CBCラジオ「健康のつボ~形成外科について~」 第4回(令和6年4月24日放送内容)

CBCラジオ「健康のつボ~形成外科について~」 第4(令和6年4月24日放送内容)
出演/つボイノリオさん(タレント)、小高直子さん(アナウンサー)、野田慧医師(一宮西病院 形成外科部長)

(小高)毎週この時間は「健康のつボ~形成外科について」。形成外科ではどんな疾患を診てもらえるのか?一宮西病院 形成外科部長の野田慧(のだ けい)先生に教えていただきます。

(小高)形成外科は、病気や怪我が原因で身体表面が見た目のよくない状態になったものを治療する外科、ということでしたね。

(つボイ)お便りをいただいています。

ラジオネーム ハット!はっとばーどさんより、

「形成外科のお話を聞き、患者さんに希望を与えて素晴らしいなぁと思いました。私の手術痕は、5センチ位の切開で5針縫った跡が、50年経った今でもしっかり残っています。ひざ横ちょっと上の外側であまり目立たない場所ですが、短いスカートとかを履くと見えるので、高校時代には『足にムカデの後があるね』と言ってくる意地悪な人がいたり、OLの時は『ストッキングがデンセンしてるよ』と言われたこともありました。でも、その手術のおかげで歩いたり走ったり出来ているので、コンプレックスに思ったことはありません。言われても『手術の跡だよ』とサラッと答えるだけです。が、もう少し目立たないように縫って欲しかったのも本音です」

(つボイ)私もよくわかります。私もバイクで転んだ時の怪我で、ムカデのような跡がありますので、この方と同じ傷があるなぁと思いました。

(小高)そうですね。事故などによる外傷や、体の表面の腫瘍、やけど、ケロイドなど形成外科が扱う疾患は多岐にわたります。今週からは、形成外科が扱う具体的な疾患を教えてもらいます。まずはその中から代表的な「眼瞼下垂(がんけんかすい)」について。野田先生です。

  ~~~~~~~~

(野田)眼瞼下垂(がんけんかすい)」というのは、音だけ聞いても何のことかわからない人がいるかもしれませんが、「眼」の「瞼(まぶた)」が「下」に「垂」れると書きます。文字通り目を開けた時に、上瞼が正常な位置よりも下がってしまっている病気です。

(小高)しっかり開けているつもりでも、瞳の部分に上瞼が覆いかぶさってきちゃうというようなことでしょうか?

(野田)そうですね。下垂にも程度があって、軽度な場合はあまり視野にかかることもなく、美容的に、見た目に瞼が下がっていて、眠そう見えるだけです。ただ、中等度・高度になってくると、視野にまぶたが入ってきてしまうので、目が疲れやすくなったりとか、ものが見えにくくなるという障がいが起きてきます。

(小高)うん。そうなると、生活するにも煩わしさが出てきますよね。

(野田)そうですね。テレビを見る時に、瞼を指で上げないとうまく見えないと仰る方もみえますし、車の運転の時にあごを上げないと見えないという方もいらっしゃいます。

(つボイ)そうか!運転中は手で押さえるわけにはいかんからね。

(野田)あるいは目が開かない分、おでこで頑張って開けようとして、眉毛がぐっと上がってしまって、頭のところの筋肉が凝ってしまって頭痛の原因になったり、首を後ろにやることで肩こりの原因になってくることもあります。

(小高)目の細い人が「目閉じてますよ!」って言われて、慌てて大きくするっていうのありますけど、目が小さい細いっていうのと、瞼が下がって細くなってくる、視界が悪くなってくるっていうのは全く別物だってことですよね。

(野田)そうですね。目の大きさというより、上瞼が下がってくる。ガチャピンがわかりやすいイメージかなと思うんですけど(笑)

(小高)半分下がってますもんね(笑)

(つボイ)ガチャピン症ってね。専門の方は言われるね。言わないか、そんなこと。

(野田)(笑)わかりやすい例でいうと、ああいうお顔かなって思います。

(小高)自覚症状としては、さっき先生が仰っていたように、なんか見えにくいとかそういったところで気づく人が多いってことですか?

(野田)そうですね。見えにくいということと、瞼が重くてうまく上がらないとか、上方のものが見えづらい、信号が見えづらいとかですね。あとは、一生懸命見ようと眉毛を上げるので、額のしわが増えたとか、いつも眠そなう顔をしていると言われるとか、夕方になると頭痛や肩こりが出るという自覚症状が出ることがあります。

(小高)老化現象として、年を取ってくるとだんだん瞼が落ちてきちゃうんだよね~なんていうのが、一定の世代になってくると会話の中に出てくるんですけど(笑)顔が老化してきたな~っていうのと、これは眼瞼下垂の可能性があるから病院で診てもらったほうがいいよ、という境目はどこで判断したらよいでしょうか?

(野田)やっぱり生活に支障が出ているかどうかが一番ですかね。

(つボイ)さっき言ってたように視野が狭くなったりとかね。

(野田)そうですね。瞼を上げないと見えない。手で瞼を押し上げるとすごく見やすくなる。というようなことがあるのであれば、やっぱり普段から少し見えづらい状態になっている可能性が高いので、その場合は一度診察に来て頂くといいかなと思います。あとは、ふと写真を撮られたときに、ものすごく眉毛が上がっていたり、自分では自覚できなかったりするんですけど、ふと鏡を見たときに、すごくおでこにしわが寄ってたりすると眼瞼下垂の可能性があるかなと思います。

(小高)最近眠たそうな目にだんだんなってきてるから、写真の時は一生懸命目をパチっパチっとやったりするんですけどね(笑)

(つボイ)そうそう、目をパチっとやるんですけどね、上にしわが寄ってますよっていうことになるのね。

(野田)そうですね。一生懸命開けようとして寄ってるかもしれませんね。その場合は眼瞼下垂かもしれません。

(つボイ)でも、いろんな難しい病気がありますが、これは自分で発見しやすい病気ですよね。

(野田)そうですね。ご自身で鏡を見たり、ふと撮られた写真を見たりしてわかる病気かなと思います。

 

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(つボイ)はい、ということでございます。みなさんもね、日頃の自分とちょっと向かい合ってみてください。運転中に首を後ろに倒して、顎を出して信号を見ている。というのも判断できる一つなんですね。

(小高)大変だし、危ないしね。見た目でもわかりやすいし、瞼が下がって来ていることで視野が狭くなっているとしたら、形成外科を受診しましょうということですね。来週は、この眼瞼下垂になる原因についてお聞きしていきます。

(小高)さて「健康のつボ」では、いろいろな病気について専門家の先生に解説していただいております。みなさんもテーマとして取り上げてほしい病気や症状などがありましたら、このコーナーまでお寄せください。専門の先生に教えていただきます。

(つボイ)はい、質問お待ちいたしております!

(小高)『健康のつボ~形成外科について』でした。 

 

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CBCラジオ「健康のつボ~形成外科について~」 第3回(令和6年4月17日放送内容)

CBCラジオ「健康のつボ~形成外科について~」 第3(令和6年4月17日放送内容)
出演/つボイノリオさん(タレント)、小高直子さん(アナウンサー)、野田慧医師(一宮西病院 形成外科部長)

(小高)毎週この時間は「健康のつボ~形成外科について」。形成外科ではどんな疾患を診てもらえるのか?一宮西病院 形成外科部長の野田慧(のだ けい)先生に教えていただきます。

(つボイ)整形外科とも美容外科ともちがう形成外科。

(小高)病気や怪我が原因で身体表面が見た目のよくない状態になったものを治療する外科、ということでしたね。手術後の縫合などは普通の外科でも当然行われますが、形成外科ではなぜきれいに治るのでしょうか?野田先生です。

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(野田)例えば、怪我をしてしまって傷跡ができたときに、その傷をなるべく細く目立たないようにしてあげたりとか、ちょっと技術を使って目立たない方向に変えてあげたりして、よりわからなくすることは可能です。

(小高)はい。日常生活で隠れてるところだったら、多少の傷があっても命助かるんだったらいいやってなりますけど、見えてるところで場所が場所だと、やっぱりなんとかしてほしいなって方もいらっしゃいますよね。

(野田)そうですね。特にお顔の傷は、目立ちやすい方向に傷がついてしまう場合がありますので、お顔のシワと直交してしまうと目立つので、なるだけシワに合った傷を増やして、縫い直してあげたりすることで目立ちにくくすることができます。あとは、よりきれいに治すためには、よりピッタリ傷を合わせて縫う必要があるので、そこをより丁寧に縫っていくことが大切かなと思います。

(小高)やっぱり技術とか使う機器類も進歩しているんですかね?

(野田)そうですね。皮膚をガチッと掴まないようにするためのピンセットがあったり、より傷にダメージを与えないようにしながら縫っていくということを意識するだけでも全然仕上がりが変わってきます。

(つボイ)外科の中でも最新の細かいことをやってらっしゃる。こういう言い方をしたらなんですけど、外科の先生がバーっと切って、バーっと治して、これで命助かった!っていうところを、きれーいにする役割を果たしているんですかね。

(野田)そうですね。他の科の患者さんで、よりきれいに傷を治してほしいという方の縫合をさせてもらうこともたまにあります。

(つボイ)なるほど。縫合はわたしに任せて!ってことね。

(野田)それだけではないんですけど、傷がケロイドになってしまった方や帝王切開の方を縫ったりすることも形成外科でやったりします。

(小高)う~ん!全般的に形成外科の先生はいろんなことをされるわけですか?

(野田)基本的には、いろんなことができるように教育していますし、数が多くないので、ある程度一人でなんでもできるようにはなっていきたいというところです。

(つボイ)傷痕を目立たなくする技術がいろいろあるんですよね。

(野田)そうですね。コツですね。それはもう直接、手術の時に伝えていかなければならないことも沢山あります。

(つボイ)ないところから持ってきたり、余ってるのをどかしたりする作業ですか?

(野田)そうですね。欠損などがあると、近くから目立たない方向に傷ができるようにしつつ、移動させてくる。皮弁(ひべん)と呼ばれる、皮膚と皮下組織をセットで持って来る術式で、近ければ局所皮弁、遠ければ一回切り離して持ってきて、血管をつなぐ形で治したりすることもあります。

(小高)皮の弁…

(野田)そうですね。皮弁(ひべん)っていいます。

(小高)なんかお聞きしてると、他の外科の手術とかは目的があって、ここまでやったらよしOK!ってのがあるけど、形成外科は千差万別で、この患者さんの場合は、いつものこの方法できないなとかっていうのが多くないんですか?

(野田)そうですね。患者さんごとに、どういうふうに皮膚を持って来るか、どういう縫い方をするかというのも、同じ場所でもぜんぜん違ったりするので、オーダーメイドのように一人一人に合わせて、計画を立てていく必要があります。

(つボイ)なるほどね~。

(小高)なんか資料見てると、骨を伸ばす?手術があるんですか?

(野田)例えば、顎がとても小さく生まれてしまった子というのは、呼吸の問題が生じてくるので、顎を一回切って、そこに延長器というものを付けて、毎日キュルキュルキュルって少しずつ少しずつ顎を前に出していって、少しずつ伸ばすことによって、間に骨が埋まっていくようにします。

(つボイ)ほぉ~。

(野田)これは頭の骨もあるんですけど、頭の形が異常の子も、頭蓋骨を一回パーツごとに分けて、そこに延長器を付けて、少しずつ1日何ミリという単位で動かして伸ばしていくような、そういう技術もあります。

 

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(つボイ)患者さんが日常生活に戻ったときに、傷跡とかを極力気にすることなく生活して行けるように、形成外科の先生たちの力が必要なんですね。

(小高)はい。来週からは、そんな形成外科が扱う具体的な症例をお聞きしていきます。

(小高)さて「健康のつボ」では、いろいろな病気について専門家の先生に解説していただいております。みなさんもテーマとして取り上げてほしい病気や症状などがありましたら、このコーナーまでお寄せください。専門の先生に教えていただきます。

(つボイ)はい、質問お待ちいたしております!

(小高)『健康のつボ~形成外科について』でした。 

 

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CBCラジオ「健康のつボ~形成外科について~」 第2回(令和6年4月10日放送内容)

CBCラジオ「健康のつボ~形成外科について~」 第2(令和6年4月10日放送内容)
出演/つボイノリオさん(タレント)、小高直子さん(アナウンサー)、野田慧医師(一宮西病院 形成外科部長)

(小高)毎週この時間は「健康のつボ~形成外科について」。形成外科ではどんな疾患を診てもらえるのか?一宮西病院 形成外科部長の野田慧(のだ けい)先生に教えていただきます。

(つボイ)整形外科とは違う、ということを教えていただきました。骨・関節や筋肉などの運動器の機能の改善を目指すのが整形外科ということでしたね。

(小高)一方で形成外科は、病気や怪我が原因で、身体表面が見た目のよくない状態になったものを治療する外科、ということでしたね。美容外科ともまた違うのでしょうかね?野田先生です。

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(野田)美容外科と形成外科の施術の内容というか、根っこは同じものだと思っています。ただ、同じ技術をもって、美容外科はもっと美しく、形態は普通であるんだけども、より美しくなりたいという目的。それに対して、怪我や病気で機能や形態が以前よりも悪くなってしまった方を、正常にするためにその技術を使うのが形成外科という認識です。

(つボイ)保険きかないんですよね。

(野田)そうですね。美容外科は自費になります。保険病名が付くものを扱っているのが形成外科で、その枠から外れたところで、より綺麗になりたいとか改善したいとなると美容外科になってきます。

(つボイ)(小高)はい。

(野田)より普通に生きて行くために、形態などを整えていく。組織が足りなくなったり、変形してしまっているところに対して、形成外科的な技術をもって、普通に普通の人と同じように生きて行く。QOLを上げて行くようなところに貢献していくのが形成外科の役割かなと思っています。

(小高)形成外科の歴史でいくと、比較的考え方としては新しい考え方なんですかね?

(野田)そうですね。外科の分野では比較的新しくて、学会が設立されたのは1960年頃です。

(つボイ)あら、そう。

(野田)60年ちょっとの歴史というところで、比較的新しい科になります。科として形成外科は60年ちょっとなんですけれども、実は形成外科で使っている手術方法というのは、紀元前600年のインドに残されている絵に、おでこでお鼻を再建している図が載っているんですね。

(つボイ)なになに??

(小高)おでこの皮膚をってことですか?

(野田)おでこの皮膚をはがしておろしてきて、お鼻のところの欠損を補填する術式があるんですけれども、それが絵で残っているので、形成外科の技術は結構昔からあったと考えられています。

(つボイ)インドすごいですね!今でも難しいですよね?(笑)

(野田)難しいです。(笑)ほんとに綺麗に絵に残っていて、形成外科の教科書にも載っています。昔の人はすごいですよね。

(小高)その形成外科のお医者さんである野田先生。なんでまた?とか言ったらあれですけど(笑)なんで形成外科に?

(野田)さっきも言ったように、QOLですね。お医者さんって命を助けるというイメージが強いと思うんですけど、生きるというのは必ずしも「死なない」ようにするためだけじゃなくて、明日を生きていくためにプラスになるようことをするのもお医者さんの仕事かなと思いまして。学生時代に、小耳病という、耳が小さい子の耳を作ってあげる技術の動画を授業で見たときに、当たり前にあるべきところに「ない」という状態から「ある」という状態にしてあげることって、すごく大きなことだなとその時に感じました。

(つボイ)ほぉ~。

(小高)お医者さんの外科って、人間のある器官を「取る」というほうが多いですけど、「つくる」っていうね!

(野田)そうですね。作って普通の見た目にしてあげる、ということのすごさをその時に感じて感動しまして、こんなことができたらなと思って形成外科を目指しました。

(小高)形成外科の中でも、先生のご専門ってあるんですか?

(野田)ピンポイントの専門というのはないんですけど。得意というか力を入れてやっているのが眼瞼下垂症と乳房再建ですね。眼瞼下垂症は瞼が下がっている方が、見やすくなるように目を整えてあげるということ。乳房再建は乳がんで失った方のおっぱいを、なるべく元通りに近いものを作ってあげるということですね。この2つは特に力を入れてやっています。

(つボイ)私もこないだ目の眼圧を測る時にね、「目をもっと開いてください」って、「開いてますけど!」って(笑)これ眼瞼下垂かもわからんなと…

(小高)瞼が下がってきて見えにくくなるってことですか?

(野田)そうですね。大体みなさん多かれ少なかれ、年を取ってくるとあるものなんですけれども。程度問題で、あまりにも著しく、生活に支障がある方は治療をさせていただいています。

 

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(つボイ)形成外科としての考え方も、その技術の一部も、紀元前からあったというのは驚きです。

(小高)そして現代では、形成外科としてのニーズがいっそう高まっているということですね。

来週も野田先生に形成外科についてお聞きします。

(小高)さて「健康のつボ」では、いろいろな病気について専門家の先生に解説していただいております。みなさんもテーマとして取り上げてほしい病気や症状などがありましたら、このコーナーまでお寄せください。専門の先生に教えていただきます。

(つボイ)はい、質問お待ちいたしております!

(小高)『健康のつボ~形成外科について』でした。 

 

■第1回

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CBCラジオ「健康のつボ~形成外科について~」 第1回(令和6年4月3日放送内容)

CBCラジオ「健康のつボ~形成外科について~」 第1(令和6年4月3日放送内容)
出演/つボイノリオさん(タレント)、小高直子さん(アナウンサー)、野田慧医師(一宮西病院 形成外科部長)

(小高)今週から「健康のつボ」は「形成外科」について。形成外科とはどんな疾患を診てもらえるのでしょうか?一宮西病院 形成外科部長の野田慧(のだ けい)先生に教えていただきます。

(つボイ)外科には、呼吸器、心臓血管、脳神経、整形、乳腺などいろいろな専門分野がありますよね。

(小高)そんな中「形成外科」という診療科は、比較的聞き馴染みが薄いかもしれません。

(つボイ)私もかかったことない。

(小高)いったいどんな病気・症状を治す診療科なのでしょうか?シリーズを通して、野田先生に「形成外科」の専門性、そして具体的に取り扱う疾患は何か?を教えていただきます。

1回目の今日は、ズバリ!「形成外科」ってどんな外科? 野田先生です。

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(野田)形成外科は、名前だけでは整形外科との区別がつかない方もいらっしゃるかなと思います。

(つボイ)私も全然ついておりません!

(野田)簡単に説明させていただきますと、整形外科というのは骨・関節や筋肉などの運動器の機能の改善を目指す外科です。 治療対象としては、背骨や骨盤などの大きな骨と、手足の四肢の骨などが主な対象となります。具体的には骨折、脱臼、打撲、捻挫、変形性関節症などを扱うのが整形外科です。

(つボイ)はい。

(野田)一方形成外科は、その表面にある皮膚だったり、皮下組織などの領域を担当しているんですけれども、病気や怪我、生まれながらの異常などによって、体表面が見た目のよくない状態になったものを治療していく外科になります。骨でいうと顔の骨ですね。顔の骨の骨折は形成外科でやることが多いです。

(つボイ)なるほど~。だいぶはっきりしてきました。

(小高)だからですかね。街のお医者さんで整形外科はよく見かけますけど、形成外科ってあまりないですもんね。

(野田)そうですね。形成外科はかなり珍しいかなと思います。

(つボイ)でも大事なところですよね。

(野田)そうですね。大きな病院でも形成外科がない病院もあります。まだ診療科としても新しい科でもあるので、すべての病院にあるわけではないんですけれども、大事なところ担当させていただいている科かなと思います。

(小高)そうしますと、形成外科ではどんな疾患を診てもらえるんでしょうか?

(野田)一番多いのが外傷、お怪我ですね。切れた傷だったり、やけどなどの外傷が多いです。あとは、ほくろや粉瘤(ふんりゅう)といわれるようなものだったり、脂肪腫などの良性の腫瘍から基底細胞癌などの皮膚の悪性腫瘍も扱っているところもあります。

(つボイ)はい。

(野田)生まれつき耳が小さかったり、なかったりするような小耳症(しょうじしょう)といわれる病気だったり、唇が割れて生まれてしまう口唇裂(こうしんれつ)という病気など、先天異常といわれるものも形成外科の領域になります。

(つボイ)なるほど~。

(野田)傷跡が異常に治ってしまうケロイドの治療もやっています。

(つボイ)(小高)ほぉ~。

(野田)あとはですね、がんだったり良性腫瘍もそうなんですけど、切除したところが大きく穴が開いてしまったものに関しては、他の場所から皮膚や皮下組織を持ってきて再建というものをします。例えば、乳房再建などがそうですね。まぶたが下がって来て見えづらいという、眼瞼下垂症(がんけんかすいしょう)なども形成外科でやらせていただいています。

(つボイ)あらま~。やっぱり最初のお話にありましたけど、表面ですよね。

(野田)そうですね。体表面の外科になります。

(小高)だから形を成すで形成外科ということなんですね。今お聞きしてると、単独というよりは、他のいろんな病気や怪我だったり、手術だったりするところと連携してやるタイプのものが多いですよね。

(野田)特に再建はそうですね。例えば、乳房再建であれば乳腺外科の先生方と協力して治療を行います。足の血管が詰まってしまったり、糖尿病などでばい菌が入ってしまってなる足壊疽(えそ)というものがあるんですけど、そういったものは血管を扱う循環器内科の先生とか、施設によっては心臓血管外科の先生と協力して治療を行うことも多いですね。あとは耳鼻咽喉科や口腔外科と舌癌とか下顎の癌などを形成外科で再建をさせていただくことがあります。

(小高)再建というところでいくと、病気や怪我を治すところまではちゃんと終わってるんだけど、体の表面的にもうちょっと整えられませんかねっていうところに関わってくださるのが形成外科ということですね。

(野田)そうですね。そのような科だと思っています。

(つボイ)大事なことですよね。

 

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(小高)病気が治ることはとても重要ですけれども、病気を単に治すだけでなく、治した後に、私たちが普段の暮らしで、傷とか見た目を気にせずに生活できるようにしてくれる診療科なんですね。

(つボイ)気持ちの上でも大切ですよね。知らなった、そういう専門領域があるということを私も勉強いたしました。

(小高)来週も野田先生にお聞きします。

(小高)さて「健康のつボ」では、いろいろな病気について専門家の先生に解説していただいております。みなさんもテーマとして取り上げてほしい病気や症状などがありましたら、このコーナーまでお寄せください。専門の先生に教えていただきます。

(つボイ)はい、質問お待ちいたしております!

(小高)『健康のつボ~形成外科について~』でした。 

 

CBCラジオ「健康のつボ~心臓カテーテルについて~」 第12回(令和6年3月27日放送内容)


CBC
ラジオ「健康のつボ~心臓カテーテルについて~」 第12(令和6年3月27日送内容)
出演/つボイノリオさん(タレント)、小高直子さん(アナウンサー)、寺村真範医師(一宮西病院 循環器内科 カテーテル室長)、塩見啓一さん(アナウンサー)

(小高)毎週水曜日のこの時間は「健康のつボ~心臓カテーテルについて~」。一宮西病院 循環器内科 カテーテル室長の寺村真範(てらむら まさのり)先生に、循環器を中心とした最新のカテーテル治療について教えていただいて来ました。

今日が最終回です。塩見さんは心臓、大丈夫ですか?

(塩見)わりと大丈夫だと思うんですけど、心電図撮るときなんかドキドキしちゃいますよね。大丈夫かな?とか思っちゃいます、あれは。

(小高)心配ですよね。しかもね、つボイさんも私も、心臓疾患で心臓カテーテルの治療を受けたことがあるので、すごい前のめりでお話うかがってたんですけど(笑)

最終回の今日は、あらためて「心臓カテーテルによる治療のメリット」についてお話いただいております。寺村先生です。

 

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(寺村)心臓カテーテルの一番大きなメリットは、局所麻酔で小さな傷で治療できるということです。開胸手術に比べると、圧倒的に体の負担が少ないです。傷が小さいので入院期間もかなり短く、多くの方は2、3日で退院できます。全身麻酔に伴う麻酔薬の副作用も、大半は安全にできますが少しはありますので、そういったリスクもなくなります。

(小高)心臓の手術なのに、全身麻酔じゃないんだ!っていうのもちょっとびっくりですけどね。

(つボイ)会話しながらやりましたよ、私も。

(寺村)そうですよね。痛いのは最初に手首などに管を入れる時だけなので、血管の中や心臓の中を管が行ったり来たりしますが、そこは痛みを感じません。

(つボイ)感じなかった。心臓までカテーテルが到達してるのかな?ってくらいになんにんもわからなかった!

(寺村)わからないですよね。

(小高)そうそう。そのカテーテルを入れるところも手首とか足の付け根とか。

(つボイ)先生は先ほど手首とおっしゃいましたが、わたしは鼠径部から。

(寺村)そうですね。大体手首か肘か、足の付け根(鼠径部)から入れるんですが、それぞれメリット、デメリットがあります。昔は鼠径部からしか治療できなかったので、鼠径部から入れた場合、管を入れた所を治療後に6~8時間くらいは圧迫しなければならなかったり、すぐ歩くこともできないので、尿の管を入れなければならないなどのデメリットがあります。一方で手首から入れる場合は、治療後すぐに歩くことができますし、内出血も手首からのほうが少ないというメリットがあります。

(つボイ)手首からの場合は尿の管を入れなくていいんですか!あれ痛いんですよ結構。

(寺村)そちらの方が痛いって方が多いです。

(小高)わたしもカテーテル治療の時は鼠径部からで、局所麻酔で意識もずっとあって、ごはんも終わった後すぐ食べることもできたんですが、さっき先生がおっしゃった様に、動いちゃいけないから起きちゃダメって言われて、寝たまんまで爪楊枝で刺して食べられるウインナーとかたくあんとか食べてました(笑)

(寺村)しばらく安静にして寝てないといけないので、腰が痛くなったりとかします。

(つボイ)そうそう。あれが辛かった~!!

(小高)そっちの方が辛かった!

(つボイ)手首はそういうことがないんですね。

(寺村)手首のほうは終わった後すぐ歩けますので、患者さんも楽です。

(つボイ)わたし何が言いたかったって、心筋梗塞の痛みもそうでしたけども、鼠径部からカテーテルを入れた後、あのまま安静にして寝ているというあの夜中が!!何回もナースコールでめっちゃ腰が痛いんですって!あれが辛かったですよ!それがないわけですよね、手首は。

(寺村)手首からの方がやっぱりメリットが大きいので、手首から治療できる場合は、基本的に手首から治療していて、現在9割ぐらいが手首から行っています。ただ手首の血管は鼠径部に比べて細いので、患者さんの血管の状態によってはいろんな管を同時に入れられない場合もあるので、鼠径部からの治療が必要になる方も1割くらいはいらっしゃいます。

(小高)どんどん患者さんの痛みとか負担が少ないようにっていう方向で、技術も進歩しているということですよね。そして入れる管だけではなくて、バルーンとかステントとか、そういうものも進化してるってことでしたよね。

(寺村)そうですね。ステントも以前はただの金属だったんですが、それだと再狭窄と言って、ステントの中にまた油かすが溜まってきて、血管を狭めてしまうことが多かったです。今は薬剤溶出ステントという、ステントに免疫抑制剤が塗ってあって、薬が血管の壁に染み出て、再狭窄しにくくなるステントがあるので、それを使うようにしています。

(小高)最近の家電とかだと、進化し過ぎてもうこれ以上進化させる所ないやろ!って思うことあるんですけど、こういったカテーテル治療に関しては現場の先生からしたらどうなんですか?

(寺村)そうですね。以前から比べると今のステントは、いろんなデータから見てもほぼ完成型に近いステントです。もちろん小さいバージョンアップみたいなのはあるんですけど、かなり出来がいいので、今のステントを入れたら一生持つ場合が多いですね。

(つボイ)うらやましいな!

 

 

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(小高うらやましがってましたね(笑)

(塩見)生活習慣に気を付けて、心臓病ににならないようにするのが一番なんですが、現在はカテーテルによる治療も確立されているので、いざという時は速やかに病院に行けばいいということですね。

(小高)そうなんですね。一宮西病院の寺村先生でした。ありがとうございました。

(小高)さて!この「健康のつボ」のコーナーでは、いろいろな病気について専門家の先生に解説していただいております。みなさんもテーマとして取り上げてほしい病気や症状などがありましたら、このコーナーまでお寄せください。専門の先生に教えていただきます。

(塩見)はい、質問お待ちいたしております!

(小高)『健康のつボ~心臓カテーテルについて~』でした。 

 

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㈱カネスエ様への感謝状授与式を行いました

株式会社カネスエ様への感謝状授与式を行いました

2020年12月、新型コロナウイルスが感染拡大する中、株式会社カネスエ様(以下 カネスエ様)から当院に多額の寄付を頂戴いたしました。加えて2024年3月には、当院の救急医療に感謝され、再び多額の寄付を頂くこととなりました。カネスエ様が当院の医療活動に深いご理解を示され、地域医療活動へのご支援として多額の寄付を賜りましたことに感謝の意を表するべく、この度、当院より感謝状をお送りさせて頂きました。頂いた寄付金はより良い地域医療サービスの提供ができるよう活用させて頂きます。

▼感謝状授与式詳細

【開催日】令和6年3月29日(金)AM10:30~
【会場】病院内会議室
【贈呈者】社会医療法人杏嶺会 理事長 上林弘和
【被贈呈者】株式会社カネスエ 代表取締役社長 兼 COO 牛田喜博様
      株式会社カネスエ 執行役員 物流統括責任者 大橋学様

 

CBCラジオ「健康のつボ~心臓カテーテルについて~」 第11回(令和6年3月20日放送内容)

CBCラジオ「健康のつボ~心臓カテーテルについて~」 第11(令和6年3月20日送内容)
出演/つボイノリオさん(タレント)、小高直子さん(アナウンサー)、寺村真範医師(一宮西病院 循環器内科 カテーテル室長)

(小高)毎週水曜日のこの時間は「健康のつボ~心臓カテーテルについて~」。一宮西病院 循環器内科 カテーテル室長の寺村真範(てらむら まさのり)先生に、循環器を中心とした最新のカテーテル治療について教えていただいています。

心臓カテーテルによる治療を中心に、心臓病についてうかがってきた今シリーズも、あと2回になりました。今週と来週の2回は「心臓病についてのまとめ」をお送りします。

(つボイ)心臓の病気は、発症は突然でも日常の生活習慣から来る危険因子の積み重ねで起こる訳ですよね。

(小高)まとめ1回目の今日は、心臓病と生活習慣病の関係、それに伴うかかりつけ医を持つことの重要性などを教えていただきます。寺村先生です。

 

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(寺村)心臓の病気の種類によっては、生活習慣と全く関係なく起こる病気もありますが、狭心症心筋梗塞は、ほとんどが動脈硬化が原因で起こります。不整脈や心臓の弁膜症に関しても、一部は動脈硬化が原因で起こります。 その動脈硬化の原因となるのは生活習慣、 高血圧や糖尿病、コレステロール中性脂肪、たばこ、肥満ですね。このあたりがリスクになってくるので、それらを気を付けることが大切になってきます。

(つボイ)それは耳が痛い!

(小高)痛いね!しかもこの手のものは、ある日急に数値がぐっと悪くなって、「あなた危険ですよ!」って話ではなくて、生活の習慣と共に徐々に徐々に悪くなっていくものですよね。

(寺村)そうですね。生活習慣病のやっかいなところは、それだけではあまり症状が出ないので、油断して放っておく人が多いところです。血圧が高かったり、コレステロールが高くても症状が出ないので、放ったらかしにして、それが続いていくとやがてドカンと大きな病気くることになります。

(つボイ)症状が出ないっていうのは、血圧が高くてもどこか痛いとかないんですよね。肥満でもどこも痛くないし、だからいいかということの繰り返しが心臓病に向かっていくわけですね。

(寺村)そうですね。

(小高)そうすると、先生にこれまでお聞きしたような、心臓病の大きな治療に関しては、技術を持っている大きな病院でかかることが多いんでしょうけど、予防のためということでいくと、やっぱり健診で数値を把握するということと、そこで見つかったらしっかり治療するということが大事ですよね。それはかかりつけのお医者さんにかかったほうがいいですか?

(寺村)そうですね。我々のような総合病院でも、もちろん生活習慣病を診ていますが、地域のクリニックの先生というのは、生活習慣病を幅広く診られています。患者さんの生活背景や家庭環境なども含めて、全般的に幅広く診ていただけるので、家の近くでかかりつけ医を作ることは非常に大切だと思います。

(小高)そちらで長期的に、しっかりと一緒に管理してもらって、もし病気が起こってしまったら、大きな病院を紹介してもらうということになるんですね。

(寺村)健診で引っかかっても、体の調子がいいからと病院を受診されない方も結構いらっしゃいます。血圧やコレステロールが高くて、受診してくださいという判定が付いていても、病院を受診されない方もいらっしゃるので、定期的に健診を受けて、引っかかったら、しっかり受診してもらうことが大切です。

(つボイ)私なんかは人間ドックをやってて、その結果をかかりつけ医の先生にも診てもらうようにしてます。

(寺村)非常にいいと思います。

(小高)一方で、心臓病の命に関わるような状態になった時には、専門の技術を持っている病院で治療をしてもらうということですが、その治療自体も時代とともに随分進化しているんですよね。

(寺村)そうですね。私の専門のカテーテル治療であっても、使用するステントも進化していますし、手術の場合もできるだけ小さな傷で行えるようになっています。器具や技術が進化しているので、専門病院での治療も進化していると言えると思います。

(つボイ)かかりつけの先生がいたら、この症状ならここへ行きなさいという指導もあるんでしょうね。

(寺村)うですね。その辺の事情もよく知ってくださっている先生も多いので、紹介する病院と連携ができています。

(小高)技術もどんどん進んでいって、そういう連携もお医者さんたちが一生懸命やってくれていても、私たちが大丈夫大丈夫!って放ったらかしにして、どうしようもないところまで進んでしまったら、治療もできないってことですもんね。

(寺村)そうですね。全く治療できないっていうケースも稀にはありますが、心臓のことでいうと、狭心症心筋梗塞では、カテーテル治療ができない血管の状態はほとんどないので、多くはなんとかできるという状況です。

(小高)でもやっぱり簡単に治せるくらいの時に来てほしいですよね。

(寺村)そうですね。我々も簡単に治療できますし、患者さんも楽だと思いますので。

 

 

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(つボイ)普段の生活習慣のチェックはかかりつけ医で!

(小高)そして何かあれば、かかりつけ医の先生と連携が取れている専門医へ紹介してもらえる流れになりますからね。治療法も器具も技術も進歩しているそうですから安心です。来週も寺村先生に、お話をうかがいます。

(小高)さて!この「健康のつボ」のコーナーでは、いろいろな病気について専門家の先生に解説していただいております。みなさんもテーマとして取り上げてほしい病気や症状などがありましたら、このコーナーまでお寄せください。専門の先生に教えていただきます。

(つボイ)はい、質問お待ちいたしております!

(小高)『健康のつボ~心臓カテーテルについて~』でした。 

 

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