An MBA-SEのブログ

とあるMBAのソフトウェアエンジニアのブログです。 不定期に思ったことを呟やきます。

MBA-SEブログ始めました 〜 人工知能は人類を労働から解放するのか?

この記事は、2016年12月10日にamebaの同名(An MBA-SE)のブログで公開したものです。

amebaからhatena、FC2、または、livedoorに引っ越し検討中です。

 

こんにちは。

 

とある、ソフトウェアエンジニア(SE)が日常生活の中で感じたことを徒然に綴るブログです。

世の中の出来事をエンジニア視点で見たらどう見えるのか?

ニュースや新聞では得られない視点を提供できたら良いなあ、などと思っております。

ちなみに、MBAを持っていますので、経営的な視点も提供できるかと思います。

 

ブログの名前は、そのまま、MBA-SEです。

特にひねりはありません。

 

記念すべき第一回のテーマは、最近何かと話題のAI(人工知能)です。

「AIとは何か?」について本気で知りたい方は、以下の講座がオススメです。
http://qiita.com/mono0926/items/2c39649d24b2e515f4b5
日本語字幕が付いてますし、高校時代に数学で少しつまづいた人でも付いていけるくらい丁寧に説明してくれています。

 

さて、本題に入りましょう。

日経新聞で、こんな記事がありました。


AIが国会答弁下書き 経産省が実証実験 
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDF05H0D_V01C16A2EAF000/

 

"公務員の長時間労働の要因になっている答弁対応の負担を減らし「働き方改革」につなげるねらいもある"そうです。

が、AIが普及したら労働時間は削減されるのでしょうか?

 

答えは、間違いなく"ノー"です。

これまでの技術の発達を考えれば明らかです。


ソロバンで8時間かかってた作業が、PCと表計算ソフトの登場によって、5分以下に短縮されたと思います。

しかし、毎日5分だけ働けば良い社会になっていませんね。

相変わらず、労働時間は毎日8時間です。

半減すらしていません。

 

それは何故なのか?

まず、時給という観点から考えてみましょう。

 

自動改札が発明されて普及しましたが、駅員さんの労働時間は半減したりしません。

もしも、駅員さんが「これまでの半分の労働時間で同じ年収」になったのなら、それはつまり駅員さんの時給が倍になったということを意味します。

駅員さん本人の努力とは無関係に、自動改札機が普及しただけで、駅員さんの時給が勝手に倍になるなどという、「(駅員さんにとって)うまい話」は無いというわけです。

同様に考えると、AIが国会答弁の下書きをするようになったからといって、公務員の時給が勝手に上がるわけではないのです。

 

次に、別な視点から考えてみましょう。

商品やサービスの価値が下落するという観点です。

 

田植えというのは昔は手作業でしたが、今は機械で出来るようになりました。

機械を使えば、手植えの10倍以上のスピードで田植えが出来るでしょう(たぶん)。

収穫も機械化されて10倍くらいの効率になったことでしょう。

では、米農家の方々は、田植えの時期と収穫の時期は「1日だけ働いて9日休む」ということが出来るようになったかというと、それでは食べていけません。

みんなが機械化されて効率アップすると米の値段が下がってしまうからです。

漁業についても効率の良い漁法が開発されると、これまでの倍の魚が捕れるかもしれません。

しかし、そのぶん、魚の値段は下落します。

だから、これまでの倍とか10倍とかの効率で仕事が出来るようになっても、労働時間は減らないのです。

「ある装置を使えば誰でも出来てしまう時代」になるということは、その「誰でも出来てしまうこと」の価値は下がるわけです。

 

 

もう一つ、別な視点があります。

それは、仕事が「発生」する仕組みです。

これは、価値の下落とも関係しますが、新しいことが出来るようになると、その先までやりたくなる、あるいは、やらざるを得なくなるのです。

つまり、電卓しか無かった時代は、顧客にローンのシミュレーションを細かく示さないでも良かったのですが、表計算ソフトやローンシミュレータが普及してしまった以上は、様々な条件で何通りものシミュレーションをして顧客を説得しなければ、顧客はローンを組んでくれないかも知れません。

競合の会社がそれをやっていれば、顧客を取られてしまうかも知れません。

ということは、自分もツールを駆使して、それをやらなければなりません。

表計算ソフトなどのツールを使えば誰にでも出来てしまうこと」の価値は下がってしまったので、「顧客のこと(年収や家族構成などの状況)について一生懸命考えて何通りものシミュレーションを提示する」という新たな付加価値が求められるわけです。

 

では、人類はこれからも働かなくてはいけないのでしょうか?

たぶん、そうです。

でも裏を返せば、「いつか、全ての仕事をAIがやるようになって、人類はやることがなくなってしまう」という心配をする方々がいらっしゃいますが、そんな心配は無用なのです。

「全ての仕事をAIがやる社会」、「人類は何も労働をしなくて良い社会」の到来を期待していた方には、残念な展望ですが。

 

しかしながら、「働かなくても食べていける社会」というのは、張り合いが無く活気も無いものです。

これについては、研究事例がありますので、そのうち紹介したいと思います。