新しい世界へ
いつのまにか何年も経っていました。今ではMMDやUTAU をいじることもほとんどなくなっています。どちらの作業も時間と作業量を求められるもので、根気の続く若い頃(笑)でないとなかなかできませんね。MMD作業から遠ざかってからは、ゲームなどで時間を使っていました。ゲーム制作も面白そうなのでチャレンジしてみたいのですが、今は、新しくAI生成でのイラスト作成を少しずつ練習しています。
AI生成はイラストにかかわらず小説やアプリなどいろんな分野で注目を浴びていますね。これからの創作、制作の世界ではこれまでと違った形での作業も増えてくるのだと思います。また新しい変化が始まったのかもしれません。
さて、AI生成でのイラスト作成ですが、これはプロンプトというコマンドでAIに作成したい絵の内容を伝えるという形をとります。簡単なプロンプトでもその他の部分をAIが推定して生成するので、いわゆるいい感じのものが出来上がります。こちらに制作意図があってこういったものを作りたい、といった場合は、プロンプト=言葉だけで思ったようなものを作るのは限界がありますのでそれを補助するいろいろなもの(作画のモデルやポーズなどをあらかじめ学習したデータなど)を使って生成することになります。
AI生成をやっていて感じることは、自分の思うようなものを生成するのは、AIにこちらの意図をうまく理解してもらうことが重要になり、まさにプロンプトを介してAIとうまく意思疎通をとることが求められるということです。同じ単語でも双方が思っていることが異なっていれば意図と違うものが生成されます。AIがどういったデータで学習しているかを推測することも必要になります。なんとなく母国語の違うお互いが意思疎通を図ろうとしているのに似ていますね。
Autumn 2023
これは最近制作したものです。秋の気配が深まり、少しセンチメンタルな感じが表現したかったのですが、どうでしょう。紅葉が進み色づいた街路樹の中に主人公が立っています。道は主人公の奥に伸びてゆき、その奥から沈みかけている夕日がさしています。夕日を受ける主人公の傍らには古い電話ボックスがあることから携帯やスマホ以前の時代かもしれません。なお、この絵の構図や配置はAI任せです。プロンプトの指定は秋、欧風街路、夕方、夕日、古い電話ボックスくらいです。この絵はAI生成そのままのものですが、例えば、もう少し夕日の感じを出すための色彩の調整をペイントソフトですることも可能です。AI生成では詳細な部分や、こちらの意図として修正したい部分が出てきますので、ペイントソフトと合わせた修正は必須かもしれません。
この絵の作成にはpixai.artというサイトを使わせていただきました。この絵のモデルもこのサイトのMoonbeamというモデルです。サイト自体は運営者がよくわからないのですが、(生成で出てくる背景にアジア系のものが多いので)アジアの個人の方かもしれません。サイトの日本語訳(これもAI翻訳なのかどうか気になるのですが)も自然でシンプルなデザインは使いやすいです。自分のPCでAI生成をしようとするとハイスペックなものが必要になるので、サイトで簡単に生成できるのはありがたいです。
また少しずつ練習していいものがあればアップしてみたいと思います。
このブログは当初、MMDとUTAUで作ったものの備忘録や雑感を書いておこうと始めたものですが、これからはいろいろなジャンルのものが混ざってくると思います。ですので、ブログタイトルも「MMDとUTAUでできること」から「MMDとUTAU その先にあるもの」と変更させていただきました。
ここまでお付き合いいただきありがとうございます。
書き物ブログの開設
ブログの更新が暫く空いてしまいました。今年はMikuMikuDanceとUTAUが公開されて10周年になりますので、お祝いの動画を投稿しました。よろしければご覧ください。
www.nicovideo.jp (←こちらをクリックしていただければ別ページで開きます)
さて、今回は新しいブログ開設のお知らせです。これまで小説のようなものをこのブログでも掲載したことがありますが、今回、新しく書き物用に専用のブログを作ることにしました。最近はほとんど書いていないのですが、今までに書いたものがありますのでそれをどこかに置いておきたいと考えたからです。掲載は適時進めていきたいと思いますがこのブログと同じように不定期なものになると思います。
たまには違ったものに接してみたいと思った時にでも覗いていただければ嬉しいです。
MMD動画の作成手順
最近は短めの動画をアップすることが多いのですが、これはストーリ性のあるものをなかなか思いつかないので練習がてらに短いものを作成しているためです(それでも作るものが思いつかないのですが・・・)。今回は、どのようにMMD動画を作成しているかについて少しお話しさせていただきます(他の方がどのように作っているか分からないので一般的な方法ではないかもしれません)。
私がMMD動画を作成する時の手順は、
①作るものの主題、アウトラインを考える
②これに合わせてストーリー、セリフ(いわゆるシナリオ的なもの)を考える
③セリフをUTAUで作成する
④UTAUのセリフをシナリオの通りに編集、合わせて時間調整する(Audacityを利用)
(この作業でだいたいの時間進行が決まります)
[pre⑤必要に応じて事前にモデル調整、アクセサリ作成などをします(主にPmxEditor、xismoの作業になります)]
⑤セリフに合わせてMMDでシーンを作成する
⑤-1ラフモーション、シーン割りの作成(いわゆる絵コンテに相当)
⑤-2モーション、表情の作り込み
⑤-3カメラ調整
⑤-4MME(映像効果)の適用(MMEはパソコンの負荷が大きいため最後に)
⑤-5各シーンのaviファイルでのアウトプット
⑥シーンに合わせてBGM、効果音を編集、挿入する(Audacityのファイルで)
(BGM、効果音を入れてからMMDでアウトプットすることも多いです)
⑦各シーンをシナリオに合わせて編集する(Aviutlを利用)
(字幕、映像効果の他、追加のBGM、効果音などを加えます)
⑧エンコード出力(最近はAviutlのpluginのx264guiExを使うことが多いです)
(動画をインターネット上で閲覧できるようにする作業です)
というステップをとります。
ただこの通りに流れ作業をしているのではなく、それぞれのステップで何度もやり直しが必要になります。例えばUTAUでセリフを作るにしても、一度でOKになることはなく、何度か調整し、また日を改めて聞き直し調整することが大切です。一度に仕上げようとしても作業をしている間に感覚が作ったものに慣れてしまい不自然な個所がわからなくなるためです。そのためどうしても改めて聴き直す作業が必要になります。MMDで作るモーションにしても見直してみると作業中気がつかなかった修正個所が見つかります。これは何度やっても出てきます。ですのである程度かけた時間により出来上がるものが違ってきます。また、次のステップに移ってから前の作業を修正しようとすると修正の影響が大きくなり、手に負えなくなることもありますので各ステップでの作り込みは丁寧にしておく必要があります。
また、作業にどれくらい時間がかかるかと言うと(これは実際に計っているわけではないので感覚ですが)、1~2分程度の動画でUTAUとMMDの作業で2~3週間(週20時間作業をするとして、40~60時間程度)かかります。その他にシナリオ作成、モデリングなどがありますのでおおむね1カ月の作業かと思います。ただし、どのようなものを作り、どの程度作りこむかによるので作業時間は大きく変わります(MMD杯に参加した5分程度のものは3~4カ月程度の作業期間でした)。特に①の企画の部分は時間では計れないものです。何か動画にできそうなアイデアを見つけるまで時間がかかるからです。そこができて作業に入れば流れに乗れるのですが・・・。シリーズものを定期的に作成されている方は本当にすごいなと感じます。
MMDで動画を作っていて思うことは、作業をしなければ前に進まないということです。一日、一日ほんの少しでも作業を続ければ少しずつ前に進んでいきます。少しだけしても意味がないと思って何もしなければ何日たっても前には進まないということです。そして次のステップに移ると後戻りが大変になるのでステップ内の作業はある程度納得できるものにしておくということです。
このように何度も何度も同じ作業を繰り返し、見直し、調整してMMD動画を作っています。ですので、1分程度の動画がひと月間隔くらいでアップされていればそこそこ作業はしているんだなとご理解ください。皆さんの動画にいただくコメントはとても励みになります。ありがとうございます。
連作静画のイメージ
先日4枚連作の静画をニコニコにアップしました。これは4枚を並べて部屋に飾るイメージで作ったものです。そのイメージを作ってみましたのでアップしておきます。
部屋はしろくま2号さんのsimple roomを使わせていただいています。ありがとうございました。
それぞれの静画はリンクからどうぞ
どーしたんだ / kwmgc さんのイラスト - ニコニコ静画 (イラスト)
だめだこりゃ / kwmgc さんのイラスト - ニコニコ静画 (イラスト)
元気を出して / kwmgc さんのイラスト - ニコニコ静画 (イラスト)
ユッフォイ / kwmgc さんのイラスト - ニコニコ静画 (イラスト)
短編小説の投稿 ~ (仮)明るく清潔感のある場所
今回は短編小説をアップしてみます。
(この小説はアーネストヘミングウェイの短編小説「A Clean, Well-lighted Place(短編集:Winner Take Nothingに編集)」に影響を受け、大学生の頃に書いたものです。今回ブログにアップするにあたり加筆修正を加えました。文章の拙さは主人公の若さを象徴していると思っていただければ抵抗なく読めるかと思います)
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(仮)明るく清潔感のある場所
Part I
その街には夜遅く船に乗って着いた。中央駅までの交通手段もないのでタクシーで向かうことにした。駅についてみると次の列車の時間まではまだしばらくあった。僕は列車が出るまでの時間をつぶす場所を探した。思いついたのは待合室だった。あそこならただで時間をつぶせるし夜風にあたって寒い思いをすることもない。駅の案内図で待合室の場所を確認すると、荷物を持って向かった。
真夜中の待合室だというのにたくさんの人がいた。外国からの旅行者、学生、その少年に話しかけている酔っているような中年の人。つばを吐く人、ベンチの上で大の字で寝ている人。待合室に入るとそういった人々の視線をまともに感じた。タバコの煙が立ち込める部屋でたくさんの目が恨めしそうに、あるいはぼんやりと僕の方を見ていた。僕はしばらくその場に立ちすくみ、人々で一杯の部屋の中を見渡した。「座れる場所もないな」そう思うと急いでガラス戸を開けて出ていった。
駅前の花時計の横を通り過ぎるとスクランブル交差点の向こうに見慣れた赤いネオン看板が輝いていた。夜の暗さのなかでアルファベットのイルミネーションが煌々と光を放っていた。何度も見慣れた場所だというのに初めてこのイルミネーションがあることに気づいた。その赤い看板のビルの隣にドーナツ屋があった。ドーナツ屋の明かりは店内の壁に反射され白い光を周りに降り注いでいた。僕は車の通りの少ない交差点を信号が青になるのを待って渡った。店の中は明るく清潔な感じだった。僕は荷物を置き、ミートパイとドーナツとジンジャエールを注文した。ミートパイを電子レンジで温めるのを待って、それらを持って外が見える席に着いた。そこからは通りの向こうにある駅の様子がよく見て取れた。僕はミートパイにかぶりついた。冷めてパサパサしていた。生地のしっかりしたパイを期待していたので予想外だった。ミートパイを食べ終わって時計を見ると00:05となっていた。そんなに時間は経っていない。ドーナツをゆっくり食べだした。店内にいた女の子二人が出ていき、客は向こうの隅にいる初老の人と僕だけになった。あの人も列車を待っているのだろうか鞄が大きい。僕はヘミングウェイのWinner Take Nothingを取り出して読み始めた。この本は一年以上も前に買ったものだが、まだ読み終えていなかった。他に興味をそそられる本を見つけるとそちらを先に読んだりしていたからだ。また思い出すと本棚から探し出して続きを読む。そういったことを何度か繰り返していた。何度も読み返したところもあれば、まだ読んでいないところもある。一度読んだだけであらすじも登場人物も忘れてしまったものもある。短編集だから他のものを先に読んでしまうのだろうか。それとも原文だからだろうか。いずれにしろ、読み始めはしたものの、未だに一冊を通して読み終えていなかった。
しばらくすると、会社帰りらしき人がドーナツを買っていった。こんなに夜遅くまで仕事をしてるのは大変だ。そう言えば、ここの二人の店員もまだ働いている。二人とも若く学生のバイトのように見える。朝までここでいるのだろうか。一人暮らしであれば、こういった明るい場所が何がしら心地よいのかもしれない。
本を少し読んでは目をあげ外の景色を見、ドーナツを食べる。この繰り返しで時間を使った。何回か繰り返した後、ドーナツは少しだけ残したままにしておいた。ジンジャエールもそうした。外を見ると信号機の青い光が夜の闇の中に溶けだしていた。だがそれも少しの間だった。信号が変わった。
ひとりの男が入ってきた。中年で腹が出ていて、少し酔っている男が。彼はカウンターの一番奥まで入っていき、「ドーナツをくれ」と叫んだ。
静かな気分を壊されて残念だった。きれいに磨かれた大きな窓ガラスを通して見る外の世界のようにここも静かだったのに。信号が変わり車が止まり、また動き出す。目に入る光は交差点の向こうの駅の明かりと信号の色。人の気配はない。ただ、ときおり通り過ぎるタクシーに人の影を見るだけっだった。
店員は静かに答えた。「どのドーナツにしますか。」
「ドーナツをくれ。ドーナツ。」
「これですか。」
「ああ、それでいい。」
ドーナツ屋にはいろいろなドーナツがある。それぞれ一つ一つに発音しにくい名前がついている。そこに意味を見出していれば名前を並べて注文することもできるだろうが、そうでなければウインドウ越しに並んでいるものを指さして注文するしかない。
「久しぶりだな。」酔った男は言った。
「ええ。」店員が答えた。
「お前ら、きちんと学校へ行っているのか。」
「ええ、一応行っています。」見た目年上の店員が答えた。
「二人とも同じ学校か。どこの大学だった。」
「〇〇大学です。」年上の店員が地元の大学の名前を答えた。
「お前もそうか。」と若い方の店員に聞いた。
「いえ、違います。」
「それじゃどこだ。」
「彼は専門学校生なんです。」年上の店員がお茶を濁すように言った。
「そうか。」男は聞き流した。
「大学で何を専攻しているんだ。経済だったか。」大学生の店員に聞いた。
「いえ、法学です。」店員はにやけながら答えた。
「ああ、そうだった。」男は納得したように言った。
「お前、佐藤だったな。」
「いえ、違いますよ。」店員は笑いながら答えた。
「お前が佐藤か。」若い方の店員に向かって聞いた。
「いえ、違います。」
「あれ、あいつはどうした。今日は休みか。・・・そうだ、お前、小林だったな。そうだろ、小林。」と大学生の店員に向かって言った。
「いえ、違います。」
この中年の男は何者だろう。酔っていることは間違いなさそうだが。夜の寂しさを紛らわせるためにやって来たのだろうか。酔っていなければ教師として通じそうな男なのだが。最初に入って来たときは、バイトの学生の恩師のような様子だったのだが。
窓の外では信号の色が変わり、車が止まった。
僕は時計を見た。列車が出るまでにはもう少し時間があった。ドーナツをかじり、ジンジャエールを少しすすった。少し早めに行った方がいいかもしれない。
店の中ではロック音楽が流れていた。ディスクジョッキーが外国人だったからFENか何かだったのかもしれない。今では店全体が夜のしじまから浮いているように感じた。それでもロック音楽は店の雰囲気に合っていた。ブルースでも流していたらたまらなかっただろう。夜のとばりをより重くするだけだ。それに、隣の赤い看板に合わないだろう。
店に入ってきた中年の男はそこだけ店の雰囲気を変えていた。彼はブルースの静けさでもロックの軽さでもない音楽が似合いそうだった。僕は時計を見た。そろそろホームに列車が入ってくる頃だろう。ホームに入って列車に乗っていたほうが静かかもしれない。男は、まだ大きな声で話をしている。窓の外を見た。車は通っていない。人の姿も見当たらない。改札の明かりは信号の向こう、遠くにある。
「いいか、お前ら。」中年の男は店員にしきりに話しかけている。店員は聞いていないようだった。
「いいか、若いということはいいことだぞ。」彼は店員の注意を引こうと相変わらず大きな声で話している。
「いいか。若いことはいいことだぞ。俺だってもっと若ければいろいろやれたはずだ。そうだろ。」強引に返事を引き出そうとしていた。
「え・・・、ええ。」大学生の店員は笑いながら答えた。
「くどいな。」と思った。だがすぐに思い直した。人にはいろいろある。分かっていないことに自分の評価を出したくない。それに他人のことにはできるだけ干渉したくない。この人たちにこれ以上付き合うこともないだろう。残りのドーナツを口に放り込み、ジンジャエールを飲み干した。店員の言葉を背中で聞いて店を出た。
店の奥の初老の人はまだ静かに座っていた。
駅に入っていくと会社員らしき人が僕の前に改札に入っていった。いったいいつまで働かされるのだろう。僕の前を歩いている会社員と彼を照らすホームの薄暗い明かりはロックもジャズも似合いそうになかった。
ホームに止まっている列車に乗り込み、窓際の席に座った。まるで行く先の分からない列車に乗っているような気持ちで外を見た。改札の明かりの下をドーナツ屋にいた老人が入ってきた。
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(当初の構想では、Part IIで港から駅、ドーナツ屋、列車までの同じ時間の経過を老人の視点から見た物語として書き、Part IIIで若者と老人が列車の中で同じ時間を過ごす物語を書くということになっていましたが、(例によって)Part IIの途中までしか筆が進んでいないのと、短編小説としてある意味Part Iで完結しているともとれますので今回はPart Iのみでアップさせていただきました。)
いかかでしたか。小説は映像や音声を読者の方に「おまかせ」するのでMMDで作るドラマのように映像化したものに比べ読者の方が具体的な場面を自由に想像することができると思います。また、詳細にこだわらなくていいので作りやすいところもあります。映像や音声を付けたものは直観的に入ってきやすく、それだけ影響も受けやすいと思います。作る側としてはやはりそのことが気になります。そういったことを考えるとほのぼのとした動画が見る側、作る側にとっても一番いいような気がします。
MMDドラマなどの作品を作るとき、概ねのテーマと方向性は見せますが、全てを語ってしまわないようしています。それは小説のつくり方に似ているのかもしれません。作者として伝えたいことはあるのですが、見ている方が自由に感じ、考えていただく部分を残しておきたいのです。チラ見させてあとは見ている方におまかせする。そんなスタイルを楽しんでいます。
ここまで読んでいただきありがとうございました。
最近作った静画について
最近何枚か静画を作りました。静画はある瞬間を切り取ってそこに伝えたいものを込めるので動画とは違った難しさがあります。また、MMDで静画を作ると(3Dなので)細かく構図を修正できます。ちょっとした構図の違いでも絵の雰囲気が変わってくるのでなかなかカメラが決められなくて細かな修正を繰り返してしまうというところがあります。そんな細かなところは、後から見返せばどこかわからないくらいなのですが、意外と作っているときには気になるものです。
まず一つ目はこれです。タイトルは「Summer Wind」としました。作ったのがちょうど暖かくなって初夏の雰囲気を感じた頃でしたのでそうしました。モチーフはカリオストロの城のオープニングで夏のドレスを着た女の子の横を旅人の車が通り過ぎるシーンからです。何となく穏やかにながれる初夏の時間の中で、通り過ぎる旅人と女の子が同じ場所と時間を共有している絵です。旅人なのでもう一度この地を訪れることはないかもしれませんし、旅人と女の子がもう一度どこかで会うこともないかもしれません。人生のある瞬間を同じ場所でいた。その切ない空気感を何とか出したかったのですがどうでしょう。
絵はもうすこし立体的な構図にしてもよかったのですが、手前の女の子と同じように奥の旅人もこの絵の主人公なのでどちらにも焦点が合うような配置にしました。
つぎはこれです。上の作品の続きのようにも見えますね。その解釈で結構なのですが、ここでの主役は影です。よく見ていただくとわかりますが、右上にある月は光のあたっていない部分も描かれています。月の影になった部分には表面の模様がうっすらと見えます。その月明かりに照らされて車の影が伸びています。車からはヘッドライトの白い光が伸びています。その光に照らされたものにも恐らく影が伸びます。そういった影が作り出すコントラストを表現したかったのです。ですのでタイトルは「Silhouette」としました。
もうひとつ。これはいつもとは少し雰囲気が違いますが、モチーフは映画「レオン」からです。主人公が朝早くニューヨークの通りを歩いていて朝日に気がついてふと視線を上げたところを絵にしました。朝日は恐らく主人公の視線の先、絵の左上にあると思われますが、周囲に建物が立っているのでこの絵からは分かりません。まわり込んだ光が主人公の奥に延びる道路から射し込んでいます。主人公の後ろにはこの街を象徴する黄色いタクシーが走っています。その奥にはもうひとつこの街の富を象徴するリムジンがこちらに向って走ってきています。絵の右側にある建物は薄っすらと朝日を反射しています。朝日、車のライト、建物の反射光など様々な光が象徴的なことからタイトルは「Morning Lights」としました。なお、元の映画の舞台はニューヨークなのですが、この静画に使わせていただいたステージはオークランドです。また、このようなシーンが映画にあったかどうかは・・・。
普段はテクスチャを使っていないモデルを使うことが多いのですが、今回のようにテクスチャを使っているモデルを使うと、かなり写実的なものができることがわかったので載せてみました。
いかがでしたか。静画は動画とは違って見る側にいろいろ想像する時間を与えてくれます。作るときもそういったとことに気を付けていますので、時間のある時は謎解きのつもりで見てくださいね。
モデリングを少しずつやっています
最近はモデリングを少しずつやっています。今までも簡単なアクセサリは自作していましたが、少しモデリングを練習してみようと思い、いくつかモデルを作ってみました。自作の題材でいくつか作りましたが、下絵もなくいきなりモデリングソフトで作るものですから見た目も拙いものばかりです。
本来、モデリングは下絵を描いてそれをもとに作成するものなのですが、私の使っているメタセコイアLEというソフトは絵を描くように簡単にモデルを作ることができるので、下絵を描くことが慣れてない場合は、いきなり作り出してもそう大差のないものができます(つまり拙い絵をモデリングソフトで描いてるということですね)。
それでも下絵がある方が作りやすいのは確かです。ちなみに下絵をもとにこのようなものも作ってみました。
動いているのはこちらです。
こんな感じです。 the elevator pic.twitter.com/mf1xdhKFSO
— kwmgc (@kwmgc) 2017年3月14日
スヌーピーとウッドストック Snoopy and Woodstock pic.twitter.com/6AkCZRSsqM
— kwmgc (@kwmgc) 2017年3月19日
モデリングは造形した後、造形の表面に模様(テクスチャ)を適用したり、動かすためにボーンを入れたりします。また、物理演算でモデルを動かす場合はぞれぞれの部位が物理演算で動いたときにめり込まないように剛体というものを入れたり、その剛体の動きを調整したりする作業などが出てきます。私はまだまだ初心者なので、造形してボーンを入れるところまでです。また、ドラマを主に作成していますので普段も物理演算を使うことはあまりありません。ですので造形からボーン入れまでで取りあえず自分の用途に使えるものが作成できます。
また自分用のモデルですので、作るときにも造形を複雑、精緻にするよりもできるだけシンプルに作る工夫をしています。造形を複雑にするとモデルを構成する面が増え、それだけモデルを動かすときにコンピューターに負荷がかかります。ドラマのように複数のモデルを一つの場面で利用することが多い場合は、モデルはできるだけ軽量である方が都合がいいのです。ただ、モデルを複雑にしたり精緻にするほうが映像のインパクトが強いのでモデルを精緻に作ることを好む方も大勢います。これはその人それぞれの作品のつくり方が反映されるところだと思います。
ちなみに精緻に作られたモデルはハイポリモデル(ポリゴンという三角形の組合せでモデルを構成していますので、ポリゴン数が多いといった意味ですね)と呼ばれ、それに対し簡略なモデルはローポリモデルとよく呼ばれます。ローポリモデルでグダグダのドラマを作る、それが私のスタイルですね。