天使の協奏曲 第二十四話
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*第二十四話*
もっとわからなくなった。だから、その「奇跡」とは何なのかが知りたいのだ。
ムスッとした顔で「どういうこと?」とたずねると、エルはまたくすりと笑った。
『あれ交通事故っていうんだよね? トラックがこっぱみじんになってるけど、あの車に乗ってた人はね、神様の力のおかげで無事なんだよ! かすり傷くらいで済んでると思う。』
得意げに言うエルに対し、私は不満げだ。
「なんでそんなことわかるの? 神様と話なんかしてなかったのに。」
エルが答える。
『鳩の聖霊だよ! あの鳩がいるといつもこういうことが起こるんだ。絶対助からないでしょ!って場面で無事だったりするんだよ。それはみんな神様のおかげ。聖霊は、それを伝えるために来るんだ。まあ、人間には見えないんだけどね。』
どう? 神様ってすごいでしょ! と胸を張るエル。しかし、私はいまいち信用できず、「ふうん・・・」とあいまいな返事をした。
『じゃあ、また明日ね! 明日、絶対香織のところに行くから!』
名残惜しそうに手をふるエルに向かって、私は「はいはい」と面倒くさそうに答える。
光る翼をはためかせて夜空へ飛び去ってゆくエルを見つめながら、私はこの一時間の間にあったことを思い出していた。
第二十四話