スタンフォード卒、Microsoftでインターン…年収1500万を約束された男がなぜ日本に


LINE舛田淳氏が語る


思い込みのチカラ

 人間の「思い込み」の代表的なエピソードとして、「1マイル四分の壁」というものがあります。 

 20世紀の初めごろに、ヨーロッパではさかんに「1マイル走」という陸上競技が行われていました。1マイル=約1609メートルですから、現在の「1500メートル走」のようなものです。 
 1923年にフィンランドの選手が4分10秒3という世界記録をうち立てました。当時としては画期的な記録であり、トップランナーたちはこの世界記録を上回ろうとして、4分以内に1マイルを走ることを目指していました。 
 しかし、誰も4分の壁を破ることができませんでした。それ以降、何十年間にもわたって 「1マイル4分の壁を破ることは不可能だ」という考え方が陸上界の常識のようになりました。実際、多くの選手が挑戦したものの「4分の壁」を破ることはできませんでした。当時はエベレスト登頂よりも難しいとさえ言われていました。 
ところが、1954年になってロジャー・バニスターという選手が、3分59秒4で走り、ついに4分の壁を破りました。フィンランドの選手が4分10秒3という世界記録をうち立ててから、31年後のことです。バニスター選手は「4分の壁は破れない」という常識を覆したのです。 
 この段階では、「バニスター選手は特別な人」という見方をされていました。4分の壁が破られても、「例外的なこと」と考える人が多かったのです。31年間の常識ですから、簡単には意識を変えられません。 
 しかし、バニスター選手の世界記録が出てからわずか46日後に、今度は別の選手が3分58秒という新たな世界記録を出しました。ここに至って、「1マイル4分の壁は破れない」という陸上界の常識は完全に崩されました。誰もが「4分の壁は破れる」と考えるようになったのです。 
 すると、その後の1年間で実に23人もの選手が4分の壁を破ってしまいました。30年以上誰も破れなかった記録を、一人が破ったことをきっかけに、1年で23人もの選手が破ってしまう事態が起こりました。「4分の壁」は思い込みに過ぎなかったのです。 
このようなことは、私たちの日常生活でもよく起こります。「心理的限界」と「肉体的限界」と言われるのもその一つで、心理的には「もう限界」と思っても、肉体的には通常その倍は可能という実験結果もあります。 
 自分の頭のなかに自分自身で枠組みをつくってしまうと、その思い込みに縛られて、枠の外に出られなくなってしまいます。 


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