夜の習慣

寝床につくときは、いつも暗いことを考える。

それでもがき苦しむ、って感じでもなくて、ただ淡々と、暗い想念が頭をよぎる。

 

このままいずれ、こんな感じで死んでいくのだろうか。

 

そういう妄想を、昔よりもリアルなレベルで思い浮かべる。

そういうことを考えて、まだ自分はこんな状態のままでは死にたくない、という結論になる。

まだまだやりたいこと、っていうかやるべきことはたくさんある。

食の望郷

仕事をしながら、食べ物のことばかり考えていた。

というか、仕事が手につかなかった。

 

福岡はラーメンともつ鍋と明太子みたいに思われてるけど、それは全然浅くて、

うどんも特色があってうまいし、

皿うどんも長崎にない独自のものがあってうまいし、

天ぷらと呼ばれる練り物(さつま揚げに近い)もうまいし、

餃子も西新〜藤崎のあたりはうまい店が多いし、

とにかく、いまだに福岡が恋しい。

家族とか友達とか、そういうのも大事だけど、それ以上に食べ物が恋しい。

 

小さい頃から食べ慣れたものを東京に来てからあまり食していないから、舌が飢えているのだろうか。

別にいまさら福岡に住みたいという気持ちはまったくないのだが、週に1回、いや月に1回でいいから福岡に帰って、地元のものを食べたい。

そういう生活に憧れている。

編集としての誠意

ある特集を読んでガックリきてしまった。

なんでこんなぺったりした編集をしてしまっているのか。

たくさんページ数があるなら少しそういうページを作ってもよいかもしれないが、少ないページ数でなんで平坦な構成にしてしまうのか。

人のことを悪し様に言うのはあんまり良くないが、あまりにも志が低くて怒りを覚えた。

 

どういう題材であっても「おもしろ」か「深い」か「発見」の要素がないといけないと思う。誰に教えられたわけでもない。自分なりに考えてそう思う。

ていうか、金払って読む側のことを考えるとごく当たり前のことだろう。

自分は金を払って読む側ではないから関係ないと思っているのだろうか。

 

なんかこういうのって、センスの問題だと思われがちだけど、実際は誠意の問題なんじゃないかと思っている。

 

何もない一日

大雪。

 

東京に来てからここまで積もったのは初めて。

 

道路も大変なことになっていたし、電車もあちこちで止まっていて、特に外出することなく一日中引きこもっていた。

 

ていうか、昨日との今日とのギャップに嫌気がさしたんだと思う。

ふつうのごはんのあたたかみ

飲み会に参加。

人見知りの割にはいろいろ話ができて、とても楽しかった。

 

終電逃して2次会へ。

人んちでビデオ見たりテレビ見たり。

小腹が空いた時間帯にご飯を炊いてくれて、味噌汁とたらこを焼いたのと、何か味付けした漬物みたいなので食べた。

時間帯のマジックもあるのかもしれないが、なんだかとても美味しくて、そしてこういうあたたかみに最近触れてなかったせいもあって、やたらじわじわじわーんとした。

 

居心地がよかったので、追い出されるまで居座って帰った。

家族旅行に行ったことがない家族

母親と妹2人が台湾に旅行に行くというので、俺も誘われていた。

正直ぜんぜん金がないのだが、「こういう機会はもうないかもしれない」と思ったのと、いろいろ調べたら、ちゃんとしたホテルと往復航空券で3万円で予約できたので行くことにした。パックツアーではないので、全部自由行動。行きが遅い便、帰りが早い便という組み合わせだったので(普通はみんな逆のパターンで取る)、すごく安くとれたみたい。

 

下の妹に電話して、予約したよという話をしていたのだが、そこで「そういえばお兄ちゃんと旅行するの初めてやね」という話をされた。えっ、と思ったが確かにそうなのだった。小学生の頃は妹は小さくて母親と留守番だったし、ある程度大きくなる頃には俺が大学で家を離れていた。

 

社会人になって家族で温泉旅行に行くという話があったのだが、父親と旅行に行って楽しい思い出がなかったので、俺だけ参加しなかった。案の定、旅行中ガミガミうるさかったようで、帰宅した妹たちから「お兄ちゃんが正解だったかも」とか言われたのだが、そのしばらくあとに父親が事故で死んでしまった。

 

家族全員で旅行に行くことは、一度もできなかった。

 

とか書いて、別に後悔もないのだけど。父親のことは嫌いだったし。

まあ、とりあえず台湾は楽しんでこようと思う。

夜おそってくる津波

眠る前あたりによくあることなのだが、過去の記憶が急によみがえって「あの時なんでこんなこと言ってしまったんだろう」「あそこでこういう返しをすればよかった」という激しい後悔の念に襲われることがある。ずっとうなされてるわけではない。ほんの一瞬。しかしその波はすごいでかくて、思わず「ううっ…」と声が出るようなレベルである。波がひいたあとも体にその余韻がじんわりと残っているような。

 

こういうの、みんな経験しているのであろうか。

後悔することは誰しもあるだろうが、この津波のように暴力的な念に襲われる人はそんなには多くないような気がする。俺はそれをやり過ごすことができるからまだマシなのかもしれない。人によってはそれに飲み込まれて苦しむ人もいるのだろう。

 

山田太一のドラマ「ありふれた奇跡」の中で、まさにこういうシーンがある。主人公(加瀬亮)が昼間仕事をしているときに急に「ううう…」となって、思わず手が止まるというシーン。ドラマであんなのは見たことがなかったので、やっぱり山田さんはさすがだと思った。あれはああいう経験をした人間にしか書けない。

 

そういうのを考えると、その津波に流れてしまったら元も子もないが、それに耐えることができれば、その経験は自分の感覚を何かしら鋭敏にさせる糧となるのかもしれない。

 

というか、そう思うしかない。

 

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特集を担当したドラマ「まほろ」がスタート。ほんのりといいドラマだと思う。

エンディングで流れてくる、坂本さんの「この小さい町にも 奇跡はありえる」というフレーズ。それだけで泣きそうになる。