純粋な悪になりたくて人の喪われるニュースにいいねをつけてみたり、人に思ったことをそのまま伝えてみたりしたけどダメだった。純粋であるからには、人の不幸へのまなざしは快楽にも苦しみにもならずそのままの状態で受け取られなければならない。それなのに同じものが自分に向けられて苦しいだけだった。依然「全部壊れろ!」的な感情はあるのだけど、それはあくまでタナトスに過ぎない、いまさら取るに足らないもので、弱々しく不満が脳内で巡るだけ。試行の結果友人には嫌われただろうし、不幸になっただけだった。

 リップサービスをそれと気づけずに後生大事にしている人のことを考えていた。もうその人に会うことは無いという予感があるし、たとえ会ってもそれは何でもないことだから、今となっては藁人形同然のその人。呪いに生かされていて、かつ蝕まれている様子があまりに惨めで、それなのに、光が見えないのは自分が勘違いしているからなのに、こっちを見る目には濁った光が絶えない。