2008年、夏。
北京オリンピックのNHKテーマソングに、Mr.Childrenの『GIFT』が起用されました。
私は当時、大学1年生でした。
入学して間もなく、GIFTよりも前に、NHKのドラマ「バッテリー」の主題歌にMr.Childrenの『少年』が起用されており、それに喜んでいたところにGIFTの発表がありました。
もう少し言うと、GIFTの発表というより、「GIFT、HOME tourのDVD、HANABIの3ヶ月連続リリース」の発表でした。
これには心躍る気持ちでした。あの夏の気持ちは今でもよく覚えています。
さて、今回の本題は「GIFT」です。
そのGIFTのシングルCDは
- GIFT
- 横断歩道を渡る人たち
- 風と星とメビウスの輪
の3曲を収録しています。
GIFTのシングルCDは、そのジャケットも歌詞カードも、とても素敵なものになっています。
このジャケットが表すように、私は、GIFTというシングルCDに収録される3曲には共通のテーマがあり、そのテーマによって3曲がひとつになっているように思います。
今回は、そのことについて考えていきたいと思います。
テーマは「つながり」
この3曲に共通するテーマ。それは「つながり」だと思います。
これはあくまでも個人的な見解ですが、それぞれの曲が「つながり」というテーマを持っているように思うのです。
ということで、1曲ずつ見ていきましょう。
まずは「GIFT」です。
Mr.Children 「GIFT」 MUSIC VIDEO - YouTube
GIFTの歌詞に、次のような印象的なくだりがあります。
白と黒のその間に 無限の色が広がってる
これは言い換えると、白と黒との間に明確な境界線はなく、その間は色の連続体(スペクトラム)となっている、といったところでしょうか。
つまり、色同士はそれぞれに独立するものというより、「つながり」合っているのです。もしくはとけ合っていると言っても良いかもしれません。
また、2番の歌詞では別のことを歌っているのですが、これもまた「つながり」を示唆している歌詞と言えるのではないでしょうか。
降り注ぐ日差しがあって だからこそ日陰もあって
その全てが意味を持って 互いを讃えているのなら
もうどんな場所にいても 光を感じれるよ
これも、日差しと日陰は切り離された存在ではなく、関係を持っているということをうたっているではありませんか。
そしてこの歌詞の優しいところは、そのどちらからも私たちは恩恵を受けていると言うところです。
さらに何と言っても、この歌の醍醐味は次の部分ではないでしょうか。
今君に贈るよ 気に入るかな? 受け取ってよ
君とだから探せたよ 僕の方こそありがとう
なんて幸せな歌でしょう。
贈ることの喜び。もらうことの喜び。
それはそう、『つながっている』ことの喜びです。
「ひとはひとをよろこばせることが一番うれしい。」
GIFTでも、この喜ばせあいっこの幸せを讃えています。
ライブ会場では、何万人もの人が一堂に介して幸せに浸ります。GIFTの素晴らしさは、ライブで何倍にも膨れ上がるので、是非とも皆さんに観ていただきたいです。
Mr.Children DOME & STADIUM TOUR 2017 Thanksgiving 25 (前編) - YouTube
GIFTは26:58〜
さて、2曲目は「横断歩道を渡る人たち」です。
この曲は、街で見かける人たちの姿から、いろんなことを考えていく歌になっています。
Mr.Children「横断歩道を渡る人たち」Split the Difference - YouTube
こちらはライブのアレンジでしっとり始まり、次第に盛り上がっていくものになっています。
この歌では、いろんな人を観察し、所感を述べた後に繰り返し使われるフレーズがあります。そのくだりこそ、「つながり」なのではないかと思うのです。
昨日の僕が 明日の僕が
今 目の前を通り過ぎていく
1番では、腰の曲がった老人。
2番では、スカートの丈がひどく短い女性。
3番では、玩具屋の前で泣いてゴネる子どもと怒っている母親。
4番では、ギターケースを抱えた少年たち。
この人たちを車の中から観察する際の着眼が流石なのもこの歌の醍醐味のひとつ。
そして、その人たちのことを「昨日の僕」「明日の僕」だと考えています。
目の前を通り過ぎる人たちに、自分を投影して見ているのです。
知らない人たちだけど、そこに自分との共通点を見つけることもあれば、未来の自分を想像することもある。
道行く人たちを、単なる景色として無視するのではなくて、自分と関係づけて考えています。
一口に「人と人のつながり」と言っても、その形は様々だと思います。この歌では「歌い手」と「横断歩道を渡る人たち」は人間関係を築いてはいませんが、これも一つの「つながり」の形だと思うのです。
それこそ、2022年12月30日に公開された映画「Mr.Children GIFT for you」の話になりますが、私たちリスナーは、Mr.Childrenとつながっていること、また、リスナー同士もMr.Childrenを通してつながっているのだと感じました。
これって素敵なことですよね。
横断歩道を渡る人たちの歌を聴くと、みんなつながってるんだなと、そう感じるのです。
さて、3曲目の「風と星とメビウスの輪」です。
Mr.Children Tour 2018-19 重力と呼吸 In TAIPEI [期間限定公開] - YouTube
期間限定公開のライブ映像ですが、風と星とメビウスの輪は2:00:39から始まります。
「つながり」というキーワードを最も連想しやすいのはこの歌ではないでしょうか。
紙などの帯状の長方形の片方の端を180°ひねり、他方の端に貼り合わせると、メビウスの輪ができます。
メビウスの輪は、無限の繰り返しを比喩的に表すものとしても知られています。
「風と星とメビウスの輪」でも、とても美しいつながりを表現しています。
抱かれて 磨かれて
輝くことで また抱かれて
君と僕が
そんなメビウスの輪の上を歩けたなら
愛されて 優しくなれて
その優しさ故に愛されて
君と僕が
そんなメビウスの輪の上を笑いながら
寄り添って歩けたなら
この場合、つながりは「連なり」「連続」「繰り返し」と言い換えることができますね。
何という美しい歌詞でしょうか。後世に語り継ぎたい歌詞だと思います。
3曲のつながり
いかがでしたでしょうか。
「つながり」をテーマにした3つの曲が同じCDに収録されていること、そしてそれをジャケットで表現していること、見事ですよね。
このように考えると、この世界が、また一つ愛おしく思えてくるのではないでしょうか。
そう誰も1人じゃないんだ。
ONE PIECEで、幼いロビンの命を救ったサウロも言っていますよね。
さあ、このブログを読んで、誰かにGIFTを贈りたくなったかもしれませんね。
誰かからもらっているGIFTに、改めて気づいたかもしれませんね。
つながりのあるところに、GIFTはあります。
逆を言えば、GIFTはつながりの証です。
大切にしたいですね。