法律雑誌

以下、備忘と感想。


【ビジネス法務 2016.6】
■1から作る法務部 成熟度別 組織の作り方・人材採用の秘訣
法務組織の状況毎に、どのような人材を採用すべきか。一般的に法務に適したスタッフの素養みたいなことを述べた記事は、これまでにもあったが、具体的な組織の状況での人材採用について述べた記事は目新しさを感じる。ミスマッチはお互いに不幸な結果となるので、採用は難しい。

 

■D&O保険見直し時の検討事項
被保険者を執行役員や管理職としたり、海外子会社も広く範囲とすると、支払限度額を費消してしまい、本来、対象とすべき役員に補償が行き届かないことも。また、会社訴訟が提起されると旧役員のためにD&O保険の支払限度額が減っていき現役員の補償が劣化するという複雑な関係があることを認識すべき。
今まで、D&O保険についての実務に携わった経験がなかったので新鮮な内容と感じた。

 

■どこまでOK? 社員の兼業
兼業許可をする場合には、誓約書の提出を求めるのが実務対応として適切。報告義務や面談の実施も必要。

法律雑誌

本日は2冊。

 

ビジネス・ロー・ジャーナル No.97 2016.4

訴訟対応を見据えた電子メールの管理

日本の民亊訴訟は、ディスカバリーの制度はないので、電子メールを永久に保存することも考えられる。
しかし、ディスカバリーや行政調査の対応から考えると、上記の対応は問題がある。
ディスカバリーでは、大量のメールがあると、コストが膨れ上がる。また、ディスカバリー、行政調査ともに、相手に有利な証拠を渡してしまう可能性も高くなってしまう。
結局は、最低限をルール化し、あとは個人のメールリテラシーを高める以外ないのではないか。

 

独禁法の道標2 自主規制と独禁法 日本遊戯銃共同組合事件
業界団体の自主基準については、目的および内容の合理性、目的と手段の関連性が強く要求される。
掲題の事件では、目的と内容の合理性は肯定されたが、実施方法の相当性が否定され、不法行為が成立した。
事件では、一度基準をパスすれば、その後は検査がなく、実際には基準をクリアしないものも出回っていた。
自主基準は運用方法についても十分に配慮が必要。

 

海外事業所法務機能新設のダンドリ
今回は人材選定の話し。実際には、初めて海外拠点の法務機能を設ける際に、ここまでプロセスを踏んで準備する会社はないのでは。次回以降の内容に期待。

 

NBL No.1074 (2016.5.15)
EUデータ保護規則を踏まえた日欧における個人データの域外移転に関する規制および実務について
EU一般データ保護規則は、2018年5月25日からEU各加盟国に直接的に適用される。
UKはEUを離脱するが、離脱は適用後になることが予想されるため、同規則への対応は必要。
ただし、現行の保護指令のもと、標準契約条項を利用している日本企業は、原則として新たな対策を講じる必要はない。

法律雑誌

本日は2冊。

 

NBL No1077(2016.7.1)
畑中悦子の事件簿
産業組合が抵当権者となっている登記は、お目にかかったことはない。
産業組合=>農業会は包括承継されるが、農業会=>農業共同組合は承継されない。
農業会は、清算目的の限度で存在し続け、裁判所に清算人の選任請求をする。
直感的に何とかして消せるだろう、とは思えるが、実際には非常に面倒。。。


NBL No1078(2016.7.15)
成年後見の事務の円滑化を計るための民法及び家事事件手続法の一部を改正する法律の解説
ポイントは、2つ。
成年後見人が、家裁の審判を経て、成年被後見人宛の郵便物の転送を受けることができる
成年後見人が、成年被後見人の死亡後も一定の事務を行うことができる

SWAT畑中悦子の事件簿
古い仮処分の登記をどうやって消すか。
民保は1991年施行。それ以前は民訴に規定されていた。この旧民訴によると、現在と異なり、判決手続きが必要。(現行民保はオール決定主義)

競争法実務の着眼点
市場支配的地位の濫用におけるリベート制度の評価枠組み。
リベート供与ルールの競争制限効果の評価基準は、3つ。
①顧客の取引先選択の自由を制限するか
②競争者の市場アクセスを妨げるか
③その結果としての市場支配的地位の強化がもたらされるか