霞、或は露の如く

ふと、書いてみようと思った。理由はそれだけ。気儘に綴る、という行為の持つなんとも言えない快感はあたしの裡で精神安定剤の役割を果たしているようだ。

さて、書くと言っても何を書こうか。あたしは別に大した人間ではなく、ただのちっぽけな一個人でしかないのだ。気儘に、徒然に。どんな話をしたってきっと面白くもなんともないだろう。だからこれはあたしの自己満足だ。

これを読む者がいたとしてもその記憶には残らず、霞の如く消え去るだろう。だがいずれ、朝露を纏った蒼い、小さな花を見た時のような忘れ難い感情を誰かに与えられたら、と。

--あたしの微かな願いだ。