Tackett S, Steinert Y, Mirabal S, Reed DA, Whitehead CR, Wright SM. Blind spots in medical education - International perspectives. Med Teach. 2024 Apr 30:1-7. Epub ahead of print.
背景:すべての個人や集団には盲点 (blind spots)があり、それが対処されなければ問題を引き起こす可能性がある。本研究の目的は、医学教育における盲点を国際的な視点から検証することである。
方法:2022年12月から2023年3月にかけて、医学生、卒後研修生、医学教育者の国際的なネットワークを通じて電子調査票を配布した。回答者は、自国の医学教育システムに影響を及ぼしている盲点を挙げ、米国の医学教育に関する研究から得られた9つの盲点領域を5段階のリッカート尺度(1=あまり注意を払う必要がない、5=もっと注意を払う必要がある)に沿って評価した。回答者のグループによる盲点評価の違いを検証した。また、回答者が特定した盲点を分析し、これまでに記述されていない盲点を特定するとともに、盲点領域に関する自由形式の回答について内容分析を行った。
結果:回答者は88カ国から356名で、その内訳は教育者127名(44%)、医学生80名(28%)、卒後研修生33名(11%)であった。回答者の少なくとも80%が、各盲点領域について「もっと」または「大いに」注意を払う必要があると評価し、最も高かったのは「患者の視点や声が聞かれない、評価されない、理解されない」の88%であった。性別、医学教育における役割、世界銀行の国別所得水準、地域別の分析では、統計的に比較可能な279項目のうち、平均0.5の差が見られたのはわずか5項目であった。文書化された885の盲点のうち、新たな盲点領域は、国境を越えた問題(国際基準など)と医学教育を支える資源の充足に関するものであった。9つの盲点領域に関するコメントから、文化的、医療制度的、政府的な要素が、異なる環境において盲点がどのように現れるかを左右することが示された。
結論:医学教育における盲点について、より注意を払うべきであるという点では、世界中で一般的な合意が得られている可能性がある。このことは、医学教育を向上させるための資源を配分し、介入策を調整するための国際的な協調努力の基礎を確立する可能性がある。