ヨーロッパではフライトが遅延か欠航になったら誰でもお金が貰えるって本当なの?
本当です!欧州の航空会社はもちろん、日系航空会社でも貰えるケースもあるんですよ!
この記事では、最高約7万円が貰える!ヨーロッパ旅行でフライトが遅延・欠航になった際の補償の条件やルールを詳しく解説します。
この記事はこんな人におすすめ
- EU261法について知りたい
- 自分のケースで補償金が貰えるか知りたい
- ヨーロッパでフライトが遅延・キャンセルになった経験がある
「EU261法」というEUの法律では、フライトが予定通りに飛ばなかった場合、フライトの遅延時間と距離に応じて乗客に補償金が支払われる決まりになっています。
補償金を受け取るには、自分のケースが対象かを自分で判断して、航空会社HPから申請しないといけません。
私は過去にロンドンでフライトが欠航になり600ユーロ(約7万円)の補償金をもらいました。その時の記事👇
ヨーロッパでフライト欠航!600ユーロの補償金をもらった話【旅好き必読】
今日は少し複雑だけど知らないと損するEU261法を、分かりやすく解説します!
本記事の内容は2020年5月時点のEU261法に基づいています。今後、法改正がされた場合には情報が異なる可能性があることをご了承ください。
EU261法って何?
EU(ヨーロッパ連合)が飛行機のキャンセル・長時間の遅延が発生した時に、航空会社が乗客に対して行う補償について定めた法律です。
正式名称は”EU Regulation(EC) No.261 / 2004”
2004年に成立したこの法律は「乗客の権利」を保証していて、乗客の国籍に関わらず、EU加盟国を出発する全てのフライトと、EU加盟国に到着する一部のフライトが対象になります。
対象になるフライトはこのパターン!
対象になるフライト・ならないフライトを表にまとめました。
区間 |
EUの航空会社 |
EU以外の航空会社 |
EU ➡ EU |
対象 |
対象 |
EU ➡ EU外 |
対象 |
対象 |
EU外 ➡ EU |
対象 |
対象外 |
EU外 ➡ EU外 |
対象外 |
対象外 |
EU加盟国を出発するフライトは行き先と航空会社は関係なく全便が対象ですが、EU加盟国に到着するフライトはEU加盟国の航空会社のみが対象です。
つまりJALやANAなど日本の航空会社の場合、成田(EU外)⇒パリ(EU)は対象外ですが、パリ(EU)⇒成田(EU外)は対象ということです◎
乗客の権利って何?
以下の3つケースで航空会社から現金補償とサポート(食事や宿泊等)を受ける権利が保証されています。
内容はフライトの距離や遅れた時間によって細かく決まっています。
それぞれのケースの詳しい内容を見ていきましょう!
搭乗拒否
搭乗拒否は主にオーバーブッキングが理由で予約していたフライトに乗れませんと言われるケース。
この場合には必ず補償金がもらえます!
普通はこうなる前に航空会社が「別便に振替えても良いというお客様には●●マイルをプレゼントします」等の呼びかけて、自ら別便を希望してくれる乗客を見つけるので、この中では一番レアなケースです。
必ず受けられる権利3つ
1. チケット代金の返金もしくは代替フライト
代替フライトはもちろん追加料金はかかりません。これは当然ですね◎
2. 食事や通信費
代替フライトを待っている間の以下も保証されます。
- 食事と飲み物
- 電話2回分またはインターネット代
- (必要な場合)ホテル宿泊代、ホテルー空港の交通費
3. 補償金
金額は最終目的地への到着遅延時間(元の予定と比べて)×フライトの区間距離で決まります。
距離 \ 遅れ |
2時間未満 |
2 - 3時間 |
3 - 4時間 |
4時間以上 |
1500 km以下 |
125ユーロ |
250ユーロ |
250ユーロ |
250ユーロ |
EU圏内で1500 km以上or その他1500~3500km |
200ユーロ |
200ユーロ |
400ユーロ |
400ユーロ |
EU外で3500km以上 |
300ユーロ |
300ユーロ |
300ユーロ |
600ユーロ |
搭乗拒否のケースではその場で現金が支給されることが多いようです。
注意点
搭乗拒否の原因が、書類の不備や安全上の理由など乗客側の問題だった場合は対象外です。
キャンセル
予約していたフライトが欠航になった場合はこれ。
必ず受けられる権利2つ
1. チケット代金の返金もしくは代替フライト
2. 食事や通信費
この2つは搭乗拒否のケースと同じですが、キャンセルの場合は、補償金が支給される条件が少し厳しくなります。
さらに補償金も受けれるケースは?
キャンセルの通知が出発日まで2週間を切っていた場合には上記に加えて、補償金も受け取ることができます。
※キャンセル理由が自然災害など航空会社に責任のない特殊な状況(下で詳しく説明します!)を除く
もらえる補償の金額は?
金額の条件は遅延時間と距離に応じて以下のように細かく決まっています。
距離 \ 遅れ |
2時間以下 |
2 - 3時間 |
3 - 4時間 |
4時間以上 |
1500 km以下 |
125ユーロ |
250ユーロ |
250ユーロ |
250ユーロ |
EU圏内で1500 km以上or その他1500~3500km |
200ユーロ |
200ユーロ |
400ユーロ |
400ユーロ |
EU外で3500km以上 |
300ユーロ |
300ユーロ |
300ユーロ |
600ユーロ |
但し以下の場合には補償金は貰えないので注意しましょう。
- 欠航連絡が出発の7日~13日前まで+代替フライトが元の出発予定時刻の2時間前までに出発し、当初の到着予定時刻を過ぎて4時間以内に目的地へ到着する場合
- 欠航の連絡が出発の7日前を過ぎていて+代替フライトが元の出発予定時刻の1時間前までに出発し、当初の到着予定時刻を過ぎて2時間以内に目的地へ到着する場合
具体例
1. British Airwaysのロンドン⇒NYが欠航
a) 出発日の6日前に連絡が来て、代替フライトが予定出発日の翌日の便の場合:
ロンドン-NYは3500km以上、予定よりも4時間以上遅れてのNY到着なので、600ユーロの補償金が貰えます。
これ実際に私の身に起きたケースです。
b) 出発日の6日前に連絡が来て、代替フライトが予定の3時間前の便、結果的に予定よりも早くNYに到着した場合:
これは補償金を貰えないケースの2つ目の、
「欠航の連絡が出発の7日前を過ぎていて+代替フライトが元の出発予定時刻の1時間前までに出発し、当初の到着予定時刻の2時間以内に目的地へ到着する場合」
に当てはまり、補償金はゼロです。
2. JALの羽田⇒フランクフルト便が欠航:
EU外からEUへのフライトはEUの航空会社のみ対象のため、この場合は最初から補償の対象外です。
遅延
最後は欠航ではないけれど、遅延"Delay"になったケースをみていきます。
この場合は3時間以上の遅れで最大600ユーロの補償金が貰える可能性がありますが、「搭乗拒否」「キャンセル」と比べて条件が厳しくなります。
食事や補償金がもらえる条件
2時間以上の遅れでフライトの距離に応じて、待ち時間の食事と通信費が支給されます。
代替フライトが翌日になる場合には宿泊代も。
3時間以上の遅れになると、上記に加えて補償金も発生します。
金額の条件は遅延時間と距離に応じて以下のように細かく決まっています。
距離 \ 遅れ |
2 - 3時間 |
3 - 4時間 |
4時間以上 |
1500 km以下 |
食事のみ |
食事+250ユーロ |
食事+250ユーロ |
EU圏内で1500 km以上or その他1500~3500km |
|
食事+400ユーロ |
食事+400ユーロ |
EU外で3500km以上 |
|
300ユーロ |
食事+600ユーロ |
5時間以上の遅れの場合
表の内容に加えて、航空券の払い戻しor代替フライトも行われます。
注意点
- 遅延時間の計算は出発時刻ではなく到着時刻ベース。つまり、目的地への到着が当初の予定から遅れた時間数でカウントします。
- 遅延理由が航空会社に責任のない特殊状況では食事の保証のみで補償金は受けれません。
具体例
1. ライアンエアーのパリ⇒バルセロナが2時間半の遅延:
ライアンエアーはアイルランドのLCC、パリとバルセロナはどちらともEU圏内で距離は1500km以下。
この場合は補償金は受け取れず、待ち時間の食事や通信費のみとなります。
2. シンガポール航空のローマ⇒シンガポールが3時間の遅延:
シンガポール航空は非EUの航空会社ですが、出発地ローマはEU圏内なので対象。
3500km以上のフライトで3時間の遅延なので300ユーロの補償金になります。
航空会社に責任のない特殊な状況とは?
機材の不具合や航空会社職員のストライキは航空会社の責任です。
航空会社の努力で未然に防ぐことが可能だからです。
特殊な状況とは、航空会社の努力でどうにもならない事態を言います。
たとえば、天候不順、空港の閉鎖、航空管制官の指示、医療的な緊急事態の発生、テロ等。
ただ、天候不順については、航空会社が予じめ準備をしていれば遅れの原因にならなかった場合には、航空会社の責任になる場合も。
例えば大雪の日、A社は融雪剤の準備が不十分で遅延が発生しているのに、他社の便は定刻で飛んでいる場合などがこれに当てはまります。
過去の事例
2010年にアイスランドの火山が噴火して欧州の各国の空港が閉鎖になったことがありました。
2010年のエイヤフィヤトラヨークトルの噴火による交通麻痺 - Wikipedia
この時はどうなったかというと、火山の噴火は当然「航空会社に責任のない特殊な状況」のため補償金は払われません。
それでも、航空会社には代替フライトの用意や食事・宿泊の提供義務がありました。
いかに乗客の権利が守られているかが分かると思います。
補償金を貰うには?
航空会社としてはなるべく補償金は払いたくないので、積極的にこの制度のことを教えてくれません。
自分のケースが対象なのかを判断して、自ら航空会社のHPから申請する必要があります。
私の場合はHPから申請した2か月後に口座に振り込まれました。
補償金の申請期限は?
期限は各国が法律で決めていて、国によって1年~6年とバラバラです。
そのため、航空会社の本社がある国の期限を確認する必要があります。
各主要国の期限はこのようになっています。
1年:ベルギー
2年:オランダ、アイスランド、イタリア、スイス
3年:ドイツ、オーストリア、デンマーク、ポルトガル、フィンランド、スウェーデン、ノルウェー
5年:フランス、スペイン、ギリシャ
6年:イギリス(※)、アイルランド
例えばエールフランスなら過去5年に遡って補償の申請ができるということ。
過去の旅行で思い当たるケースがあれば今からでも申請してみましょう!
イギリスはEU離脱でどうなる?
2020年2月にイギリスがEUから離脱しました。
現在は「移行期間」のため、EUの法律も以前と変わらずイギリスで適用されている状態ですが今後はどうなるか分かりません。
イギリスがEU261を適用しないと決めた場合は、例えばロンドン⇒NYは"EU外からEU外への移動"となり、補償対象外になってしまいます。
まとめ
ヨーロッパ旅行で飛行機のトラブルがあった際はEU261法に基づいて、誰でも最大600ユーロ受け取れる可能性があります。
せっかくの旅行に支障が生じてしまった時、これを知らない人は本来貰えるはずのお金をもらう機会を逃して勿体ないです!
ちなみに、こんなに手厚い乗客の権利が保証されているのはEUくらい。
実際、航空会社の負担は大きく、大手航空会社は法令順守をして、補償金の支払いを行っていますが、弱小航空会社では補償金の申請をスルーする等の事例もあるようです。
そういう時にはヨーロッパには補償の申請を代行してくれる会社もあるようなので、検討してみても良いかもしれませんね!
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