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「カンダハル 突破せよ」(2023)欺瞞に満ちたアフガン戦場、ここから脱出する工作員と通訳の絆!

 

アメリカ国防情報局の職員ミッチェル・ラフォーチュンがアフガニスタン赴任時に体験した実話をベースに描いた“アクション”。戦場が“アフガニスタン”ということで観ることにしました

原作:ミッチェル・ラフォーチュンの「Burn Run」(2016)アメリカ国防情報局で働いていた氏が、スノーデンのリーク事件(2013)のあった年にアフガニスタンに派遣されていた経験を基にしているらしい。2015年あたりのアフガニスタン情勢で描かれていると推察。

アフガニスタンの情勢、地形(ロケ地:サウジ)がしっかり生かされたリアル感があるアクション作品だが、混迷するアフガニスタンへのメッセージになっている面白い作品だった

監督:リック・ローマン・ウォー撮影:マクレガー、編集:コルビー・パーカー・Jr.音楽:デビッド・バックリー。

出演者ジェラルド・バトラー、ナビド・ネガーバン、アリ・ファザル、ハキーム・ジョマー、タラヴィス・フィメル、ニーナ・トゥーサン=ホワイト、レイ・ハラティアン、他。

物語は、

イラン国内で核開発施設の破壊工作に成功したCIA工作員トム・ハリスは、CIAの内部告発による機密情報漏洩で全世界にその正体が明らかとなってしまう。ミッションを即刻中止し、中東からの脱出を図るトムは、30時間後に離陸する英国SAS連隊の飛行機に搭乗するため、アフガニスタン南部のカンダハルにあるCIA基地を目指す。

しかし、イランの精鋭集団・コッズ部隊、パキスタン軍統合情報局(ISI)、さらにタリバンの息がかかったゲリラ、金次第で敵にも味方にもなる武装集団など、トムをめぐる追跡劇は敵と味方が入り乱れる混沌としたものとなっていく。


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あらすじ&感想

イランのコム。M16 所属のトム・ハリス(ジェラルド・バトラー)、米CIAに請われてCIAのオリバー(トム・リス・ハリーズ)と共に通信業者に化けてイラン核施設に潜入。CIAイラン・ミニッションセンターの遠隔操作で爆破のための準備を実施。警戒兵の尋問をうまく交わしてアジトに帰宅。

この計画がCIAのジェームスによってイギリス人記者ルナ・クシャイ(ニーナ・トゥーサン=ホワイト)経由でデア・ヘロルド社に送信された。これはまさにスノーデン事件だ!

アジトに戻ったトムにロンドンの妻から電話が入った。離婚を言い出され、娘の卒業式参加を強制される。(笑)そこに、アフガニスタンのヘラートからCIAハンドラーのローマン(タラヴィス・フィメル)から次に任務を要請された。

核施設場爆破に成功。トムはオリバーと別れ、航空機でヘラートへ飛んだ

核施設爆破で

イラン政府。政府高官とイラン革命防衛長ファルサド大佐(バハドール・フォラディ)が核爆発汚染地域を空中偵察し放射線汚染はほとんど地下と判定し、イギリスの記者確保を指示した。

タリバン指導者評議会北部同盟がシバルガンを襲撃。クンドゥーズに兵を終結し作戦を検討中。弾薬不足が問題だった。

パキスタン軍統合情報局(ISI)。会同でアメリカの再来に備えるために人をまとめる施策重視を決定。会同にエーゼントのカヒル(アリ・ファザル)とタリバン幹部ラソール(ハキーム・ジョマー)が参加していた。カヒルには「くだらない報復をするな」とラソールには「だれのお陰で今の地位に就けたか(裏切るな)」と長老から注意された。

トムはヘラートでローマンから次の任務を受けた

トムは乗り気でなかったが、高額な金と3日間の任務ということで受けた。任務はダイバードの秘密滑走路の奪取だった。与えられたのは通訳のモー(ナビド・ネガーバン)とSUVだった。

夜間、モーの隠家があるガンダブに向った

このころ、イギリス人記者ルナがイラン革命防衛隊に拘束され、ファルサド大佐の尋問を受けていた。

モーの隠れ家に着いたトムはここで通信器、武器、爆薬を受け取った

出発は明朝とした。モーが妻の知人ナーバルにあった。モーは妻の行方不明の妹を探しにアフガニスタンに戻っていて、トムの通訳に雇われたのだった。ナーバルは「タリバン支配下では教師に居場所はない!何かあったら連絡する」と言う。

デア・ヘロルド社がスクープしたCIAによるイラン核爆破計画を公開した

実行者トムが写真入りで紹介された。ローマンから「オリバーが電話に出ない」とトムに連絡してきた。トムはオリバーのことが心配だった。

恋人と寝ていたカルヒに「犯人がヘラードいる」と出動命令が下った

 CIA本部。トムを見捨てる案もでたが、M16からの借物でさらに第232連隊が

アフガニスタン残っており、英国機が30時間後に立つ予定があった。カンダハルのCIA基地にC-130 を1分だけ着陸させトムを救出するとして、M16 に伝えた。

連絡を受けたトムはモーが運転するSUVで600km先のカンダハルを目指して出発

ヒルは軍用トラックでトムを追う。ラソールにヘルマンド州で接触し、報酬は2倍、赤いユニット(タリバン)との協力を求めた。カヒルがトラックからオートバイに替えて荒野を突っ切る。

トムは市場に入りSUV車を捨てトラックを拝借して逃走。これを追うカヒルトムは市場の中でカヒルを振り切った。旧友を訪ねヘリを借用することにしてデクラームへ向かう。砂漠や荒廃した原野を走る。

夜間、トムは異音でトラックを停止。異音はヘリの飛行音だった。低空から暗視装置で射撃してくる。漆黒の闇の中での攻撃!これも見せ場だった。トムの射撃で撃墜した。(笑)モーが負傷した。

トムは負傷したモーに「6度も通訳を伴い任務を果たした。通訳はアメリカかイギリスに連れ出されISISに襲われ吊るされた。俺たちは通訳に頼っている。言語や文化が分からない俺に命を賭けてくれる。なのに俺たちはこの国をどうすべきかを指図する。半分も礼を言わない。しかし通訳がアメリカに行けてよかった、家族も一緒だ」と話し掛けると「全員じゃない!」とモーが反論した。この会話は奇しくもガイ・リッチー監督の「コヴェナント」(2023)で取り扱ったテーマだった。モーは長男がここで殺されたことを悔やむ。そしてトムに「娘のところに帰れ」という。また、「家族といるようだ」とも話す。

このようなヒューマンなエピソードを入れてくるところが面白い!原作者ミッチェル・ラフォーチュンの言いたいことが生かされていると思った

 夜が明けると前方に数量の車両が現れた。タジク人の軍閥だった。知合いのイスマイル(レイ・ハラティアン)だった。

タジク民兵キャンプ

イスマイルは「昨日だったらヘリがあった。タリバンが北部で使うと持って行った」と言い「あの頃は面白かった!イデオロギーを潰そうと皆強くなった」と話す。これを聞いたモーが「貴方を知っている。裏切り者でヘラートを破壊した」と言い出した。イスマイルは「ビジネスだ!」と言い、700年生きた王の話を持ち出し、寝返ったから生き延びた話をした。モーは「この話は知ってる。だからこの国はひとつになれない!」と答えた。イスマイルは「仇討ちか!」とモーに拳銃を渡したが、モーは「神が貴方を赦さなくても私が許す」と答え、殺気だったこの場は収まった。

トムは「済まなかった。彼を兄弟と呼ぶのは屈辱だ。息子を殺した彼に力を与えた」とモーに謝った。このエピソード今のアフガニスタンに求められることで、ラフォーチュンが言いたいことだと思った。

トムはトラックでカンダハルに向った

あと6時間という位置に居た。カヒルとラソールが近づいていた。モーの「何時戦争は終わる」にトムが「現代の戦争には終わりがない!」と答えていると全面に軍用車両が待ち伏せしていた。イスマイルの仕業だった。トムは「あのとき殺すべきだった!」と悔やんだ。

ふたりはイスマイルの軍に捕えられ彼らの砦に収監され、モーは吊るされた

 コッズ部隊が砦を囲み、攻撃が始まった。この特殊部隊に紛れ込んでいたローマンによってトムとモーは救出された。トム、モー、ローマンの3人が軍用トラックで砦から逃走した。コッズ隊がこれを追う。

これを見たカヒルが「自分が捕まえる」とオートバイで大きく迂回。コッズ隊お追撃を受け、ローマンが車上射撃中に負傷したが手当ができない。ローマンは車から飛び出し自分を犠牲にして赤ユニットの追撃を遅延しトムを逃がした。CIA本部部長が「自分が責任を取る」と独断でGBU爆弾を使用しコッズ隊を阻止した。

トムは追いついたカヒルと拳銃で撃ち合った。トムは脚に被弾、カヒルは腹部に受傷して立ち上がれない。しかしトムは止めを撃たなかった。トムとモーは飛び立つ寸前のC-130に飛び込んだ。

砂漠での追撃戦、シナリオに無理があるが映像としては面白い。ちょっとやりすぎたかな!(笑)

イギリスの記者ルナ・クシャイがイラン・パキスタン国境で開放された。ファルサド大佐が「モサド職員を捕らえたとき彼にこう言った『テヘランに長居するとイスラエルが無くなるぞ』と。彼は殺されると受け取ったが心からの助言だ。国に尽くす者同志は国に帰って確認するんだ。何のために戦うか」とルナに声を掛けた。意味深いセリフだった。 

まとめ

英国の工作員トムはCIAの要請でイラン核施設を爆破し、アフガニスタンで新たな任務に就く中、核施設爆破計画が国防省内部からリークされ、顔が晒されたことで懸賞金が掛けられ、現地通訳モーと共にコッズ部隊、タリバン軍閥、赤ユニットの追撃を逃れ国外に脱出する物語。

核施設爆破劇は虚構だが、脱出劇になるとリアリティがあり、原作者ミッチェル・ラフォーチュンの経験がしっかり生かされた人間臭い物語となり、さらに混迷するアフガニスタン、国際社会へのメッセージが込められており、この種作品にあって異色なものになっていると思った

工作員のトムと現地通訳モーの絆をメインにした物語というのがいい

脱出アクション。地上兵器主体、在来兵器の戦闘をロケで見せる。とてもリアリティでよかった。夜間戦闘、GBU爆弾に迫力があった陸上自衛隊の富士火力演習でもこれほどの迫力はない。サウジの砂漠、荒廃地をアフガニスタン戦場に見立てたロケによる戦闘シーンは疾走感があり、とても楽しめるものになっていた。

                                                          ****

「プリシラ」(2024)愛はあったか、歌わないプレスリーの妻の苦悩と旅立ち!

 

エルヴィス・プレスリーの歌が聞けるかと楽しみにしていたら、一曲もなかった。(笑)歌うエルヴィスの裏の世界、妻プリシラの離婚にいたるまでの物語だった

原作:プリシラプレスリーの回想録「私のエルヴィス」(1085)、未読です。

監督・脚本:「マリーアントワネット」(2006)のソフィア・コッポラ撮影:フィリップ・ル・スール、編集:サラ・フラック、音楽:フェニックス、音楽監修:ランドール・ポスター。

出演者:ケイリー・スピーニー、ジェイコブ・エロルディ、ダグマーラ・ドミンスク、アリ・コーエン、ティム・ポスト、オリビア・バレット、他。

物語は

14歳の少女プリシラケイリー・スピーニー)はスーパースターのエルビス・プレスリー(ジェイコブ・エロルディ)と出会い、恋に落ちる。やがて彼女は両親の反対を押し切って、大邸宅でエルヴィスと一緒に暮らし始める。これまで経験したことのない華やかで魅惑的な世界に足を踏み入れたプリシラにとって、彼のそばでともに過ごし彼の色に染まることが全てだったが……。(映画COMから)


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あらすじ&感想(ねたばれあり:注意)

冒頭、16歳のプリシラがメンフィスのエルヴィス邸“グレースランド”に敷かれたピンクの絨毯を歩いて部屋に入り、ドレッシングルームで化粧するシーンから始まる。(ラストシーンはこの逆になる)。

1959年、西ドイツでエルヴィスとプリシラは出会った

プリシラは西ドイツの米空軍基地内のイーグルクラブでテリー軍曹に「エルヴィスのパーティーに行かない」と誘われ、参加したのがエルヴィスとの出会いだった。この時、プリシラは14歳で高校1年生、エルヴィスは24歳だった

2回目のパーティーでエルヴィスが「昨年母を亡くしてホームシックだ、同じ故郷(テキサス)の人と話したかった。君を母に合わせたかった」と口説いた。プリシラは孤独だったし、憧れのエルヴィスの“この言葉”に天にも上った気分になった!

エルヴィスが両親を「一緒にいるのが楽しい、門限には必ず返します」と説得しデートした。映画館では映画「悪魔をやっつけろ」(1953)を観て、エルヴィスは「ハンフリー・ボガートのセリフを口にし「マーロン・ブランドやジェイムス・ディーンのような俳優になりたい」と話しキスして別れた。クリスマスには豪華な時計がプレゼントされ「一緒にアメリカに帰れないか?」と聞かれた。

エルヴィス帰国の日プリシラは空港で見送った。そこには沢山のフアンが集っていた。「沢山の手紙を書いてくれ!」と言われ、約束した。

プリシラは学業に手につかず、エルヴィスが載った記事雑誌を読んで、そこには恋の噂もあったが、ひたすら返事を待った。

1961、「映画で忙しかった」と謝り「メンフィスに来てくれないか」と電話がかかってきた。両親は反対した。が、エルヴィスから送られて来たファーストクラスの航空券とプリシラの熱意に負けて許した。

16歳のプリシラが始めてグレースランドを訪れた

豪邸に驚いた。にこやかな料理人のアルバータ(オリビア・バレット)に迎えられ、部屋に案内された。そこには沢山の仲間とビリヤードを楽しむエルヴィスがいた。「上の部屋で待っていて!」と言われ、2階のエルヴィスの部屋で待っていた。

こうやって、プリクラはいつもエルヴィスに待たされる人生が始まった。(笑)

 プリシラは豪華なベット、数々の置物等に驚いた。多分お伽の国に来た気分だったのでは。プリシラは化粧室で大人になった気分でつけまつ毛を着け化粧した。エルヴィスが部屋に入り、ふたりはベットに寝そべって話す。「これ以上はしない、その時が来るまで」とキス以外がしなかった。この奇妙な関係は結婚式まで続く。

睡眠薬を飲まされたプリシラは2日間眠った」とエルヴィスに起こされた。(笑)

ラスベガスに連れていかれ、カジノで遊ぶ。いきなり大人の世界に入って行った。サングラスでふたりは街を散策。プリシラは大人びた子供のように見える。エルヴィスは「ふたりの世界は同じだ」とプリシラを説得し、西ドイツに戻した。

帰国したプリシラの姿に両親は驚いた。登校するプリシラの姿も他の学生とは違っていた。そして勉強に手がつかない!渡米したがるプリシラに両親は「高校を卒業してから」と説得するが受け入れない。そこにエルヴィスから「カトリック校に入れて卒業させる」と申し出があり、両親はプリシラとともに渡米しグレースランドを見て、プリシラの希望を認めた。

プリクラは学校に通いながら、エルヴィスの帰りを待つ日々が続く

 エルヴィスは映画撮影で不在だった。白いピアノのある部屋で待つ。エルヴィスの父ヴァーノン(ティム・ポスト)に励まされ赤い車で登校。学生たちの目に晒される。(笑)帰宅して勉強。エルヴィスから「電話したとき必ず出ること」と伝えられ、まるで部屋に閉じ込められたようだった。

エルヴィスが映画を撮り終え戻ってきた

エルヴィスは仲間(メンフィスマフィア)と一緒に戻り、食事は仲間と一緒で、ここで皆に紹介された。エルヴィスは「卒業が第一!」という。ベットでは「感情に流されるな!」とセックスはお断りだった。これはエルヴィスの愛情だと思った。

エルヴィスはプリシラ洋服店に連れ出し、仲間と一緒にプリシラにドレス着せて評価選定、大量のドレスを持ち帰った。エルヴィスひとりでは選ばない、仲間の意見を聞く。“エルヴィスの優柔不断さに精神的な弱さを感じた”

エルヴィスはプリシラに衣装を与え、髪の色、化粧を指定し、自分好みの女性に替えていったプリシラが赤いドレスを買うと「今はダメだ、目立ちすぎる!」と怒られた。(笑)

プリシラはこのスタイルでエルヴィスと彼の仲間と一緒に、メリーゴーランドや花火を見て楽しんだ。眠るとき、エルヴィスは常に睡眠薬を飲むプリシラは自分の長い黒髪に触れ「エルヴィスを信じるしかない」と思った。プリシラは拳銃射撃を教わった。

この環境の中で、プリシラはシスターから「卒業は難しい」と告げられた。勉強はエルヴィスの仲間がいてうるさい!はかどらない!

試験当日、隣の子に「エルヴィスの部屋に来ない!」と誘い、答を見せてもらい回答した。(笑)

1963年、高校の卒業式当日

プリシラは式典にエルヴィスを参加させず外で待たせて、式典に参加した。無事、卒業証書が授与された。(笑)エルヴィスからのプレゼントは赤にシボレー・コルヴェアだった。

エルヴィスとプリシラは寝室に立て籠もり、食事を届けされ、数日を過ごした。エルヴィスはプリシラに色々なコスプレをさせ、ときに娼婦のような恰好で写真を撮り、ふたりはふざけ合って過ごし、“プリシラがやっと大人になった”感激を楽しんだ。エルヴィスにはおかしな趣味があると思った。(笑)

プリシラは薬を止めるよう求めたが、「医者に認められている」とエルヴィスは拒否した。エルヴィスに意見するのは初めて。彼女の大きな変化だった

エルヴィスは仲間と悪ふざけをする。拳銃射撃やドーザーで廃屋を破壊して楽しむ。プリシラはこれを見ている。エルヴィスの性格に何か異常なものを見たのではないか。

エルヴィスはハリウッドに行くと告げ、仲間と一緒に出発した

プリシラはひたすらエルヴィスの帰りを部屋で待つ。甘い言葉のフアンレターが大量に届く。「エルヴィスの恋」が載った雑誌を見る。電話で確認すると「今は拙い!忙しい、愛している」と電話を切る。プリシラは信じていた。しかし、「エルヴィス、アンと婚約」の記事を見て、エルヴィスに会うことにした。

プリシラはハリウッドに出掛け、エルヴィスに会って確かめた

エルヴィスは「嘘だ!マスコミの仕業だ、もうすぐ落ち着く」と話す。プラシラは怒ってメンフィスに戻った。

プリシラは子犬と主の居ないグレースランドでエルヴィスの帰りを待った

エルヴィスが仲間と一緒に戻ってきた。ベッドで「手に負えない事態だ!愛したのは君だけだ」と謝る。(笑)そしてエルヴィスは仲間と一緒にプールで遊び、プリシラと戯れる写真を撮らせた。

そこにスリーピーという女性の「いつ会える!」と手紙が届いた。プリシラが怒りを露わにすると「寂しさのないところ、親元に帰れ!」とジャンプスーツを投げつける。プリシラが泣き出すと「君には俺が必要だ!」と言い出す。

エルヴィスは大佐(マネージャー)からのレコード製作を断り、届いた映画の脚本が悪いと投げ出す。(実がエルヴィスの映画は売れなかった)プリシラが「どういうこと?」と聞くと脚本を投げつける。すぐにそのあと「悪かった!」と謝る。エルヴィスは精神的な脆さがると思った。唄うエルヴィスには見られないところだ。

エルヴィスはスピリチュアルな本を取り寄せ、宗教に嵌った

エルヴィスとプリシラはLSDを服用、異常な世界を体験した。エルヴィスは本を読み、その効用をプリシラに説く。プリシラが断ると「怒り狂った女だ」と罵倒する。プリシラは大佐に本の送達を止めるよう依頼した。これでやっとエルヴィスの精神混乱が収まり「結婚しようと」と言い出した。

1967年5月1日、結婚式を挙げた

エルヴィスは「もう大人だ」とプリシラを抱き上げて皆に紹介し、その夜ふたりは結ばれた。プリシラは間もなく妊娠した。エルヴィスは喜んだ。

エルヴィスが「上手くいってない、別居して欲しい」と言い出す。プリシラが「私のせい?」と聞くと「俺だ」と謝る。エルヴィスは「しばらく置いて、別居しよう」と言い、プリシラは同意すると、「待ってくれ!俺が間違っていた」と言い出すプリシラは「いずれ別れる!」決心したと思った。プラシラはエルヴィスの付き添いで出産した。

1969年エルヴィスは伝説のラスベガスのインターナショナルホテルでの興行”を終え、国内ツアーに出ると言うプリシラは家族写真を撮って、エルヴィスを送り出した。

1972年、プリシラは子供とホテルに滞在し、空手を習い始めた。

パーティーに空手の先生と出席するようになった。パーティー参加中にエルヴィスから会いたいと電話が入った。ホテルを尋ねるとエルヴィスはベットに伏せっていた。プリシラは離婚を切り出した。エルヴィスは当初信じなかったが納得し「またどこかで会おう」と認めた。プリシラは涙で部屋を後にした。

プリシラグレースランドに戻り、想い出の部屋を見て、お世話になったアルバータらに見送られ、白の服装、白い車で、グレースランドを後にした。

まとめ

プリシラに愛はあったか。ラストシーンのプリシラの涙に「愛はあった」と思う。これに添えられた曲がビリー・バートンの「オールウエイズ・ラブ・ユー」で、歌詞が良い、涙っぽくなった

離婚後も2人は友人関係にあり、以前よりも密に連絡し合うようになったと言われ、映画「エルヴィス」(2022)では、エルヴィスの最期のツアー出発をプリシラが子供と一緒に見送っている。

エルヴィスのとらえどころのない行動(女性問題を含む)、傷つきやすさ、すぐに挫折する(睡眠薬を含む)など精神的な弱さをプリシラは見て来た。プリシラはその都度強くなっていったように思う。エルヴィスフアンには受け入れられないかもしれないが、プリシラの離婚に納得した。

 プリクラ役のケイリー・スピーニーが少女から大人になっていく過程が、会話や表情の他に化粧と衣装の変化で見事に演じられていた。ソフィア・コッポラ監督の真骨頂だ。これは高く評価され、第80回ベネチア国際映画祭(2023)で最優秀女優賞を受賞している。

この時代、ましてや相手がエルヴィスでは、女性が離婚を言い出すのは勇気のいることだったと思う。1960年代のファッション、グレースランドが見れたのがよかった。

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「理想郷」(2022)閉鎖社会の野獣たちにどう立ち向かう?いかにして理想郷を手に入れる!

 

スペイン・フランス合作作品。「閉鎖的な地方のコミュニティーにおける差別と対立をスペインで実際に起きた事件」を基に映画化した心理スリラー。

第35回東京国際映画祭で東京グランプリ(最優秀作品賞)、最優秀監督賞、最優秀主演男優賞を受賞した作品。これで観ることにしました

原題は原題:As bestas(野獣たち)。理想郷のためにこの野獣たちにどう立ち向かうか?これをホラーっぽく描き、理想郷って何だと考えさせられる作品だった。身近な問題でもあり興味深く観ました

監督:ロドリゴ・ソロゴイェン、脚本:ロドリゴ・ソロゴイェン イサベル・ペーニャ、撮影:アレハンドロ・デ・パブロ、編集:アルベルト・デル・カンポ、音楽:オリビエ・アルソン。

出演者:「ジュリアン」のドゥニ・メノーシェ、「私は確信する」のマリナ・フォイス、ルイス・サエラ、ディエゴ・アニード、マリー・コロン、他。

物語は

フランス人の夫婦アントワーヌ(ドゥニ・メノーシェ)とオルガ(マリナ・フォイス)は、スローライフを求めてスペインの山岳地帯ガルシアにある小さな村に移住する。しかし村人たちは慢性的な貧困問題を抱え、穏やかとは言えない生活を送っていた。隣人の兄弟は新参者の夫婦を嫌い、彼らへの嫌がらせをエスカレートさせていく。そんな中、村にとっては金銭的利益となる風力発電のプロジェクトをめぐって夫婦と村人の意見が対立。夫婦はここを安住の地とすることが出来るのか。


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あらすじ&感想

冒頭、「ガルシア地方の男は野生の馬を素手で捕まえ印をつけて再び野に放つ」と紹介し、3人の男が馬を捕らえ首を締めあげる映像から物語が始まる

 村の唯一のパブで、男たちがドミノゲームをしながらエロワという男の違法取引を話題に村の結束を訴える男シャン(ルイス・サエラ)。シャンはアントワーヌの隣家の長男でフランス人のアントワーヌに反感を持っている。ナポレオンまで持ち出してフランス人を嫌う。

パブでコーヒーを飲むアントワーヌに「挨拶ぐらいしろ」と嫌悪感を露わにする

 アントワーヌは教員を辞めて、自然の中で自由な人生を送ろうと夫婦で移住し古民家を改造した家に住み、化学農法で生産した野菜を町の市場で販売して生活をしている。将来は古民家の再利用で村を復活する構想を持っていた。

 夫婦仲はとてもいい。池で水浴を楽しみ、お揃いの椅子で自然を感じながら読書するという、小さな牧場を営む隣家のシャンには「このブルジョアが好き勝手に暮らして!」と見えた。

朝、アントワーヌが町に出掛ける途中で車が故障。通りがかったシャンが乗せてやるとドアーをあけ、乗せるふりして走り去る。

パブでコーヒーを飲むアントワーヌをドミノゲームに誘って、「フランス人は大嫌いだ」と言い、アントワーヌが有機農法と観光事で成功しても自分は受け入れない、さらに自分たちが進めている風力発電機の誘致にアントワーヌが反対することに怒りをぶつけて来た

シャンは「ここは私の故郷だ!」というアントワーヌを無視した

フランス人であることや風力発電反対に対する嫌がらせ、さらに宅地に酒ビンが投げ込まれ、お揃いの椅子に小便を掛けられた。

アントワーヌはシャン一の暴言や悪行を警察に訴えた。しかし、警察は証拠もなく「これはご近所騒動だ」と本気に取り上げない。

アントワーヌはビデオカメラでシャンの行動を撮影することにした

手始めにシャンの農場に入り込み、シャンと弟のロレンソ(ディエゴ・アニード)がアントワーヌを罵倒する会話を録音した。すると、夜中に屋外で騒ぐシャンの声に、妻のオルガが怯える。

アントワーヌがパブで飲んでいるとシャンが「フランス人は猫を食べる」」と挑発する。

アントワーヌがカメラで隠し撮りすることに妻のオルガが「諍いが拡大する」と心配する。アントワーヌのやり方を“やりすぎだ”と批判するオルガの忠告は的を得ていると思う。

オルガはチョリソーを持って訪ねてきて農作業を見てくれる地主のペピーニョと心を通わせていた。しかし、アントワーヌは彼と話そうともしない。

アントワーヌはシャンの車を追った。シャンはガソリンスタンドでバッテリーを買った。いいがかりとつけてこれを映像化しようとして、見つかり唾を掛けられた。アントワーヌは唾を掛けられたことに恨みを持った。

菜園のトマトが腐る事件が起こった。アントワーヌは鉛素でやられたと井戸を調べ2コのバッテリーを発見した。このことでアントワーヌのシャンに対する怒りは頂点に達した。オルガは再度撮影を止めるよう促した。

アントワーヌは隣家に抗議に行った

馬に蹴られて頭がおかしくなったシャンの弟ロレンソにトマト被害を白状させようと挑かかった、そこにシャンと彼の母親が現れ掴み合いの喧嘩になった。ローレンが猟銃を持ち出したので喧嘩は収まった。

地主のペピーニョが訪ねてきて「村は風力発電機を誘致したいと考えている。村の皆は金のことしか頭にない」と知らせにやってきた。アントワーヌがこれに反対すると「ここはよそ者には厳しいぞ!」と忠告した。それでも「山羊のチーズには時間がかかる」というアントワーヌの質問に「山羊より羊を飼え!チーズの量が増える」と知恵を与えて帰っていった。

夜、オルガが「貯金が底をついた。隣家との諍いを考えると不安」と漏らす

しかしアントワーヌは「逃げたくない」と言う。オルガは「彼らには失うものがない。カメラ撮りを止めて!」と訴えた。アントワープは「他に方法はない!仕方がない」と言い返す。これにオルガは「他にいい解決策はないの」と返すと「羊を飼わないか」と勧めた。

ペピーニョの甥のグレイショが「ペピーニョが投票権を行使すれば風力発電機誘致が決まる。急がないと他の村に取られる。ここの住人は仕事がない。貴方たちは余暇で村に来ているだけだ。村びとはあなたの計画は理解できない。やりたいなら他の場所でやればよい」と誘致賛成の説得にきた。

アントワープ夫妻は村の集会に参加しての帰り、夜道で猟銃を構え待ち伏せするシャン兄弟に脅された。オルガは激しい恐怖に晒された。

アントワープはパブでシャンに自分の考える村の復活計画を説得することにした

ここは両者の考えがしっかりと描かれ面白いシーンだが長い!(笑)まとめると、

シャンの考えはグレイシが伝えたことと同じだった。

両者が折り合うことはない。アントワープは「補償金だけでは生活は賄えない。ノルウエーの会社が儲かるだけで、あなたたちが騙されている」と説得を試みた。シャンは「売春婦に臭いと嫌われる身分だ、金が欲しい」と言い、「ここは俺たちの故郷だ!あんたが村を去ろうとしても金がないと言うのはあんたの責任だ」と言い捨て、店を出て行った。

アントワープ村八分状態に陥った

そして森の中、犬のティタンを連れて散策中にシャン兄弟が現れた。アントワープは襲われる気配でカメラを落ち葉で隠し作動状態で兄弟に立ち向かった。冒頭のガルシア地方の男が野生の馬に印をつけるように首を絞められ殺害された。犬のティタンがローレンに懐いているのがなんともむなしいシーンだった!

ここから後段に入る

妻のオルガは犬のティタンを伴ってアントワーヌを捜し続けた

地図に捜索した区域を記入し警察に捜索を訴えるが、「捜索したが見つからない」と回答あるのみ。自分で探すしかないと決意した。

雪の季節になったオルガはグレイショと一緒にビニールハウスで野菜をつくり、ひとりで野菜を売って生活していた。隣家との交渉はない!

娘のマリー(マリー・コロン)が母オルガを心配して訪ねてきた

シングルマザーのマリーは「ここは無法地帯で危険だ!一緒に暮らそう」とフランスに帰ることを勧めた。オルガは「そういうところではない!シャンは真実が明かされることを恐れていて怖くない」というが、マリーにはこの感覚は理解できない。マリーは「精神科では現実を直視できない心に傷を負っている人だと言われる。知人もお明かしいという。パパが敷いた人生を歩いているだけだ!パパに支配されている」と説得した。しかし、オルガは「違う!これが私の人生!いつかあなたも愛を見つけて!人の心が分かるようになる!」と娘の誘いを断った。

しばらくの間、マリーはオルガの夫探しやペピーニョと一緒にしるビニールハウスでの菜園作業を手伝い、父が残したフルムを見た。そこには嬉しそうに菜園作業に励む母の姿を見た。

春になりオルガはアントワーヌが言い残した羊を飼うことにした

オルガはマリーを連れて市場で羊を買う。横柄な仲介人にも負けず、必要な羊を手にする。また近寄るシャンをぴしゃりとはねつける。この強い母を目の当たりにしたマリーは「ママが羨ましい」とフランスに戻って行った。

オルガが雪の消えた森の中を捜索していてビデオカメラを発見した

「このあたりにアントワーヌはいる」と警察に訴えた。警察の捜索が始まった。

警察から「発見した、遺体を見るか」と知らされたオルガはシャンの母親を尋ね「息子さんが刑務所に行くことになる」と伝えた。母親が「どうすればいい」と聞く。オルガは「わたしもひとり、ここで暮らす。必要なことがあれば」と援助することを申し出た。

そしてアントワーヌに会うためパトカーで出発。不安そうなシャンの母親を見て、微笑んだ!「ここで亡き夫と不安なく一緒に生きるぞ!」と。 

まとめ

実話に基づき“閉鎖的な村への移住”の問題点を細かく分析して描かれた作品。

これをホラーっぽく見せる。そして夫の視点で前段を、妻に視点で後段を描き、異なる視点で問題点を見せ、解決策を見出そうとする監督の意図に感銘を受けた

前半は、夫アントワーヌの視点で描かれる

自分が望む理想の故郷を作るため、風力発電誘致で補助金を得たい原住民らと対立を「いかにしてどう原住民と折り合いをつけるか」が描かれた。パブでのトークバトルは見せ場だった!

アントワーヌは自ら村人を交わろうとしない。妻のオルガが何度も諫めるが、隣近所のシャンらの子細な悪戯を警察に訴えて解決しようとして両家の関係が悪化した。悪化した中での説得。これに自分の考えが絶対に正しいと上から目線で臨む。この態度で住民の協力を得ることは無理だと思った。ここは「人を見て法を説く」釈迦の教えと、忍耐が必要だ!

後段は妻オルガの視点で描かれる

娘マリーと「ここで生きる」というオルガの激しい絡み合い。その中でマリーは「母は父への愛でここに生きる」と見つけ「羨ましい」と伝えた。そしてオルガは自分でアントワーヌの遺体を見つけ、結果としてシャン兄弟を刑務所に送るが、シャンの母に援助の手を差し伸べる。これならオルガは安心してこの地を故郷として生きていけると思われる。

オルガの生き方に「いかにして理想郷を手に入れるか」の回答が提示されたように思う

ホラーで見せるところがいい。理想郷がそうではなくなるのを強調するかのごとくに。スペインの田舎はホラーっぽかった。登場人物、嫌な雑音と余って、怖さがつき纏う。特にドゥニ・メノーシェの巨体は生かされていた。(笑)

この作品は瀬々敬久監督作「楽園」(2019)と同じテーマを取り扱っていると思った。が、本作の背景がフランスとスペイン、これにノルウエーの風力開発会社が絡むことで国際的な問題として捉えられる。これがすばらしいと思った。

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「午前4時にパリの夜は明ける」’80年代のパリ。時を経て再生される家族の物語!

 

2022年度フランス製作作品1980年代のフランス。深夜放送を聞いていたことが切っ掛けで、人生を取り戻す話。

日本の1980代も同じような環境にあったように思う。深夜放送ではなく深夜TVの方でしたが。(笑)

ストーリーがとてもシンプルで、フィーリングで観る作品だった。乳癌で失意の主人公ロット・ゲンズブールが人生を取り戻していくところを観るだけでも、この作品を観た価値がある。やはりフランス映画だ!(笑)

監督:「アマンダと僕」「サマーフィーリング」のミカエル・アース、脚本:ミカエル・アース モード・アメリーヌ マリエット・デゼール、撮影:セバスティアン・ビュシュマン、美術:シャルロット・ドゥ・カドビル、編集:マリオン・モニエ、音楽:アントン・サンコー。

出演者:シャルロット・ゲンズブール、キト・レイヨン=リシュテル、ノエ・アビタ、エマニュエル・ベアール、他。

物語は

1981年、パリの街は選挙の祝賀ムードに包まれ、希望と変革の雰囲気に満ちていた。そんな中、エリザベートは夫と別れ、子どもたちを1人で養うことに。深夜放送のラジオ番組の仕事に就いたエリザベートは、そこで家出少女のタルラと出会い自宅へ招き入れる。タルラとの交流を通し、エリザベートや子どもたちの心は徐々に変化していく。(映画COMより)


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あらすじ&感想

冒頭、1981年5月10日、フランソワ・ミッテランが大統領に就任。パリ市街は改革気分に溢れていた。そこに家出の女性・タルラ(ノエ・アビタ)がやってきた。

夜、タワーマンションが立ちパリ市街。深夜放送の番組“夜の乗客”パーソナリティ・ヴァンダ(エマニュエル・ベアール)の囁き。「皆さん5月11日になりました。今夜も朝4時までヴァンダがお供します。この特別の夜の話を聞かせてください。電話番号は・・・先ずはパルバラの“ごらんよ”です」。

ここから一気に1984年に移る。これがミカエル・アース監督の時の進め方らしい。(笑)

1984年、主人公のエリザベートは40歳の専業主婦

高校3年の娘ジュディット(メーガン・ノーサム)と高校1年生の息子マチアス(キト・レイヨン=リシュテル)と共に市街が望めるタワーマンションで暮らしている。ジュディットは政治デモに参加する学生。マチアスは思春期真っ只中。

夫が女性のところに居つき戻らなくなり、エリザベートは離婚を決意し、父親の支援を受けながら自立することにした。これまでの苦しさを深夜放送で癒していた。ということで、子供たちの後押しもあり、ラジオフランスの番組“夜の乗客”の臨時採用試験を受けた。

面接はパーソナリティのヴァンダ。電話の受付係を勧めた。

「リスナーと繋がるだけでなく共有に値する言葉を受け止め電波に乗せられる人が欲しい、どうやってみる?」といきなりテストして採用された。もうこのことだけでエリザベートには革命だった!

ある夜、タルラから番組に電話があった

エリザベートがヴァンダに取り次いだ。タルラはゲスト出演することになった。

ヴァンダの問いに答えるタルラ。18歳、ホテルとか空きビルに住んでいるという。(笑)放送室はまるで戒告室のようだというのが受けた。声のいい子だった。

放送が終り、帰りがけのエリザベートが公園で休んでいるタルラを見つけマンションに連れ戻り、空き部屋を与えた。

朝食時、家族にタルラを紹介。一番興味を示したのはマチアスだった。(笑)

早速、マチアスとジュディットはタルラを誘い映画を見に行った。ちょうど入れ替え時で、タルラの機転で“タダ観”した。(笑)映画はパスカル・オジェ主演の「北の橋」(1981)だった。この映画は後述するようにこの作品にとって特別な意味がある。

夜、マチアスはタルラを誘って屋上に出て。ここからパリの夜景を眺める。「9時だから、じゃ行く」と去って行くタルラ。マチアスは彼女が何ものかを知らなかった。

“夜の乗客”スタジオ。エリザベートがロバンと名乗る男の電話をヴァンダに繋いだ

この男はヴァンダが嫌がる男だった。番組が終って、エリザベートは激しく叱責された。エリザベートが泣いていると男性スタッフのアレクシーに「彼女は強いが、泣いていることがある」と慰められた。ことのはずみでエリザベートはアレクシーとベンチの上でセックスに及んだ。いかにもフランスらしい。(笑)

ある日、スタジオが引けて、アレクシーをマンションに誘うと「仕事が残っている」と断られた。エリザベートは大きなショックを受けた。

マンションに戻って「男性はひとりしか知らない」と涙でタルラに話した。タルラは「男はクズ!」とエリザベートを庇った。エリザベートはタルラよって癒された。

夜、マチアスはタルラとデートしていた。タルラがセーヌ河の橋で見知らぬ男に「クリスティーヌ!」と声を掛けられた。マチアスが「クリスティーヌって良い名だ」と揶揄ると、タルラに押され河に落ちた。タルラは慌ててマチアスを追って河に飛び込んだ。

びしょ濡れでマンションに戻ったふたり。成り行きで結ばれた。マチアスにとっては初体験だった。翌朝、タルラの部屋を覗くとタルラは消えていた。

エリザベートとマチアスの失恋でこの年は終わった。(笑)

 1988年、パーソナリティのヴァンダの囁き「今日は少し特別な日です」から物語が続く

エリザベートの誕生日。以前から電話を受け付けつけています。彼女に手紙を“親愛なるエリザベートに」。

“夜の乗客”スタジオ一同、ディスコで派手に踊る。ヴァンダは煙草を吹かせながら、この時代を代表するスタイルで踊る。

マチアスは大学中退?マンションの管理をしながら小説を書いていた。ジュディットは大学生となり、マンションを出て学友とシェアーハウスに住んでいる。

エリザベートは昼間図書館で働き、“夜の乗客”の方はアルバイトとなっていた

そこで週3回、本を借りにくる男性ヒューゴと恋に墜ちた。

ベッドインで手術した乳房を気にしていると、ヒューゴは「繊細な人だ」と一蹴する。このことがエリザベートを女性に回帰させた。

エリザベートはマチアスと娘のジュディットのシェアハウス尋ねた。エリザベートはマンションを売る話をした。姉弟エリザベートに彼氏ができたことを知った。マンションに戻るとエントランスにタルラが倒れていた。

タルラは薬に冒されていた。別室に閉じ込めて介護した。マチアスの希望でしばらくマンションで面倒見ることにした。

タルラが回復したところで、マチアスが映画に誘った。パスカル・オジェは麻薬事故で無くなっていたが、彼女の出演作「満月の夜」(1984)を観た。

エリザベートはタルミに2度と薬をやらないことを誓わせ、“夜の乗客”スタジオに誘い自分がパーソナリティを務めている姿を見せた。ヴァンダは体調不良で、その代役を務めていた。タルミに仕事を持つことを勧めた

大統領選挙の投票日エリザベート一家は選挙を終えて、タルラが勤める映画館で映画を観た。その後、タルミを家族の一員に加え、食事会を持った。エリザベートは「一緒に過ごせることがうれしい。これもヴァンダのお陰!」と喜んだ。4人でダンスを楽しんだ。

タルミは女優として映画「破滅の日“にセリフのない役で出演。

これにエキストラとしてマチアスを誘った。マチアスはスタッフの男性と親しく話すタルミの姿に嫉妬し「これは不健康な仕事だ、辞めて欲しい、君を愛している」と告白した。タルミは「今の私の姿ならそう思うのは理解できるが、そんなに弱い女性ではない!家族の皆さんには感謝している」とこれを断った。

マチアスにとって2度目の失恋だった。

 エリザベートはマンションを処分してヒューゴのアパートに引っ越すことにした

 引っ越しの日。エリザベートはマチアスには、夫が出て行った日から書き始めた日記を、ジュディットには多産の像のお守りを渡した。

マチアスは自分のアパートに戻り母の日記を読み始めた

ヴァンダが番組で紹介したある詩人の言葉「他者は過去の私たち、他者が垣間見せるのは、私たちの破片や断片、彼らは私たちの夢を見る。でも他人同士だ、私たちはいつも、素晴らしき他人」と書かれていた。マチアスはタルミを思い出しながら、これまでの家族のことを思い出していた。

まとめ

ストーリーはシンプルで淡々と進む。とりとめのない話のようだが終ってみるとエリザベートは結婚し仕事をふたつも持つ人生を歩んでいる

 1980年代のフランスは喪失と再生の時代。これに合わせるようにエリザベートの家族も新しい時代を迎えていた。長い時間尺で観る、時代を感じる作品だった。

 エリザベートの再生物語乳癌による乳房の切除が大きなトラウマになり人生を失いかけたがたが、深夜放送である詩に触れ、人との出会い、性を取り戻していく。ここにシャルロット・ゲンズブールを持ってきてセックスシーンをたっぷり見せるという粋な計らい。これは受ける!

息子のマチアスは思春期、タルラとの性体験と失恋で詩人になる。

姉のジュディットは改革の中で政治に目覚める

1980年代という時代性をもっとも表しているのが、パーソナリティのヴァンダの引退。エマニュエル・ベアールが演じるヴァンダはまさにヌーヴェル・ヴァーグ時代を彷彿させる。

タルラは劇中映画「北の橋」「観月の夜」の主演女優パスカル・オジェがモデルだと言われ、彼女は25歳で薬により急逝している。まさに時代の人だった。

この作品でのタルラはエリザベート家族と出会い、薬を止め、真っ当な道を歩む、いい話だった。(笑)

まとめると、フェニミズの台頭を描いた作品だとも言える、劇中映画シーンはセクハラシーンでまさにこのとこを示している。

深夜放送という懐かしい作品のようで、新しさを感じる作品だった

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「異人たち」(2923)ゲイの孤独と愛、華族の絆を描く! 沢山泣いて、生きる力を貰った!

 

LiLiCoさんが“王様のブランチ”で涙しながら「見て欲しい!」と訴えた作品。これで観ることにしました。(笑)

日本を代表する名脚本家・山田太一の長編小説「異人たちとの夏」を、「荒野にて」「さざなみ」のアンドリュー・ヘイ監督が映画化。1988年に大林監督によって映画化されています。しかし、その記憶は極めてあいまい。こんな状況での鑑賞。

主人公は脚本家。12歳で父母を交通事故で亡くし、亡き父母と邂逅・・と同じ設定でありながら、1980年代の“ゲイの孤独と愛”“青族の絆”を描き、このテーマが今の時代に繋がるという、原作とは別物の作品になっている。沢山泣いて、生きる力が貰える作品だった。「自分が生きている限り親は生きている、また会いたい!」と体感させてくれました。

監督・脚本アンドリュー・ヘイ、原作:山田太一脚本:アンドリュー・ヘイ、撮影:ジェイミー・D・ラムジー美術:サラ・フィンレイ、衣装:セーラ・ブレンキンソープ、編集:ジョナサン・アルバーツ、音楽:エミリー・レビネイズ=ファルーシュ。

出演者:SHERLOCK シャーロック」のアンドリュー・スコット、「aftersun アフターサン」のポール・メスカル、「リトル・ダンサー」のジェイミー・ベル、「ウーマン・トーキング 私たちの選択」のクレア・フォイ

物語は、

12歳の時に交通事故で両親を亡くし、孤独な人生を歩んできた40歳の脚本家アダム(アンドリュー・ヘイ)。ロンドンのタワーマンションに住む彼は、両親の思い出をもとにした脚本の執筆に取り組んでいる。

ある日、幼少期を過ごした郊外の家を訪れると、そこには30年前に他界した父と母が当時のままの姿で暮らしていた。それ以来、アダムは足しげく実家に通っては両親のもとで安らぎの時を過ごし、心が解きほぐされていく。

その一方で、彼は同じマンションの住人である謎めいた青年ハリー(ポール・メスカル)と恋に落ちるが……。(映画COMより)


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あらすじ&感想(ねたばれあり:注意)

冒頭、夜明け前。アダムが脚本を書き始めるワープロの手が進まない。そこに火災報知機が鳴り出し、アダムが部屋を飛び出て、タワーマンションを見上げる。古いタワーマンションで、残っているのは5階のアダムとその上のハリーだけだ。

部屋に戻りレコードを聴いているとハリーが日本のウイスキーを持って「飲まないか、ゲイでないならやらなくてもよい」と誘う。アダムは断った。

アダムは両親との思い出を基に脚本描くために古い写真を持って故郷を訪ねた

電車で4~5時間かかるサンダー・ブラッド駅近くの田舎町に着き家を捜していて夜になり、若い父親(ジェイミー・ベル)に出会った。父の案内で見覚えのある邸宅に着いた。母(クレア・フォイ)が暖かく迎えてくれた。父母はアダムがロンドンで脚本を書いていることにことのほか喜んだ。この夜はこれで「また来る」と別れた。

マンションに戻ったアダムはエレベーターでハリーに出会った

その夜ハリーは脚本を書き始めた。朝、マンションの外で手を振ってアダムを見て、彼の部屋を尋ねた。アダムは「ゲイなんだ」と告白。これにハリーは「それは古い!今はクイアだ」という。アダムはゲイという言葉で禁欲していたが、アダムはクイアという新しい言葉でセクシュアリティを捉え「クイアは上品でフェラはやらない」と誘った。同性愛に対する感覚が違っていたふたりが、アダムのリードで結ばれた。「今夜止まっていくか」とハリーが聞くが、アダムは断った。

アダムは雨の中、両親を訪ねた。所用で父は不在だった

雨に濡れていて、父の衣類を借りることにした。着替えするアダムを見て母は「大きくなった。父親にそっくりだ」という。母の「恋人はいるか」に「いない、自分はゲイだ」とカミングアウトした

母は「世間はどう思うか」「子供を作らないのか」「エイズになったらどうする」とゲイに対する古い考えで聞いてくる。アダムを全て問に「今の世界では問題ない」と答えたが、母は納得しなかった。「帰って!」という母の言葉でアダムはマンションに戻った。

マンションに戻ったアダムは雨に濡れたせいか発熱した

尋ねて来たハリーが介護してくれ、「風呂に入って温まれ!」という。ハリーが何でセックスを避けたんだと聞く。アダムは「セックスの先は死だった(エイズ)。君の時代には考えられないだろう」と答えた。このあと「ハリーには許せる」と話し、ふたりはセックスをした。

ハリーが「クイアだと父親に話したことで勘当された。身体が悪いわけではない」と嘆く。この話にアダムは泣いた

時代が変わってもこんな偏見が消えないことに痛みを感じ、ふたりは精神的に深く結びつくようになっていった。

アダムが両親を尋ねると、母は買い物で、父しかいなかった

父は母親から聞いたと言い、アダムに「知っていたら嫌だった」と言う。アダムが「クリスマスツリーの飾りつけで女の子の気分を味わった」と話すと父が「悪かった!」と泣いた。

アダムとハリーはナイトクラブに出掛けゲイカップルとしで飲んで踊った

ナイトクラブの雰囲気に浸り、ふたりは踊り、キスをしてゲイカップルであることを隠そうとはしなかった。ハリーがアダムにケタミン薬を与え、アダムは酩酊状態に陥った。

ふたりはアダムの部屋でともに過ごす。アダムは脚本書き、ハリーはTVを観る、食べて、セックスをして、ナイトクラブに出掛ける。

ハリーに異変が出て来たハリーは一人でクラブに出掛ける。アダムがこれを追う。電車で出かける、アダムが追う。ハリーの孤独はアダムと一緒にいるだけでは開放されなかった。

アダムがクリスマスツリーを飾る両親の部屋にいた

両親は「抱き締めてやれなかった君が寂しいときに・・」と歌いながらツリーを飾りつける。アダムが手伝う。三人で写真を撮った。「これ現実?」と聞くと母が「そうよ!」と言う。「いつまで?」と聞くと「分からない、隣の部屋で寝たら」という。

アダムは大人でありながら赤いパジャマを着てベッドに寝ていた

そこに母はきて添い寝してくれる。母が「とっくに死んでいる、新しい場所に行きなさい、ごめんね!」と言い、父が「お前なら大丈夫だ」という。アムはこんな夢の中にいた。

アダムがベットで目覚めると、そこにハリーがいた

ハリーが「クラブで母の名を叫ぶから連れ戻った」と言い、「俺がついているから大丈夫だ」とアダムを抱き締めた。アダムは両親が亡くなった交通事故について喋った。父は即死、母に病院に運ばれた。母の失った目玉を必死に探したと。これにハリーが「怖い経験をした」と同情した。アダムは「このときの寂しさが年と共に固まってしこりになり、ゲイであることに悩み、自暴自棄になった」と打ち明けた。ハリーがこれに同情するので、アダムは両親にハリーを合わせることにした。

アダムはハリーを伴って両親の家を訪ねた

アダムが幾らドアーを叩いても誰も出てこない。アダムはハリーにロンドンに帰ってもらった。

アダムはベットに寝かされていた。両親が「あの人はハンサムだね」と褒める。アダムは「愛かどうかわからない」と言うと父が「彼は君を愛している」と言い「ここにいてはダメだ」という。アダムが「少しでも長くいたい」とせがむと「三人でお前が好きな世界に行こう」と提案した。

アダムはショッピングセンターに行きたいと言った

ファミリレストランに寄った。父が「俺は即死だったか?」と聞く。「そうだ」と答えると「私に言ってもらいたいことはないか?」と聞く。父は「今はっきりとわかる。家族がひとつになった」と言った。父と母はジュースを飲んで意識が遠くなりながら「ハリーと仲良くしろ!」と声を残していなくなった。

アダムはマンションに戻り、ハリーの部屋を訪ねた

ハリーの姿がない!異臭がする。衣類がソファーにある。風呂を覗くとウイスキー瓶がありハリーは亡くなっていた!衝撃的な幕切れだった!

すると後ろからハリーが現れた。アダムが「両親と別れて来た」と言うと「あの夜は辛かった!君の部屋にいったときだ」という。

アダムは「怖かったんだ」と謝った。「死体を見つけただろう。腐った匂いだ。誰も見つけてくれなかった。俺の親はどこだ!」と喚く。アダムはここにいる」とハリーを自分の部屋に誘った!

アダムが「両親は君を見た」と伝えると、「ちゃんと別れたか?」と聞く。「別れた」と言うと、ハリーは「怖いんだ!」と言い寄った。アダムは「俺がついている。しこりが大きいんだ」とハリーの頭髪に触った。

まとめ

ゴーストストーリーと言うよりゲイの孤独と愛、家族の絆を描いた物語だった。

 アダムは両親の事故死でゲイであることカミングアウト出来ず深い喪失感と孤独の中で生きていたが、異人となった両親に出会い、両親の愛でゲイであることが認められ、ゲイとしての人生を掴んだ。

一歩のハリーはその振りをして家族から放りだされ、酒に溺れ深い孤独の中にあった。ゲイという差別の痛さを知るふたりは痛みを分かち合うように恋に落ちたが、親の愛が得られないハリーの痛みが癒されることはなかった。

最期、ハリーは孤独に耐えられず亡くなっていた。アダム”がハリーを「俺が死神から守る」と抱き締める衝撃的なシーンで終る

ゲイとして親にカミングアウトして愛を得ることが如何に重要か、親は子をどう生かしてやるかを説いた作品だった

最初のふたりのセックスにいい感じを持たなかったが、ドラマの進展でこれが全くなくなったことに気付いた。多分に1980年代にゲイたちの制作曲が用いられていて、これがシーンによく合っていたことにもよる。

これこそが本作の製作目的だろう

アンドリュー・ヘイ監督自身の体験から出た結論だと言い、とてもリアリティがあり、今の時代に繋がるテーマだと思う。

ゴーストストーリーとしても面白かった

死界への出入りが自然で違和感がない。夢か現実か分からなくなる。生死の境界が分からない感覚になった。妖しい幻覚を見ている感覚で、暖かさを感じた。35mmフィルムを使ったというのも頷ける。

あの世で同年齢の両親に会い、喜ぶ姿をみたり、一緒に寝たり、クリスマスツリーを飾ったりする。これは癒される。褒められるというのは最高の喜びかもしれない。そして「あの人と一緒になりなさい」という言葉はアダムの力になる。ミステリアスでホラーっぽいところも良かった。

アンドリュー・スコットとポール・メスカルのゲイカップルとしての繊細な感情表現がすばらしかった。アンドリュー・ヘイ監督の最高傑作かもしれない!

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「The Son 息子」(2022)息子とは何者か、鬱症の子を持つ父親の苦闘を体験!

 

監督が「ファーザー」(2021)で第93回アカデミー脚色賞を受賞したフロリアン・ゼレール。ヒュー・ジャックマンアンソニー・ホプキンス:アンソニー出演ということで、事前情報なくWOWOWで観ました

これがよかった「ファーザー」と同じく擬似体験できる演出で、ヒュー・ジャックマン演じる父親が鬱の息子に対峙し決断を下す、その難しさを味わった。スリリングだった。地味な作品ですがすばらしい体験ができた。

監督:ロリアン・ゼレール、原作:ロリアン・ゼレール自らの戯曲「Le Fils 息子」脚本:ロリアン・ゼレール クリストファー・ハンプトン、撮影:ベン・スミサード、編集:ヨルゴス・ランプリノス、音楽:ハンス・ジマー

出演者:ヒュー・ジャックマンローラ・ダーン、バネッサ・カービー、ゼン・マクグラスアンソニー・ホプキンス

物語は

家族とともに充実した日々を過ごしていた弁護士ピーター(ヒュー・ジャックマン)は、前妻ケイト(ローラ・ダーン)から、彼女のもとで暮らす17歳の息子ニコラス(ゼン・マクグラス)の様子がおかしいと相談される。ニコラスは心に闇を抱えて絶望の淵におり、ピーターのもとに引っ越したいと懇願する。息子を受け入れて一緒に暮らし始めるピーターだったが、親子の心の距離はなかなか埋まらず……。(映画COMより)

2022年・第79回ベネチア国際映画祭コンペティション部門出品作。


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あらすじ&感想

冒頭、ベス(バネッサ・カービー)との間に生まれた赤ん坊・セオをあやして出勤するピーター。

事務所で執務中に突然元妻のケイト訪ねてくる。「電話ぐらいしろ!」というのも分かる。(笑) ケイトは「息子のニコラスがひと月ほど登校していない」と言う。

ピーターは帰宅してこの話を妻のベスに話すと「父親が必要なのよ、でもあの子は怖い!」という。

次の日、ピーターは出勤し、手際よく仕事をまとめて、ケイトのアパートを訪ねた。ケイトは不在でニコラスと話す。いきなり「学校に行ってないのか?なぜだ?」と聞く。「理由はない、行きたくない」という。「大学進学適正テストがあるから行け」と促がすが「父さんと居たい。母さんとはうまく行かない」の一点張り。ピーターはニコラスを引き取ることにした。

離婚の際、元夫婦のニコラスに対する責任はどうなっていたのか?「学校に行けない」だけでニコラスを家に連れてくることに違和感を感じた

ベスはこれを受け入れた。ピーターはニコラスの腕に傷があると明かした。ベスはカウンセラーの必要性を訴えた。

ニコラスがピーターの家族と暮らすことになった

ニコラスはベスのことを気にしていたが「喜んでいる」と伝えると嬉しそうだった。与えられた個室で勉強を始めた。

ニコラスは新しい学校に顔を出すが嫌らしい。帰宅するとベスを「父を奪った」とを責めた。ベスは大人らしく取り合わなかった。恐れていたことが起こったと思った。

ニコラスはカウンセラーを受けた。

カウンセラーの「皆と遊べないか?」に「みんなバカみたいだ、パーティーとか遊ぶことだけだ。興味ない」と応え、この日は終わった。

ピーターはケイトにニコラスの近況を伝えた

「最初は戸惑っていたようだが、慣れたようだ。ベスとは努力している。弟が可愛いようだ」とケイトに伝え、うまくいっていると思っていた。

次のステップとしてニコラスにダンスを教えた

ニコラスは数学がAで自信を取り戻したと判断し、次は友達つき合いが出来るようにパーティーに参加させることにした。仕立て屋で洋服を作り、帰宅して、夫婦でダンスを教えた。三人で愉快にダンスをしたが、ニコラスは楽しくなかった。夫婦はこれが読めなかった。

ニコラスのベットからナイフが発見された

ナイフのことでピーターとニコラスが揉めた。ピーターが「何でナイフを持つか」と責めると「強盗が入ったときだ」と答える。ニコラスの腕の傷を露出させ「これは何だ?」と責める。「傷ではない、和らぐんだ!」と言う。「和らぐとは何だ?」、「痛いと苦痛を実験できる」と反抗する。ニコラスは「ベスが見つけたの?」と聞く。「探したのではない、ベッドの整理で見つけた」と応えた。ニコラスが「護身用だ!父さんも銃を持っている」という。ピーターは「父から譲られたもので身を護るためだ」と応えた。最後には「お前が傷つくと俺も傷つく、やめろ!」と話せば「父さんは母さんを傷つけ僕も傷ついた」と部屋を出て行った。

ふたりの会話にひりひりした。この問題は非常にデリケートな問題でピーターのやり方が良いとは思えない

翌日、ピーターは会議に参加。昨日のニコラスとのやり取りを思い出し「こういうとき自分の父はどうしたか」と、ピーターはうわの空で聞いていた。

ピーターは父(アンソニー・ホプキンス)を訪ねた

ピーターが「予備選の選挙参謀に誘われているが、ニコラスの問題がある」と切り出すと父は「もう俺を責めるな!俺は良い父親ではなかったが、いい加減に成長しろ!情けないぞ!」と説教を垂れた。

ピーターは「父親は今の俺と同じだ、問題はない」と考えたのではないか

 

ニコラスがベスの本心を知った

ピーター夫婦はパーティー参加の予定であったが、ベビーシッターが病気で出席できない事態になった。ニコラスが代行を申し出た。バスは「うれしいけれど」と断った。ピーターが「最悪のことばかり考えるな!」と注意すると、ベスはニコラスはいないと思って、「ニコラスは鬱であんな子には任せられない。彼の視線にぞっとする!」と喋った。そこにニコラスが現れた!ニコラスは「イヤリングが堕ちていた」とベスに渡して部屋に戻った。ニコラスには聞こえていた

ニコラスは“居場所がない”とケイトのところに戻った

ニコラスは「あそこには自分の居場所はない。邪魔者だ!重圧がきつい、気が付いてない。学校の話ばかりだ。法を学ぶ気も弁護士になる気もない!父さんは選挙でこれまで見てきた夢をかなえようとしている。僕は身体がおかしい!それでも毎日力を振り絞ってやっている」と訴えた。ケイトが「私が乗り越えさせてみせる」と慰めた。しかし、「もういい、ここで過ごしなさい」とは言わなかった。ニコラスはアパートを出て、公園で休んでいた。これをベスが見かけてピーターに告げた。

ピーターは「これが最後だ!なぜ学校を休む」とニコラスを責めた

ニコラスは「気分が悪かった。模擬試験のためだ」と嘘をついた。ピーターは「学校に電話した。学校には行ってない。パーティーの話も嘘だ。立ち直る機会を与えても前と同じだ。ただの嘘つきだ!説明しろ!側にいて強さと自信を与えようとしたが、このままでは生きて行けないぞ」と責めた。ニコラスは「学校には戻らない」と答えた。

ピーターは「俺の父は母が病気でも帰らず金に困ったが、それでも頑張った。お前に何故できない」と問うた。ニコラスは「生きることが出来ないのは父さんの星だ!偉そうに人生や仕事を語って、簡単に僕らを捨てた。正論を振りかざすが、最初からただのクズだ」と言う。ピーターは「お前のために何年も結婚生活を続けた。何故だ?ベスを愛したのが罪か?俺にも権利がある俺の人生だ」とニコラスの胸蔵を掴んだ!

その夜、ベッドにニコラスの姿はなかった

ピーターの言い分は大人げないと思った

ピーターとケイトがニコラス入院の知らせで病院に駆けつけた

ベスが風呂場で倒れているニコラスを発見し救急車を呼んだのだった。医師は「傷は浅く、よくある症状です。慣れているので任せて欲しい。ニコラスを観察したい。ニコラスに何をしたかを理解させることが必要だ!本人がこれを軽視する間は油断できない」と症状を説明した。ピーターとケイトは医者に任せて、帰宅した。

ピーターはアパートに戻ったが、ケイトは何も話さない!

ピーターは子供のころ海に行って、浮き輪が壊れ母が悲鳴を上げたが自分で泳ぎ出したことを思い出していた。ニコラスも自分で泳ぎ出すだろうと。

ケイトからニコラスが治療を拒否するので時間を空けて欲しいと伝えてきた

ベスはしばらく実家に戻ることにした

ピーターは「セオのためにましな父親になる」とベスに約束して、「どう生きる?お前の年頃にはこうだった」という親父の言葉が情けなかったと言い、「もう選挙運動は止める」と誓った。

ピーターとケイトはニコラスの治療について医師と話し合った

医師が「入院が必要だ。しかし、未成年者だから入院するかどうかは親の認が必要だ。任せて欲しい」と丁寧にその必要性を説いた。ニコラスは「ここの陶芸では治せない。普通の生活に戻れる。そうしないとダメになる。ここの人には分からない。父さん連れて帰って!」と泣いて訴えた。医師から「医療チームに任せて欲しい。愛情の問題ではない」と決断を求められた。

ピーターの決心は

まとめ

鬱の息子と付き合うことの難しさがよく分かったどう対処してよいか分からない怖い話だった

息子のニコラスはっきり自分を示していた。気づかないのは大人達だった

父親のピーターは人生に成功しさらに上を目指す、息子ことを真拳に考えず、説得は自分の成功体験でしかない。ニコラスの悩みや鬱の特性を知る努力がなかったと思う。“このことに気付いたこと”で、皮肉にも最悪の決心となった。

 母親ケイトは理解していると言いながら責任をもってその先を考えないで逃げていた

ベスは幼い自分の子供の世話が精いっぱいでニコラスのことまで気が回らない。

ニコラスを精神病院に預けるかどうかのラストシーン

精神病院で治療するかどうかの判断。医師は「ここなら治せる」と勧めたが、息子のニコラスは「いやだ!」と涙で何度も何度も訴えた。ピーターはこれを認めず部屋を出たが、ニコラスへの情に捉われ戻って認めた

この判断は間違いだと思った

ニコラスは嬉しそうに帰宅し、ピーターとケイトが安堵しているところに風呂場から拳銃発射音。

やはり自分の判断が正しかったと思った

ところが数年後、ニコラスは小説家として久しぶりに帰宅。これを嬉しそうに喜ぶピーター。

ピーターの判断でもよかったのか?

そこに妻のバスが「ピ-ター何しているの!やることはやった!」と慰める。

やはりピーターは間違っていたのか。この演出が憎い!

強烈に“鬱の息子には専門家の意見を尊重せよ”と教えられた。先生と相談しながら、息子は息子だ、辛抱強くニコラスと付き合うことしかない。息子の要求を拒否するのも愛情だと考えさせてくれる作品だった

 戯曲を映画化した作品。とてもセリフが丁寧で会話に引き込まれる。ピーターが決心するどのシーンも、これで良いのかと判断に迷い、共に考える感覚だった

これを演じる俳優が凄かった!息子役のゼン・マクグラス、同情を引き寄せる演技が素晴らしかった。騙された!(笑)

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謎解きながらの函館名所めぐり。アクション、恋も満載!おじんにはちと辛いスピード展開だった!(笑)

名探偵コナン 100万ドルの五稜星(みちしるべ)」(2024)

 

この時期にこの作品。コナンの主題曲と自己紹介で季節を感じる!毎年楽しみにしています。今年はことの他内容が十分で何を書いてよいか分からない!(笑)

劇場版シリーズ27作目です。

土方歳三ブームなんですねゴールデンカムイ」がそうでしたが、土方が残した秘蔵品を巡る宝捜し。こちらは“豊玉発句集”と“刀の目釘”と“鍔の形”でその謎を解いていくと言う、「コールデンカムイ」に劣らぬ、スケール感のある知的宝さがしでした。おじんにはついていけない物語の展開とスピード感、圧巻の空地一体のバトル、参りました。(笑)

今回はネタバレを避けるために公開前に試写会を開催しないことも話題。さてどこまでばらしてよいものやら?服部平次についてよく知らず戸惑った。初めての方、これだけは押さえておく必要があります。

本作の目玉はキッドがなぜビッグジュエルでなく刀を狙うか。その刀が土方歳三の隠し刀で、函館が舞台。そして刀に纏わる剣アクション、コナンと平次の謎解きとコンビ“力”、平次の恋の行方、そして最後にキッドとは何者かが明かされる、ちと多すぎました。(笑)

監督:「緋色の弾丸」「紺青の拳(フィスト)」の永岡智佳、原作:青山剛昌脚本:大倉崇裕撮影:西山仁、編集:岡田輝満、CG監督:高尾駿 福田貴大、音楽:菅野祐悟主題歌:aiko

声優:高山みなみ江戸川コナン)、山崎和佳奈(毛利蘭)、小山力也毛利小五郎)、山口勝平(工藤新一/怪盗キッド)、堀川りょう服部平次)、宮村優子遠山和葉)、大泉洋(川添善久)緒方賢一阿笠博士)、岩居由希子(吉田歩美)、高木渉(小嶋元太)、大谷育江(円谷光彦)、林原めぐみ灰原哀)、松岡禎丞(福城聖)、菅生隆之(福城良衛)、中博史(斧江拓三)、高野麻里(佳吉永神子)、銀河万丈(ブライアン・D・カドクラ)

物語は

北海道・函館にある斧江財閥の収蔵庫に、怪盗キッドからの予告状が届く。キッドの狙いは新選組副長・土方歳三にまつわる日本刀だったが、折しも函館で開催される剣道大会のため、服部平次やコナンも同地を訪れていた。平次はキッドの変装を見破り、追い詰めていく。時を同じくして、胸に十文字の切り傷がつけられた遺体が函館倉庫街で発見され、捜査線上には「死の商人」と呼ばれる日系アメリカ人の男の存在が浮上する。(映画COMより)


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あらすじ&感想(ねたばれあり:注意)

冒頭、1868年、函館戦争

新選組土方歳三がとある屋敷で当主から刀の寄贈を受ける。そこを政府軍に襲われ、背後から襲う兵士をぶった斬った。その血しぶきの屏風と刀を展示する斧江財閥の収蔵庫に巧みに変装したキッドに現れた。

平次は旧函館区公会堂での剣道道参加のため来道していた

大会前日、斧江財閥の収蔵庫に刀剣の見物に来ていた。そこには“キッドの宝刀を盗む“の予告で警視庁の中森警部、毛利小五郎探偵らもいた。

突然男が現れ刀を盗んだ。変装を見破った平次がキッドを追った。

この勝負、月下での剣劇勝負だった。キッドが「預ける!」と二振りの刀を平次に託して飛びさった。キッドはなぜ盗んだものを預ける?

翌日、平次の恋人和葉が剣道大会の会場で剣の素振りの音に「平次かいる?」と思ったが、“音が違う”

そこに「若菜さん、あなたに会えてうれしい!平次と勝負できないのが残念」と黒袴の剣士・福城聖が現れた。上空には平次の許嫁と信じる紅葉のプライベイト・ヘリが舞っていた。(笑)

このころ平次とコナンは赤レンガの倉庫が並ぶ埠頭にいた

男が殺害され、その胸には土方が兵士を斬った際の血しぶき型の斬り傷があった。わざわざこの傷を付けるのは誰か?

そこには道警の西村警部とその部下で当地の事情に詳しい川添刑事が立会していた。川添刑事が「男は久垣で斧江財閥の弁護士だ、ヨーロッパで財閥から流出したものを買い戻していた。久垣は武器商人の日系二世のカドクラと関わっていた」と話した。

キッドは久垣が持つ刀を追っていた。

キッドはカドクラの部下ベルガが持つ久垣から奪った刀を奪い返し、持ち去ろうとするところを狐面の男に襲われた

この男がめっぽう強い剣術使いであわやというところに、オートバイで平次とコナンが駆けつけた。平次と狐面男の斬り合いが始まった。これにコナンも加勢!が、逃げられた。一体狐面男は何者か!

キッドが救ってくれたお礼にと、操作場の列車の中で事情を説明した

「土方の星陵刀は鍛冶師・東窪榮龍が打ったもので6振りの中のひとつ。6振り全部合わせると宝の在処が分かる。1振りはカドクラ、2振りが預けたもの、そして今奪ったもの、残り2振りは元高校教師の福城良衛のところにある」と話した。

平次とコナンは福城邸を訪ねた

そこには聖によって和葉と蘭が招かれていた。聖の和葉にかける気遣いに怒りを見せる平次。(笑)良衛は刀と謎の絵図を渡した。

平次とコナンはホテルに持ち帰り、刀と絵図の解読に入った

平次が刀を分解し鍔と目釘を調べた。鍔の欠けた部分を合わせると五稜郭の形になる。目釘は星印だが2振りについて不明だった。絵図は上段横に数字の羅列。それぞれの数字の下にひらがなが描いてある。何を意味するか分からない。

稚内岬の旅を楽しんでいる紅葉から「なにしている?」と平次に電話が入った。平次は「忙しいんだ!」とスマホで絵図を送った。紅葉が「土方歳三の詩集“豊玉発句集じゃない」と言った。コナンが詩集を取り寄せ分析した。数字とひらかなで当てはまる文字を拾い出すと「ほくとうおに」だった。”おに“は鬼門だ。鬼門と五稜郭から宝のあり場所は”北海道東照宮と推定した。

平次とコナンは中森警部や小五郎探偵らとともに北海道東照宮を訪れた

対応に出た巫女の吉永が「なにもない!」と言う。小五郎は古い祠を探し出し、この奥を調べた。そこで古い小箱を見つけた!そこにカドクラの一味が駆けつけた。

コナンと平次は小箱を持ってオートバイで逃げた。聖はカドクラ一味の追跡妨害を引き受けた。コナンと平次は逃げ切った。ここでのカーチェイスは見せ場だった。

聖が久垣殺しの犯人として捕まった

刀に聖の指紋が残っていたという。平次とコナンは福城邸に駆けつけた。良衛はカドクラの一味に連れ去られ、床に血染めの星型が残されていた

平次とコナンはベイエリアで小箱を開けた。中身は2枚の絵だった

ふたりは警察署に拘束されている聖に面接した。聖は「やっていない!俺はカドカワをずっと追い続けていた!」と話した。

 

巫女の吉永が警察署を訪ねてきた

平次が吉永に「小箱の中は空だった。星陵刀には目釘に特徴がある」と話すと、「月と人の目が貼られていた」というふたつ重ねると五稜郭の形になる!しかし何を意味するか読み取れない。「五稜郭は戦時中、一時期こんな傷があった」と話した。コナンは「解明できた!」と声を上げた

平次は和葉に函館山からの百万ドルの夜景を観ることを約束した。

聖が警察から脱走した

カドクラは良衛を開放し、警察署に「24時間以内に宝を捜し出せ!さもなくば市内を爆破する!」と伝えてきた。

コナンは少年探検隊と来道している阿笠博士に「今夜バルーンを函館山に上げるよう」要請した

コナンと平次は五稜郭で気球を誘導していた

 和菜は蘭と一緒に函館山の展望台で平次を待っていた。

阿笠博士の「ここだ!」の声で、平次はオートバイで走り出す

気球から灰原がスケボをコナンに投げた。カドクラが動き出す!上空に赤いセスナで聖が現れた。その機に平次?がすがりついている。(笑)

コナンたちは宝を発見したか?発見できたとすれば宝はなんだったか?平次は和葉に愛を告白できたか?

翌日、宝捜しの現場に川添刑事が現れ「2日間ほど休んで旅をしていた」という。一体川添は誰だったんだ!(笑)

まとめ

キッドは全てを知っていた!宝の在処を知るためにコナンと平次に謎解きをさせ、最後にいいところ全部持って行った(笑)

遂にキッドの真実がエンデイング後に明かされるので途中退席しないように。(笑)

ビッグなジュエルより平和を愛するキッドの身を捨てた戦い方は恰好よかった

しかし、主役は服部平次だった

コナンとのコンビが微笑ましくとてもよかった。コナンと平次のキッドとの関係は、平次には恨みがあるようだったが、つかず離れずの面白い関係だった。(笑)

謎解きは難しかった!1回の鑑賞ではよく分からなかった。(笑)

土方歳三が詩集を残していたとは知らなかった。百人一首のかるた大会チャンピオンの大岡紅葉がヒントを与えるところがなんとも愉快だった!(笑)

刀の目釘、鍔形からの推理も目新しいどこからこんな発想ができるのか。謎の月と人の目の絵から、ラストの函館山中腹に宝の位置を発見するくだりに唖然とした。もう子供の作品ではなくなりましたね(笑)

福城親子のエピソードには泣けます!

斧江2代目忠行に「宝を爆破してくれ」と託され、敵を欺き隠し場所を掴んで爆破しようとその時を待っていたふたりの絆!実はキッドと同じ志だった!

アクションも満載

冒頭近くでの月をバックにしたキッドと平次の決闘、絵が美しい。ラストのセスナの上での平次?と福城聖の決闘、これには驚いた!(笑)市街地でのカドクラ一派と平次とコナンが乗るオートバイとのカーチェイス。これも見所だった。ラストの函館山の宝の在処を巡る空地で広げられるバトル、何がなんだかよく分からなかった。(笑)

平次と和葉の恋の行方

不器用なふたりの恋にいらいらしながら、ラスト、函館山で繰り広げられるクライマックス。平次は「和葉さんを好きになる理由が俺には見つからん!それほど好きだ」としっかり愛の言葉を言い放ったが、和葉が気を失っていた。(笑)蘭もあきれてものが言えなかった。(笑)こんなこととも知らず平次とは子供のころから許嫁の仲と信じプライベイトヘリで執事の伊織と平次を追っかけまくる紅葉、笑った!(笑)

一番うれしかったのは函館の名所めぐり。(笑)さくらで浮かび上がる五稜郭に函館の百万ドルの夜景、最高でした

5月11日は土方歳三の命日。大ヒットすることを願っています!

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