管理職に向く人、5つのパターン

管理職には向く人と向かない人がいる。

 

管理職の中でも特に悩みの多きは中間管理職か。中間管理職と言えば部下と上司の間に挟まり潰されるというイメージがある。そしてそれは概ね正しい。中には潰されずに上手くやりこなす人もいるが、そういう人は出世する。しかし…

 

  • ずるずると長く会社にいてしまい、いつの間にかマネージャー。
  • 技術者として会社に入ったはずが、レールに乗っていつの間にか管理職。
  • マネジメントに手を焼き、やりたかった仕事や開発に手を付けられない。時間もない。文句ばかり言われ心が苦しい。

 

「こんなはずじゃなかった」

 

という人は意外に多いのではないか。人生を見直す指標として、備忘のために管理職実務に必要な素養をいくつか挙げる。

 

組織を動かすのが好きな人

  • 個人技能を磨くよりは、組織を動かしてより大きな事業に取り組みたい。
  • マネジメントのスキルに長けている。
  • 組織的な視点で純粋に会社の事業に貢献したい。
  • リーダー的な仕事が好き。

 

こういう人は、圧倒的に管理職に向いている。私は嫌なので向いていない。

 

対して個人で仕事をしたい、職人的個人スキルや技能を磨きたいという人にはあまりお勧めが出来ない。組織が大きくなればなるほど、部下や上司と対話する時間が増え、マネジメントばかりに手を焼くようになり、心をすり減らすようになる。こういった事が原因で心を病んでしまう管理職は実に多い。

 

自分自身のスキルを伸ばしたいけど、管理職に「なってしまった」という人ほど、道を見直した方が良い。両方がこなせる器用な人は問題ないが。

 

バランス感覚に優れている人

中間管理職の上司である会社上層部と、中間管理職の部下である労働者というのは、とにかくあらゆる面で違いが出る。価値観も考え方も視点も、基本的には違う。良し悪しの問題ではなく、単に違う。とにかく違う。例えば会社は株主のために利潤を追求するのが仕事であるし、労働者は概ね自身の利益(例えば給料を上げたい、など)を追求する事が多い。(必ず全てが上記の通りだ、というわけではないが、本ぺージに辿り着いた苦悩する中間管理職のあなたはそんな事はわかっていると思うので、詳しくは割愛する。)

 

中間管理職というのは極論すれば彼らの間に挟まり、いかにお互いの意見をすり合わせさせ、お互いを歩み寄らせるかが役割であると言える。これが人によっては、すこぶるストレスになる。ここで徹底して会社側に立てば労働者からは会社の犬と言われ、労働者側に立ちすぎると会社からは無能の烙印を押されるわけである。

 

また出世したければ必ず会社の側に立てば良いかというとそうではない。それでは部下にそっぽを向かれ、組織のパフォーマンスを出せない。それはそれで中間管理職が無能という事になる。

 

更にはあまりにもどちらつかずで判断を続けていると「八方美人」「日和見」と言われる始末である。「どうしろと言うのだ…」と悩む管理職は多かろう。

 

このようなバランス感覚はあなたに備わっているか。私には無い。

 

人と話をするのが得意な人

ここでいう「人と話をする」というのは「自分がする話が面白いか否か」というものではない。部下や上司、周囲と分け隔てなく声を掛け、彼らの話を聴くことが出来るか。という能力を指す。

 

概ね人間というのは「自分が話をしたい」という生き物である。それに対して管理職は人の話を聴かねばならない。むしろ自分の事は極力は成さない方が良い。それくらいの気持ちで接して、相手9:自分1くらいで話をする。強く自分を律する事が求められる。

 

また話を聴くという事は本当に分け隔てなく公平にやるべきである。

 

中間管理職が特定の気の合う連中だけと話していると、必ず「拗ねる」人が出て来る。これは部下側に多い。「私の話は聴いてくれない」というわけだ。もっとも彼らはそんな文句は口に出さない。直接文句を言ってくる者はまだ可愛い。多くは黙ってだんだんと管理職から距離を取るようになる。そして陰口を叩く。これが組織全体のパフォーマンスを落とす種になりうる危ない兆候である。

 

だからとにかく公平にやらなければならない。「あぁコイツ面倒くさいな」と思っても口に出してはいけない。部下はそういう陰口を必ず聞いている。また口だけではなく顔に出してもいけない。そういう気持ちを持っていると表に出てしまうし、特に部下は直ぐに察する。常に聖徳太子のような広い心で、周囲と接する必要がある。

 

「それくらい出来るさ」

 

というあなたは幸運にも管理職に向いている。私は向いていない。

 

論理的な人

上になればなるほど、正論や理論構築が必要な場面が出て来る。感情論で説き伏せようと思っても、会社上層部というのはまず動かない。何か大きな事をやりたいと思えば、必ず数字と論理、正論が必要になってくる。

 

上層部と話をすると、ちょっとついていけないと感じる場面が良くある。圧倒的な理論と正論で話をしてくるため、眩暈がする。自分が管理職に向いていないと感じる瞬間でもある。会社というのはなぜこれほど正論大好きな魑魅魍魎が跋扈しているか。個人的には足を踏みいれる事ができない、足を踏み入れたくない領域である。

 

また下世話な話ではあるが、大きなことをやりたいだけではなく、中間管理職自身の保身のためにも理論構築が必要となる場面もある。そういう場合、周囲や上司が狙っている事や方向性を察しながら、つけ入る隙を与えないような論理構築が必要になってくる。論争で負けると自身が所属する組織の負けとなり、それはつまりその組織の長である中間管理職が責任を押し付けられる事になる。

 

このような事がないよう、常に理論武装をして身構えておかなければならない。

 

常に前向きな人

多くの課題をこなす必要がある管理職だが、これらの課題に対しては概ね前向きに取り組まなければならない。それ自体は悪いことでは無いし、前向きの取り組む事は自身の成長にも繋がる事も多い。しかし、

 

  • 常にポジティブに

 

というのは実際はかなり辛い。

 

周囲を頑張れ頑張れと鼓舞する一方で、自分の心は頑張れるか。

 

常にポジティブな意識を保ち続ける、それそのものに非常に大きなパワーが必要である。参考まで、私はそれに耐えられない。愚痴の一つでも零せれば良いのだが、管理職というのは意外に孤独である。部下からは「管理職じゃん」のような周りの目で見られ、その孤独感にやられてしまう人もいる。

 

独りでポジティブを保ち続けられるか、その忍耐も求められる。

 

正直今回上げた以外にも管理職にはたくさんの能力が求められ、管理職は苦悩の中にある。給与も上がらず、残業代も出ない。責任だけが増えて権限や裁量は増えない。更にはコロナ禍下でリモートワークも増え対面で話す機会も減り、部下の管理は困難を極める。そういう中で組織が最大のパフォーマンスを出せるように日々努力しろというのだから、たまらない人はたまらないだろう。

 

あなたの心は大丈夫か。