上野仲町通りにある「蓮玉庵」。
このお店は、森鴎外(文久2.1.19(陰暦)~大正11.7.9 小説家・医師)の小説「雁」(明治44.
9~大正2.5『スバル』)に「その頃名高かった蕎麦屋」として登場します。
(森鷗外)
このお蕎麦屋さんには鴎外の他にも、坪内逍遥(安政6.5.22(陰暦)~昭和10.1.28 小説家・評論家)や、樋口一葉(明治5.3.25~29.11.23 小説家)、斎藤茂吉(明治15.5.14~昭和28.2.25 歌人・医師)、久保田万太郎(明治22.11.7~昭和38.5.6 小説家・俳人)、谷崎潤一郎(明治19.7.24~昭和40.7.30 小説家)などなど、名だたる文士たちがたくさん訪れていたそうです。
店の看板は、久保田万太郎の筆によるもの。
店内にも久保万の色紙があります。
もともとは不忍の池之端に店を構えていたのだそうですが、関東大震災で以前の店舗が焼失し、その後現在の場所に移転したのだそうです。
「蓮玉庵」という美しい店名の由来は、風流人であった創業者の久保田八十八が、不忍池の蓮の花を眺めたとき、葉の上にまろぶ玉のような露を認めたことによるのだそうです。
常連客の斎藤茂吉は、
池之端の蓮玉庵に吾も入りつ 上野公園に行く道すがら
と歌っています。
(斎藤茂吉)
同じく常連であった谷崎潤一郎のお気に入りは、温かい「鳥南ばんそば」だったそうです。
蕎麦湯が、たいへん大きな年季の入った銅のやかんで出てきたのが、とても印象的でした。
参考文献
『雁/阿部一族 森鷗外全集4』森鷗外 1995.9.20 筑摩書房
雁 | ||||
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蓮玉庵
東京都台東区上野2-8-7
☎0338351594
営業時間 11:30~15:30 17:00~19:30
定休日 月曜日
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