ごめんね リュウゼツラン

長年、植物と向き合って生きている。 追いかけているのか向き合っているのか肩を並べているのか後ろから押されているのか?… その時々に、いつも植物がいると言うことだ。 自分の好きな植物だけを集めるなんて何と贅沢なことだろう! 高価・入手困難・流通不可能・育成難・盗掘になっちゃう等々… 欲しくても手に入らない理由がなくなるではないか! 此処を 好きな時に何時でも植物と戯れることが出来る 夢の植物園にしたいのだ。

ニホンヤグルマソウ

ユキノシタ科 ヤグルマソウ属 Rodgersia podophylla

ニホンヤグルマソウは最近出回っているロジャーシアよりもかなり大株になる

以前の庭にあったのは1mもの群生大株だった

写真は銅葉タイプだが暖かくなるにつれ葉は緑色になってくる

春の芽吹きが一番綺麗な発色だ

 

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名前の由来は 葉の形ではなく 葉が5枚並び

端午の節句の鯉のぼりの竿先につける装飾

矢車に似ているため

 

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花は穂状に立ち上がってくる

普通種の花は白花

葉の裏の質感は表に比べ白っぽく毛が生えて蕗のよう

表は葉脈がはっきりと浮き出て少し艶がある

 

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アオノリュウゼツラン 青の龍舌蘭

youtu.be

 初めてリュウゼツランを見たのは、子供の頃に観た、海外の旅のTV番組だったと思う。スペインだったかイタリア辺りだったか、あまりに昔過ぎて何処の国だったのか思い出せない。覚えているのはリュウゼツランがメインストリートの街路樹だった。人や電車の往来の激しい通りに、リュウゼツランはダイナミックに並べて植えられていた。あのフォルムで見覚えがあったのは、当時の自分の認識では昭和の家庭で定番のアロエか、銭湯のサンスベリアくらいしか思い当たらず、あの波打った感じはそう言う品種なのだろうかと番組を観ていた。

 90年代に空前のガーデニングブームが到来した時、本屋は花の雑誌で溢れていた。海外の写真を観ていたらイギリスの庭園で、リュウゼツランは脚付きカップ型の巨大な鉢に入れられて石の階段をシンメトリーに飾っていた。そこで初めてあれはアロエでもなく、サンスべリアでもない アガベ と言う植物で日本名は 青の龍舌蘭 だと知ったのだった。アガベは強いお酒で有名なテキーラや、一時ダイエット甘味料として人気だったアガベシロップの原料にもなっている。種類もアガベだけで100種、リュウゼツラン属になると208種にも及ぶらしい。

 何とも凛々しいその姿を写真で観てから、出会いはその2日後にやって来た。友と地下歩道を歩いていたら出入り口の一角に花車が出て、簡易フラワーショップになっていた。買い物の後で荷物があるのに、さっと通り過ぎる事なんて出来ないのがガーデナーの常だ。並んだ3号サイズの白いテラコッタ鉢には色々な花植物が収まっていた。その中で隅っこの方に追いやられ、アロエの斑入りのようなのにピタリと目が留まり札を読み、二度見した。 リュウゼツラン とあった。 本当か?しかも斑入りではないか!このヒョロヒョロした細い尖った葉が本当に龍の舌のように波うち、のた打ち回るというのか?半信半疑で尋ねると、「あ!それ大きくなるから地植えにしない方がいいですよ!」とあっさり言う店主。「ハハハ!そうですよね。」と如何にも知ったかぶりをして¥680で連れて帰った。帰ってからPCも持っていない時代だったのであれこれ本屋で調べたら、この斑入りのアガベが最初に日本に入って来たらしくリュウゼツランと名付けられ、私の好きな粉を吹いたような灰緑色の葉の品種は、後に区別するためアオノリュウゼツランと命名されたそうだ。しかし、生き物全般のこの和名と言うものは命名した方のセンスが問われ、全くもって理解不能なものもあれば、見た目重視なものもありややこしい。例えばワニガメなんか鰐にも亀にも申し訳ない。ウマヅラハギだって悪口のように聞こえる。先日連れ帰った植物のカランコエ属は茶色い毛が生えている品種が多い。だから孫悟空 と言う名前だった。何とも雑感である。そしてこの龍舌蘭と言う和名は、この世に存在しない龍の舌だというのだからファンタジーも甚だしいが、凄く好きな名前だ。話を戻すが初代のリュウゼツランは何年も鉢に入れられたまま我が家の居間でインテリアとして鎮座していたが、引っ越して環境が変わり昇天された。

 現在、3鉢を育てているが年々狭くなる鉢に可哀想な気持ちになって来た。しかもこのリュウゼツランの花は品種にもよるが10年~50年に一度花が咲き結実したらその命を全うするらしい。見たいような見たくないような処も魅力の一つだ。北国育ちなので海外にあるものとばかり注目していたが、最近本州に引っ越して来て結構見かける。近所の農家さんの家では私よりも大きいリュウゼツランが地植えしてあった。車中から見かけたのだが幻かと思い引き返して確認したくらいだ。市内のよそ様の塀越しに尖がりを見つけることもある。都内のホテルの庭園や、植物園にも定番のようにある。あれから年月が経ち、もうそういう世の中になったのだろう。私は手持ちのこの花を見ることが出来るだろうか。そしていつか大地におろしてあげたいと願うようになった。

一番好きな植物は 青の龍舌蘭。