど...」

 

「うっわぁ...」

 

「は?死ねよ」

 

「ブー!」と一斉にブーイングを送るのとはわけが違う。絶望に一体感などないことを知った。

 

一方で僕は大興奮。KENTAvs柴田を引きずっていた自分も、後藤にあっさり負けたKENTAに落胆した自分も、もうそこにはいなかった。

あるのは「KENTA、ありがとう!これからもよろしく!」という思いのみ。

 

ノアのイッテンヨンでの感動が完全に上書きされた。

プロレスっておもしろいし、プヲタって楽しい。

 

 

---

2020年1月7日。内藤哲也vsKENTAのIWGPヘビー&IWGP IC選手権試合が正式決定。

僕はすぐに大阪城ホール大会のチケットを購入し、夜行バスの予約を済ませた。

 

 

 

というわけで今週末は大阪へ。

そして大阪の前に東京へ。

 

長旅になるね。

 

KENTA、勝て!!

 

俺のイッテンヨン《ノア後楽園》編

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このブログ記事は、試合や興行の感想というより、2020年1月4日の夜にプロレスリング・ノアを選んだひとりのプオタの思いが時系列に並べられているといった具合です。試合あるいは興行全体の感想は後半に記してあります。

そして昨日からファンの間でノアが話題になってますが、あくまで当時の心情をもとに(ちゃんと当日に書き留めておいたiPhoneのメモを見つつ)書いたので、一件に関しては何も知らない体で話が進んでいます。何卒。

 

 

---

2019年9月9日、プロレスリング・ノア後楽園ホール大会。なかなか衝撃的な発表があった。

 

 

ノアが1月4日の夜に後楽園ホールで興行を打つと言う。

プロレスファンにとって1月4日といえば、新日本プロレスの「イッテンヨン」東京ドーム大会。

その真裏でノアが興行を打つと言う。それも東京ドームの隣の後楽園ホールで。

 

東京ドームの真裏でドームに負けない熱を生もうと試みたプロレス団体が近年居ただろうか。

僕はひとり熱くなっていた。

 

 

ー2018夏。アメリカのインディープロレスシーンでは史上最大規模の興行となったALL INの前日、前々日にとんでもない全部のせ興行をやってのけた「AAW

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ー2019春。世界最大のプロレス興行・WWEレッスルマニアより面白いものを作ろうと試みる選手や団体が集まった「裏レッスルマニア

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大手団体に「数」では負けてる。でも「質」では負けたくない。

俺たちにしか作れない面白さをファンに届けたい。

 

現地での観戦を通して、そんな中小プロレス団体の思いを僕は勝手に感じていた。

 

ALL IN直前のシカゴのAAWとニューヨークの裏レッスルマニア。この2つを肌で感じてきた僕は、ノアのイッテンヨンを放っておくことができなかった。

 

業界で飛び抜けた存在がいて、そこに対抗意識を燃やす団体がいる。日本でもこんなプロレス界が見たかった。

互いが互いを高め合い、面白さに磨きがかかる、そんな日本プロレス界であって欲しい。

 

挑戦に出たノアの姿勢を僕は買いたいと思った。

 

 ---

2019年12月3日、プロレスリング・ノア後楽園ホール大会。中嶋勝彦とのデビュー15周年記念試合をムーンサルトプレスで制した潮崎豪GHCヘビー級王者・清宮海斗に挑戦表明。

 

 

ずっと潮崎豪が自己主張する日を待っていた。

 

僕はプロレスにハマりたての小学生の頃、ノアのレスラーたちに魅せられてきた。魅せられたのは、KENTAであり、青木篤志であり、杉浦貴であり、潮崎豪である。

自分が小さい頃に潮崎に魅了されただけに、最近の潮崎には歯痒ささえ感じていた。(その歯痒さもプオタの醍醐味なのだけど)

 

そんな潮崎が勝彦と15年の歴史が詰まった戦いをして、

ムーンサルトプレスで勝利し、

試合後にGHCヘビー獲得に動き出した。

かつて創設者にノアを託された男・潮崎vs新生ノアの顔・清宮のGHCヘビー級選手権試合が決定。

これ以上にないシチュエーション。

 

イッテンヨンにノアを選ぶにあたり、唯一の懸念材料であった「新日本のイッテンヨンでのKENTAのタイトルマッチ」をパスした僕は、ノアのイッテンヨンを学校の後輩・中西くんと観に行くことにした。

 

えらく前置きが長くなってしまったけど、ここからイッテンヨンノア後楽園大会当日の話を。

 

 

---

2020年1月4日16時50分。水道橋駅に到着。

改札を出る前に、Haomingポップアップストアに立ち寄った。

プロレスを題材にしたアパレルブランド『Haoming(ハオミン)』が先月から水道橋駅構内にて、期間限定ストアをオープンしている。

 

僕「(キャップをはずして)お久しぶりです」

代表「お〜どうも」

 

僕はハオミンに4年前から通っている。代表には、顔と富山在住という情報を覚えてもらっている。

 

代表「この時間にここにいてドームは間に合うの?」

僕「いや、今日はノア後楽園を選んだので」

代表「(ニッコリして)…あのね、だと思った」

 

代表は、顔と「富山在住」だけでなく、僕の嗜好もわかってくれている。

 

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30%オフで売られていたランディ・サベージのウエストポーチを購入。

 

代表「ありがとうね。また宜しくお願いします。ノア、楽しんで!」

 

---そうだよ。俺は1月4日というプロレスファンにとって特別な日にノア後楽園を選んだプロレスファンなんだよ。

 

これを読んでる人は「いちファンが背負い込みすぎだろ」と思うかもしれないけど、僕はこの時、プオタとしてそれくらいの使命感に駆られた。

 

少しだけ背筋を伸ばして、改札を出た。

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17時00分。新日本プロレス東京ドーム大会開始時刻に、水道橋駅西口から東京ドームシティへと繋がる、いつもの橋を渡る。

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小学生の頃、母に連れられて、初めてこの橋を渡った時は随分と高揚したものだけど、今となってはすっかり慣れたもの。

だけど、なんか今日だけはいつもと違う感じがする。

 

 

水道橋の街は、新日本プロレス東京ドーム大会『WRESTLE KINGDOM14』一色。

駅改札を出てすぐのNewDaysには、新日本ドーム特集が組まれたスポーツ新聞が売られていた。f:id:kusarigama:20200118023935j:image

後楽園ホール隣のローソンには、大きな大会パネルが設置されていた。f:id:kusarigama:20200118023939j:image

そういえば、池袋から秋葉原へ向かう時に乗った山手線の車内では、WRESTLE KINGDOM14のプロモーションビデオが流れていた。

 

---東京の街が、そして世界が新日本プロレス東京ドーム大会で賑わう今宵、僕はドームの隣でプロレスを観るんだ。

 

 

ローソンを通り過ぎて、階段を下りると、そこは後楽園ホール

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開場40分前にも関わらず、既に行列ができている。

5階にある後楽園ホールから1階の会場外にまで列ができているわけだから、相当長い列である。通い慣れた後楽園ホールだけど、こんな光景を見るのは初めて。

 

高揚を抑えられなくて、無駄に早く会場に到着してしまうというのは、地方のプロレスファンあるある。この現象を後楽園ホールで見られるとは。

 

 

 

後楽園ホール隣の東京ドーム前は閑散としていた。耳を澄ませば、中の歓声が薄っすらと聞こえるような聞こえないような。

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---よし、ノアを見るぞ。

開始時刻が迫るに連れて、ノア後楽園に馳せる想いが強まっていく。

 

 

17時50分。後楽園ホール入場。

展示場グッズ売店を通り抜け、フード売店前でフォロワーさんたちと自然に合流。ここで後輩・中西くんとも合流。レモンサワーを片手に今日の興行とは関係ないプロレストークで盛り上がる。

 

18時20分。着席。

中西くんと話していると、会場内に『グランドエスケープ』が流れ始める。

 

「天気の子の曲だ」

 

イントロではそのくらいにしか思わなかったけど、サビで一気に引き込まれる。

 

怖くないわけない   でも止まんない

ピンチの先回りしたって   僕らじゃしょうがない

僕らの恋が言う   声が言う

「行け」という

 

新生ノア。

20周年イヤー1発目の興行。

新日ドームの裏での興行。

 

全てが重なった。RADWIMPSはノアに楽曲提供したんだっけ。

一気に期待値が高まった。

 

 

印象に残った試合の感想を。

第4試合

拳王&稲村愛輝vs鈴木秀樹&岡田欣也

f:id:kusarigama:20200129114624j:image初・生稲村。良かった。序盤で岡田にさらっとヘッドシザースを仕掛けた時の鍛え上げられた脚が凄かった。

岡田はガッチリハマる前に抜け出したけど、あの稲村のヘッドシザースに一度ハマればどうなることやら。ファンが特に意識しない部分も説得力があるのは凄い。

 

拳王vs鈴木秀樹は、ジュニア時代のKENTAvs永田裕志を彷彿とさせた。

食ってかかる拳王がKENTAに、「嫌いじゃないよ」スタンスの鈴木秀樹永田裕志に見えた。

鈴木秀樹が青パンだったのもまた永田さんっぽかった。

f:id:kusarigama:20200129125507j:imagef:id:kusarigama:20200129125504j:imagef:id:kusarigama:20200129125514j:imagef:id:kusarigama:20200129125510j:image危険な空気を漂わせながらスタスタと帰る鈴木秀樹。追いかける拳王。「拳王さん…」と呟きながら後を追う稲村。

そしてカーテンの奥に姿を消した後もバックステージから聞こえる怒号。最高だった。

 

 

第5試合

丸藤正道&田中稔vsダグ・ウィリアムス&クリス・リッジウェイ

f:id:kusarigama:20200129122139j:image中西くん「ファイヤーバードですかね?」

僕「いや、これシューティングスターかもしれんぞ」

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僕&中西「うおおおおお!!!」

 

これに尽きる。

2019年、獣神サンダー・ライガーと戦いたいと訴え続けるも、対戦が実現しなかった稔がシューティングスタープレスを披露。

「1月4日にドームの裏で戦ってること」

「そのドームでライガーが引退すること」

「稔とライガーの距離感」

現状を踏まえると、これ以上にない感謝の表し方だなと。

 

この試合後に「シューティングスター、興奮しました」と伝えに、田中稔売店へ行こうと思った。

…だけど、シューティングスタープレス披露という、これ以上にない最高のメッセージを観た後に、わざわざ本人の言葉を聞きたくない気もしたので売店はスルー。それほど熱かった。

 

 

第6試合

マイケル・エルガンvs中嶋勝彦

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試合時間こそ短かったものの、2人の強さが詰まった試合。

冷酷な蹴りを連打する勝彦と蹴られてもHPが減らないエルガン。2人とも強かった。

 

初めて夜行バスに乗って地元の友達と観に行った2015年G1後楽園でのvs後藤洋央紀と昨夏の大日本後楽園でのvs関本大介

エルガン×後楽園には、色々と思い出があるので、エルガンが勝った時は本当に嬉しかった。

 

試合後に「ビッグマイク」コールを送ったら、指してくれた。

イッテンゴでGHCヘビーに挑戦すると勝手に確信。

 

 

第8試合

GHCジュニアヘビー級選手権試合

HAYATAvs小川良成

ただただ強い小川と会場の小川応援態勢。生観戦したプロレスファンの勝利マッチ。

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僕は2010年からノアを観てるけど、小川良成のことを熱烈に応援していた時期は正直ない。

だけど、何年もこの時を待っていたかのように会場で小川良成を応援している僕がいた。

ここぞという時に客を味方にするのは、小川良成最大のテクニックなのかもしれない。

面白かったし、嬉しかった。そんな試合。

 

 

セミファイナル

GHCナショナル選手権試合

杉浦貴vsマサ北宮

f:id:kusarigama:20200129202948j:image序盤のタックル合戦から興奮。執拗な○○合戦で始まる試合が好きな僕にとっては好物そのもの。

 

とにかく北宮が良かった。

僕は最近の形式的な北宮がハッキリ言って嫌いだったんけど、この日は試合中の表情が格段に良かった。監獄固めしながらの武者震いも勝ちへの執念がちゃんと伝わってきた。

 

そして終盤のエルボー合戦。北宮の放つエルボーの音が凄まじかった。

音と重さが比例するのか知らないけど、杉浦のエルボーよりずっと重く見えた。

「今日の北宮強え!」

 

だけどそう思ってるのも束の間。北宮の凄いエルボーを食らっても倒れない…というかむしろ蘇る杉浦。

ここで僕は、ふと「北宮、昔の杉浦に体型似てるな」と思った。今の北宮の太り方が2009年から2011年にかけて、GHCヘビー級王者としてノアを引っ張っていた頃の杉浦の太り方にちょっと似てるなと。

そこからはもう杉浦が過去の自分をぶっ倒してるようにしか見えなくなった。杉浦vs杉浦。

「今日の北宮はめちゃくちゃいいぞ」と思いながら見てたけど、気がつけば杉浦に魅了されていた。

 

最後は雪崩式オリンピック予選スラム。

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杉浦が初めてGHCヘビーを奪取した時の技。プロレスにハマりたての頃、テレビで観ていた技。

この技を生で観られることに喜びを覚えるとともに、「あの頃と変わらない技で、あの頃の自分(=北宮)を倒すって、今が全盛期ってことじゃん」と勝手に思って勝手に感動した。

 

 

メインイベント

GHCヘビー級選手権試合

清宮海斗vs潮崎豪

f:id:kusarigama:20200129213536j:image緑の新コスチュームで登場した潮崎。これがあったか。しかも見れば見るほど三沢を彷彿とさせるデザイン。

潮崎が出てきた時、興奮しすぎて手元のコーラを全部こぼした。

 

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憧れグリーンvs本物グリーン。

「今日の潮崎は信じていい日だ」

 

f:id:kusarigama:20200129213137j:imageトペ!
f:id:kusarigama:20200129213128j:imageパワボム!
f:id:kusarigama:20200129213124j:imageリミブレ!
f:id:kusarigama:20200129213132j:image豪腕!

 

最後はムーンサルトプレスで勝利。

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ノアは「美学のある闘い」をキャッチフレーズにしている。僕はこの言葉に乗れなかった。

「やる側が『美学』を持つのはわかる。だけど、それは観る側への謳い文句として使う言葉ではなくないか?」と思っていた。

僕は10年間プロレスを見続けてきたけど、美学など知らない。

 

でも、ノアが「潮崎豪ムーンサルトプレスこそが美学です」と言うなら、納得できる気がする。

それはフォームが綺麗だからという理由ではなく(もちろんそれもあるけど)、潮崎のムーンサルトにはみんなの夢と希望が詰まってるから。

潮崎がコーナーから舞う瞬間、潮崎の思いとファンの思いが重なる。

1月4日の夜に舞ったあのムーンサルトプレスは、たぶん美学。

 

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師匠・小橋建太からベルトを受け取る潮崎。

この時、退場する清宮に大「海斗」コールが発生。なんて素晴らしいファンなんだと思った。

 

「俺がノアだ!」という最強フレーズを残した後、潮崎はたっぷりと時間をかけて退場。

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22時20分。興行終了。

強いヤツが勝つ、3時間50分の興行。試合後はグッズ売店もなし。

長かったけど、1月4日の夜にプロレスファンに向けて発信するパッケージとしては、意義ある長時間興行だったと思う。

後半のタイトルマッチは言わずもがな。前半は前半で選手たちの個性がちゃんと出ていた。

 

 

本当に面白い興行だった。20周年イヤー1発目からこんな興行をやってのけて、ノアは今年一年どうするんだと心配になる程。自分で自分にハードルを課したなと。

 

だけど超えてくれるでしょう。昨年11月の両国大会が終わった時点で、誰が潮崎豪によるハッピーエンドを読んでいたか。誰が大「小川」コールで包まれるイッテンヨンを読んでいたか。

 

僕らの期待に応えてくれるどころか、軽く超えてくれるでしょう。

 

イッテンヨンにノアを選んでよかった。

 

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おめでとう、潮崎!

ありがとう、ノア!

これからもよろしく!

 

 

ブログ復活のお知らせ

昨年春にアメブロプロレスの萌えポイントを語る会②」に移転しましたが、やっぱこっちの方が書きやすい!

…ということで、こちらのはてなブログに戻ってきました。

近日中に「俺のイッテンヨン」や「俺のイッテンゴ」など大量投下予定です。

 

ポッドキャストは色々やらかしちゃって収録場所が使えなくなりました。

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とりあえず活字で2020年最初の僕のプロレス行脚を語りたいと思います。何卒。

ALL IN生観戦感想

昨年9月、ALL INを観戦してきた。f:id:kusarigama:20190329013729j:image

米国のプロレス史を動かす歴史的な一夜なんて言われているCody&ヤングバックスによる興行『ALL IN』。実際に生で感じてきたわけだけど、まさにそんな興行だったと思う。

ではALL INの何が凄かったのか。何に感銘を受けたか。ちょっと長いけど、5つの項目に分けて話したいと思う。

 

 

YouTubeで展開を進めるということ

まず凄いと思ったのがコレ。ALL INを開催するにあたって、the ELITEのメンバーたちはいくつかの他団体を意識したと思う。多分そのトップに来るのが業界No.1の団体・WWEだと思う。WWEより面白いコンテンツ作りを意識しただろう。そして、その次に来るのが業界No.2の新日本プロレス、あるいはROHやその他米インディー団体かなと。

ALL INという興行は、WWEで例えると、PPV大会に値する。『the ELITEによるビッグマッチ』≒『WWEによるPPV大会』。そう考えると、RAWやSMACK DOWN等のテレビ番組を利用して、PPV大会に向けたストーリーを進めていくWWEに対し、the ELITEはYouTubeでALL INまでのストーリーを展開したんだよね。コレは本当に凄い。もちろんWWEのPPV大会に比べたら会場規模は小さいし、WWEなんかRAWの会場にALL IN級のスケールの会場を使ってるわけである。それでも、非WWE系の米インディー村出身レスラー(Codyは違うけど)が主体となって行われた興行で10,000人以上の観客を集めたのは史上初の快挙だったわけで。

そしてコレはプロレス界のトレンドの先走りだなと。というのも、テレビよりYouTubeのほうが生活に身近だという人が増えているから。実際に僕が通ってる富山高専のクラスメート同士の会話においても、「昨日のテレビ見た?」より、「昨日の○○(YouTuber)の動画見た?」や「この△△(実況ゲーマー)の配信見た?」という話題のほうがよく聞こえてくる。「昨日のRAW見た?」感覚で、「昨日のBeing the ELITE見た?」って学校で話すようなプヲタキッズが今後少〜しずつ増えていくんだろう。

まあAEWもテレビ放送をするらしいし、ALL INの会場に子どもの姿はあまり見かけられなかったんだけど。

にしても、事ALL INという興行に関しては、Being the ELITEだけで補ったわけだからヤツらは凄い。

 

新日本がビッグマッチを毎回成功させてるのって、NJPWワールドやテレビの影響もあるけど、それよりも日々の地方巡業があるからである。

富山で初めて新日本の興行を見た少年が、今度は隣の県のアオーレ長岡に行って、今度は東京ドームに行ってみようとする。長岡の会場には新潟県民しかいないわけじゃない。ドームには都民だけが集まるんじゃない。

ALL INの会場には、ドイツから来たという二十歳の子もいたし、バンクーバーから来たという人もいたし、オハイオから車で6時間かけて来たというインスタのフォロワーさんもいた。僕も日本から行った。開催地のシカゴ在住のファンなんて少数だったと思う。つまり、the ELITEは新日本でいうところの地方巡業さえもYouTubeで補ったんだよね。凄いよ。

 

 

・「守られてない感」が生む米インディーレスラーロマン

ALL IN観戦後、僕は3人の外国人と一緒にホテルに帰った。どこから来たか忘れたけどとりあえず米在住の男と、バンクーバーから来た男と、ドイツから来た二十歳の少年。話をしていると、3人とも元々はWWEユニバースだったけど、WWEに飽きてきちゃった頃にBULLET CLUB(the ELITE)の存在をYouTubeで知り、どハマりしたらしい。彼らの何が魅力的なのか尋ねると、3人とも「とにかくカッコいい」と言っていた。

WWEに飽きたプロレスファンたちがthe ELITEのどこに惹かれたのか。「とにかくカッコいい」の「とにかく」にはどんなカッコいい要素が詰まっているのか。僕なりに考えて出た結論が「守られてない感が生むレスラーロマン」だった。

WWEはスケールが他団体とは比べものにならないくらいデカイ。ディナータイムのテレビ放送もそうだし、会場規模もそうだし、資金もそう。全てがデカイ。子どもの頃にWWEを見て育ったレスラーたちが米インディーのマットで大成して、満を持してWWEに入団するのもわかる。そりゃあレスラー側からするとWWEは夢の塊だろう。レスラー視点ではなく、ファン視点でも夢がある。「中邑真輔ロイヤルランブル優勝」なんてまさにそう。あれは日本のファンとして誇らしいことだったし、あの時レッスルマニアのメインで中邑がWWE王座を獲るところまで夢見たファンも多いことだろう。でも、WWEにはない種類のレスラーロマンを米インディーで戦うレスラーたちからは感じ取れる。

WWEは基本的に「他団体に出ることはダメ」という条件の下で選手と契約しているから、そこにはどうしても「守られてる感」が生まれてしまう。一方で、米インディーマットでは団体と選手間で専属契約なる契約が結ばれることはあまりない。つまり、ほとんどのレスラーがフリーランス、もしくは実質フリーランス(例:AEW所属選手はどの他団体に上がっても許される)である。フリーだからこそ「ネクストが保証されていない状況」が強く伝わってくる。「来月も食っていける保証がない」が強く伝わってくる。人ってパンクな生き方をしてる人に魅力を感じるもの。「与えられた試合をこなす」姿より「試合を与えてもらうために戦う」姿のほうが魅力的。実際に彼らの戦う姿を生で見てると、「また呼んでもらえるように、試合順に関係なく凄い試合をしてやろう」という一試合にかける意気込み・思いがダイレクトで伝わってくる。そこにはWWEにはない「守られてない感」が生むレスラーロマンがあるんだよね。

僕がALL INで見たバンディードなんてまさにそうだった。

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バンディードは、ALL INの前々日と前日に新木場1st RINGをちょっとデカくしたくらいの規模のAAWの会場で、試合後に客席から大量のおひねりが飛ぶような試合をしていた。2試合とも負けたんだけど、誰よりも会場を湧かせていたのがバンディードだった。

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そんな姿を見ただけに、ALL INのメインイベントに登場して、1万人の観客を湧かせている彼の姿を3階席から眺めていた時、グッとくるものがあった。己の体一つで夢を掴もうとしている姿がたまらなかった。メキシコ人だから尚更。

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そして、そのレスラーロマンは、Codyやヤングバックスクラスのような人気レスラーにもある。いきなり「10,000人規模の会場で興行やります!」と言った時だって、成功する保証はなかったわけだし。

自分でアクションを起こして、自分で攻めていく・切り拓いていく姿が「カッコいい」んだよね。「守られてない感」が故のロマンが、米インディーマットと米インディーレスラーズにはある。

 

 

・会場と運営と規模

ALL INで地味に感動したのがビックリするほどの入場のスムーズさ。

入場口からずっと奥にある駐車場近くまで長い待機列が続いていたけど、開場時間になると、5分ちょいほどで入場完了。昨年11月に新日本の大阪府立第一大会を観戦したけど、入場のスムーズさに関してはALL INのほうが圧倒的に優れていた。

さらに僕は特別席から観戦したんだけど、特別席の対応がメジャー級だった。特別席は10人一部屋の個室になっていて、洗面台に冷蔵庫がある。冷蔵庫の中にはキンキンに冷えたペプシとビールが入っている。

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テレビ画面もあって、今行われてる試合をカメラ目線で見ることも可能。

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ビールはまだ飲めないので僕はペプシ
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ちなみに僕がいた部屋の近くの部屋にはマコーレ・カルキンがいたらしい。マコーレ・カルキンとツーショットを撮ることができなかったのは、野毛の道場前で長州に声をかけられなかった中2の夏より悔しい。

しかしあの空間には圧巻だった。

 

 

新日本プロレスだった

次に試合面。ケツ三試合は普通に好勝負だったし、第0試合のランブルではマルコ・スタントやジョーダン・グレースなどの凄いけどまだまだ知られてないインディーレスラーが1万人にお披露目される瞬間に立ち会えたし、素晴らしかったと思う。

でも中にはCody vs ニック・アルディスというソルティーマッチなんかもあった。Codyの試合なんか終盤は会場にいた僕の体感的には「ここホントにアメリカかよ?」って感じだったけど、Codyが勝った瞬間にその日一番の観客の歓声があった。勝ち方も勝つタイミングも「マジかよ…」だったし、どう考えても塩分高めだったけど、Codyが勝ったら「さっきスーン😒モード入りつつあったのにどうした?」というほど会場が大爆発。

でもこの『ビッグマッチのキーパーソンの試合が塩』と『会場の暑苦しいほど熱気・黄色くない声援』に僕の知らないあの頃の新日本が一瞬見えた。今の新日本のビッグマッチってスベったら終わりだし、人気者が勝とうと試合内容が塩分高けりゃそういう目で見られるけど、ALL INの客は完全にCody側についてたし、僕も僕で「つまんない」さえ楽しかったんだよね。

ALL INは「ニュージャパン」に見えるようで、「新日本」だったのかもしれない。

 

 

・マニアがジャンルを作る

さらに帰り道の話。バンクーバーの男が「ALL INはレッスルマニアを超えたよ!」と言った。心の中で「俺レッスルマニア生で見たことないから何とも言えないけど、それはWWE嫌いフィルター&エリート好きフィルターかかりすぎじゃね?」と思った。その後、ホテルに着いて、シャワーを浴び、いざ寝ようという時に男のその言葉を思い出した。そこで思った。「ジャンルってそういうことだよな」って。

プロレスって非ファンに薦めてもなかなか受け付けてもらえないし、日常でなかなか仲間に出会うことができないけど、会場に行けばちゃんとファンがいる。受け付けないカラダを持った人間もたくさんいるけど、そんななかなか世間に受け入れてもらえないジャンルを愛するファンの熱で続いてる。ALL INは素晴らしい興行だと思ったけど、僕の好みのどストライクな興行ではなかった。だけど、そのALL INをベスト興行と評価する人もいる。というかあの会場にいた人のほとんどがそう言ってるはず。the ELITE熱烈支持者が何万人もいたから、ALL INは成功したわけだし、マニアがジャンルを作るよなと思った。

木谷オーナーの言葉の真逆を言ってるわけだけど、あくまで僕の「マニア」の定義は、そのジャンルが大好きな人のこと。プロレスにハマってる時点で、新規だろうが、ファン歴30年だろうが、黙って見ようが、うるさ型だろうが、世間からするとプロレスマニア。プロレスファンなんて結局世間的には少数民族であって、知識があろうが、なかろうが、周りからすると「マニア」なんだよな…。

 

 

随分と長くなったけど、これらの他にも、会場近くのホテルで見かけたレイ・フェニックスの頭髪が寂しかった話とか、会場で琥珀うたとゼロ距離になったから、ホテルに帰ってから動画を見てみたけど、おちんが受け付けなかった話とか色々あるけど、それ以上でもそれ以下でもない話ばかりなので割愛!!

最後まで読んでくださってありがとうございました!