【第006日目】閉塞感

ここ2日間、知っている人にも会わずに
すごしていた。
そのせいか、かなりの孤独感と
過去の反芻を繰り返している。


様々な人々を裏切った今の僕は
最低な想いでいっぱいだ。
そして、これがいわゆる
「孤独感」ということだろう。



逃亡して6日目。
そろそろ失踪届とかが出されただろうか。


ただ、何も整理もついていないのに
見つかるわけにはいかない。
僕の中で、まだ自分勝手な気持ちが
まだまだ先行していた。

【第005日目】慣れた空間

街を飛び出して
数日たった。


それでも自分が佇んでいる空間は
随分見慣れた部屋。
あまり何も変わっていない毎日は
それだけで自分を不安にさせている。


でも。


もう戻れない。
戻れる可能性はないだろう。


いつもと変わらぬ場所で
僕は一つの選択をした。


進もう。
もう進むしかない。

【第004日目】自己投影

目的もなく街を離れたので、
ここ数日、実にダラダラした日々を
すごしている。


毎日の天気も僕の胸中と同じくらい不安定。
連れられて行った山の上も
霧が立ち込める別世界だった。


一寸先は本当に闇が広がっていて
頂上にたどり着いた時
暗い夜にさらに暗いシルエットを
浮かべていたのは、
巨大な風車だった。


感動よりも、驚きと存在感に
恐怖感を覚え、
あまり直視できない状況は
現在の自分の状況を
映し出しているようにも
思えた。


そろそろ、決意する時だと
感じた。

【第003日目】今

ほんの少し「今」を考えていた。


自分が種をまいたこの状況は、
一体、何なんだろう。


二日間、不安や後悔が渦巻きながら
いつまでも現実的に考えられない自分がいた。


ただ、どこまで行っても生きているわけだから
財布をみれば、今のリアルがはっきりする。


捨ててきた現実に引き戻されるか、
限られた条件の中で、細々と自分をやり直すのか。


いずれにせよ、
今のままでは、どうすることもできない。

【第002日目】脳裏に残った約束

何年も果たされていなかった約束。


そんなものは、腐るほどあるけれど
未来の描けない僕の中で
気になることがひとつだけあった。


会おうと言ったまま
文字だけでつながっていた人。
それが最初の目的地。


さらに違う街にきて
故郷の風景より進歩した
大きな景色を見た。


自分を紛らわした朝。
どうしようもない後悔と安堵は
今も僕の胸で渦巻いている。

【第001日目】決意の日

僕は初めて街をでる。


生まれた時から住み慣れた場所を後にして、
関わっていた方々も捨てて、
遠く離れた街まで。


逃げ出したい気持ちだけで、
僕は町を出る。


故郷に近い場所で、
最初にこの目で見たものは、
僕の街とあまり変わらなかった。


今でも頭に焼き付いている景色が
いくつか重なってそこにあった。


唯一のものを捨てた大きな後悔と
小さく芽生えた安堵が、
今もまだ、胸の中でせめぎあっている。