マトモが受かりマトモが辞める
休日の考え方
また、「会社」という枠組みの中で「社員」の形で我々探偵を雇っているのだから、しっかりと社員を保護するのが会社の義務でもある。
探偵だから〜、雇ってやったんだから〜、といった論理は通用しない。社員に仕事上の責任があるように会社側にも社員に対する責任が生じる。どちらがえらいではなく、対等な立場なのだ。
ただでさえ激務から離職率が高い職種で、いちから探偵技術を教え直す手間を考えれば、社員の待遇を改善して長く働いてもらえるような環境作りをする方が長期的に見てメリットが大きいのだが。
そして、よく訓練された社畜は「忙しいことは幸せなこと」「休みを求める奴はやるきがない」などとのたまうが、これらは奴隷根性が隅々まで染み込んだ可哀想な結果である。
忙しいことは仕事があるということで、このご時世では凄いことで会社全体で喜びを共有しましょう、ということなのだろうが、社員の休みをギリギリまで削った結果、なんとかやっていける忙しさの先に喜びはない。
全速力でマラソンを走っているようなもので、計画性がなく、目先のニンジンに必死に飛び付こうとしているのと同じだ。いずれ体力はつき、レースから脱落していく。
社員全体が余力を残した状態で、忙しさを乗り切るのが正解であり、疲労困憊で乗り切った忙しさから得るものは少ない。失うものの方が大きい。
それは貴重な時間であったり、健康であったりと様々だ。
利益や生産性を追求するために休みを削り仕事をする、その考え方は一概に間違いではないのだろうが、自分の時間をしっかり確保しつつ仕事をするという考え方も間違いではない。多種多様な人材が集まるのが会社であるし、そこに多種多様な考え方が存在するのは当たり前である。勘違いしてはいけないのが、休日を求める人間を排除する考えは間違っているということだ。
人それぞれ仕事のモチベーションを高める方法も違うし、仕事に求める価値も違う。必要なのは仕事の価値観は画一的なものではないと理解することだ。
休日は大事にしたい、休日も返上して仕事したい、残業代が出ないなら定時に帰る、皆が残ってるから自分も残るべきだ、色々と考え方はあるだろう。
だが、自分と違う考え方だからといって排除することはおかしいと断言出来る。
自分のやり方に自信があるのなら他人など気にせず貫き通せばいいし、他人を攻撃する必要はどこにもない。
しかし悲しいことに、出る杭は打たれるのが現在の日本社会である。一人一人が周りに流されず個々の価値観を尊重出来るようになるのはいつだろうか。
探偵は何をやるのか③
探偵は何をやるのか②
探偵は何をやるのか①
探偵は血肉と引き換えに金を得る
いざ面接
後々その建て前前提で仕事をしていくことになり、必ず自分の本音と建て前とのギャップが大きくなり、自分の首を絞めることになる。
本音の部分で探偵という仕事内容に不満があるならば、探偵はやめたほうがいい。それだけキツイ仕事なのだ。
そして僕は建て前で入社してしまい後悔している人間の一人なのである。
どうしても探偵になりたい、探偵になって人を救いたい、そう考えている人は是非とも本音と建て前を活用して立派な探偵になって欲しいと切に願う。
さて、事務所側からの尋問が終わると次は簡単なテストを受けることになる。
事務所によって違いはあるが、一般常識や地図を書かせるといったことは共通するだろう。
一般常識はかなり簡単なものなので全く問題は無いが、地図については見方、書き方、覚え方は勉強した方がいいかもしれない。
探偵になると知らない土地を歩き回ったり、車で走りながら、時には対象者の先回りをしなければならない。そうなると、いかに道を覚えるかが重要になる。
ちなみに僕は覚えられなくて苦労している人間だ。
簡単なテストが終わると、再度働く意思の確認がされる。それだけすぐにフェードアウトする人が多いのだろう。
再確認が済み、問題がなければ大体採用される。
探偵というのは、入口は広いが中はトラップでいっぱいである。
それだけの覚悟がなければボロボロになって戻ってくることになる。十分注意して臨んで欲しい。