Cyber Metrics

軍隊を退役した後に缶詰工場に警備員として勤務していたジェームズは「夜勤の暇つぶしに」自分の趣味である野球データの分析をしていた。結果を『野球抄1977−知られざる18種類のデータ情報』という本にまとめ自費出版すると、次第に版を重ねてスポーツ専門雑誌「スポーツ・イラストレイテッド」のライターの目に留まり、1982年にニューヨークの出版社から販売されベストセラーとなった。ビル・ジェームスは、出塁率、長打率といった新たな統計値分析手法を考案し、遂にはベーブ・ルースの呪いを科学的に解いたのである。

ならば、「夜の暇つぶしに」ネットにおちているデータを分析し世の中のトレンドを測るものさし、Cyber Metricsをでっちあげようではないか。

記念すべき第一回目は「文系の大学院に行くとニートになる」

文部科学省のデータ（平成19年確定値）によると、

http://www.mext.go.jp/b_menu/toukei/001/08010901/002/002/002.htm
http://www.mext.go.jp/b_menu/toukei/001/08010901/002/002/001.htm
http://www.mext.go.jp/b_menu/toukei/001/08010901/002/002/003.htm
http://www.mext.go.jp/b_menu/toukei/001/08010901/002/002/004.htm

博士課程卒業の就職率は60％程度で、死亡・不祥が5％〜10％、その他が20％程度。
学士、修士課程卒業の就職率は共に70％強。死亡・不祥は誤差の程度でその他もせいぜい5％〜10％程度。
短大、高卒になるとやはり就職率は下がるものの、死亡・不祥、その他は10％程度でしかない。

また、博士課程卒業者の中でも文系、理系ではかなり差があるようだ。

人文科学卒の34％が進学、24％就職、25％無職、16％その他
社会科学卒の23％が進学、42％就職、19％無職、15％その他
理学系卒の33％が進学、55％就職、9％無職、2％その他
工学系卒の10％が進学、85％就職、3％無職、2％その他
教育系卒の8％が進学、56就職、30％無職、5％その他

（「社会人大学院で何を学ぶか」山田礼子著、表6引用）

理系ではおおむね進学するか、就職するかという選択になっているのに対し、文系では「無職」の割合が無視できない割合で存在している。

秋葉原の一件でも誰かが言っていたが、「高学歴でプライドばかり高くなにもできないネクラがニートになり、被害妄想と絶望の中で犯罪に走りやすくなる」のだろうか。

「文系大学院に行くとニートになる」。当たらずとも遠からずか。ああ、菅原道真よ、森有礼よ。これほどの皮肉があるものだろうか。