ハローワーク 2回目
なんと、以前勤め先でいっしょに働いていたおばちゃんが窓口にいるではないか。
だが、私のことなど覚えていないだろう。
おばちゃんは、しっかりしてそうに見えて少しおっちょこちょいなと ころのある美人だ。仕事でミスをするとその美しい顔をくしゃくしゃにして、謝りまくる。
今もそれは変わらないようで、私の分の処理をする際ミスをしてしまったようですごいパニクっていた。
人って変わらないものなんだなーと思いながらほほえましく眺める。
ミスしたのはおばちゃんなのに、ミスについての謝罪はあとから出てきたかなり若い兄ちゃんだった。大変なんだな、君も。
私は心優しいので笑顔でそこを立ち去った。
求職活動においてハローワークの職員に何かしら相談して帰るということは、コミュ障の私にとってはとてつもなくでかい壁だ。
私は相談などせず帰ろうとしていた。
相談するくらいなら転職サイトで求人に応募する方がハードルが低い。
しかし、帰ろうとする私を引き留める職員のおっちゃん。
「ハンコだけでももらって帰ってよ」
銀行員を辞め、孤独感からブログを始めました。
暇になったのでもう一度ブログを始めてみようと思う。
孤独感からブログを始めた
初めてブログを開設したのは大学4年の初夏の頃だった。
当時の私はとにかく暇で孤独だった。
企業から内定をもらい就職活動を終え、卒業に必要な単位も全て取得済みだった私はやることがなくなり暇をもて余していた。就活を無事に終えて時間ができたら資格の勉強や旅行、趣味に明け暮れたりするもんだが、私は勉強も嫌いだったし行きたいところも特になく、夢中になれる趣味などなかった。
大学四年の初夏。公務員試験を控え勉強中の友人を遊びに誘うわけにもいかず、就職活動組の同級生とは、内定が出たかどうか会うたびに腹の探りあいで気まずい空気になることが増えたため遊びに誘える人がいなかった。
とにかく孤独な夏の始まりだった。
そんな時期に友人とのつながりを維持するためにブログを開設することにした。遊びに行くのは難しくても自分の日記を見てもらって、そこでコミュニケーションをとることだってできるじゃないかと思ったのだ。
選んだのはライブドアブログ
当時は眞鍋かをりがココログのブログランキング1位に君臨し、ブログの女王と呼ばれていた。今ネット界隈で有名なはあちゅうは、さきっちょという人と共同でブログ運営をしていた。他にも有名な人けっこういたけど、それくらいしか覚えてない。
当時はブログが流行っていて、様々な会社のサービスがあったけれど、私が選んだのはココログでもFC2ブログでもなく、ライブドアブログだった。まだホリエモンが捕まる前の話だ。当時のライブドアブログは初心者にもわかりやすく自由度が高くてブログ更新がしやすかった。当時のはてなのサービスはネット初心者向けではなかったので選択肢にもなかったです。ごめんなさいはてな株式会社さん。
ブログにハマる夏
ブログを書き始めてみたら思いのほか楽しく、睡眠時間を削って文章を書くほどハマってしまった。今みたいに「アフェリエイト」とか「アクセス数を増やす」ことより、趣味で人とつながろう、とか、自分の知識を発信したいという目的でブログを運営している人が多かったように思う。
私も自分の趣味や、考えていることを思うままに書き綴った。
友人からコメントをもらうこともあったし、趣味が同じブログ主と仲良くなりコメントをしあう仲になったり、オフ会をしたりもした。ブログのおかげで自分の世界が広がっていった。
当時はSNSといえば、mixiは招待制で選ばれた人しか使えない敷居の高いサービスだったし、TwitterもFacebookもまだこの世になかった。ブログが一番手軽なSNSだった。
アクセスを意識し始めてからブログが楽しくなくなった…
楽しかったブログ運営も、苦痛に変わるときが訪れてしまった。
ある日ブログで就活体験のことを書いたら、すごいアクセス数を記録してしまい、それからは他人の目を気にして文章を書くようになった。人目を気にして文章を書くことがだんだん苦痛になってしまい、更新しなくなっていった。就職してからは忙しさを理由にブログ更新を全くしなくなり、放置したブログはスパムコメントだらけになってしまったのでブログを閉鎖した。
寂しさから始めた私のブログは、孤独感を埋めるという目的を失ったため終わりを迎えたのである。
10年後、再び孤独になった私はブログを始めることにした
あれから10年経った今、またブログを始めようとしている。
職を失った私は、暇で孤独になった。
齢30を越えているが、未婚なのでやることと言ったら飼っている猫の世話くらいである。暇だし話す相手は同居の家族と猫くらいだ。それ以外で合法的に私の話し相手になってくれるのは、ハローワークのおじさんくらいだろうか。
定年退職したサラリーマンが、退職後何をしたらいいかわからないと悩む気持ちが今なら痛いほど分かる。10年もの間、会社に飼い慣らされてきた自分も同じだった。
たぶん、ブログを書かないでいたら5ちゃんねるだとかヤフコメだとかはてブに張り付き、昼夜逆転して廃人のようになってしまう。
そうだ、ブログを書こう!
私はパソコンを開いたのだった。
※つづく(かもしれない)