kindle見て、電子書籍についてぼんやりと。

・ぬくぬくまったり風邪治し連休初日。久しぶりにamazonで本なんかをチェックしてみた。

・気がつけば、購入履歴からお勧め商品を勧めてくるシステムがリニューアルされてるようで、軽い。

・これは本家のアメリカ版のほうはもっとすごいことになってるかもと思ってのぞいてみる。

・そうすると、電子書籍リーダーkindleが販売されてる。
http://www.amazon.com/gp/product/B000FI73MA/ref=amb_link_5892762_2?pf_rd_m=ATVPDKIKX0DER&pf_rd_s=center-1&pf_rd_r=1PQWW1DQ8W5C62NK3WZA&pf_rd_t=101&pf_rd_p=333267901&pf_rd_i=507846

・これはいい。290グラムで、200冊はデータとして所有可能。追加のメモリで1000冊も可。

・書籍の新規購入は、アメリカ国内の3G携帯ネットワークを使用。1冊60秒のダウンロード時間予定。

・しかもユーザーは一切、3Gネットワークと契約or支払う必要がない。

・月6ドル弱でニューヨークタイムスからフランスのル・モンド紙まで、毎朝自動ダウンロード。

・これはすごい。惜しむらくはカラーではないことと、アメリカ以外は対応していないこと。

・前者は、e-inkの質が向上して今回のプロトタイプがある程度成功を収めたら、2年ぐらいのうちには導入されるのではないかしらん?確か、凸版とか富士通あたりもカラーe-inkの研究発表昨年ぐらいにやってた気がするし。

・日本ではもっぱら、電車内の吊り広告素材として期待されているe-inkだけど、実用段階に入れば生産コストも下がって、こういった電子リーダー端末にもってくことも可能だろうし。

・でも日本って、こういう新規事業に既存の業界団体が大反発するから、テクノロジー面の問題がクリアされてもだめかも。

アメリカのiTune Storeではどんどん映画だったりニュースだったりドラマが販売されているのに、日本でそれが進まないのは各権利団体がお互いを牽制してしまっているせいなわけで。

・で、日本の出版界にも業界団体がにらみを効かしている。

トーハンと日販という、日本の出版流通の70パーセント以上を占めているこの2社が、こういった電子書籍の販売を素直に認めるとは思えない。「うん、いいけど、うちも一口乗らせてよ」っていってきそう?

・だいたい、アメリカ本国のamazonなんて、PDFドキュメントでの本の販売もしてるんだよ?結構簡単に、古代学関係の論文とか買えちゃって、ほら論文なんてそれほど厚くないもんだから自分でプリントアウトしてもきつくないし、なにより必要な論文を2週間も待ってる必要ないもんだから非常に楽なんですよー。

・いっぽう日本アマゾンは、何年か前までやってたPDFでの電子書籍販売テストもいつの間にか終わってるし・・・。

・せめて、扱う論文増やしてー!!

kindleが日本に入ってくることって、ないんだろうなぁ・・・。auあたりが提携してやってくれたら、よろこんで携帯かえるのに・・・。

・そうそう、携帯と言えば、今回のkindle発売に関する日本のブログで、「携帯での文章閲覧が進んでいる日本には普及の可能性はないだろう」みたいなこと書いてるところあったけど、そうとも言い切れないんじゃないかなーと思う。

・だって、携帯でチェックする文章って、メールと、若い子達の携帯小説ぐらいでしょ?携帯で芥川とか、読むかというと・・・。

・まだiPodTouchとか、任天堂のDSの方が電子書籍のリーダーのハードとしてはいい気がする。DSは名作小説のソフトも出たし、無線LANにも対応してるから可能性は高いと思う。

・でも難点が。iPodに書籍のテキストデータ入れて読む、って私はずいぶん前からやってるのだけど、あれって結構目が疲れる。バックライトつけっぱなしじゃないと読めないから。DSで本を読む、と言う経験はまだしたことないのだけれど、太陽光の下ではディスプレイの輝度上げないとだめだろうし。

・だから最近iPodにいれてるテキストデータは、詩とか短歌とか短いものばっかりだったりする。

・今回のkindleにつかわれてるe-inkは、太陽光の下でもバックライト不要。こういうのに好きな本のデータ何百冊分も突っ込んで、温泉とか行ってごろごろしながら読書するとか、憧れるのは自分ぐらい?

イタリア大学制度についてのメモ。

 そろそろ2008年度のイタリア留学準備が本格化してきます。周りの語学留学生たちからあれこれ質問も多いので、ここにまとめ書き。とりあえず今日はイタリアの大学制度について。ですがイタリアの教育制度は現在改定のまっただなかで、私がここに書く情報は2006-07年度における私の私見です。詳細に関しては以下の記述を参考にご自分でお調べください。

大学の各コースと履修期間

1.CORSI DI LAUREA(学位取得コース)
 入学資格は高等学校卒業以上。期間は最低3年。3年過程を意味するトリエンナーレとも呼ばれます。単位が取れなければそれ以上在籍できるのは以下どのコースでもほぼ同じだと思います。ただ外国人学生の場合、一定の試験を受け単位をとらなければ滞在資格を失うことにもなります。これも以下のコースについても同じ。

 学費はだいたいどこも日本円で年間10万円ぐらい。入学金いれてもそんなものです。安い。
 おまけに豊富な返金制度、奨学金制度があり、それらの制度は日本と違い、返金する必要がほぼありません。学食も、ある奨学金対象者はただとなったりするので、多くの学生がこれらの制度を使ってただでたっぷりご飯を食べています。ちなみに学食はこの奨学金がなければだいたい4〜7ユーロで前菜、パスタ、メイン、ジュースが食べれます。

 内容的には、日本の教養課程を3年間行います。ただ、イタリアの大学は大学ごと、学科ごとによって個性がかなり異なりますので、なかには実践的な授業やテロンチーニという実習期間を厳格に定めたりもします。

 一定の単位取得後は、学位(ドットーレ)が取得できます。
   
2.CORSI DI LAUREA SPECIALISTICA A CICLO UNICO(統合専門的学位取得コース)
 入学資格は高等学校卒業以上。基本は5〜6年課程。1のトリエンナーレと下記のビエンナーレを統合して、専門教育を徹底的に行います。ゆえに対象となるのは医学、外科、歯科、義歯科、獣医学、建築学、建築工学、薬学などの各コース。テロンチーニは必須。

 一定の単位取得後は、学位(ドットーレ)が取得できます。

3.CORSI DI LAUREA SPECIALISTICA NON A CICLO UNICO(専門学位取得コース)
 入学資格は(日本人の場合)大学卒業、または1.のトリエンナーレを卒業していること。専攻課程2年なので、ビエンナーレとも呼ばれます。かなり専門性の高い教育が行われ、内容的には日本の修士課程または博士前期課程レベルと思ったほうがいいと思います。当然大学、学科ごとに差はありますが。

 一定の単位取得後は、学位(ドットーレ)が取得できます。

4.SCUOLE DI SPECIALIZZAZIONE NON MEDICHE(非医学分野専門学校)
 入学資格は(日本人の場合)大学卒業、または1、2、3のどれかを卒業していること。かなり高度な専門教育が行われます。基本 2年課程。学校によって差はありますが、日本の修士課程または博士前期課程レベル。卒業後は卒業資格が取得できます。

5.CORSI DI PERFEZIONAMENTO PER IL CONSEGUIMENTO DI "MASTER" di Primo livello (Annuale)
(マスター取得のための専門コース レベル1)
 入学資格は(日本人の場合)大学卒業、または1、2、3のどれかを卒業していること。ヨーロッパ統合にあわせてそれまで存在しなかった「マスター」資格のためにつくられた部分が大きい。基本的に学費は、これまでの1〜4のコースの2倍以上。またコース内容も、社会人のためのカルチャースクール的なものから、高度な専門知識を必要とするものまでさまざま。
 近年、スローフード関係などなど、社会人を対象とした授業日程にしばりのないコースが多々作られ、年金生活者や転職キャリアアップ志望者に人気。 

 おもに1年課程。
 卒業後はマスター資格取得。

6.CORSI DI PERFEZIONAMENTO PER IL CONSEGUIMENTO DI "MASTER" di Secondo livello (Annuale)
(マスター取得のための専門コース レベル2)
 入学資格は(日本人の場合)修士または博士前期課程卒業、または2、3、4、5のどれかを卒業していること。レベル2を名乗る分だけ、専門性はさらに高くなる。学費も概ね高くなる。

 おもに1年課程。

 卒業後はマスター資格取得。

7.CORSI DI DOTTORATO DI RICERCA (Triennale)(研究博士コース)
 入学資格は(日本人の場合)修士または博士前期課程卒業、または2、3、6のどれかを卒業していること。日本の博士後期課程レベル。学費は安かったりする。

 おもに3年課程。
 卒業後は研究者扱い。

8.CORSI SINGOLI(科目聴講生コース)
 日本の大学での専攻科目を基本として希望する科目だけを1年間受講でき、年限もなく、再申請によって延長も可能となる日本の聴講生に類似するコース。基本的に教授の指導を受けるため、イタリア関係の学問分野の学生が論文作成のためこの制度を使い滞在することが多いです。

 でも何の縛りもない分、とっても暇だったりします。
 コースが終わっても何の資格も残りません。

ハルシュタット文化 リンク

 意外と日本語の記事でハルシュタット文化のものってないものなんですね。いくつかリンクをピックアップ。

イタリア語版wikipediaのページ。英語、フランス語、ドイツ語、イタリア語とざっと見て一番まとまってるかも。時期区分はフランス語版がいい。
ちなみに、日本語版wikipediaのこの項目は「ハルシュタット文明」ってなってて、文明つけてる時点で使えない。

ハルシュタット博物館サイト。ドイツ語。

ゲンツ大学の学生のレジメ

塩の研究者、橋本壽夫氏の論文。ちょっとハルシュタット自体からは外れるけど、岩塩生産地としての視点でハルシュタットってあまり語られないので、メモ。塩の考古学とかおもしろそうですね、やったら。

※3月12日追記

ケルトに関するサイトのハルシュタットの項

文系でもあったら便利なフリーor格安ソフトウェア

 論文作成のために、文系の貧しい学生でも入れておけるソフトウェアのメモ。

 Photoshopの代替となるフリーのフォトレタッチソフト。日本においてきたPCにはPhotoshopの古いバージョンがあったのですが、こちらに持ってきたPCにインストールするのをし忘れ…。これまではPhotoshopElementsでなんとか踏ん張ってきました。地図の作成編集となるともうアウト。GIMPに手を出してみました。使ってみると、Photoshopよりはるかに軽いし、psdファイルでの出力もできます。出力したpsdファイルをPhotoshopElements(ver.4.0)で出力してみるとレイヤー名に文字化けが発生したりしますけど、読み込みは普通に可。
 文系論文だと、それほどブラシ効果や何十ものレイヤーを使った画像を作成することはないと思うので、使えると思います。
 レイヤー数抑えれば、ふつうに考古学で最近増えてきたデジタルトレースなんかも出来るんじゃないでしょうか。

 日本語化もかなり進んでいます。ダウンロードとインストールにはこちらのサイトが分かりやすいです。

http://www.geocities.jp/gimproject/gimp2.0.html

 フォトアルバムソフト。簡単なレタッチも出来ます。
 いろんな遺跡に行くものの、写真を整理しきれずにいて、「あれ、あの写真どこだっけ?」なんてことになりがちな私。このソフトのタイムライン機能を使うと、撮影日時ごとに写真がビジュアルで表示されるので、結構簡単に見つけることが出来ます。
 あと各写真ごとにキーワードを使って、言ってみればタグ付けできるので、スキャニングした書籍の写真と自分の撮った写真のデータを片っ端からタグ付けて、必要なときに関連写真を一気に抽出できるのが魅力。なにより軽いし。
 レジメ発表のときに、ローマのコロッセオ関連の写真を一気に抽出!とか、すごく楽です。

Picasa からの移行

  • 読取ワールド

 OCRソフト。ほんとはeTypistが欲しかったのですが、こちらに持ってきたPCにはやはりライト版も入っておらず、入っていたとしてもアップグレード版も1万円を超える。どうしようかなと思っていたら見つけたのがこれ。欧州語も含めたマルチリンガル版と、英語&日本語版の2種類がありますが、私は欧州各国語の入った文献を結構使うのでマルチリンガル版を購入。どこかのサイトで、他社製品からのアップグレード版が安いから、ソースネクストの「本格読取シリーズ」を1800円で購入して、そこから乗り換え版を買えば1800円+5145円=6945円で買えますよー、みたいな記事を見たんですが、じつは直販サイトのアップグレード版を買えば最初から6900円で買えます。「本格読取シリーズ」も買っちゃった…。

 感触としては、ここ5年以上OCRソフトを使っていなかったので比較できないんですが、30年前のタイピング文献も結構ふつうに読み込んでくれます。ここ最近の文献であるならかなり認識率は高いはず。学習機能も結構お利口。

http://www.crosslanguage.co.jp/products/ocrv2/
http://e-shop.crosslanguage.co.jp/item_detail.html?item_cd=09330-A-CL

 とりあえずこの3つ。ほかにも、「これいれておくと便利だよー」、という御意見がありましたら、ぜひ教えてください!!

地図を買いに。

 1週間前のことになるのですが、地図を買いにフィレンツェまで行ってきました。といっても、地図屋さんとか、大型書籍店に行ったのではありません。目的はIstituto Geografico Militale(軍地理局)本部。

 ここしばらくアレッツォ周辺地域の調査をしていたのですけど、町の周辺部分の地図がどうしても必要に。でもどの本屋を回っても、図書館を回っても、必要な部分の地図がない。
「等高線も刻まれた、10万分の1ぐらいの全域地図が欲しいんですけど…」
と教授に相談したところ、「I.G.M.ならあるだろうけど…。」との返事。最初はI.G.M.に?だったんですが、正式名称を聞いて納得。何時間も街中を探し回るよりも、片道1時間の電車でフィレンツェの本部まで買いに行った方が早いと思って、昼過ぎに電車に飛び乗りました。

 I.G.M.こと軍地理局は、フィレンツェの中央駅から歩いて五分ほど、展示会なども行われるフィレンツェ城砦公園の目の前にあります。

 まだまだ勤務時間内だったのですが、すごーく広いカウンターにお客さんは私ひとり…。そのぶん丁寧に応対していただけたのですけど。いろいろ地図を引っ張り出してもらったのですが悩んだ末に10万分の1の地図4枚、2万5千分の1の地図1枚購入。しめて30ユーロ83セント。ちょっと高いですけど、日本人と分かると、おまけにイタリア半島の古地図を模したポスターを3枚ただで渡してくれました。いや、申し訳ないです、と最初は断ったのですけど、「なに、遠いところから来てるんだ」と一言。いや実際はアレッツォから来たんですけど、と言いかかった言葉を飲み込んでいただきました。かなりうれしかったり。おじさん、ありがとう!

 現在ではほぼすべての地図データはデジタル化されて販売されてもいるのですけれど、デジタルデータになるととたんに値段が飛び上がります。10万分の1の地図は50年代に作成されたものなので、現存の地図をほぼそのままJPEG化したものらしいのですが、CD-Rで1枚なんと18ユーロとのこと。近年の地図に関してはベクターデータ化されているらしいのですけど、窓口担当者もよくわかっていないようで要領を得なかったので、今回は値段のこともあり断念。地道にスキャニングして編集しています。

 ちなみにイタリアには日本の国土地理院に当たる役所はなく、ほぼすべて軍が管理しているようです。まぁ、地勢=国土防衛なので、当然といえば当然ですね。一応地域ごとに、地理事務所みたいなところはあるようですが、そこは軍地理局のデータを利用して地方における地勢の研究と政策提言をしているみたい。

 ちなみにちなみに、フランス、ドイツには国土地理院的な役所があるみたいです。

Istituto Geografico Militare
http://www.igmi.org/

ジャン・ボードリヤール氏死去

 3月6日、フランスの思想家、写真家、ジャン・ボードリヤール氏が死去。

ジャン・ボードリヤール - Wikipedia

 日本のwikipediaよりもフランスのものの方が内容が充実している。

Jean Baudrillard — Wikipédia

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北海道大学橋本努研究室 ジャン・ボードリヤール『消費社会の神話と構造』 レジメ


 ネット社会を考えるうえでも、また消費と財という考古学につきものの概念を考えるうえでも読んでおくべきかも。

日本の在外選挙制度、一部改正

 外務省のHPをチェックしていたら、今年6月の公職選挙法の一部改正を経て、在外選挙制度も一部改正されていたことを知りました。

http://www.mofa.go.jp/mofaj/toko/senkyo/kaisei_0611.html

 イタリアにいると、一人一人の政治に対する関心が日本より高いとよく思います。日本と違って、右派か左派、どちらが主導権を握るかで政治の方針がガラッと変わり、市民の生活(税制や福祉)も大きく路線変更するので、自分の生活を考える上で政治が重要な位置にあるようです。日本は、左派が握ってもあまり大きな路線変更はできず、その結果投票率も一時的に上がったもののまた下がり、最近はまた関心が高くはなっていますがまだ政治の方針よりも議員一人一人の人気に頼っているところが大きいと思います。

 アレッツォに来てから同居したベルガモ出身の学生とスペイン人の学生とは、きっかけがあればザパテロ首相のスペインでの左派政策や、南米の独裁政権の問題について、そしてそれらを通して見るイタリアの問題について話しましたし、クリスチャンであるエジプト人の学生とはしょっちゅう、穏健とされるエジプト国内イスラム社会のなかでのマイノリティの問題について話します。
 ただ日本人、おもに留学生と日本の政治についての話になったことはほぼありません。60〜70年代学生運動を経験し、イタリアに永住を決断した年配の方何人かとお話しさせていただいたことがありますが、私がその方たちと話し込んでいるとき、まわりの、私と同年代の日本人の方々はあきらかに退屈に感じているようで、場の空気が悪くなってしまったことも。
 また、3ヵ月以上の長期滞在していても、在留届をだしていないひとが多く、まして在外選挙人登録のことは存在自体を知らない、と言う人がほとんどです。

 日本の政治がわかりにくい、ということもこの無関心の根底にはあるのでしょうが、「わかりにくい」というのは、それだけ「デリケート」な状況に私たちが生きているということであって、無関心であると言うことはその現実から目をそらしていることと変わらないと思います。
 来年、平成19年の夏には参議院議員選挙が予定されています。直前に届け出ても、実際に在外選挙人としての権利を行使できるようになるのは在外公館に書類提出後3ヵ月経ってからですので、いまだ在留届、在外選挙人登録をされていない方は、早めに登録されることをお勧めします。